艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、29話が終わりました

パイオツェ…グラーフが出てきました。

が、後書きでも書いた様に、航空母艦⁇です

もしかしたら形はグラーフでも、普通のグラーフじゃないかも⁇

今回はスティングレイとグラーフの、ちょっとしたお話です


30話 海鷲から雷鳥へ…(1)

その頃グラーフは、部屋の中で本を読み始めていた

 

「…」

 

「相変わらず勤勉だな」

 

「あ…スティングレイ」

 

「眠たいのか⁇」

 

「違う。そんな顔なだけ」

 

「久し振りだな」

 

「スティングレイ、ちっちゃくなったね」

 

そう言って、人差し指でスティングレイの頬を撫でた

 

「まぁな。でも、満更じゃあない。たいほうの頭の上は心地いいぞ⁇」

 

「私のポケットはどうだった⁇」

 

「あったかかったぞ。昔みたいに」

 

「そう…ちょっと嬉しい」

 

見て分かる様にこのグラーフ、ちょっと気弱な感じが漂っている

 

若干、チェルシーだった時のビビり癖もほんのりと残っている

 

だが、何故サンダーバード隊に入れたのか

 

それは、しばらくして彼女の本来の自分を出せる場所までお預けになる

 

 

 

「あ…スティングレイ、これ、覚えてる⁇」

 

「ん⁇あぁ、懐かしい機体だな」

 

本の1ページに出て来た、軍用機の数々

 

その中には、友軍としていた機体、そして勿論落とした機体もあった

 

「懐かしいね」

 

「グラーフはどれが好きだ⁇」

 

「これ」

 

グラーフが指差したのは、可変翼爆撃機

 

「ブラックジャックか」

 

「爆撃機、いいよね」

 

そうだ

 

そういえばグラーフは、俺達が戦闘機に乗っている最中、一人マルチロール機に乗っている事が多かった

 

未だに理由が分からない

 

今は俺が隊長の二番機になったが、昔はジェ…横須賀だった

 

俺は三番機

 

俺自身、隊長になって命令するのは苦手だったから、あの地位には安心感を抱いていたが、彼女はいつも変わらず四番機だった

 

…いつか、理由が聞けたらいいな

 

 

 

「もう少ししたら、たいほうの所に…」

 

「すぅ…」

 

寝ちまったか…

 

仕方ない奴だな、全く…

 

昔と変わらず彼女の頬にキスをし

 

彼女に毛布を掛け、部屋を出た

 

「どうだった⁇彼女…‼︎」

 

「寝ちまったよ。全く…相変わらず変わらねぇなぁ」

 

ん⁇何だ⁇

 

全員驚いた顔をしている

 

隊長に至っては椅子からひっくり返っている

 

「わぁ‼︎すてぃんぐれい‼︎」

 

足元にたいほうがいる

 

足元⁇

 

「あ⁇」

 

窓に映った自分の顔を見た

 

あの日、あのままの姿の自分が窓に映る

 

「戻ったのか…俺…」

 

「すてぃんぐれいおっきい‼︎」

 

「カッコいいね‼︎まっくす‼︎」

 

「イケメン」

 

すぐにチビ達が俺に群がって来た

 

「よいしょ…っと」

 

「わぁ‼︎」

 

真っ先にたいほうを抱き上げ、高い高いをした

 

「ずっとこうする夢を見てたんだ…」

 

「すてぃんぐれい、もうたいほうのひこうきうんてんしてくれないの⁇」

 

「俺はずっとお前の艦載機さ…」

 

「やったね‼︎」

 

「ボクも高い高いして‼︎」

 

「ずるい」

 

「ほらほら、順番だ」

 

チビ達の相手をしているスティングレイを見て、懐かしい気分になった

 

「子供に好かれるのは相変わらずだな」

 

「…」

 

「ローマ⁇」

 

「ん」

 

ローマは両手を広げて、私に何かしてほしそうにしている

 

「まさか…」

 

「私を高い高いをするの。さ、早く」

 

「…くっ‼︎」

 

 

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎」

 

「もうちょっとだ‼︎気合を出すのだ‼︎」

 

あの後、仰向けの状態でギリギリローマを高い高い出来たが、後の方が強敵だった

 

「私もお願いしよう‼︎」

 

「ま、待て‼︎ぐわぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

武蔵がのしかかり、彼女にも高い高いをする羽目になった

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はっはっは‼︎中々良いものだな‼︎」

 

「も、もう無理…」

 

息を切らしながら寝転がっていると、指を咥えたほっぽがこちらを見ていた

 

「おいで」

 

「イイノ⁉︎」

 

「君位なら大丈夫さ」

 

「ヨイショ」

 

私の体を登り、お腹の上で座った所で脇の下に手を入れ、彼女を持ち上げた

 

「ワァ‼︎タカイ‼︎」

 

「そうか、楽しいか⁉︎」

 

「タノシイ‼︎」

 

しばらくほっぽを高い高いした後、床に降ろした

 

「アリガトウゴザイマシタ」

 

「タノシカッタ‼︎」

 


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