艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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シャドウブラックと呼ばれるF-14を追い掛けるマーカス達

そんな中、別の新型機との演習に入ります


297話 黒い影(3)

第三居住区では、ラバウルさんとアレンが到着

 

「ほうほう…F-2を三機、ですか」

 

「私じゃない。F-14が瞬きしてる間に掻っ攫って行った」

 

「ウィリアムとマーカスから横取りとは…余程の手練れですねぇ…」

 

隊長とラバウルさんはタバコを吸いながら、深海達に救助されたF-2のパイロット達を横目で見て行く

 

「サ、アタタカイヨ」

 

「…ありがとう」

 

シュリさん達が魚介類のスープを持って来て、パイロット達に与えている

 

が、周りはしっかりと深海の姫級達が固めているのにパイロット達は気付いていない…

 

「これで自分達は終わりです…」

 

「さぁ、好きにして下さい…」

 

「ごちそう様でした…」

 

三人は既に諦めムード

 

「ドウシヨッカ」

 

「タベチャイマショウカ」

 

俺達は分かっているが、何も知らないパイロット達は姫級達のニヤケ顔が恐怖で仕方ない

 

パイロット達はそのまま深海達に連れて行かれた…

 

「サテッ‼︎オイシャサン‼︎」

 

「どうした⁇」

 

事が終わったシュリさんが四人の所に来た

 

「キョウヨンダノハ、モギセンヲシテホシイノ」

 

「どの機体だ⁇」

 

「ンフフ、トンデカラノオタノシミ‼︎ソノコハツヨイヨ‼︎」

 

シュリさんも俺達も準備に取り掛かる…

 

 

 

「ワイバーン、発進‼︎」

 

三機が離陸した後、俺も離陸する

 

《話を聞いてると、シュリさんの艦載機みたいだな⁇》

 

「あの子は空母だからな。元に戻っただけさっ」

 

《今日はやたらと新しい奴に会うな⁇》

 

《お次は何でしょうかねぇ⁇》

 

四機編成でシュリさんの艦載機を待つ…

 

《前方、所属不明機一機確認。模擬戦闘を開始します》

 

クイーンの言葉で模擬戦が始まる…

 

《ソノコガワタシノカンサイキ‼︎》

 

《全機、散開しろ》

 

四機が散開する

 

バラバラに分かれた四機はそれぞれの位置から白い震電を確認する

 

「なんだ…あの機体は…」

 

《白い震電…》

 

前方から来た機体は真っ白な塗装に、赤い線が数本入った震電

 

見た事のないカラーリングだ…

 

《速い‼︎》

 

アレンの横を素通りして行く白い震電

 

すぐに反転して、俺の背後を取る

 

「おーおー‼︎狙って来る、なぁっ‼︎」

 

宙返りをして白い震電の背後を取ろうとした

 

「やるじゃねぇの…」

 

白い震電もそれに追従し、再び俺の背後を取る

 

《援護してやる‼︎》

 

アレンが白い震電の背後を取る

 

《クソッ‼︎ロックオン出来ない‼︎》

 

白い震電の速度は尋常ではなく、追い付けなくなったアレンが一度離脱

 

白い震電はこれでもかと俺を狙う

 

《レイ、私に任せろ‼︎》

 

《動き続けていて下さい‼︎》

 

隊長とラバウルさんも援護に来た

 

が…

 

《な、なんなんだ…》

 

《見向きもしませんでしたね…》

 

水面スレスレを飛ぶ白い震電

 

隊長とラバウルさんに見向きもせず、俺に向かって来る…

 

《レイ、あの震電は小回りとスピードが速い代わりに、スピードを自身で制御しきれてないみたいだ。オーバーシュートを狙って‼︎》

 

「オーケー…おらっ‼︎」

 

急ブレーキを掛け、白い震電を前に出す

 

「おしまいだ‼︎」

 

《やっぱり隊長には敵いませんか…残念っ…》

 

白い震電に撃墜判定が出た瞬間、無線から声が聞こえた

 

《「涼平‼︎」》

 

白い震電に乗っていたのは涼平だった

 

そう言えば、今日は涼平を見ていない気がする…

 

この白い震電に乗っていたのか…

 

《今、よく分かりました。経験の壁とはこれなのだと…》

 

《いや、よくやった。エドガーとアレンの援護を振り切るのは至難の技だ》

 

《貴方は雷鳥と呼ばれる対空の王を振り切ったのです。誇りに思って下さい》

 

《俺もまだまだって訳かっ…》

 

隊長達は口々に涼平を褒める

 

未だに敵を逃した事がない隊長…

 

狙った獲物は全て歴史から消して来たラバウルさん…

 

見えない位置から殺すアレン…

 

歴戦の鳥達から涼平は勝利を収めた

 

《そう言えば、さっき見慣れない機体を見ました》

 

涼平の言葉で空気が変わる…

 

《シャドウブラックか…》

 

「謎は多い…か…」

 

《横須賀に帰投命令が出ています。皆さん、帰りましょうか‼︎》

 

《イエス、キャプテン》

 

「涼平は一旦着艦か⁇」

 

《補給が終わり次第すぐに追い付きます‼︎》

 

「了解。また後でな⁇」

 

涼平と別れ、俺達は横須賀へと戻る…


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