艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、296話が終わりました

今回のお話は、突如として現れた黒いF-14を隊長達が追い掛けます

謎に包まれた黒いF-14…

そのパイロットの正体は…


297話 黒い影(1)

《そう言えばレイ、報告書を見たんだが、アークロイヤルbisにF-14が載っていたらしいな⁇》

 

霧のようなモヤのようなものが少しだけ出ている最中、無線から隊長の声が聞こえた

 

「あぁ。凛とした佇まいだったよ…あれこそ空の猛者だってすぐに分かった」

 

《横須賀に配備されたなら、その内見たんだがなぁ…》

 

《前方から高速で味方機接近中‼︎》

 

クイーンから警告が入る

 

《レイ‼︎隊長‼︎避けて‼︎》

 

続けてグリフォンからも入る

 

レーダーには12時の方向から高速で接近する味方機が一機表示されている

 

《よっと》

 

「あっ…‼︎」

 

機体を左に傾けながら接近して来た味方機は、俺達を弄ぶかの様に二機の間を通過して行く

 

「隊長‼︎今のが例のF-14だ‼︎」

 

《速いな…乗ってるのは誰だ⁇》

 

《現在検索していますが、情報が遮断されています》

 

《敵対意識は無いみたいだよ⁇》

 

「…何のつもりだ」

 

《分からん…》

 

黒く染められた謎のF-14は俺達が哨戒の最中、ずっと背後を取って来ている

 

《哨戒終了、帰投しよう》

 

「了解」

 

隊長が哨戒終了の合図を出すと、黒いF-14は再び高速で横須賀方面へと帰って行った…

 

「何だったんだ…」

 

《F-14が無人機にはなるまい…》

 

《情報が遮断されている所を見ると、極秘任務に就いているのではないでしょうか⁇》

 

クイーンの言葉が一番正解に近そうだ

 

《それはあり得るな…》

 

「無線も一切聞かない…誰なんだ、アレは…」

 

敵ならばまだしも、あの機体はIFFの表示も味方…

 

余計に謎は深まるばかり…

 

 

 

 

補給の為に一度スカイラグーンに寄る

 

「アレは一体何だったんだ⁇」

 

「久々に血が滾るか⁇」

 

「まぁなっ‼︎よいしょっ‼︎」

 

グリフォンから降り、半笑いで待っていた隊長と共に喫茶ルームで飲み物だけ貰おうと思った

 

「トムキャットと戦ったか」

 

潮が麦茶と一粒チョコレートをお皿に置いてくれた

 

「あいつは何なんだ⁇」

 

「知ってるか⁇」

 

「イや、潮もここから見てただけだ。物凄く早イな⁇」

 

ここはあくまで中立

 

深海も反対派もここで補給をする為に情報が集まりやすいのだが、普段そこにいる潮でさえ、あのF-14の正体は知らないと言う

 

「こう言う時はだな、レイ。直談判だ‼︎」

 

「オーケー‼︎」

 

「まぁ待て、私がしよう」

 

隊長が横須賀に無線を繋げる…

 

俺と潮にも聞こえる様に子機をテーブルに置いてくれた

 

「こちらサンダーバード隊、イカロス。クラーケン、応答せよ」

 

《こちらクラーケン、隊長、どうされました⁇》

 

無線の先から横須賀の声が聞こえた

 

「哨戒飛行中に横須賀基地の味方機、F-14が援護にあたってくれた。当該のパイロットを教えて欲しいのだが」

 

《F-14⁉︎親潮、離陸記録を見て。私は着陸記録を見るわ》

 

《ジェミニ様、F-14ならば艦載機の可能性もありますが》

 

《分かったわ。離着陸の記録は私が見るから、親潮は空母の発着艦記録を見て頂戴》

 

《畏まりました》

 

《隊長、味方機ですよね⁇》

 

「あぁ。IFFの反応は味方だ。それに、発砲もして来なかった」

 

《発着艦記録にF-14はございません》

 

《横須賀の離着陸記録にも無いです。隊長、F-14は引退したはずでは⁇》

 

「だからこそ私もレイも驚いたんだ。あのパイロットは並のパイロットじゃない」

 

《こちらでも調査をします。哨戒任務、お疲れ様でした。オーバー》

 

「了解。頼んだぞ、オーバー」

 

無線が終わるが、余計に謎は深まった…

 

「明日はエドガーと第三居住区に行くんだが…」

 

「俺が護衛に就こう」

 

隊長も俺も一抹の不安を抱えたまま、その日は基地に戻った…


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