今回のお話は、突如として現れた黒いF-14を隊長達が追い掛けます
謎に包まれた黒いF-14…
そのパイロットの正体は…
《そう言えばレイ、報告書を見たんだが、アークロイヤルbisにF-14が載っていたらしいな⁇》
霧のようなモヤのようなものが少しだけ出ている最中、無線から隊長の声が聞こえた
「あぁ。凛とした佇まいだったよ…あれこそ空の猛者だってすぐに分かった」
《横須賀に配備されたなら、その内見たんだがなぁ…》
《前方から高速で味方機接近中‼︎》
クイーンから警告が入る
《レイ‼︎隊長‼︎避けて‼︎》
続けてグリフォンからも入る
レーダーには12時の方向から高速で接近する味方機が一機表示されている
《よっと》
「あっ…‼︎」
機体を左に傾けながら接近して来た味方機は、俺達を弄ぶかの様に二機の間を通過して行く
「隊長‼︎今のが例のF-14だ‼︎」
《速いな…乗ってるのは誰だ⁇》
《現在検索していますが、情報が遮断されています》
《敵対意識は無いみたいだよ⁇》
「…何のつもりだ」
《分からん…》
黒く染められた謎のF-14は俺達が哨戒の最中、ずっと背後を取って来ている
《哨戒終了、帰投しよう》
「了解」
隊長が哨戒終了の合図を出すと、黒いF-14は再び高速で横須賀方面へと帰って行った…
「何だったんだ…」
《F-14が無人機にはなるまい…》
《情報が遮断されている所を見ると、極秘任務に就いているのではないでしょうか⁇》
クイーンの言葉が一番正解に近そうだ
《それはあり得るな…》
「無線も一切聞かない…誰なんだ、アレは…」
敵ならばまだしも、あの機体はIFFの表示も味方…
余計に謎は深まるばかり…
補給の為に一度スカイラグーンに寄る
「アレは一体何だったんだ⁇」
「久々に血が滾るか⁇」
「まぁなっ‼︎よいしょっ‼︎」
グリフォンから降り、半笑いで待っていた隊長と共に喫茶ルームで飲み物だけ貰おうと思った
「トムキャットと戦ったか」
潮が麦茶と一粒チョコレートをお皿に置いてくれた
「あいつは何なんだ⁇」
「知ってるか⁇」
「イや、潮もここから見てただけだ。物凄く早イな⁇」
ここはあくまで中立
深海も反対派もここで補給をする為に情報が集まりやすいのだが、普段そこにいる潮でさえ、あのF-14の正体は知らないと言う
「こう言う時はだな、レイ。直談判だ‼︎」
「オーケー‼︎」
「まぁ待て、私がしよう」
隊長が横須賀に無線を繋げる…
俺と潮にも聞こえる様に子機をテーブルに置いてくれた
「こちらサンダーバード隊、イカロス。クラーケン、応答せよ」
《こちらクラーケン、隊長、どうされました⁇》
無線の先から横須賀の声が聞こえた
「哨戒飛行中に横須賀基地の味方機、F-14が援護にあたってくれた。当該のパイロットを教えて欲しいのだが」
《F-14⁉︎親潮、離陸記録を見て。私は着陸記録を見るわ》
《ジェミニ様、F-14ならば艦載機の可能性もありますが》
《分かったわ。離着陸の記録は私が見るから、親潮は空母の発着艦記録を見て頂戴》
《畏まりました》
《隊長、味方機ですよね⁇》
「あぁ。IFFの反応は味方だ。それに、発砲もして来なかった」
《発着艦記録にF-14はございません》
《横須賀の離着陸記録にも無いです。隊長、F-14は引退したはずでは⁇》
「だからこそ私もレイも驚いたんだ。あのパイロットは並のパイロットじゃない」
《こちらでも調査をします。哨戒任務、お疲れ様でした。オーバー》
「了解。頼んだぞ、オーバー」
無線が終わるが、余計に謎は深まった…
「明日はエドガーと第三居住区に行くんだが…」
「俺が護衛に就こう」
隊長も俺も一抹の不安を抱えたまま、その日は基地に戻った…