艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、294話が終わりました

前回のお話の終わりに少し話したアークロイヤルbisが修復完了し、横須賀所属となります

中には見慣れない艦載機や、サンフランシスコからの贈り物があり…


295話 サンフランシスコからの贈り物(1)

「マーカス君、電話よ‼︎」

 

「ありがとう」

 

朝がた、基地に横須賀からの無線が入る

 

貴子さんから無線を貰い、貴子さんはその足で洗濯物を干しに行った

 

「どうした⁇」

 

《アークロイヤルbisから連絡が来たわ。特に異常はないけど、一応カプセルを見に来て欲しいらしいわ》

 

「了解した。着艦の許可を入れておいてくれ」

 

《…一人で出来るの⁇大丈夫⁇》

 

急に母親の様な声を俺に当てる横須賀

 

言われた俺もいじらしくなり、少し反発してみる

 

「カプセルの一つや二つ見れらい‼︎」

 

《違うわよ‼︎カプセルの心配なんかしてないわよ‼︎着艦よ着艦‼︎アンタヘタクソもヘタクソでしょうが‼︎》

 

「うひっ‼︎」

 

無線の先で怒鳴る横須賀

 

つい耳から無線を離す

 

「きそを連れて行くさ‼︎」

 

《きそなら大丈夫ね。きそは今何してるの⁇》

 

「…アトランタに齧られてる」

 

相変わらずきそを見るとつむじ辺りに齧り付くアトランタ

 

最近きそもきそで慣れて来たのか、テレビを見ながら後頭部にいるアトランタの頭を撫でているレベルになっている

 

アトランタはアトランタで必死に歯を立て、口をモゴモゴさせている

 

「とりあえず出る。グリフォンに座標を送っておいてくれ」

 

《分かったわ‼︎》

 

無線を置き、きそとアトランタの所に来た

 

「きそ、アークロイヤルbisの中にあるカプセルの見学に行くぞ‼︎」

 

「分かった‼︎」

 

「アトランタはこっちだぞ〜」

 

きその頭からアトランタを離そうとするが、ガッチリ噛んでいて離れない

 

「アトランタ‼︎アトランタの好きなムースだぞ‼︎」

 

アークが抹茶のムースを見せるとアトランタはきそを齧るのをやめ、アークの所に向かった

 

「今の内だ‼︎」

 

「行って来る‼︎」

 

「行って来ます‼︎」

 

アトランタがムースを食べている間に、グリフォンを出し、アークロイヤルbisを目指す…

 

 

 

 

数十分後、眼下にアークロイヤルbisが見えた

 

「此方サンダーバード隊、ワイバーン。着艦許可を求む」

 

《了解ワイバーン》

 

《僕がやるよ‼︎》

 

「きそ…今日は俺がやる。横須賀にヘタクソと言われたからな‼︎」

 

《マニュアルに切り替えるよ‼︎いい⁉︎》

 

「大丈夫だっ‼︎」

 

未だにきそにさえ心配される始末

 

あーだこーだ言われながらも着艦体勢に入る…

 

《ワイバーン、着艦。ようこそ、アークロイヤルbisへ》

 

「どーだい‼︎」

 

《80点位じゃないかな‼︎》

 

《2点よ2点‼︎》

 

《30点だな》

 

《マーカスの着艦なら、75点でしょう‼︎いつもより上手ですよ‼︎》

 

《レイの着艦を踏まえてなら95点だな‼︎》

 

「どいつもこいつも酷評しやがって…にゃろう…」

 

きそが中継を回していたらしく、横須賀、アレン、ラバウルさん、隊長から総評が入るが、クソカス言われる始末

 

どうせ歪んでますよ〜だ‼︎

 

《バリケード着艦しない事だけは褒めたげるわ⁇》

 

《それ踏まえてなら50点だな‼︎》

 

《ほうほう…では85点ですね‼︎》

 

《マーカスがバリケード無しか…感慨深いものだ…》

 

「…」

 

ここまで言われると、残る行動は肩を揺らして笑う事のみ

 

《言われようが凄いや…》

 

「…いいかきそ」

 

《は、はい》

 

「これから空母は基本撃沈するモンとする。いいな⁇」

 

《あ、はい…》

 

そうだそうだ

 

よく考えれば俺は今まで空母を何隻か撃沈して来た

 

傭兵時代は空母を潰せばボーナスが貰えたしな

 

やっぱり空母は嫌いだ‼︎

 

多方面から言われながらも、アークロイヤルbisに降り立つ

 

「大尉‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「岩井‼︎」

 

海風が吹く中、迎えに来てくれたのは岩井

 

「仮ですが、横須賀に入港するまで急遽自分が艦長を務める事になりまして‼︎」

 

「そうか‼︎あんたなら安心だな‼︎」

 

「そう言って頂けると光栄です‼︎さぁ、中へ‼︎」

 

岩井に案内され、艦内に入る…

 

 

 

「すごーい‼︎」

 

艦内に来てしばらくし、きそが驚く

 

格納エリアにはF/A-18、F-35が所狭しと格納されている

 

「レクター元帥曰く、無料オプションらしいです」

 

「そうかぁ、そうだよなぁ…艦載機はオプションだよなぁ…」

 

そんな中、奥の片隅に鎮座する一機の艦載機が目に入った

 

「こいつは…」

 

一機だけ別格のオーラを放つ存在を前に、自然と背筋が整う

 

黒い塗装を施されたF-14がそこに居た

 

美しいまでに佇むその姿は、旧式の艦載機と思わせない何かを放つ

 

「横須賀でこの機体を注文された方がいるみたいです」

 

俺ときそはその風格の前に言葉を出せずにいる

 

「何だろ…敵わない気がする…」

 

「時代を引っ張った機体だ。パイロットも歴戦の強者だな…」

 

この言葉は後に現実のものとなる…

 

「カプセルの所に案内します」

 

「そうだったな‼︎」

 

「一瞬忘れてた‼︎」

 

主目的を忘れてしまう位、機体に魅入ってしまった

 

岩井に着いて行き、カプセルの場所を目指す…

 

 

 

「此方です」

 

カプセルが設置されている部屋に入ると、すぐにその姿は見えた

 

「可愛らしい子だ」

 

「もふっとしてるね‼︎」

 

銀色の髪の少女が溶液の中に入っている

 

きその言った通り、毛量が多いので見た目はもふもふしている

 

「バイタルは安全値…溶液の濃度は⁇」

 

「80%、安全値だね‼︎」

 

「横須賀に入港するまでこの数値を継続してくれ」

 

「了解です」

 

カプセルのチェックはものの数分で終わる

 

「それと、此方がジェミニ元帥の分の報告書、此方が大尉宛ての報告書です」

 

「補給がてら渡してくるよ」

 

「助かります。せめて飲み物だけでも如何です⁇」

 

「ならサイダーを」

 

「僕も‼︎」

 

「畏まりました」

 

岩井がサイダーを取りに行っている間、甲板に戻って来た

 

「可愛い子だったね‼︎」

 

「次は懐いてくれよ…」

 

サンフランシスコの基地が俺達に任せたいのは恐らく教育

 

あの子が懐いてくれるのが一番手っ取り早いが…

 

「どうぞ‼︎」

 

「「ありがとう」」

 

きそと共にサイダーを飲み、一息つける

 

「書類は向こうで見るよ。残りの航路、気を付けてな⁇」

 

「大丈夫です、ほらっ‼︎」

 

岩井が左舷の水平線に目を向ける

 

「ア‼︎マーカスサンダ‼︎」

 

「オシゴトモラッタ‼︎」

 

そこにいたのはヌ級の子供と、ママヲ級

 

あの二人なら反対派の深海だし、任せても大丈夫だ

 

「頼んだぞ‼︎何かあったらすぐに来るからな‼︎」

 

「ハジメテノオシゴト‼︎」

 

「ガンバリマース‼︎」

 

徐々に増えて行く、反対派の深海との共同作業

 

こういう光景を見ると、このまま残る好戦派の連中とも和平の席に座れれば良いんだがな…


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