艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

1007 / 1086
さて、291話が終わりました

今回のお話は、とある艦娘にお目付け役が付きます

しかしその子は少々石頭で…


292話 石頭の教育者(1)

「ここですか…」

 

横須賀の埠頭に、一隻のカヌーが停泊する

 

荷物を降ろし埠頭に立つ女性…

 

彼女はまず執務室を目指す…

 

 

 

「開いてるわ」

 

「失礼します」

 

執務室をノックすると横須賀の声が聞こえ、彼女は中に入る

 

「見かけない顔ね⁇」

 

「女王陛下から直々に派遣されました…こう言う者です」

 

彼女は横須賀に手帳を見せる

 

「悪い事はしてないわ⁇」

 

「ジェミニ様‼︎お菓子のつまみ食いの件では⁉︎」

 

「普段レイを無碍に使うからかしら⁉︎」

 

横須賀と親潮は必死に罪を探すが、出て来たのは結局、お菓子のつまみ食いと、レイを無碍に扱っている事だけ

 

後者ならまだ分かる気もするが…

 

「違います。派遣と言う言い方が宜しくありませんでした…ここに一人、元イギリスの女性が居ると知り、目付役でここに来ました」

 

「ここで働きたいの⁇」

 

「いえ、今はイギリスから給金は支払われています。差し支え無ければ、部屋をお借りしたいのですが…賃料は支払いますので」

 

「分かったわ。親潮、案内してあげれる⁇」

 

「畏まりました‼︎」

 

横須賀との話が進み、彼女は寮の一室に案内される…

 

 

 

同時刻、横須賀牧場…

 

「あなほいです‼︎」

 

「いもれす‼︎」

 

「ガリバルディ‼︎ちゃんとするアブ‼︎」

 

「分かってるって‼︎ちょい休憩しようぜ⁉︎もう昼だ‼︎」

 

ひとみといよはサツマイモの収穫、そしてアブルッツィ姉妹が畑を耕している

 

「そうね、そろそろ休憩しましょうか‼︎」

 

「いもろーすう⁇」

 

「きしぉにやきいもにちてもあう⁇」

 

「とりあえずミネグモに渡しましょうか‼︎」

 

「綺麗に洗って貰おうな‼︎」

 

ひとみといよはサツマイモの入ったカゴを背負い、峯雲が作業している小屋を目指す

 

「がいばうでーもやきいもたべうか⁇」

 

「きそのやきいもは美味いらしいな⁇」

 

「おいち〜‼︎あう〜もたえる⁇」

 

「頂いてもいいんですか⁇」

 

「おいち〜れす‼︎」

 

「ほっくほく‼︎」

 

アブルッツィはひとみを、ガリバルディはいよの横に着き、峯雲が作業している小屋に来た

 

「おねあいしあす‼︎」

 

「あ、はい。お疲れ様でした‼︎洗って分けて置きますね⁇」

 

サツマイモのカゴを置き、四人は手洗いうがいをして繁華街を目指す

 

 

 

「姉貴、あたしチキン買って来る‼︎」

 

「分かったわ。ヒトミチャンとイヨチャンは、先に私とピザに行きましょうね⁇」

 

「かあいのたのみあす‼︎」

 

「ぷえーんおねあいしあす‼︎」

 

「よーし、分かった‼︎」

 

ガリバルディが瑞穂のチキンランドに向かい、アブルッツィとひとみといよはパースピザに来た

 

「あら‼︎ひとみちゃん、いよちゃん‼︎」

 

「「たかこしゃん‼︎」」

 

テラス席に居たのは、アトランタと一緒にいた貴子さん

 

たいほうが学校に行ったので、見送りついでに買い物に来ていた

 

「此方の方は⁇」

 

「たかこしゃん‼︎」

 

「ぱぱしゃんのおよめしゃん‼︎」

 

「ウィリアムの妻です‼︎この子はアトランタ‼︎」

 

アトランタは名前を呼ばれて、片腕でガッツポーズをしている

 

「なっ‼︎たっ、大佐のっ‼︎失礼しました‼︎私、アブルッツィと申します‼︎」

 

「ささ‼︎お試しピザパース‼︎」

 

「ありがとう‼︎本当にいいの⁇」

 

「食べて感想欲しいパース‼︎」

 

パースがピザを持って来た

 

「アブちゃん、これサービスパース‼︎」

 

パースの手には、丸々一枚のピザ

 

「いいんですか⁇」

 

「ちょっと食べて感想欲しいパース‼︎ひとみちゃんいよちゃんもお願いパース‼︎」

 

「いたあきます‼︎」

 

「いただきあす‼︎」

 

アブルッツィとひとみといよはパースの試作ピザを頂く

 

パースはピークを過ぎ、小休憩に入る

 

「パースも食べていいパース⁇」

 

「勿論よ‼︎ここに来て‼︎」

 

パースは同じピザを二切れ皿に乗せ、貴子さんのテーブルに座った

 

「アトランタちゃん、美味しいパース⁇」

 

アトランタは実に美味しそうに試作ピザを頬張りながら、パースの方を向いた

 

「いた、パース‼︎」

 

「ん⁇」

 

パースの名を呼ぶ誰かが来た

 

「今度は逃がしません‼︎」

 

「げっ‼︎“シェフィ”‼︎」

 

「げっ‼︎とはなんです‼︎」

 

「何しに来たパース‼︎パースはイギリスの国民権ないパース‼︎」

 

「貴方が他国で暴れるから私がお目付役で来たのです」

 

「この人は⁇」

 

貴子さんは冷静に彼女の紹介をパースに頼む

 

「この人は“シェフィールド”パース。女王陛下直属の教育者パース」

 

「パースのお目付役になりました、シェフィールドと申します。お見知り置きを」

 

「この人は貴子さんパース」

 

貴子さんが一礼すると、シェフィールドも一礼を返す

 

「ミセスタカコ、御食事の邪魔をして大変申し訳ありませんでした。私はこれにて」

 

シェフィールドと呼ばれた彼女は、貴子さん達の食事を邪魔したと思い、その場を離れようとした

 

「はい、何でしょう」

 

シェフィールドの服の裾を掴んで止めたのはアトランタ

 

アトランタは自分に挨拶はないのか‼︎と言いたそうに、真顔で自分自身を指差す

 

「貴方のお名前は⁇」

 

「アトランタ⁇ご挨拶は⁇」

 

「私はシェフィールド。パースのお目付役です」

 

アトランタはシェフィールドが前屈みになって自己紹介してくれたのを無視し、パースを指差す

 

「そうです。彼女がパースです」

 

すると、アトランタはシェフィールドに対し渾身のグーパンを当てた‼︎

 

「いだっ‼︎な、何を‼︎」

 

「コラ‼︎アトランタ‼︎何してるの‼︎」

 

倒れたシェフィールドに対し、アトランタは真顔のまま両手で中指を立てている

 

この体勢を取る時、アトランタはキレている

 

それもかなりだ

 

「プワーハッハッハ‼︎アトランタちゃんを敵に回したプァースゥ‼︎」

 

「アトランタはパースを取られると思ってるんだ」

 

「マーカス君‼︎」

 

「ぼっちゃん‼︎」

 

たまたま通り掛かったので声を掛けた

 

アトランタはまだ中指を立てている

 

「大丈夫だアトランタ。パースは持って行かれないぞ⁇」

 

アトランタは俺を見た後、手を降した

 

「名前は⁇」

 

シェフィールドに手を差し伸べ、立ち上がらせながら自己紹介を聞く

 

「シェフィールドと申します。お見苦しい所を見られました…」

 

「マーカス・スティングレイ、大尉だ」

 

立ち上がる途中でシェフィールドの動きが止まる

 

「…スパイト様の御子息では⁉︎」

 

「スパイトは母さんの名だ」

 

「あぁ…こんなに大きくなられて…」

 

「パース、知り合いか⁇」

 

「女王陛下直属の教育者パース。多分、ぼっちゃんとは何回か面識があるパースな‼︎」

 

「このシェフィールド、スパイト様には恩があります故…」

 

「そっか。なら食事の邪魔しちゃいけないな⁇」

 

「はっ‼︎ぼっ…マーカス大尉‼︎」

 

「向こうで何か食べて来るよ。パース、また来るからな⁇」

 

「いつでもパース‼︎」

 

「貴子さん、今日は夕食までには帰ります」

 

「分かったわ‼︎」

 

「アトランタ、また帰ったらな⁇」

 

アトランタは親指を立ててくれた

 

シェフィールドを連れ、とりあえず間宮に来た

 

「腹減ってるか⁇」

 

「いえ‼︎大丈夫です‼︎」

 

とは言うが、シェフィールドの体は正直で、お腹が鳴る

 

「ふっ…好きな物頼め‼︎」

 

「宜しいのですか⁇」

 

「パースの事を聞かせてくれないか⁇」

 

「勿論です‼︎」

 

「なら食べながら話そう‼︎」

 

シェフィールドはオムライスを頼み、俺はクリームソーダを頼む

 

互いの注文品が到着し、シェフィールドはパースの過去を話し始めた

 

「此方の動画を」

 

イヤホンを渡され、タブレットの動画を見る


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。