艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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291話 本気の侍女(4)

「パースは怒るとキャラが変わるんだな⁇」

 

「なんでもメリハリは大事パース‼︎」

 

埠頭にあるベンチでパースとアークは果物ジュースを飲んでいた

 

「パース‼︎」

 

ようやくパースを見つけた

 

見た所、いつものパースとは変わりない様子だが、先程の怒髪天状態を見ると少し不安になる

 

「ぼっちゃん‼︎怪我は無いパース⁉︎」

 

パースはすぐに立ち上がり、俺に駆け寄る

 

「大丈夫…ありがとうな⁇」

 

「ぼっちゃんを守るなら、パースは何でもするパース‼︎」

 

語尾がいつものパースに戻っており、一安心する

 

「おいマーカス‼︎パースと一緒に作ったんだ‼︎」

 

アークに手招きされ、ベンチの前に立つ

 

「オレンジのジュース、ブドウのジュース、後はレモンのシュワシュワがあるパース‼︎」

 

「レモンのシュワシュワで‼︎」

 

「はい‼︎」

 

パースからレモンのシュワシュワなる物を受け取り、それを飲む

 

「美味いな‼︎」

 

スッキリした飲み口なのに、ちゃんとしっかりレモンの風味が来る

 

シュワシュワも程良く、飽きの来ない味だ

 

「パース特製のレモンサイダーパース‼︎」

 

「…なぁ、パース。前から気になっていたんだがな⁇」

 

「何パース⁇」

 

アークがずっと気になっていた事を言う

 

「牧場にいる、ミルクを出す生き物はなんだ⁇」

 

「モーモーさんパース」

 

アークはジト目になりながらパースを横目で見る

 

「牧場にいる白い鳥はなんだ⁇」

 

「ガーガーさんパース」

 

「パース。ちょっと来い」

 

「何パース⁇」

 

ガーガーさんと聞いた直後、アークはパースを呼び、のこめかみに拳を置き、グリグリする

 

「お ま え が 元 凶 か‼︎」

 

「いだだだだだ‼︎間違ってないパースゥ‼︎」

 

数秒して拳が外れ、パースは呼吸を整える

 

「アークのグリグリは痛いパース…‼︎」

 

 

 

「じゃああの屋台の出す食べ物はなんだ‼︎」

 

アークが指差す方向には、涼風のラーメンの屋台がある

 

「あれはちゅるちゅるを出す屋台パース‼︎」

 

「…なら、怪我した時に来る白い車はなんだ」

 

「ピーポー車パースな」

 

アークはパースに笑顔を見せ、今度は両頬を持つ

 

「や っ ぱ り お ま え か‼︎」

 

アークはパースの頬を引っ張る

 

パースの頬はお餅の様に伸びている

 

「いひゃひゃひゃひゃ‼︎いひゃいふぁーすぅ‼︎」

 

俺が物や生物を鳴き声や音で覚えるのは、俺が随分小さい頃にパースが教えていたからだと今気付いた

 

元凶は鹿島ではなく、パースみたいだ

 

しかし、パースはアークに対しては怒らず、いつものパースでいるまま

 

友達や知り合いにはやらない事にも気が付いた

 

そして、あまりパースに逆らわないでおこうと決めた…


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