艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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4話 海鷲からの救難信号(2)

《キゼツシテ、プカプカウイテルヨ⁇キズガイッパイアルヨ⁇》

 

「よし、フィリップ良くやった︎今から其方に向かうから、照明弾を発射してくれ︎」

 

《ラジャー、ショウメイダンハッシャ︎》

 

空が大きく光る

 

大分遠くの方に、フィリップが見えた

 

「早速出番か…フィリップ、その場で待機してくれ︎」

 

《ラジャー》

 

建造ドックに向かい、ジェットスキーに跨った

 

「緊急医療キット良し、耐水ライフルよし」

 

”ジェットスキーの運転分かるんか︎”

 

「昔乗ってたからな。ちょっと行って来る」

 

アクセルを入れると、一気に加速した

 

初期加速に難ありだな…

 

しばらくすると、ホバリングしているフィリップが見えた

 

《パパ︎ココココ︎》

 

「よし、頑張ったな、フィリップ」

 

《ア…アリガトウ》

 

「こいつは…よっと」

 

海の中に入り、深海凄艦の体の様子を見た

 

白っぽい髪

 

限りなく人間に近い顔立ち

 

張りのある胸

 

まるで人間の女の子だ…

 

《ボクガイウノモナンダケド…タスケテアゲテホシイ…》

 

「当たり前だ。そのつもりで来た」

 

《アリガトウ…パパ》

 

「とりあえずはこれで良し」

 

深海凄艦をジェットスキーに乗せ、私が乗った後背中に抱え、首に手を回させた

 

これで何とか基地まで

 

「スピードが出ないな…」

 

《ボクニマカセテ︎》

 

ジェットスキーに備えられたワイヤーを噛み、フィリップはゆっくり加速した

 

「やるじゃねぇか︎」

 

《パパニオンガエシ、ダネ》

 

「ふっ…」

 

フィリップの顔を見て、微笑みを返した

 

 

 

 

 

 

 

基地に着くと、すぐに深海凄艦を入渠ドックにほりこんだ

 

”次は深海凄艦かいな…”

 

「今回も話が通じればいいが…」

 

”流石に怖いわ…”

 

「任しとけ。連れて帰ったのは私だ」

 

”任せるで︎”

 

妖精が去った後、フィリップから無線が入った

 

《パパ…ゴメンネ…ボクノワガママデ…》

 

「気にするな。助けられる奴は助ける。私のモットーだ。それよりどうだ、たいほうのカートリッジの中は︎」

 

《ウン、カイテキダヨ。アリガトウ》

 

「こちらこそ」

 

無線を切り、入渠ドックの深海凄艦を見つめる

 

「さて…どうした事やら…」

 

しばらく様子を見た後、煙草を吸いに外に出ようとした時だった

 

「ん⁇」

 

深海凄艦が動いた気がして、ふと後ろを振り返った

 

《ウァァァァア︎︎︎》

 

「何っ︎」

 

私にいきなり襲いかかり、馬乗り状態になった

 

「大丈夫だ…君を助けようとしたんだ…」

 

《ニンゲンニタスケテモラウヒツヨウナドナイ︎》

 

首を絞められ、息が出来無くなった

 

「うっ…苦し…」

 

《イマイマシイニンゲンメ…》

 

「大丈夫…大丈夫だ…」

 

《ウゥゥゥウ…︎ダマレダマレダマレェ︎》

 

仕方ない…

 

こうなったら…

 

最後の力を振り絞り、深海凄艦の背中に手を回した


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