艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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私はパイロット

今迄、色んな空を見て来た

そう、空が居場所

そんな私が、地に足を降ろした

「階級は大佐でしたね⁇」

「…」

「不満…ですか⁇」

「あぁ…」

そう、私は…

いや、私達は、危機に面していた

深海棲艦…

奴等はいきなり攻めて来た

突如海に現れてはタンカーやイージス艦を叩きのめし、日本に来るはずの資源が滞った

それに対し、自衛隊とアメリカ軍の連合軍が深海棲艦に対し、第一次攻撃を敢行

結果は惨敗

自衛隊は壊滅、アメリカ軍はほんの少しの艦船と戦闘機を残し撤退

その攻撃隊の中に、私は居た

歴戦の知識が全て覆り

味方や同じ隊の仲間が次々と墜落していった

その後、私はとある事情でしばらく空を飛べなくなり、海軍に就くこととなった


第1章〜”楽園”と呼ばれた基地〜
1話 片羽の雄鳥(1)


「ある程度の設備は整っていますし、1日3回の定時報告の際に安全を確保したルートで資源を補給します」

 

「分かった」

 

「あぁ、流石に一人では寂しいかと思いますので、3日だけ、貴方に付き添う人を用意しました。中で待機していますよ」

 

「ありがとう。後はマニュアルで何とかする」

 

「では、私はこれで…」

 

「…」

 

一人取り残された離島

 

ある程度の設備は整っているとは言ったが、長い間使っていないのか、至る所にサビが目立つ

 

とりあえず、中に行こう

 

手近にあったドアに手を掛けると、そんなに古い気はしなかった

 

数日前に、誰かが掃除したような…

 

そんな感じがした

 

「貴方が提督⁇」

 

ドアを開けると、開口一番に言われた

 

「あ、あぁ」

 

長い金髪で、手には連装砲を持った、まだ年端もいかない少女だった

 

「私は駆逐艦島風︎よろしくね︎」

 

「お前か、3日居るって言ったのは︎」

 

「うんっ︎あのね、提督が来るって言ったから、島風ちゃんとお掃除したよ︎」

 

乱暴に手を引かれ、重要な施設を見て回った

 

「ここは資源庫。1日3回補給が来るんだって︎つぎつぎ︎」

 

「ここは建造ドック。新しい娘を造ったり、武器を開発出来るの︎」

 

「待て」

 

「ん︎」

 

「娘ってなんだ⁇それにお前、駆逐艦って言ったよな⁇」

 

「うん、島風は駆逐艦だよ⁇」

 

「お前みたいな女の子がか⁇」

 

「そうだよ。艦娘って言うの︎」

 

「お前が戦うのか︎」

 

「島風は強いんだよ︎」

 

島風はエッヘンと胸を張り、自分は強いんだと誇張する

 

「じゃあ何だ。ここで出来たのは、みんなその艦娘ってのになるのか⁇」

 

「そうだよ︎三日のうちに一回は回せだって︎」

 

「分かったよ…」

 

「つぎつぎ〜︎」

 

次に回ったのは、入渠ドック

 

島風曰く、おっきいお風呂らしい

 

提督も入れるよ︎、だと

 

「最後はここ︎提督のお部屋︎」

 

「ここが…」

 

一言で言うなら書斎

 

掛け軸が戦闘機だったり、ちょっとモダンな物入れが置いてあるのみで、後は何もない

 

あ、布団が隅に置いてあるな

 

「今日はもう寝よう。長旅で疲れた…」

 

大きな欠伸をした後、地べたに布団を引き、パンツ一丁で床についた

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、起きて︎」

 

「何だ…」

 

島風に叩き起こされると、昨日送ってくれた男性もいた

 

「定時報告です、大佐」

 

「あ…すまん」

 

急いで着替えていると、窓の外に巨大なタンカーが見えた

 

資材庫に次から次へと物が入って行く

 

「各資源が3000、開発資材が20、建造材が10です」

 

「ありがとう」

 

「これで大型建造が一回出来るでしょう」

 

「これは毎回なのか⁇」

 

「いえ、初回のみです。次回からは各資源500ずつのみ配給します」

 

「そっか」

 

「提督、建造しないの〜⁇」

 

「まだだ。明日でいい」

 

「そっか…」

 

「では、また定時報告の時に…あ、そうだ。これ」

 

「ん⁇」

 

手渡されたのは、長方形の白い箱3つ

 

「これで1カ月分と言われました」

 

「⁇」

 

「では」

 

タンカーが基地を去る

 

昔はあれより、もっと大きくて沢山のタンカーを護衛したな

 

その時はまだ人を相手にしてたけど…


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