魔法少女リリカルなのはvivid-Blizzard Princess of Absolute Zero- 作:炎狼
アインハルトとなのはが接敵すると、二人の戦闘はすぐさま開始された。なのははシューターを手前に集中させて、アインハルトとの肉薄を避けようとするが、アインハルトは弾殻を破壊せずに全てを受け流していく。
なのはがスマッシャーを放てば、アインハルトがそれを粉砕。そして彼女は一気に距離を詰め、なのはに一撃を見舞う。
攻撃は防がれたものの、それをモニター越しに見ていたクロエは、驚き半分、不安半分と言った表情で彼女を見ていた。
すると、ヴィヴィオとクロエ二人の回復をしていたルーテシアが問うてきた。
「クロエから見るとアインハルトってどんな感じに見えるの?」
「急に難しいこと聞いて来るね、ルーちゃん。まぁ強く見えるよ。純粋な格闘戦技だけだと、勝てる確立は低いと思う」
「なるほどね。それじゃあ、私の意見。クロエは自分を過小評価しすぎかな。アインハルトは確かに強いけど、それでもまだ荒削り。それに引き換え、クロエが師事してるのは戦闘のプロである聖さん。教えてもらってる技能のクオリティはアインハルトよりも上だと思う」
ルーテシアは決して悪戯や、からかって言っているわけではなさそうだ。声の感じもいつもよりややトーンが低い。
「さっきの戦闘やちょっと前に見せてもらった記録映像でもそうだったけど、クロエは零王の力に目覚めて以来、おっかなびっくりなんだよね。例えるなら、生まれて初めて外に出た子犬、みたいな感じ」
「そうなの?」
疑問を浮かべては見たものの、なんとなくではあるがクロエにも心あたりはあった。昨日の夜、キャロに大丈夫と言われたり、聖との対決が不安なことをガリューに打ち明けても、心のどこかには零王の力そのものに恐怖があった。
いきなり手にした強大すぎる力をしっかりと扱えるか自信がなかったのだ。皆に心配をかけまいと、表面上は取り繕ったところもある。聖がいない修行中も、何度か力の操作をミスしたこともある。
その全ての原因は、心の奥底に隠された恐怖心。「こうやって失敗したらどうしよう」。「師匠に大怪我をさせてしまったらどうしよう」。「零王の力が暴走したらどうしよう」。そして極め付きは「インターミドルで優勝できなかったらどうしよう」という不安と恐怖が入り混じった感情だ。
恐らく今日、力が無意識のうちに自分を保護し、暴走のような状態に陥ったのも、この恐怖心が原因なのだろう。
「なのはさんも言ってたけどさ。もっと気楽に構えていいんだよ。当ててあげようか、クロエの戦いにはいつも「どうしよう」っていう気弱な部分が見え隠れしてるんだよ」
思っていたことを見事に言い当てられ、クロエは苦い顔をする。
「きっと聖さんもあえてそこには触れなかったり、突っ込まなかったんだろうね。クロエに自分から気付いてもらいたかったから。けど、いつまで経ってもクロエがうじってるから、私から言っちゃう。ヴィヴィオも聞いて証人になってね」
「う、うん」
少しだけ威圧感のあるルーテシアに、ヴィヴィオも回復を待ちながら少しだけ緊張した様子で耳を立てる。
「いい、クロエ。戦うときに大事なのは、失敗や怪我を恐れる恐怖心じゃない。持たなくちゃいけないのは、「覚悟」。失敗したらどうしようじゃなくて、「失敗なんてしない」って感情なんだよ。あと、試合なんだから怪我したり、痛いのは当然。なのに、それを怖がってちゃ戦いなんて出来ないよ。それに、相手にも失礼。もっと言っちゃえば、クロエのその感情は恐怖を超えて、思いあがり、そして余計なお節介」
「ちょ、ちょっとルールー……」
ヴィヴィオは言いすぎだと思ったのか、ルーテシアを止めに入ろうとしたが、彼女はお構いなしに続けた。
「もしもそれをアインハルトとの一騎打ちまで引き摺るつもりなら、アインハルトには軽蔑はされないだろうけど、距離を置かれるよ。「あ、この人は私と本気で戦ってくれないんだって」思われる。だから、それが嫌なら、もっと自分の力に自信を持って、過小評価はやめること」
パチン、とデコピンをされ、クロエは自信の拳に視線を落とした。
ルーテシアの言葉は心を読んだのではないかと言うほど的確で、クロエの隠していた部分をことごとく暴いていった。
だが、それにより、クロエは自身が胸に抱えていたものが、少しだけ軽くなったように感じた。
……色々考えすぎだったのかな。
そして彼女は思い出す。修業開始当初、聖に戦いとはどういうものなのかを問うた時に帰って来た言葉を。
『戦いなんてのは単純に考えればいいんだ。やることは一つ。相手を倒すことだけ。それ以外に余計な心配事は一切排除しろ。「相手を倒す」。これだけを考えてればいいのさ』
彼は笑いながらそう言っていた。後から「これは俺の自論だけどな」とも付け足していたが。
けれど、戦いとはそういうものなのだろう。一方が勝利して、一方が敗北する。実に単純だ。ここに余計な心配事やお節介は邪魔だ。今までの自分は、その余計なことが多すぎたのだ。
母親との約束。零王としての目覚め。そして不安感……。
全部戦闘中に考えてはいけないものだった。戦闘中に考えるべきなのは、相手にどうやって勝利するか、ただそれだけ。
「……あぁ、そっか。単純なことだったんだ」
「気付いたみたいだね」
「うん。……ありがと。ルーちゃんの言うとおり、私は色々悩みすぎてたのかもしれない。それを戦闘中にまで持ってきたから、おっかなびっくりって感じだったんだ」
「そう。戦闘中は余計な心配事は全部排除! 考えるのは相手を倒すこと。ヴィヴィオだって、アインハルトと戦うときは倒すってことしか考えてないでしょ?」
「うーん、そうかも。アインハルトさんの動きがすごいなぁって思うこともあるけど、やっぱり一番に考えるのは、アインハルトさんに勝ちたい! って感情かな」
「ホラね。だからクロエも悩むんじゃなくて、考えるのは倒すことだよ!」
ルーテシアの言葉は力がこもっていて、こちらを鼓舞してくれているようだった。いや、実際は鼓舞してくれたのだ。だから、クロエもそれに素直に答える。
「そうだね。うん、そうだ。私は心配事が多すぎだね」
苦笑交じりに言うと、ルーテシアもそれに笑いながら「だねー」と先ほどまでの先生のような威圧感を消して笑いかけた。
ヴィヴィオを見ると、二人が不仲になっていないか不安だったようで、おどおどした様子だったが、クロエが笑いかけてやるとホッと胸を撫で下ろした。
そして三人がモニタに再び視線を向けたとき、彼女等の目の前で驚愕の光景が広がった。
まるで窓ガラスを叩き割ったような、破砕音と共に、なのはのバインドをアインハルトが拳を前に捻り上げて破壊したのだ。
これにはクロエ含め、ルーテシアやヴィヴィオを驚いていた。恐らくではあるが、他の場所で戦っている面々も驚いているだろう。聖もまたそのうちの一人であると思う。
が、アインハルトのバインドを破壊した一撃はなのはにも届いたものの、決定打にはならず、すぐさまなのはの反撃に合い、彼女は砲撃によって叩き伏せらることとなった。
「なのはさんに叩き伏せられたけど、さっきのバインドの破壊って……」
「うん。ノーヴェが教えた水斬りの要領だね。ママにも教えてもらったけど、アレを極めれば、スバルさん達のお母さん、クイントさんの得意技『アンチェイン・ナックル』ができあがるらしいよ」
「ってことは、扱えるようになったらアインハルトの前には防御もバインドも通じなくなっちゃうわけだ。大変だなー……ってうわッ!?
アインハルトとなのはの攻防に見入っていると、クロエの頭上をオレンジ色のシューターが掠めるようにして通過していった。
周囲を見ると、同じようなシューターが他の青チーム全員を襲っていた。魔力光の色からして、赤チームCGのティアナのシューターだということはすぐに分かった。
「あっぶなー……」
回復中の無防備なところに直撃すれば、大ダメージは免れなかっただろう。そしてルーテシアの周囲に展開しているモニタを見ると、スバルと交戦していたはずのノーヴェがこちらに攻めにきているところだった。
「ありゃ、ノーヴェが攻めてくる」
「ってことは、あっちは決めに来てるのかな」
「だろうねー」
「ルールー! これだけ治ってればもーへいき!」
二人の間に割って入ってきたヴィヴィオを見ると、アインハルトとの戦闘で負ったダメージが粗方回復していた。クロエも自身のライフを見ると、2700にまで回復している。戦闘に出ても大丈夫な数値だ。
「そだね。二人とももう充分回復してるし、アインハルトも回復中、コロナのゴライアスもダウン、聖さんがちょっと気がかりだけど、うん。この辺りが好機かな」
ルーテシアは頷くと、青チーム全員に対して通信回線を開き、号令を上げた。
「青チームの皆さん! 予定よりちょっと早いですが、作戦開始しますッ!」
「了解ッ!」
全員がそれに答えると、行動を開始した。ヴィヴィオは攻めてくるノーヴェの下へ、なのははエリオと交戦しているフェイトの下へ。ルーテシアは、先攻しているリオと合流し、アインハルトの回復に努めているキャロに向かって攻めていく。
そしてクロエは、ルーテシアと途中で別れ、ダウンしているゴライアスの立て直しているコロナの下へ駆けていく。
やがて、クロエがたどり着くと、他のメンバーも全員配置についていた。
……師匠の姿が見えないのが少し不気味だけど、コロナとゴライアスを行かせるわけにはいかない。
「それじゃあ、コロナ。ここからは私とやろうか。勝たせてもらうからね」
「望むところです! ゴライアスは負けませんッ!」
コロナが言うと、ゴライアスが立ち上がり、クロエに向かって拳を振り降ろしてきた。クロエはすぐさまそれに反応して回避運動を取ったあと、氷の柱を形成して近くのビルの屋上に降立つ。
すぐさまゴライアスの追撃が襲ってきたが、避けられない速度ではない。
……やっぱりあの巨体だから動き自体は鈍重。でも……。
そう、問題なのはあの巨体から生み出される破壊力だ。
たとえ掠めただけでも大きなダメージとなるのは間違いないだろう。けれど、勝機がないわけではない。
「今度こそ使って見せるよ。私のこの力をッ!」
拳を握り締める彼女の瞳に、恐怖や不安の色はない。あるのは、『勝つ』というただシンプルな感情のみだ。
クロエとコロナが戦闘に入った頃、聖は回復を終えてレイヤービルの間に潜伏していた。
「開始十二分。あっちも決めに来てるな。さてさて、俺たちはどうしたもんか」
肩を竦めると、彼の右側にティアナが降りて来た。
「どうする。ティアナ」
「戦闘空域への魔力散布は充分です。数の均衡が崩れたおかげであっちもメンバーが固まってくれる今がチャンスです」
「一撃逆転のチャンスってわけだ」
「はい。……赤チーム各員に通達。防戦しつつ、戦闘箇所をなるべく中央に集めてください。集まったところを|集束砲≪ブレイカー≫で一網打尽にするから!」
彼女の命令をすぐ近くで聞き、聖は思わず吹き出してしまった。そして口角が上がり肩も震えている。
「いやぁ、やっぱり教え子だねぇ。なのはもお前が消えたから同じこと考えてるぜ。そして尚且つ考える殲滅方法は集束砲」
「まぁこの状況だと、結局は集束砲になっちゃいますよ。それで、聖さんの役割なんですけど……」
「わーってるよ。集束砲の余波を受け流しつつ、残った相手の残存戦力の殲滅だろ?」
「はい。よろしくお願いします」
二人は逆転の一撃に向けて行動を開始した。
クロエは屋上の上やウイングロードの上を駆け回りながら、ゴライアスから繰り出される攻撃を回避し続けて勝機をうかがっていた。
が、なんとなくではあるが嫌な予感がしてきた。
「なんか、空気がピリピリする」
この感覚をクロエは知っている。この感覚は、以前の合宿でも味わった。試合が終わる頃、決着がつく頃の感覚だ。
……時間的にもそろそろか。だとすると、コロナのゴライアスを残しておくわけには行かない。
クロエは急ブレーキをかけながら体を反転させ、拳を地面に叩き込む。すると、彼女の手から一気に絶対零度の冷気が放出され、ゴライアスに向かって地面全体が一気に凍り始めた。
「ッ!? 止まって、ゴライアス!!」
気が付いたコロナが命じるが、アレだけの巨体が急激に動きを止めるのは難しい。そして止まることができたとしても、態勢は崩れている。
それこそがクロエの狙いだ。
コロナの命令が早かったためか、ゴライアスはすぐに動きを止めて凍りついた地面に足を踏み出すことはなかった。しかし、急激に動きを止めたことでその巨体はやや後ろに沿ってしまっている。
そして軸足となっている左足の真下に凍結が及んだ時、後ろに沿っていたゴライアスが足を滑らせ、そのまま仰向けに倒れこんだ。砂煙と大きな揺れが襲ってくるが、クロエは頬を緩ませる。
地面が凍っていたこと、そして重心がやや後ろに行っていたことで、バランスを保てなくなったのだ。
やがて砂煙が晴れると、ゴライアスは地面に接している部分から凍結が始まっていた。
「よし、これでゴライアスは――」
「――まだです! まだゴライアスは動けます!」
クロエの言葉を遮り、コロナが叫ぶ。見ると、ゴライアスが凍り付いていない右腕を上げ、巨大な拳をこちらに向けていた。
ゾクッ、という嫌な感覚が背筋を駆け抜け、クロエは背後を見やった。そこにはキャロの攻撃を避けているルーテシアとリオの姿があった。
「ゴライアス、パージブラストッ!!」
コロナの声が響く。それと同時にガリガリという摩擦音と共にゴライアスの肘から先が回転し始めていた。
「ちょ、ちょっと待って。それって、アレだよね。ロボット系のアニメとかでよくある……!」
苦笑いと驚きが入り混じったような表情をしながらクロエは後ずさる。そう、あの技は彼女の想像通り……。
「ロケット・パーンチッ!!!!」
その言葉の通り、射出された腕は肘の辺りから魔力を吹き散らしながらこちらに向かってくる。そして、今あのロケット・パンチの軌道上にはクロエとルーテシア、リオがいる。
つまりこれが決まれば、三人一気に大ダメージは愚か、最悪撃墜されてしまう。
「それだけは、ちょっと嫌かな……ッ!」
迫り来る拳はグングンと距離を詰めてくる。あの拳に立ち向かうとしたら、クロエの持つ集束砲しかないが、アレは発射までに時間がかかる。だから、やれることは一つ。
クロエは拳を地面に叩きつけようとした。
が、その瞬間脳裏に不安感がよぎる。
失敗するかもしれない。また力を暴走させてしまうかもしれない。
そんな失敗を恐れる気持ちが再び顔を出し始めたのだ。だがその感情はすぐに振り払われる。
「……私は失敗しない。私は力を扱えるッ!!」
そして彼女は拳を地面に叩きつけ、吼えた。
「
瞬間、彼女の背後に巨大な氷の壁が何重にも折り重なるようにして現れた。
同時に、氷の壁の一枚目とゴライアスの腕が激突した。最初の壁はあっけなく破壊され、続いて、二枚目、三枚目と破壊されていく。
しかし、五枚目に到達した時点で腕のスピードが落ちた。
氷の中を進む腕をよく見てみると、腕が凍りつき始め、推進力である魔力の射出口の一つが機能を停止している。
……進むゴライアスの腕を一気に凍らせるッ!
クロエは氷の壁の中を突き進むゴライアスの腕を、周りから包むように凍らせることで止めようとしているのだ。
それは用意なことではない。腕は常に回転していて、完全に凍結させることが難しい。
しかし、クロエは諦めない。
「できないなんて思わない! 私には出来る。それだけの力があるんだから!!」
クロエはよりいっそう魔力を送り込む。すると、それに呼応するかのように、氷の壁が破られた箇所から再生をはじめ、腕を逆に追い詰めるようにして凍り始めたのだ。
回転しながら進み、掘削を続けている腕は、動きが徐々に遅くなっている。
「凍れぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」
気合いとも取れる咆哮が響いた瞬間だった。ゴライアスの腕が最後の氷壁を打ち破った。しかし、腕は現れた瞬間その動きを止め、バキバキという氷結音を響かせながら完全に凍りついた。
クロエの氷結の力が、競り勝ったのだ。けれど、まだ終わらない。
「今度はこっちだよ。コロナ。勝たせてもらうからね!」
疲れた様子ながらもニッと笑みを向けてクロエが指先をゴライアスの本体に向けると、それに気が付いたコロナがあたふたを慌て始めた。
「行くよ!」
声と共に、背後の氷壁から巨大な氷柱が次々に射出され、完全に凍結しているゴライアスの本体を打ち砕いていった。
そしてコロナには、小さな氷塊た立て続けに降りかかり、彼女のライフを一気に削り、すぐさま0にまで持っていった。
「コロナ撃墜ー!」
「そんな~!? あとちょっとだと思ったのにー!」
コロナは悔しそうながらもなんとなく笑顔だった。すると、なのはが近くまでやってきた。
「お疲れ様、クロエー。すごかったよー」
「ありがとうございます。なのはさん。ルーちゃんたちは大丈夫でした?」
「うん。二人とも無事。キャロも撃墜してきたしね。それじゃあ、集束砲を撃つから退避しててね!」
なのははそう言って浮き上がると、ブラスターを起動させて空気中に漂う魔力を集束し始めた。
すぐさまクロエはその場から離脱をはじめ、なのはから充分離れた所でルーテシア、リオと合流し、ビルの影に滑り込んだ。
さらにクロエは余波に巻き込まれても被害が少ないように、氷壁を囲むように作り出す。ルーテシアがモニタを呼び出すと、なのはとティアナの集束砲がぶつかり合うところが中継されていた。
『モード≪マルチレイド≫……』
『シフト≪ファントムストライク≫……』
そしていよいよその瞬間がやって来た。
「二人ともショック態勢!」
ルーテシアに言われリオとクロエがグッと身を固める。
『『スターライト――ブレイカーーーッ!!!!』』
声が重なり、オレンジと桃色の集束砲が激突した。ぶつかった瞬間、一瞬世界から音がなくなったように感じたが、次の瞬間耳をつんざくような轟音が、爆風と共にクロエ達を襲った。
揺れる視界の中でモニタに視線を送ると、訓練場のビル群が次々に破壊され、砕け散っていく様が見えた。
……前々から思ってたけど、これやっぱり最終戦争だよね!?
両者の集束砲の桁外れの威力に、もはや驚くしかないクロエだったが、やがて衝撃はおさまり、身体を揺らす振動もなくなった。
完全におさまったのを見計らって氷壁を砕いてからルーテシア、リオと共に惨状を見に行くと、そこには廃墟と化したビル群と、大きな亀裂の入った地面が広がっていた。
「……酷い戦争だったね」
「現実逃避しない」
「あだ! なにすんのルーちゃん。どう考えても戦争の後じゃん! あとは生き残った人たちが自分たちが間違ってたって思うターンだよ! ねぇリオ!?」
「確かにそうですよねぇ。この光景は誰が見ても……」
「はいはい。さてと、それじゃあどれくらい生き残ったかなっと……」
ルーテシアがモニタを開いて数を確認しようとした時だった。
パコーン、パコーン! という小気味良い音が二人の後頭部から聞こえ、彼女等は揃って頭をおさえた。
「いったぁ!?」
「いたっ!?」
二人の声のすぐ後に聞こえてきたのは、やっぱりと言うべきか、聞き覚えのある声だった。
「ほい。ルーテシアにリオ、撃墜完了」
彼女等の背後を見るとシューターを展開している聖がニヤリと笑いながら立っていた。普通なら二人のライフはまだ撃墜されるまで減っていたなったはずだが、SLBの余波とそれ以前の戦闘、そして不意打ちによって大ダメージを受けてしまったらしい。
「聖さん! いつの間に!?」
「集束砲がぶつかった後の残党狩りに出たらちょうどお前等三人が生き残ってたからな。隙だらけだったから攻撃してみた」
リオの質問に「ハッハッハ」とわざとらしく笑いながら答える聖。ルーテシアを見ると「やられた」と言うような表情をしていた。
「師匠……見ないと思ったら……」
「ふはは。どうだ、これが大人の戦い方ってヤツよ」
「大人気ない」
「そーだそーだー!」
「わははは。なんとでも言いたまえ、痛くも痒くもないわ」
胸を張りながら笑う聖だが、一頻り笑ったあとクロエを見据えた。
「さて、そんじゃあ決着と行きますか。生き残ってんのは俺にお前に、ヴィヴィオにアインハルトだ」
「じゃあ、私が勝たせてもらいます」
「お、強気じゃねぇか。いいぜ、かかって来い!」
クロエは構えととってから自分のライフを確認する。ゴライアスやSLBの余波の影響もあり、残りは1200。それに対して聖は1800。どう考えても不利なのはこちらだ。
しかし、今のクロエに勝利への不安はない。力に対する恐怖もない。あるのはゴライアスのときと変わらない。『勝つ』という純粋な感情のみだ。
「いきますッ!」
ダンッ! と地面を蹴って駆け出すと迎え撃つように聖が拳を突き出してきた。しかし、この程度ならば余裕で見える。
回避する瞬間、クロエは氷を聖の背後へ回り込ませるように張ると、そのまま滑って聖の背後を取った。
うまいと思ったのか、リオが歓声にも似た声を上げるものの、背後から放ったクロエの拳は聖が張ったシールドによって阻まれる。
舌打ちの後すぐに退避行動を取るクロエであるが、聖の方が早かった。彼がこちらを向いた瞬間、その手にシューターが浮かんでいることに気が付く。
普通ならば絶望的な状況だが、クロエは不敵な笑みを浮かべた。それを怪訝に思ったのか、聖が訝しげな表情を見せた時だった。彼の顔が一瞬痛みに歪んだ。
見ると、彼の背後の地面に魔法陣が展開しており、そこから氷の柱が聖の背中目掛けて伸び、彼の背中を直撃していた。これにより、聖のライフを500程度削ることが出来た。
「くおっ……!」
氷の柱に激突され、聖は苦しげなうめき声を上げながら吹き飛ばされた。
「いいよー、クロエ! 聖さんをやっつけろー!」
ルーテシアが応援を飛ばしてくれるが、クロエはそれに苦笑いだ。
「それが簡単に出来たら苦労しないんだけど……」
苦笑いを浮かべていると、吹き飛ばした聖からシューターが飛ばされてきた。それを冷静に避けつつ、再び構えを取ると、聖が空中で体を反転させて着地してから一気に距離を詰めてきた。
そのまま聖が攻勢に入った。
繰り出されたのは空気を切る音と共に放たれた鋭い右足の蹴り。
後ろに飛び退いてそれを避けるが、聖は攻撃の手を緩めずに、クロエに向かった足元から捻りあげた痛烈な拳を見舞ってきた。
シールドで防ぐことは出来たものの、貫通によるダメージが少なからず発生してしまった。
……このまま攻勢に回れたままだとまずい! 一気に潰される!
聖はストライクアーツにおいて、一気に攻め込み、相手を圧殺することを得意としている。つまり、聖を攻撃に転じさせると、非常に危険なのだ。
だから、クロエはそれを打破するために、攻撃のために近寄った聖の顎先へ向けて氷塊のシューターを放つ。
それに気付き、聖はバク転しながらそれを避けていったので、クロエはさらに追撃のシューターを放つ。
……いまだ!
「
言いながら一歩を踏み出すと、踏み出した地点から一気に氷結が始まり、スケートリンクのようなフィールドが出来上がった。
「続けて、フリージング・ブレイド!」
ブーツの靴底に氷の刃が生まれ、クロエは氷結したフィールドの上を滑る。
聖はと言うと、氷結したフィールドの上で足を滑らせてしまっていた。
「ここは私のフィールドです。覚悟してくださいよ、師匠!」
「言ってくれる。まだまだお前に負けるわけにはいかんのよ!」
二人は互いに笑みを浮かべる。陸戦というこの現場が今の二人にとっては楽しいのだ。聖は自分の弟子の成長を、そしてクロエは自分自身の成長を確かめることが出来る。
最初に交戦した時は、追い詰められたことと、心理的状況もあり、力が暴走してしまったが、今は違う。
「
途端、クロエは氷上を滑りながら流れるような打撃を聖に見舞っていく。それに加え、靴底についた刃で斬撃を放っていく。
まるで演舞をするような攻撃に、聖も防戦に転じている。しかし、彼はニッと笑みを浮かべ、その場から浮き上がった。
「あ、ずる!!」
攻撃を外してしまい、クロエは思わず声に出してしまった。
「何がずるいか。元々俺は空戦魔導師だっての。それに、お前だって氷張って自分に有利なフィールド作ってるじゃねぇか。お相子だお相子」
「うっ」
確かに、彼の言っていることも一理ある。というか、本来飛べるのに飛ばなかったのだから手加減してくれているのだろう。
しかし、飛ばれた程度でクロエが攻撃できないというわけではない。
聖を負うようにして氷の柱を作り出すと、彼女はそのまま拳を掲げながら聖に向かって殴りかかる。
「おっとあぶね」
「くっそ! 逃げないでください、師匠!」
クロエは聖を追い、氷の足場をウイングロードのように伸ばし続ける。
そして空中で何度目かになるぶつかり合いの時、クロエの拳が聖のバリアを貫通し、打ち破った。それにより、一瞬ではあるが飛んでいた聖に隙が出来る。
だからこそ、クロエは追撃の拳を叩き込もうとした。が、彼女の脳裏に警鐘が鳴らされた。このように上手く行き過ぎるときは、大概嫌なことが待ち受けているのだ。特に聖の場合は。
しかし……。
……ビビるな私! たとえ何が仕掛けてあっても、打ち倒すんだ!
一瞬の迷いを振り払い、クロエは指先で何かを操作した後、魔力を乗せた拳を撃ち放った。
けれども、拳が聖の胸に直撃する瞬間、パキン! という音と共にその場に魔法陣型のシールドが現れた。それだけではない、彼の腕に魔法陣から伸びた鎖が巻きついた。この魔法は、先ほどアインハルトとなのはが戦っていたときに、なのはが仕掛けた魔法だ。
「
悔しげに歯噛みするクロエだが、それを見た聖は声をかけてきた。
「クロエ。さっき、どうして退かなかった?」
「退きたくなかったからです! もうびびったたまま戦うのは嫌だったので」
「……そうか」
声が低かったので注意されるかと思いきや、返ってきたのは以外にも賞賛とも取れる言葉だった。
「よくびびらなかった。お前は前から警戒しすぎることが多かった。けど、今日お前はびびらなかった。いい成長だ」
「師匠……」
「……けどまぁまだ勝ちはゆずらねぇけどな!」
「台無しですよ! 師匠!」
褒めてくれたというのに、最後の言葉で台無しである。やはり、彼は大人気ない。けれど、ここで諦めたくはない。
絶望的な状況ではあるが、クロエは諦めていなかった。この状況を打破してやるという決意の火が彼女の瞳の中に宿っていた。
……落ち着け。私の中の力を信じるんだ。
瞬間、彼女の脳裏にノイズ混じりの映像が流れる。その映像はついさっき、力を暴走させてしまった時のもののようだった。
クロエはその映像を見て思い出す。氷結の力でバインドを凍らせて破壊したことを。
「そうか!」
確信したクロエは殴りかかってくる聖から視線を外し、自身の腕を拘束しているバインドを見ると、腕に魔力を集中させる。すると、冷気があふれ出しバキバキと音を立てて聖のバインドが氷結を始めた。
「もう遅ぇ!!」
聖もクロエがやろうとしたことに気が付いたのか、拳を一気に振り下ろして来る。けれどクロエは焦らず、自信の零王の力を信じ氷結を進める。
すると、先ほどまでゆっくりだった氷結の速度が上がり、一瞬にしてバインドが氷結した。
「なっ!?」
氷結の速度の変化に聖も驚愕の声を上げた。クロエが完全に凍結したバインドを力任せに引くと、ガラスの割れるような音と共にバインドを引き千切ることが出来た。
すぐさま体を捻るように回避したことでクリーンヒットは回避できたものの、攻撃は左肩に軽くヒットした。
ライフを見ると、300ほど減ってはいたものの、まだ戦える。
「ちっ!」
聖はすぐさまその場から退避したが、その瞬間、鎖と氷結が合わさったような音が響き、彼の腕と足を拘束した。
「バインドだと? いつの間に……!」
「さっき師匠に殴りかかろうとした時ですよ! 保険として仕掛けといてよかったです。そのバインドは師匠でも中々外れませんよ!」
言った後、彼女は右腕に自身の魔力を集める。その光景はさながら、スバル版ディバインバスターのようだ。
「行きますよ。少し痛いけど我慢してくださいね!」
彼女は氷の足場から跳び、空中で拘束している聖の鳩尾目掛けて拳を放った。
「
叫びながら放たれた彼女の拳は聖が足掻きとして張ったバリアを突き抜け、聖の鳩尾にクリーンヒット。
その瞬間、彼の背中からクロエの魔力が貫通した。
零距離での打撃系砲撃魔法をモロにくらった聖のライフは、一瞬にして0に至った。そのまま彼は空中で大きく後ろに吹き飛ばされる。
クロエはと言うと未だに勝利の実感が湧いていないのか、肩で息をしながら呆然とした表情を浮かべていた。
すると、そんな彼女を我に返すように声が響いた。
『はい、試合終了~~!』
クロエがハッとしてそちらを見ると、笑顔を浮かべたメガーヌと、驚きながらも嬉しげなセインがいた。
「私……勝ったの……?」
『そうだぞ、クロエ! お前、聖さんに勝ったんだ!』
セインが興奮した様子で言ってくる。クロエはその言葉に、一瞬顔を硬直させたが、すぐに笑顔を浮かべて自身の足場である氷の上でジャンプする。
「やったーーっ! 師匠に、師匠に勝った~!!」
全身で喜びを表現したクロエだが、気を抜いたためかなのか、ジャンプをしたせいなのか足場となっている氷の柱がボキリという鈍い音を立てて折れた。
「あ゛ッ!」
なんとも言いがたい悲鳴をあげ、クロエは落下するが、そんな彼女を聖が抱きとめた。
「ったく。最後まで気ぃ抜くな」
「す、すみません。でもついつい嬉しくて、自制効きませんでした」
アハハ、とクロエが短く笑うと聖は肩を竦めた後、クロエを抱えたまま地上にまで降ろしてくれた。
地上に降立つと、まず最初にルーテシアとリオが彼女を向かえ、クロエに賞賛の声を送ってきた。
「おめでと~! ついに聖さんを倒したね!」
「かっこよかったです、クロエさん! 特に最後の一撃、決まってました!」
「これは聖さんを超える日も遠くないかもねぇ~」
「えー、そうかなぁ」
ルーテシアの言葉に、クロエは照れながら頭を掻く。が、背後から聖に軽めのチョップをされた。
「残念ながら次は負けてやらねぇよ。今回は偶々だ。たまたま」
「聖さん、負け惜しみにしか聞こえませんよー。さっきだって自分の予想を上回ったクロエに驚いてたでしょ」
「ぐぬ……」
聖は図星だったのかクロエやルーテシア、リオから視線を逸らし、くるりと回れ右をした。
「さ、さぁて。ヴィヴィオとアインハルトは大丈夫かなぁ。気絶してたみたいだからなぁ、心配だなぁ」
口笛を吹きながら聖は皆が集まっているところにそそくさと駆けて行った。そんな彼の行動を笑いつつ、クロエは二人と共に皆が待っているところまで走っていった。
彼女の顔は非常に晴れやかで、達成感に満ちていた。
陸戦試合第一戦目結果。
青チーム……生存1名 行動不能1名 撃墜5名
赤チーム……行動不能1名 撃墜6名
試合時間 21分59秒。
生存1名のため青チーム勝利。
「それでは皆さん、お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様でしたー!」
一戦目の陸戦試合を追え、クロエ達はバリアジャケットを解いてジャージ姿で集まっていた。
すると、皆の前に立っていたなのはが咳払いをした後、クロエを見てから告げた。
「では、青チームを勝利に導いたクロエに拍手ー」
パチパチパチと拍手がされ、クロエは恥ずかしげに頬を赤らめながらも嬉しげな表情を浮かべた。
「がんばったね、クロエ。聖さんを倒すなんてナイスファイトだよ!」
「確かにねー。私たちがクロエなんかぐらいの時は、聖さんには勝てなかったし」
「ありがとうございます。スバルさん、ティアナさん。でも、普通に師匠を倒すのはまだまだ無理ですよ。今回はDSAAのルールがあって助かりました」
確かにクロエの言うとおり、今回の勝利はチーム戦、そしてDSAAのルールに則ったものだったからこそ、得た勝利と言って良いかもしれない。
もし本気で聖を昏倒させるつもりで戦うのだとしたら、まだクロエの実力では足りないと思われる。
「それでも勝ちは勝ちだよ、クロちゃん」
「うん。謙遜しないで、誇って良いと僕は思うよ」
「そう……かな?」
「そうですよ。クロエさん。記録を見させてもらいましたけど、バインドを凍らせて破るところも、パパの動きを先読みしてバインドを設置することも、クロエさんの努力があったからです」
ヴィヴィオが興奮した様子で言ってきたので、クロエは「ありがとう」と彼女の頭を撫でてから、コロナを見やる。
「コロナもありがとうね。おかげで良い戦いが出来たよ」
「わたしもゴライアスの力を発揮できて楽しかったです。このあとも戦うことがあったら、一緒にやりましょうね!」
「いいよー。何度でも受け止めてあげる」
クロエとコロナは互いに笑い合ったところで、大人組の代表である聖が軽く手を叩いて話し込んでいた皆を注目させた。
「んじゃ、休憩挟んでフィールドの再構築が済んだら、二戦目行くぞー」
「おやつとか飲み物飲んでしっかり休憩して、二時間後にまた集合!」
「はーい!」
クロエを含め、全員がそれに返答するが、ただ一人アインハルトだけがきょとんとしていた。
「二戦目……?」
「あれ、ヴィヴィオ。アインハルトに言ってないの?」
「あ、そうだった! すみません、アインハルトさん。今日、一日で三回試合をするんです」
「作戦組み直したり、配置も変えて戦ったりもするんですよー」
それを聞いたアインハルトは、胸に手を当てたあと頷いた。
「よかった。もっとやりたかったんです」
「はいっ!」
「その前に休憩しよー。ちょっと疲れちゃったー」
クロエが言うと、大人組を残して子供組の面々は休憩を取るためにメガーヌとセインの待つ休憩場所へ向かって行った。
「もっとやりたかった……ねぇ」
子供組がいなくなったのを見計らい、聖は溜息をつきながらなのはを見やった。
「どうかした? 聖くん」
「いや、なんつーかアインハルト見てると、アレは中々のバトルジャンキーになりそうだなーなんて思ってみたり。どっかの誰かさんみたいな」
ジト目で言う聖に、なのはがやや後退する。まぁ、彼女自身中々にバトルジャンキーな節が多々見られるのでしょうがないのだが。
「俺が六課に入った時もなんやかんやで全員と模擬戦やったからなぁ」
遠い目をしながら聖が言うと、フェイトとなのははおろか、スバルやティアナまでもが苦笑いを浮かべていた。
しかし、すぐにそんな空気を変えるようと思ったのか、ノーヴェが軽く咳払いした後彼に問うた。
「そ、そんなことより聖さん。今日クロエと戦ってるとき、手加減はしてたのか?」
「んなことするわけないだろー。アレは純粋に俺の予測不足。そんで、クロエの力が俺を上回った瞬間だよ。本当に驚いた。力を暴走させたからもっとびびってるもんだと思ってたけど、ルーテシアになんか言われていよいよ完全に吹っ切れたみたいだな」
聖は虚空を見上げながら満足げな微笑を浮かべる。
「アイツはもっともっと強くなる。誰もが認めるほどにな」
その後に行われた試合は、それぞれマッチアップ相手を変え、試合も変化していった。
迎えた三戦目は、メンバーをトレードして試合自体もそれまでとは全く様相を変え、陸戦試合は熱く激しく過ぎて行った。
はい、お疲れ様でした。
長くてすみません……。
クロエ大勝利! いやぁ、頑張った。彼女は頑張ったようん……。
とは言っても、話の中でクロエも言ってますが、今回はDSAAのルールがあったからこそ勝てた勝利です。
残念なことに普通に潰しあうような戦闘だったらクロエはまだ聖には勝てません。以前よりも勝率は上がっているでしょうが……。
ルーテシアはなんと言いましょうか、私が好きなキャラですので、少しだけお姉さん風を吹かせてみました。(本当はシグナム姐さんに言わせたかったとか言えない……)
まぁ不安はあると思うんですよねーwだって、零王の力強いですし、母親との約束もありますし、重圧がすごかったでしょう。それで実力が出せなかったということでよろしくお願いします。
なので、以後はクロエがびびることはないでしょう。もうこれで完全に吹っ切れてますし。
ゴライアスとの戦闘、やらせてみたかったんですよ!
ロケットパンチVS氷の壁。
次回はアインハルトとの戦闘まで持って行くと思います。序盤はふざけると思いますが。