リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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レッツ投稿!!
いつの間にか書き続けて、一年超えてました。
大体一年で、170話。
二日に一回の割合です……飽き症な自分がよくこんなに続いたなーと少し感動。
読者の皆様、どうかこれからもよろしくお願いします。


そんな無駄な知識ばかり覚えてきますの!?

カリカリ……

 トントン……

  カンカン……

   シュシュ……

    シャシャ……

規則的な音が図書館の中に響く。

7月も半ばとなり、テスト週間まで既に一週間を過ぎて居る。

一部のまじめな先生は放課後の時間、空き教室を使用し勉強をしたい生徒の為の私塾の様な物を開いている。

今日はその私塾に行った生徒が多いのか、図書館も(テスト期間中としては)空いていた。

 

そんな中な顔でノートにシャープペンを走らせる少女が一人……

この学園の有名人、卯月 茉莉その人だった。

 

カリカリ……カリカリ……

不機嫌な顔で、自身の怒りをぶつける様にノートにシャープペンを走らせ続ける!!

ピシッ!パチィ!!

卯月の力のせいか、へし折れたシャー芯が辺りに飛び散る!!

カチカチッ!!カチカチッ!!

 

「チッ!」

無くなったシャー芯を出そうと上の部分をノックするがどうやら芯が切れた様だ。

舌打ちをしながら自身の筆箱を探すがどれもこれも芯が無くなっていた。

 

「あ……あのう……」

横に座っていた男子生徒がおずおずといった表情で、卯月に話しかけてくる。

 

「何かしら?」

ギロリと不機嫌さをまったく隠さずに、その生徒に向かって向き直る。

生徒は一瞬「ヒィ」と小さく声を漏らした。

 

「し、芯が無いなら僕の使ってください!!」

まるでラブレターを渡すかのような動作で、シャー芯を卯月に差し出す男子生徒。

周囲で小さく「やりやがった!!」と聞こえたのは幻聴ではないだろう。

 

「え?」

 

「一年の卯月さんですよね?ノートすごく丁寧に執ってたから……書けないと困るでしょ?」

 

だから――と言葉を続ける前に卯月は言葉を発していた。

 

「ありがとう、けどいいわ。もう帰るもの、あとは家でやるから」

にこりと笑顔を作るとその場で荷物をまとめ図書室を出て行った。

図書館から去る時後ろから「抜けがけしやがって!!」だの男子生徒の悲鳴が聞こえたが卯月はまったく気が付かなかった。

 

 

 

帰りのバス停に向かう前に卯月は校舎を見上げた。

2年の教室の窓際に天峰が座っていた。

此方にまったく気が付かずに、楽しそうに勉強机に向かっていた。

 

「あのロリコン野郎!!なんなのよ!?私が勉強誘ったのに何で蹴ってるのよ!!あーあ、確実に青春の甘いメモリー逃したわね!!あーあ!!私知らない!!

……馬鹿……

でも、明日こそは……!!」

こっそりとカバンの中のノートの事を思う。

 

(何よ……あんたが泣きついてくると思ったから……ノート作ってあげたのに……バッカじゃないの!!……あんな馬鹿留年しちゃえばいいのよ!!)

やり切れない気持ちで、卯月はバス停に向かっていった。

 

 

 

少し前……

 

「はぁい、天峰!!いるかしら?この卯月様があなたに勉強を教えに来てやったわよ!!」

勢いよく天峰のクラスのドアが開かれる。

そして現れる美少女に男子が、ざわつく!!

一部の男子に至ってはその場で膝をつき、拝み始める者もいた。

 

「あら……ねぇ、天峰何処にいるか知らない?ヤケ君」

目の前の拝む男子、通称ヤケが顔を上げる。

 

「確か2年の教室に行きましたよ?勉強教えてもらうって」

 

「2年の先輩に?」

卯月は同じ言葉を返した。

 

 

 

「――という割合にこの場合は、過去形ではなく別の意味になるので注意が必要ですわ」

2年の教室天峰の前に、小柄な少女が座っている。

気の強そうな青い瞳に、揺れる金色の髪、身長は立ってみれば天峰の胸下あたりまでしかない高校生とは思えない姿。

それもそのはず、彼女は飛び級し高校の地位を与えられているのだから。

彼女の名は、まどか・ディオール・トレーディア。

イギリス屈指の宝石商の娘である。

 

「すげー、分かりやすいよ、まどかちゃん!!助かるよ!!」

天峰が憧れに満ちた視線を送ると、その途端まどかは上機嫌になる。

 

「フフン、まぁ?大学入学余裕レベルの私にとっては……特に英語など日常で使う常識でしかないのですけど?控えめに言って「余裕」というやつですわね。

あと、庶民。私は歴としたアナタの先輩ですわ、きちんと態度を示しなさい!!」

 

「わかりましたー、トレーディア()()

まどかの意図を読み天峰が先輩の部分を強調して、あえて呼びかける。

 

「そうそう、それでいいですわ!!」

口調は厳しいが、まどかの口元は緩み切っている!!

感想したのか、わずかに震えているようにも見える。

 

「それにしても、教えるの上手いね。誰かに勉強教えた事あるの?」

天峰の言葉に、まどかがぴたりと動きを止める。

さっきまでの明るい顔がどんどん曇っていく!!

 

「え、えっと……何かまずい事聞いちゃった?」

心配した天峰が、まどかに声をかける、さっきまでの態度が嘘のように落ち込んでいるように見える。

 

「ああ、ごめんなさい……少し苦い記憶が……」

そう言うとまどかは頭痛をこらえる様に頭を押さえる。

 

「苦い記憶?」

 

「まぁ、アナタになら話してもいいですわ……実は出涸らしに勉強を教えた時……」

 

 

 

 

 

大きな屋敷の一室で、二人の少女が隣り合って教科書を覗き込んでいた。

まどかが自身の友人の木枯に勉強を教えているのだ。

 

「いいですか?疑問文に限らず英語や、言葉というのは『動詞』が重要になりますわ。運ぶ、働く、稼ぐ、儲けるなどの何かの行動を表す単語です、しかし今回の様な文はBe

動詞を使っています、ここまでは理解できます?」

教科書から目を離し、隣に座る木枯に視線を向ける。

 

「う~ん……Bのつく単語がビー動詞なの?」

まったく訳がわからないといった様子で教科書の文字をつつく。

 

「違いますわ!!be動詞の意味事態理解していませんの!?」

あまりの会話のかみ合わなさに、まどかの語気が荒くなっていく!!

 

「ん?Bの意味は知ってるよー、えっとねー、好きな子同士がお互いの体をさわ――」

 

「そこまでですわ!!ア・ナ・タ!!いったい何処でそんな無駄な知識ばかり覚えてきますの!?」

椅子から立ち上がり木枯を指さし、まどかが大声を出す!!

それに対してあくまでのんびりした、態度を崩さずに木枯が顎に手を出し思い出すようなしぐさをする。

 

「えーっとねー……たしか、公園で知らないおじさんが教えてくれたー、物知りなおじさんで、飴とかくれたりひざの上に乗せてくれたり、お腹とか撫でてくれたりしたよー」

 

「佐々木ー!!今すぐ来なさい!!事案発生ですわ!!付近一帯の公園の不審者情報を洗いなさい!!付近の監視カメラをすべて買収し何としてでもその男をひっとらえなさい!!特に飴を渡してくる奴には容赦してはなりませんわ!!」

 

「了解しました!!お嬢様!!すぐに愚か者に生まれてきたことを後悔させてご覧に入れましょう!!」

木枯の言葉にどんどん青くなるまどか!!

ついに使用人の佐々木を呼びつけ、指示を出す!!

*3時間 ぼっこぼこにされた男が秘密裏にまどかの屋敷に運ばれたそうな……

 

 

 

「うわ……木枯ちゃん……どっかやっぱり抜けてるんだよな……」

 

「ええ、ワタシあの子が不安でしょうがないんですの……」

薄暗くなっていく教室で、二人はしばらく話していた。

 

 

 

 

 

学生諸君、または学生だった読者の方々にお聞きしたい。

ズバリ『テスト週間に起こりがちな事』についてである。

①好きな漫画の最新刊が売っている、これはよくあるのではないか?

天峰がふと学校の帰りに本屋に寄ると……

 

「おお!?無職王テラ ニィトの最新刊が売ってる!!買いだな」

 

②家に帰るとなんだが自分の部屋が汚れている気がして掃除してしまう。

勉強気分で帰ってきた天峰、いざ始めようとするとゴミなどが気になり始めた。

 

「あれー?俺の部屋ってこんなに汚れてたかな?資源回収も近いしいらないプリント纏めるか……」

 

③他ごとをしていて、イザ勉強しようとすると夕飯になる。

掃除を済ませた天峰、フレッシュな気分で机の上に勉強道具を取り出した!!

 

コンコン「……天峰……夕飯」

控えめなノックの音と共に天峰の義妹、夕日がドアから顔を出す。

 

「うん、わかったよ。今行く」

 

④なんかテレビでスゲー面白い番組がやってる。

 

『空前絶後のあるあるネタ聞かせたろか!!?』

 

『空前絶後なのに、あるあるって……矛盾してへんか!?』

 

「くっふふふ、あははは!!」

お笑い芸人のよくわからないネタで笑い転げる天峰。

その様子はすっかりテストの事を忘れてしまっている!!

 

 

 

「さて、やるかな……」

番組が終わり、お風呂に入り、ようやく勉強を始める天峰。

ノートなどに今日まどかから教えてもらった事などを復習していく。

 

「……んと……よし……正解。俺って意外に賢いのかもな!」

時に答えを見ながら、にやにや笑いながらワークを進めていく。

もちろんその心中には今日のまどかとの思い出も忘れない!!

その時控えめなノックが部屋に響いた。

 

「……天峰……勉強を……」

 

「教えてほしいのかい?」

ドアの隙間から顔を覗かせる夕日を、天峰は自身の部屋に招き入れた。

 

「……忙しく……ない?」

 

「大丈夫、中学一年位ならよゆー、よゆー」

そういうと夕日を自身の使っているちゃぶ台の横に座らせ、夕日の持ってきた教科書を見る。

 

「中学校もテスト週間?」

 

「……うん……そう……」

言葉を交わしながら、天峰は夕日に勉強を教えていく。

天峰のすぐ近くに、夕日が座っている。

小柄で小さな体躯の少女……

成長途中のその体は天峰の好みそのものだった。

 

(はぁ……なんだかんだ言ってもかわいいんだよな……義理の妹……ね。

2次元の存在だと思った子が、いま目の前にいるんだよな)

しみじみしながら天峰は、自分のすぐそばにいる夕日の存在を感じていた。

 

「……天峰……」

 

「何?夕日ちゃん」

 

「夏休み……たくさん……遊ぼう?」

 

「ああ、もちろんさ!!俺と夕日ちゃんが家族になってから最初の長期休暇だもんね!!」

それを聞くと夕日は何処か照れくさそうに笑った。

 

 

 

 

 

「あれ……消しゴムが……」

夕日に勉強を教え部屋に送り返した天峰。

早速自分の勉強を再開させるが、消しゴムを落とした拍子に何処かに無くしてしまったようだった。

 

「あれー?もともと小さいしな……買いに行くか」

明日の授業に、支障が出ると判断した天峰は近くのコンビニへと再び足を向けることにした。

 

「ラッシャーセー!!」

 

いつもの様に、店内を歩き目的のKOMONO消しゴムを籠に入れた後、適当にジュースを見繕う。

 

「ん?ヘルヘイム果汁89%?中途半端な……しかもなんの果汁なんだろ?」

思わず気になった天峰はそのジュースに手を伸ばす。

目的が同じなのか、横から取ろうとした人と手が触れあう。

 

「あ、すいませ――」

 

「うえ”、変態おにーさん……」

 

触れ合った相手は天峰の知る相手。

なぜか偽名を名乗る少女 クノキだった。

 

テストあるある⑥

こんな時に限って厄介ごとが起きる。




にしても……作中の中での時間経過遅すぎ……
コナン君空間か!?

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