リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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久しぶりの投稿です。
実は……今回のヒロインの名前を決めるのに時間がががが……
しかしようやく決定しましたので、今度からペースを速めるつもりです。


冷静に分析しないで!!

「おにーさんは変態の人ですよね!?」

 

「……はい?」

目の前の少女が自身の体を守る様に、手で胸を押さえる。

時刻は12時近くの人通りの少ない公園!!しかも薄暗い!!

さて、ここでクエスチョン!!

1人気の少ない公園!!

2男と対峙する震える少女!!

3その子から発される『変態の人』と言うフレーズ!!

その三つから想像される事態は何だぁ!?

 

(あれ……?コレやばいんじゃねーの?事案発生?おまわりさん来る?)

自身の現在置かれている事態に気が付いた天峰。

救う側から一気に追いつめられる。

 

「い、いや。変態じゃない……よ?日々を一生懸命生きる善良な市民デスヨ?」

 

この場で天峰、相手に対して安心感を持たせようと爽やかな笑みを浮かべる。

もちろん敵意の無い事を強調する。

 

「違うの?トイレに連れ込んだりしない?」

オドオドとした表情で目の前の子が尋ねる。

 

「しない、しない」

 

「と、油断させた所で?」

 

「いや、ないから。安心して良いから」

尚も疑う子に距離を取り始める。

正直言うと天峰自身帰りたいのだ!!

 

 

「なんで距離取るの!?に、逃げる気?ハッ!?遠距離から露出して私に自身の――」

 

「見せません!!」

良からぬ事を言いはじめる子に対して再びツッコむ天峰!!

仕方なくその場で立ち止まる。

 

「なんで止まるのよ!?」

 

「どうしてほしいの!?俺もう帰りたいんだけど!?」

何をして警戒し続ける少女に対して、天峰が遂に声を荒げる!!

この時点で天峰の中でこの子のカテゴリーが『メンドイ奴』決定する!!

 

「帰るの?帰るのね?私を襲ってスッキリした後で――」

 

「すぐに帰るんだよ!!何おま!?メンドクセーなぁ!!」

圧倒的被害妄想!!理解不能!!完全不明!!

夕日が「周波数が合わない」と言っていたがこの子もそうな気がする!!

天峰が少女に背を向け公園から出ようとする。

コンビニには、まだ愛車が停めてある、鍵はかけてあるが盗まれたりイタズラされると困るのだ。

 

「ちょ、ちょっと待っておにーさん!!」

その時天峰の背中に声が掛かる。

 

(ああ、もう。マジでめんどくさいぞ……)

正直言って関わりたくない感がMAXの天峰!!

無視して走り出したい感情を抑え再び振り向く。

 

「何?」

 

「お、乙女をこんな所に放置は無いんじゃないカナ!?せめて明かりのある所、までエスコートするのが紳士なんじゃないカナ?」

本当に天峰が帰ると理解したのか、僅かに震えながら天峰に追いすがる!!

 

「えー……俺帰りたいんだけど?自宅で待ってる人が居るし」

 

「待ってる人ってどうせ妄想の中の彼女――ま、まっててば!!」

公園の出口に全力だ走り出した天峰!!

その様子に少女が必死で追いかける!!

深夜の公園で追いかけっこだ!!

 

「はぁー、はぁー……マジに何なんだよ、帰りたいんだけど?」

最早何回繰り返されたか解らない会話!!

コレに付き合う天峰もお人よしではある。

 

「察してよ!!深夜の公園って怖いじゃん!!人居ないし?このあたり電灯少ないし?補導されかかるし?……実際変な人に絡まれたし?」

変な人の部分で眼鏡の奥から二つの瞳が、天峰を覗いている。

 

「……で?俺にどうしろと?」

 

「私の家の近くのまで送って行ってくれない?」

指を自身の唇にくっつけて(たぶん本人が)カワイイ(と思ってる)ポーズを取る。

天峰は今までの会話で連れてかないと結局めんどくさく喚くだろうと理解する。

しかしここで天峰の中である妙案が浮かぶ。

 

「連れて行ってもいいけど、さっき買ったカレーシュー俺にくれない?100円は払うから」

それは自身の妹に頼まれていた商品の事。

結局手に入れる事が出来なかった商品をこの少女が買っているのを天峰は知っていた!!

多少卑怯な気もするが、目的を達成したい天峰にとって有効な条件の積りだ!!

 

(ってかそれ位してくれないとリアルに俺になんの得も無いんだよね……)

 

「カレーシュー?いいよ?あげるよ。これ位は、オヤジ味で良い?」

そう言って自身の下げる袋から、天峰が探し続けていた何がおいしいのか全く分からない商品を取り出した。

 

「ん、ありがと。じゃ、家まで送っていくよ」

カレーシューを受け取って天峰が、ゆっくり歩き出す。

 

「契約成立、ね――ハッ!?まさかこんなフウに少しづつ少しづつ要求を上げて行って、最終的に私に人に言えない様な事をさせる気よね!?」

 

「あーはいはい。そう言うのもういいから……さっさと行こうか?」

2人は並びながら公園から歩き出す。

天峰はもはや無視している!!

 

 

 

「おにーさんこんな時間に何していたの?」

少女が天峰に歩きながら話しかける。

この子かなりのおしゃべりな性格の様だった。

 

「おにーさんじゃない、俺は幻原 天峰。高1の16歳だ」

 

「ふぅーん、私はくも――じゃないかった!!えーと、えーと……夜城……夜城 黒乃汽(やしろ くのき)……だよ、カタカナでクノキでお願い」

そう言って自身の名を話すのだが――

 

「いや、前後の会話で明らかに偽名じゃん……しかも中二感半端ないし……」

再びめんどくささを感じながら天峰が、おかしな部分を指摘する。

 

「な!?別にいいじゃない、偽名だって、中二だって。アレよ?実年齢より一歳上なだけだし?」

 

「中一か、夕日ちゃんと同じか……」

クノキの言葉から相手の、年齢などを冷静の予測し始める!!

 

「ちょ!?止めてよね!!冷静に分析しないで!!って言うか私の個人情報覚えて何する気!?」

クノキが慌て始める!!その顔には必死さが詰まっていた。

その様子に天峰のイタズラ心が刺激され始める!!

 

「別に?ただ隠された情報って知りたくなるだけだし?」

ニヤリと笑いクノキを見つめる。

すると途端にクノキが再びポケットから眼鏡を取り出し掛ける。

 

「なななな!?やっぱりおにーさん変態でしょ!?年下の女の子大好き人間でしょ!?」

 

「子供好き(意味深)であることは否定しないよ?」

良い笑顔でクノキに笑いかける!!

 

「ひぇ……わ、私をどうする気!?攫うの?調教するの?」

天峰から露骨に身を引く!!その眼には明らかに怯えが詰まっている!!

 

「送るんだよ、家の近くまでな」

最早何度も繰り広げられた会話に天峰がほとほとうんざりする。

 

「……そうだった……おにーさんと居ると疲れるわー」

そう言いながら態度を改めてクノキが道をぶらぶら歩きだす。

「それはこっちのセリフ」だと言う言葉を必死で天峰は飲み込んだ。

 

「クノキちゃん、そう言えばさっきなんで眼鏡かけたの?」

会話を誤魔化すように天峰が口を開いた。

クノキはさっきから何度も眼鏡を掛けたり外したりを繰り返している。

ただ単純に目が悪い訳ではない様だった。

 

「わぁお!イキナリ『ちゃん』付け!?おにーさんのそのコミュ力何?リア充?おにーさん、クラスの端でハブられてそうな見た目なのにリア充なの!?」

目をキラキラさせながら、面白そうに天峰を見る。

物珍しそうな声と、さりげない暴言に天峰が僅かに傷つく!!

 

「『その見た目』って……割かし酷い事言うね!?いや、イキナリ名前を呼ぶのは不味かった?基本年下にはちゃん付けてるんだけど?」

 

「おにーさんは年下の子の知り合い多いの?」

 

「まぁ、そこそこ……かな?」

そう言って自身の知り合いを心の中で数える。

藍雨、夕日、まどか、木枯、ここ数か月の中でかなり知り合いの幼女が増えた気がする。

縁が有ればクノキとも、友達に成れるのだろうか?

 

「あ……ここまでで良いよ、ありがと」

3台の自販機が並んでいる角まで来ると、クノキが眼鏡を外す。

小さく言葉をつげ、夜の闇の中へと歩んで行った。

さっきまでの明るさは消え、暗い中に消えていく彼女を天峰は一人で見送った。

 

「クノキちゃん、気を付けてねー!!」

声を掛けるがクノキはもう振り返らなかった。

 

 

 

 

 

「……ただいまー……」

声を殺しながら天峰は自身の家のドアを開く。

時刻はもう1時近く、俗にいう午前様という奴だ。

 

家自体はすべての明かりが消え、鍵だけが開いていた。

おそらく誰かが開けておいてくれたのだろう。

 

「もう、寝ようかな……」

足音に気を付け自身の部屋に向かう。

 

「……ふみゅ?……」

寝転んだ自身のベットから聞きなれない声が聞こえる!!

 

(あれ?……今の声って夕日ちゃんじゃない?)

ここに来てやっと天峰は自身の部屋の電気を付けた。

そこに居たのは案の定夕日!!

天峰のベットの中で体を丸めている!!

 

「夕日ちゃん?……起こすのは不味いか?」

揺り起こそうとするが直前で考えを改める。

深夜1時だこの時間なら普通の中学生は眠っているハズだ。

クノキの様な子の方がまれなのだと今更ながら天峰は理解した。

 

「仕方ない、今日はソファーで寝るか」

リビングに有るソファーに向かおうとして立ち上がった時、天峰の袖が捕まれる!!

 

「おかえり……おにい……ちゃん……」

寝ぼけているのかなぜか『お兄ちゃん』呼びの夕日!!

そのしぐさに天峰の萌えポイントが刺激される!!

 

「ただいま、ごめんね。帰って来るの遅くなったよ」

 

「……待ってた……ずっと……ねぇ……このまま……一緒に……寝よ?」

半分意識の無いまま、夕日が話しかける。

この間も天峰の袖をしっかりつかんで離さない!!

 

「夕日ちゃん?そのベットは貸すから、一人で寝てね?」

 

「ヤダ……一緒に……寝て……待ってたんだから……それくらいは……する……べき……」

そう言って更に天峰に袖を離さない。

天峰も眠いのだ、問答をしている場合ではない。

出すべき答えは一つだった。

 

「わかった、たまには一緒に寝ようか?」

 

「うん……家族なら……これ位する……よね?……お兄ちゃん……」

夕日が寝息をたて始め、その少し後にもう一人の男も同じく寝息をたて始めた。

 

 

 

翌朝

 

「うーん……あれ……?」

何故かヤケに速い時間に夕日は目を覚ました。

慣れない布団だからだろうか?

外はもうすっかり明るくなっているが、まだ5時前だ。

大分、日の高い日が長くなっている気がした。

 

「天峰……!?」

隣で眠る天峰を見て夕日は昨晩の事を思い出す!!

 

「~~~ッ!?」

かなり恥ずかしい事を口走った事を、思い出してしまった!!

自身の記憶に有る言葉で、赤面する夕日!!

 

「なんで……そのまま……寝てるの?……なぜ……断らない……の?」

あまりにマイペースな天峰に今更ながら疑問をぶつける!!

しかし帰ってくるのは寝息のみ!!

しかも!!夕日の入ってる布団は天峰が外側、夕日が壁側に居る為!!

出たくても出られないのだ!!

天峰が起きるまで夕日は、昨日の自身の無計画さを呪い続けた!!

 

 




ヒロイン思いっきり偽名ですね。

本名はそのうち出るでしょう……
誰しも中二チックな自身の名前が有る!!……ハズ……

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