リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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この前ウルトラマンの映画見てきました。
うん、ティガが出るだけで栄えるねぇ……


月並みな事しか言えないけど

Time limit 16:19:29

 

 

 

 

 

ドン!!とくぐもった音が一つの部屋からする。

更に2度、3度とその衝撃は続く。

その音の原因は一人の少女のお怒りだった。

 

「そうなのよ!!天峰ったら!!ああもうムカつく!!」

卯月が怒りの鉄拳を自身の机に叩き込む!!

もちろんこれは一人言ではなく電話の相手に話しているのである。

お怒りのとばっちりを受けるのはもちろん、夜宵だった。

 

「ねぇ?おねーちゃん、落ち着いて?焦っても――」

落ち着いた大人の余裕すら醸し出しそうな雰囲気で話し始めるが……

 

「煩いわよ!!ミステリアスキャラなんて流行らないのよ!!数年後ベットで思い出してジタバタする事に成るからやめなさい!!」

卯月の言葉で一刀両断!!

 

「ヒャウ!?酷い!!これでもキャラ模索中――」

 

「知りません!!」

更に追い打ちを掛ける!!

最早死体蹴りレベル!!

 

「お、おねーちゃん?落ち着いて、ね?」

 

「これで落ち着いて居られる訳ないじゃない!!通報物よ!!事案発生なのよ!!」

天井知らずの卯月の嫉妬心!!怒りのボルテージはとどまるところを知らない!!

巻き込まれた哀れな夜宵はただひたすら耐えるしかない!!

 

 

 

 

 

一方その頃……

「たっだいマンゴープリーン!!イェィイェィ!!」

遂に念願の幼女のアドレスを入手した天峰が、超ハイテンションで自宅のドアを開け放つ!!

 

「な、何だよアニキ?やばい薬でもやってるのか?」

偶然入口の近くに居た天峰の妹、天音が自身の兄の奇行に驚く!!

若干引き気味である。

 

「オオゥ!!マイプリティーシスター!!今日のご機嫌はどうだい?お兄ちゃんは今とーっても機嫌が良いんだゾイ!!よ~しよしよし!!」

その場で荷物を投げ捨て、ワイアーアクション張りの動きで天音に抱き着き頬をすりすりする!!

 

「や、やめろぉ!?気持ち悪い!!離せ……ひぃ!?触ってきた!!今普通に腰とか触ってきた!?た、助けて!!襲われる!やばい薬、キメたアニキに襲われる!!『お前がママになるんだよ』とか言われてしまう!!」

 

「うふふ……お前はママにはならないけど、お兄ちゃんがリア充に成るんだ~よ?」

 

「うぇ!?今リアルにサブイボたった!!テメェ!!いい加減にしろや!!」

遂にキレた天音のアッパーカットが天峰の顎を捕え脳を激しく揺らす!!

倒れた天峰を無視して天音は自身の部屋へと帰って行った。

 

「ああ~、この痛み……藍雨ちゃんを思い出すな……うふふふふ……」

ポケットから、携帯を取り出しあアドレス帳の『晴塚 藍雨』の文字を指でなぞりニヤニヤする。

しかし突然現実に戻ってくる。

 

(そう言えば、卯月明日有ったらすごく怒ってるんだろうな~。

何かいい言い訳考えなくちゃなぁ……)

そう思い、風呂に入ろうといそいそと自分がさっきブチぶちまけた教科書を集め始める。

 

 

 

 

 

「さて、一旦状況を整理するわよ?」

卯月のお怒りが収まった為、再びミステリアスキャラを作った夜宵が電話口越しに話す。

 

「ええ、よろしく夜宵ちゃん」

 

「先ず状況を一言で言うと……『最悪』よ。

天峰さんと今日一緒に居たらしい娘……『あめ』って名前よね?少し調べてみたんだけど私の情報網におそらくその人物と思える娘がいたわ『あめ』なんて珍しい名前で良かったわね?……ああ、情報が先だったわね?志余束小学校5年2組、出席番号19番よ。

特に悪い噂は聴かないわね、良い噂も無いけど……地味な娘なのかな?……あ!この子結構スペック高いわね」

ペラペラと藍雨についての情報を話す。

卯月はそれをただジッと聞いていた。

 

「おねーちゃんの話に依ると、一緒にご飯食べてたっぽいけど、普通どっかに食べに行く……まぁ、高校生と小学生の組み合わせ自体珍しいかしら?

兎に角相手をウチに呼んでごはんを作る程度に発展してるってことよね?」

 

夜宵の言葉を聞いているウチにドンドン卯月は顔面蒼白になっていく!!

正直言うと此処までマズイ状況だとは思っていなかった!!

 

「それって……もう……」

 

「そうだね、意識し始めたら付き合っちゃうレベル。というよりもう付き合ってるって考える方が自然かな?夜の9時近くに家に呼ぶなんて、ご両親公認の仲かもね?」

 

最後の一言がトドメだった!!

気が付いたら卯月の頬を一滴の水が伝わっていた。

机をほんの少しだけ濡らす。

 

「いやよ……そんなのいやよ!!私は天峰の隣に居たいの!!私以外認めないわ、私だけが天峰の横に居ていいのよ!!それだけ、それだけ私は天峰が好きなのよ!!」

まくしたてる様に一気に夜宵に電話越しに言い放つ!!

 

「卯月おねーちゃん?それを言うのは私じゃないでしょ?それとどうしたら良いか分かってるハズよね?」

 

「うん、うん……分かってる明日、この気持ちを伝えて見せる!!」

その言葉にもう涙は無かった、確固とした確かな意志が有りその言葉には強い決意の表れがあった。

夜宵はその言葉に、小さく口角をあげた。

 

「そう、月並みな事しか言えないけど、頑張ってね」

その言葉を最後に携帯を切った。

 

「さぁて、ドウなりますかねぇ」

わくわくしながら彼女は、ベットに潜り込んだ。

宿題を忘れて翌日先生に怒られたのは別の話である。

 

 

 

 

 

Time limit 07:59:02

 

 

 

 

 

翌日

「ふぅあ~……眠むたいぃ……ヤバイだろ、なんでこんなに眠たいんだ……」

愚痴りながらも自転車を漕ぐ天峰、その表情は酷く眠たそうだった。

ベットに横に成ってアドレス帳の『藍雨』の字を指先でなぞっていたらいつの間にか夜が明けていたのだ。

 

「こんなの絶対におかしいだろ……ハッ!?まさか、妖怪の仕業!?」

何処かの妖怪をウォッチする主人公みたいな事を考える天峰。

どちらかと言うと彼は幼女をウォッチするタイプの主人公なのだが……

そんな事を考えているとポケットの携帯電話から最早お馴染みのメールの着メロが成る。

 

オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー

 

その瞬間!!天峰の頭が一気に覚醒する!!

そして光速に迫るスピードでポケットから携帯電話を取り出し、着信相手を確認する!!

(なんだよ、卯月か……もしかして藍雨ちゃんから「一緒に学校行きませんか?」とか来たと思って期待したのに……まぁ、どうせ昨日の事だろうな。う~ん、どうやって誤魔化そうかな?)

内容も読まずに再び天峰は自転車を漕ぎ始めた。

 

 

 

「なぁ!!天峰聞いてくれよ!!実は昨日スゴイ物見ちまったんだよ!!」

自分の席に着くと同時に八家が興奮気味に話しかけてきた。

 

「何見たんだよ?UFOか?間違って美肌モードで撮った話ならこの前聞いたぞ?」

 

「ちげぇよ!!何と西通りにハイエースが走ってたんだよ!!ハイエースだぜ!?ハイエース!!」

 

「マジで!?西通りにハイエース!?昨日近くに居たから見れたかもな!!」

2人がこんなにも興奮しているのには理由が有る!!

読者諸君は『ハイエース』を動詞で使った事は有るだろうか?

例文としては「昨日遂にハイエースしました!!」などという風に使う。

ここでいうハイエースするは誘拐(幼女がメイン)の意で、さらに言うと西通りは小学校や幼稚園が集中している地域の為、凄まじくロリコンの妄想を掻きたてるシチュエーションなのだ!!

ロリコンと変態の会話はさらにヒートアップ!!

 

「なぁヤケ!!ハイエースで思い出したんだけど、この前の漫画の『小さな宝箱』の続編無いのか!?」

 

「ああ、あれか。来月発売予定だぞ」

 

「あ~早くよみたーい!!」

『小さな宝箱』とはハイエースされた幼女とハイエースした男の不器用な恋愛模様を描いた作品である。

お互い両思いに成るも、警察が迫り二人は離れ離れになってしまうと言う何処か物悲しいラストである。

オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー

 

「ん?天峰、メールだぞ?」

 

「そうらしいな」

着信音に気が付いた八家促され、天峰が今来たメールボックスを開く。

(そう言えば朝の奴も読んでなかったな)

やはり二通とも卯月からで、朝のメールは今日話したい事が有る事。

今来たメールはその話の為に、昼休みに校舎裏まで来てほしいとの胸だった。

 

「誰からだ?」

 

「ん?卯月、昼休み会ってくる」

それだけ言うと八家は何かを理解した顔でうなずいた。

 

 

 

Time limit 03:29:09

 

 

 

昼休み、食事をすませた天峰が卯月の待つ校舎裏へと向かって行く。

卯月はもう既に待っていたようだった。

 

「よう、朝は悪かったな。で?俺に言いたい事があるんだろ?最初に言っておくと昨日の夜は特に何も――」

 

「昨日の事はいいわ!!そんな事より私――『オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー オニイチャンワタシヲカワイガッテニャー』」

 

「あ、ごめん。メール来た……構わず続けてくれ」

 

「いや、良いわよ。先にメール見なさいよ……ってか、マナーモードにしておきなさいよね!!」

 

「いや、このカワイイ着信音が聴けないのって嫌だし……」

そう言いながらメールを開く。

 

「ッ!?……マジかよ……」

内容を読んだ天峰が固まり目を大きく見開く。

 

「卯月!!すまない話はまた今度だ!!」

その言葉を言いの残すと何処かへと走って行った。

 


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