リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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かいてたら、少し長くなりました。
言い切り具合がなかなか見つからない……


死なない程度にがんばってね

Time limit 49:50:22

 

 

 

 

 

天峰のライフワークである。

幼女ウォッチも終了し、再び授業が始まる。

退屈な時間だが、学生の身分だ受けなくてはいけない。

入って来た教師が授業を始める。

 

「え~であるからにして、一度『丹田』の言うへその近くにある場所にスピリチュアルを溜める事によって……」

教壇では先生がスピリチュアルパワーに付いて説明している。

実はこの学校ではスピリチュアルなパワーで戦う戦士を育成している。

……という事は全くなく、週一で特別授業という形でそれぞれ勉強以外に知っていると役立つ物事を教えてくれると言う、《《先生によっては》》有意義な授業である。

 

では、現在天峰の受けている授業の講師、城山 最(しろやま さい)はどうだろうか?

彼が教えているのは、先ほども言った様にスピリチュアルなオーラの使用方法。

コアなファンがいるようだが、正直言って素晴らしく詰まらない!!

因みに城山先生は、生徒間で変態教師四天王と呼ばれている人間の一人である。

ぶっちゃけるとこの授業……ハズレである!!!!

 

天峰は自身の頭の中で「ふっ!!俺の事見てるんだろ?解ってるぜ?」と思考を読まれた時なために必要のない妄想を始める。

 

「――では幻原君、実際にオーラを溜めてみてくれ」

ボーッとしていた天峰を、城山が指名する。

 

(うげぇ!?いきなり当てられた……)

殆ど授業など聞いていなかった為、一瞬激しく躊躇するが仕方なく形だけでもやってみる事にした。

 

(たしか……こうやってた……カナ?)

へその下に力を込めながら深呼吸を繰り返す。

 

「おおぉう!?すばらしぃ!!どんどんスピリチュアルなパワーが溜まっていくぞ!!天才!?キミは天才なのか!!」

城山が激しく反応し、天峰をほめたたえる!!

しかし、何故か全くうれしくない!!

 

(いや、むしろ恥ずかしい様な……)

 

「どうした!?オーラが乱れているぞ!!集中だ!!集中するんだ!!」

天峰の心の中の葛藤を知らない城山は、天峰に激を飛ばす!!

 

「あの……先生?何時までその、溜め続ければ――」

 

「馬鹿者!!オーラを溜めている最中にしゃべるんじゃない!!空気中の酸素とオーラ同士が反発して爆死するぞ!!」

『爆死』の単語を聞いた他の生徒までもが、ざわめきだす。

延々と無言でオーラを溜める天峰と、それをアツく賞賛する城山!!

教室は完全にカオス空間となった!!

 

(ふ、うええ……正直泣きたい……)

授業時間終了まで、天峰は無言でオーラを溜め続けた。

 

 

 

チャイムがなり、天峰はやっと謎のオーラ地獄から解放された。

心労に効く薬(幼女)の補給とトイレで用を足したいと思い立ち上がるが……

そこに近づくは城山の影!!

 

「やあ、天峰君先ほどのオーラ、実に見事だった。そこでどうだね?私の顧問するスピリチュアル・オーラ部に入らないかい?」

にっこりと誘うように天峰を部活に勧誘する。

 

「(え……部活あるの?ってか、絶対入りたくないし……)謹んでお断りします」

 

「ふふ、そうだろ?是非ともこの部活で……え?」

天峰が断ると思っていなかったのか、城山は一瞬理解できなかった様だった。

 

「天峰君、君は自分の才能に気が付いていないのだよ?君の力なら即戦力だ!!いや、戦力どころではない!!君が私の元で訓練を積めば全国制覇も夢じゃない!!」

先ほどまでの余裕の態度は消え、天峰を懸命に自分の部活に誘いはじめた。

 

「(大会まで有るのか……しかも全国)スイマセン、やりたいことが有るので……」

再度天峰は、城山の言葉を突っぱねる。

 

「頼む!!どうか、どうか私のオーラ部に入ってくれ!!君は10年、いや50年に一度の逸材だ!!学生時代私はオーラを溜めるスピードが足りなかった……しかし君なら……君とならば全国の強豪たちと戦えるんだ!!」

そして遂に城山た生徒の前だと言うのに、土下座を始めた!!

リアルで見るのなかなか引く物がある。

 

「(ええ!?どうしよう……流石に断れる雰囲気じゃないよな……)解りましたよ。俺、入部します……」

何処か諦めに近い境地で、天峰がしぶしぶ城山の言葉にうなずく。

 

「本当か!?ならさそっく今日から……は器具が無いから無理か……明日だ!明日から早速練習だ!!」

そう言い放つと、凄まじくご機嫌で城山は帰って行った。

その時、鳴り響くのはチャイム!!

残念!!天峰の休み時間はここで終わってしまった!!

 

結局トイレに行けなかった天峰は、何とか次の授業を受け切った。

そんなこんなですべての授業は終わり……

時は放課後となった。

 

 

 

「なぁ~ヤケ~一緒にかえろうぜ?」

一人での帰宅はさみしいため、自身の友人の一人に声をかける。

 

「ん?ごめんな天峰?帰りたいのはやまやまなんだけど……今日部活なんだよ、それに帰りに買いたい本も有るし、結局夜近くまで忙しいんだよ、ごめんな?」

そう言って八家は両手を合わせ、拝むように謝る。

 

彼の名は野原 八家。

男子の中ではやや低めな身長と、かわいらしい系の顔。

物腰も柔らかくいかにも人気者と言ったプロフィールだが、彼には大きな欠点が存在する!!

それは!!彼が自身の欲望に忠実すぎる事!!

授業の合間の、成人向けラノベは当たり前。

コンビニも成人コーナーはには毎日通い最早顔なじみで、おおよそに入荷状況を頭の中で検索できる。

一節では10万3000冊の本を頭の中に抱えているとも言われ。

挙句の果てには……『俺最近SMにはまってて……プレイで使える様に椅子が欲しいんだよね』と言って技術部に入部した(本人曰くこれだけで終わるつもりは無く、次は自作にエロイラストを描きたいから、絵画部に入る予定らしい)。

彼の女性への飽く無き探究心は他の追従を許さない!!

 

「そっかぁ……ヤケも大変だな……ま、死なない程度にがんばってね」

それだけ話すと天峰は、駐輪場の自身の自転車に向かって行った。

 

 

 

 

 

「あ~……なんか暇だな……適当に駅前のゲーセンでも行こうかな……」

校門を抜け、愛車を走らせながら不意にそう思いつく。

どうせ家に帰っても暇なのだ、問題は無いと家の方向でなく駅前に自転車の前輪を向ける。

 

数十分後

天峰は駅の裏の駐輪場に居た。

駅前は人通りが多く、自転車を路駐すると注意される事が多い。

かと言って僅か1時間ほどの駐車に、一日分の現金を払って止めるのも馬鹿らしい。

そのため、天峰は駅の少し離れた裏にある無料の駐輪場を使っている。

駐輪場と言っても、橋のしたの為薄暗く、お世辞にもきれいとは言え無いし、管理人無し、保証無し、さらに言うと屋根まで無しのナイナイ駐輪場だ。

そんなところで少年の声がする。

 

「ねぇ!僕君に一目ぼれしちゃったよ!!一目見たときから君の事が大好きなんだ!!僕と付き合ってよ!!」

先ほども言った様に、汚い自転車の駐輪スペースで言う台詞ではない。

 

天峰は一気に不快な気分になった!!

(マジかよ……こんな所で告白すんなよ!!もっとムードの有るところでイチャ付けよ!!)

非リア充天峰に嫉妬の炎が燃え上がる!!

心の中ではエンドレスで振られろコール!!

更に世の中の厳しさを教えるため鬼の形相で、声のした方を見る!!いや、睨む!!

 

だが、その相手を見た瞬間天峰は息をのんだ。

会話している二人は明らかに自分より年下だった!!

一人は真新しいブレザーの制服の少年、おそらく中学生になりたてだと思われる。

問題はもう一人の方だった。

 

青いスカートの黄色い帽子、背負うのは真っ赤なランドセル!!

間違いなく小学生!!

そう!!この中学生、目の前の小学生を口説いていた!!

 

「あの、いえ……そんなの困ります、私お付き合いなんて、考えた事も……」

小学生女児は、震えた声で何とかそう応える。

もともと引っ込みじあんなのか、震えている様にも見える。

 

「ええ!?マジで?こんなに可愛いのにぃ?なら余計に付き合ってみない?折角だから大人の仲間入りしようぜ?」

何処かマセタ中学生がさらに小学生女児に詰め寄る。

相手の、気弱な性格にこのまま押せば何とかなると思った様だ。

 

「そんな……私どうしたら良いか……」

「大丈夫だって!!俺達の本能に忠実に生きてれば何とかなるって!!」

 

(はぁ~なんで中学生って頭の中ピンク一色なんだ?手を出さない分ヤケの方がマシだな……)

そんな事を考えながら天峰の足は、いつの間にか二人の方向に向かっていた。

 

「おい、そこの青春ボーイ。自転車停めるの邪魔だ、のけ」

自転車を引きながら、二人の間に入る。

 

「なんだよお前!愛の語らいの邪魔すんなよ!!」

中学生が威嚇してくる、後先考えない怖い物無しだ。

そのリア充チックな言葉が天峰をキレさせた!!

「ああ!?んな事余所でやれ!!というかお前らは大人しく漫画やパソコン画面の彼女と仲良くしてろ!!」

天峰が一喝!!しかしこの少年も怯みはしない!!

 

「なぁにぃ!?台名(だいな)中の蒼い火の鳥(ブルーエンペラバード)と呼ばれた俺にケチつけようってのか!?」

 

「ぷッ!ブルーエンペラーバードって……リアル中二かよ……ププ……」

思いがけない中二発言で、思わず天峰が笑い出す。

「野郎!?ぶっとばすぞ!!俺の実力見てせてやる!!」

そう言うと同時にリアル中二が謎の構えをする。

右手は上に、左は下にし両方の指を広げ曲げる。

 

(あれ?あの構えどっかで見たぞ?なんかの漫画だよな?)

そう思いながら謎の構えを観察し始める。

その最中も、リアル中二は小学生を方をチラチラ見ている。

どうやら、天峰を倒していいところを見せたいらしい。

 

「ソイヤー!!」

中二男子が、謎の掛け声と共に跳びかかってくる。

(さぁて……ドウすっかな?

①容赦なく殴る

②とりあえず出来る限りバイオレンス

③自転車で轢く……どれにしようかな?)

天峰がどれにするか迷っていた時。

ドス!!っと鳩尾に衝撃!!さらに金的!!

容赦ない急所2連!!

 

「うお~……マジかよそのコンボは反則だろ……」

鳩尾と金的!!ダブルの痛みに天峰がしゃがみこむ!!

 

「どうだ!!蒼い火の鳥(ブルーエンペラバード)の実力思い知ったか!!」

中二男子が勝ち誇る!!

そんな中で……

「止めてください!!」

小学生女児が天峰を庇う!!

 

「何言ってんだよ?コイツは俺を馬鹿にした、侮辱罪だろ?殴っていいはずだろ?」

あまりにお粗末な勝手な法律を口に出す。

今まで震えていた小学生女児の瞳には、強い意志が宿っていた。

そしてその意志を持って明確に否定する。

 

「私、暴力も暴力を振るう人も大っ嫌いです!!やめてください!!」

彼女の言葉に駐輪場の空気が変わった。

 

「あ、ああ!!そうかよ!!せっかく優しくしてやったのによ!!」

そう吐き捨てると、中二男子は駐輪場から逃げて行った。

 

「あの……大丈夫ですか?」

さっきまでの強い意志は消え去り、再びおどおどした口調で天峰に小学生女児が手を差し伸べる。

天峰はそう話す彼女に心配をかけない為、なるべく優しい声で返事をした。

 

「うん、なんとか大丈夫だよ。君こそ怪我はない?」

天峰はその時初めて薄暗い駐輪場の中で、初めてしっかり小学生女児の素顔を見た。

 




自分が中二病の頃の名前って覚えてます?

ダーク○○とか、デビル○○とか多いんじゃないですか?

え?私?今も昔もホワイトですけど?

最近ラムが付いた……

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