ロリコニウム補給完了!!
今の俺のテンションはアドレナリンMAX状態並みに高いぜ!!
コレはほんの少し前の義理の兄妹達の会話……
「あ~、なんか小腹が空いたな……アレでも食べようかな?」
小腹を空かした天峰は、戸棚の奥から一つの缶詰をとりだし、マヨネーズをかけ食べ始める。
「うん、このチープな味が偶に無性に食べたくなるのはなんでだろう?なんでだろ~?」
少し前の流行った芸能人のネタを言いつつ箸を進める。
「……天峰……それ何?」
偶然台所に入って来た夕日が、天峰の食べているものに興味を持った。
はじめて見るのかまじまじと天峰の手元を見ている。
「あれ?夕日ちゃん知らないの?コレは(ロリ)コンビーフって言うんだよ?少し食べてみる?」
そう言って自身の箸の先に少量摘み、夕日の口元に持って行く。
「コンビーフ?……おいしい……もっと頂戴」
はじめて食べた食材に夕日は若干興奮気味だった。
「いいよ、ほら俺ので良ければ全部上げるよ?」
そう言ってコンビーフを全て夕日に差し出す。
「ありがと……今度……私の……料理食べさせてあげるね……」
「うん!!楽しみにしてるよ!!」
それを聞き上機嫌で天峰は自分の部屋へと戻って行った。
その後、夕日に食べさせた箸を使えば間接キス出来た事を思いついた天峰が、非常に残念がるがそれはまた別の話。
時と場所は変わり……
「それではみなさーん!!午後の部。第一競技は料理対決ゲド!!
制限時間は2時間!!料理を食べる審査員は料理が運ばれ次第食べていただくゲド!!
それぞれ得点がもらえ、上位2チームが点を獲得するゲド!!
それでは……準備が出来次第、スタートゲド!!」
モニターに時間が表示され、外道の声が会場中に響いた。
「次は料理か……マジでボーノレなんでもアリの戦いなんだな……」
競技の内容を聞き天峰は呆然とする。
そうしている間にも他のメンバー達は何を作るか話し合っている。
「まどかちゃんは料理が――」
「出来ませんわ!!」
「――わぁお!!バッサリ!!」
八家の言葉をまどかがあっさり不可能と答える。
何故かドヤ顔で……
「この中で料理経験のある人は?」
天峰が他のメンバーを見回す。
残念だが天峰自身、全く料理が出来ない訳ではないが得意とはお世辞にも言えない。
「……そう言えば、藍雨ちゃん前にハンバーグとか作ってくれたよね?」
「一応出来ますけど……あれは殆どお母さんがやってくれた物なので……それに他の人と戦って勝てるかはまで、解りませんよ?」
天峰の言葉におずおずと自身なさげに話す藍雨。
このメンバーの中で生活能力が最も高いのはほぼ、間違いなく藍雨である。
アテが外れた天峰は頭を抱えた。
「……天峰……私がやる……」
そんな天峰に夕日が自身ありげに名乗り出る!!
そしてメンバー内からワッと歓声が起きる。
「坂宮先輩料理できるんですか!?」
「おおー!!夕日ちゃん天峰に料理とか作ってあげてるの?」
「流石ですわね!!褒めても良いですわよ!!」
藍雨、八家、まどかが夕日を褒め始める。
「……要るモノを……リストアップする……どこかで買ってきてほしい……」
三人に褒められて気を良くしたのか、夕日が誇らしげに話ながらメモを書く。
「よっしゃ!!買い出しは男衆に任せろ!!ロリーズは必要な食器を準備しておいてくれ。行くぞ天峰!!」
「お、おう……」
八家に手を引かれ天峰と二人で、近所のスーパーまで走る!!
「しかしまぁ……夕日ちゃんが料理できるなんて知らなかったな~。ってか天峰なんで素直に夕日ちゃんを指名しなかったんだよ?」
スーパーのカゴを手に八家が天峰に尋ねる。
しかし天峰は浮かない顔をしている……
「ヤケ……俺、前に一回夕日ちゃんの料理食べた事有るんだけどさ……」
「おお?惚気か?それとも『夕日ちゃんが食べたい』とか言っちゃったクチか?」
ニヤニヤと楽しそうに買い物カゴにたまごを一パック入れる。
「いや惚気とかじゃなくて……おにぎりだったんだよ……砂糖で握った……」
「え?」
天峰の言葉に八家が動きを停止させる。
「ま、まぁ?誰でも一回くらい失敗する事も――」
「失敗じゃない……失敗じゃなかったんだよ!!夕日ちゃん砂糖入りのおにぎり喜んで食べてたんだよ!!」
「え、ええ~!?ちょ、ちょっとヤバくないか?ナニ?夕日ちゃんって味覚オンチ?」
まさかの情報に八家がさらに驚く!!
そう!!夕日には実は圧倒的な欠点が存在する!!
それは彼女が壊滅的な味覚を持っている事だった!!
通常の料理はおいしく食べる事が出来るのだが……彼女は謎のアレンジをしてしまう!!
しかも本人はそれをおいしくイタダケル!!
夕日の料理によって天峰、天音の両兄妹がノックダウンされたのは天峰にとっては最近の(砂糖が使って有るのに)苦い思い出である!!
「ま、任せたらやばいんじゃ……」
「もう遅い……夕日ちゃんは止められない……さぁ……残りの材料を用意するぞ……」
そう言って天峰は八家にメモの内容を見せる……
「……!!マジか!?……一体何を作るんだよ……」
メモの内容を見て八家が絶句した。
同時刻、会場にて……
夕日は鍋にお湯を溜め、さらにあらかじめ用意されていた白米を炊いていた。
夕日は楽しそうに鼻歌を歌いながら、道具の準備をしている。
「~♪」
「あ、あの……坂宮先輩?」
「庶民?その道具は……おかしくありませんか?」
「……♪……問題ない……あはッ」
藍雨とまどかが夕日の持つ道具に疑問を呈す。
最早説明するまでは無いだろうが、夕日の手にはいつものカッターナイフ!!
くるくると手の中で、刃を出した状態のカッターを回す。
近くに会った紙を丸め、空中に放る夕日、そしてそれを手のしたカッターで真っ二つにする!!
「あはは!!……なんだかぁ……楽しくなって来たなぁ~」
チキ、チキチキ!!
手にしたカッターまでもが、うれしそうに唸り目の前の紙をバラバラに切り刻む!!
「今日は……久しぶりにぃ……お肉が刻めるよぉ?アハ!!あははっはは!!」
チキチキ!!チキチキチキチキ!!チキチキチキチキチキ!!
夕日の狂喜の笑い声とカッターの刃が、うれしそうに擦れる音が天峰達の調理台に響いた!!
因みに暫くして帰って来た天峰によって停止させられました。
30分後……
「ゲドゲド!!最低調理時間は終了したゲド!!完成したチームは料理を持ってくるゲドよ?……完成して無いチームはまだ時間が有るゲド!!タイムアップまで頑張るゲド~」
外道がアナウンスをする。
完成してすぐに料理を出す必要は無く、時間以内なら自由なタイミングで出せる様だ。
早期に出せば後続に料理達によって、相対的にインパクトが薄れる。
逆に後期に出せば、印象は残りやすいが審判の空腹感が少なく、おいしさを感じさせにくい。
料理を出す時間も重要と言えるだろう。
そんな中で夕日は……
「やっと……時間……持って行ってほしい……」
「わ、解ったよ……行ってくる……」
彼女が選んだタイミングは何と超早期!!
チームによっては完成してすら居ないのに、料理を出そうとしている。
審査員席に料理が運ばれる。
「むむ?コレは……」
「悪くないんじゃないか?」
「私の好物だな」
三者三様の反応。
夕日の作った料理はラーメン!!生めんタイプの醤油味!!
しかしインスタントタイプと侮るなかれ!!
茹で卵や炒め野菜、さらに厚切りのチャーシューなど随所に、手が加えられている!!
ずるずると食べていく審査員達。
しかし……
「まぁこんなモンか……」
「悪くは無いんだけどね~」
「うまいな……もう一杯無いか?」
最初こそは手早く食事をしていたが、すぐに箸が止まってしまう。
やはりインスタントと言う壁は分厚かった様だ……!!
「……ごはんと……温たま……」
だが!!夕日の料理はまだ終わっていなかった!!
最期の足掻きとばかりにライスと温泉卵が渡される。
もちろん使い方はスープの中にインしてラーメン雑炊にする事!!
このラーメン雑炊、意外と歴史が深く。
中世ヨーロッパでディクライン・ヴォルガーと呼ばれる品の良さよりも堅実性や実用性を重視する人種が現れ、彼らが好んだことから通称『デヴ食い』と呼ばれる食事法である。
*真っ赤な嘘です、読者諸君は信じないでください。
結局審査員達は最初の一皿で、空腹感が高かった事から全部食べてくれたが、あまりいい印象は持たれなかった様だ。
「夕日ちゃん……ドンマイ……次はきっと――」
「……何を……言ってるの?……目標は……達成した……」
気落ちしているであろう夕日を天峰が励まそうとするが、夕日は全く落ち込んだ表情は見えなかった。
天峰はこの時、夕日がなぜこんなにも強気でいるか理解できなかったが、答えは次のグループ、フリーダムソングズが中華飯を出した時に解った!!
「……ううん?なんだかイマイチ……」
「味が薄いんだよ!!」
「少し……私には油っぽ過ぎるかな?」
審査員達の反応が露骨に、悪くなっている!!
続く、志余束、園田家も良い反応はもらえなかった。
「えっと……夕日ちゃん何かした?」
疑問に思った天峰は夕日に遂に聴いてみる事にした。
それほどまでに彼女のさっきの態度は引っ掛かる物が有った。
「……簡単な事……何かを食べる時……最初においしく感じさせるには……味を濃くして油を増やす……」
へらへらと夕日がそう言って笑った。
彼女の話に依れば、人の好みは強すぎなければ基本的に油っぽい濃い味の食品を好む人種が多いらしい(ハンバーガーなどがその最たる例である)。
しかしその方法は同時に、薄味がわかりにくくなるというデメリットが有る。
夕日の作ったのは、くどくならない程度に油、調味料を増やしたラーメン!!
夕日の後に作った食品は強制的に、濃い味と油に成れた舌の為どうしてもパンチが足りなくなっているのだ!!
更に最後の雑炊で胃袋に料理を詰め込ませた。
この料理は美食ではなく、他人を陥れるための料理である!!
「えっと……すごいモノ作ったね……」
天峰が驚きながらも夕日に話す。
「おかあさんがいない頃……インスタントばっかりだった……から……覚えた」
自身の暗い過去の経験を夕日は語る。
しかしその言葉に昔の様な悲壮感は無く、夕日自身が未来に向かった歩いている事を天峰に感じさせた。
「そうか……うん……ありがとうね」
そう言って天峰は夕日の頭を優しくなでた。
しかし……
最期の組で結果は変化した。
「うまい!!美味いぞ!!こんなのは初めてだ!!」
「……イケるな……カップ焼きそばよりうまい!!」
「偶には和風もいいもんですなー」
審査員が絶賛するのは、ゴールデンストーンズの金平兄弟の五目御飯とトン汁!!
ご飯に薄らと味が付いたモノとトン汁だが、こちらは基本的にさっぱりとしたタイプで、味のくどさに疲れた舌を休ませる効果が有った!!
最期だというのに、審査員たちはどんどん箸を進める!!
その結果!!
「やったよ兄さん!!」
「もちろんだ!!この競技なら確実に取れるさ!!」
台の上で金平兄弟がお互いをたたえ合う!!
「……一位には……なれなかった…………」
「大丈夫さ、二位にはなったから」
敗北と言う苦い結果に夕日がうなだれる。
そんな夕日を天峰が支える。
「今日の負けは何時か返せばいいんだよ?」
そう言って優しい表情でゆっくり夕日を励ます。
「……いつか……
夕日は静かに情熱を燃やした……
次からは再び個人競技が始まる……!!
ふぅ……燃やし尽くしたぜ……
真っ白にな……
真っ白な灰だ……
だが!!不死鳥は灰の中から復活するぜ!!
ほほぅ!!