決してエタル気はないので待っていてください!!
何時もは全く人が寄り付かず「閑古鳥すら近寄らない」と散々馬鹿にされたフリーアグレッシブにタナトスの声が響く!!
「さぁて!!ご来場の皆様!おまたせしました!!遂に!!遂に!!豪華な空き地こと、ここフリーアグレッシブにすべてのボーノレ参加チームが集合しました!!!そうそうたる面々です!!さて参加チームの皆さん!!今日は日々の練習の成果を存分に発揮してください!!」
「ゲドゲド!!人生を無駄に浪費する皆様こんにちはゲド!!見れば見るほどどうしょうもない奴らばかりゲドねぇ!!こんなスポーツするくらいならデートにでも行った方がマシゲドよ?もっとも相手が居ればゲド!!」
同じく外道の笑い声が響く!!
天峰としてはなんでこんな奴が呼ばれているのか全く分からないが、他の参加者曰く「これが良い!!」「この外道節は外道さん以外に考えられない」など一部カルトな人気を獲得しているらしい。
《H&S連合》《ゴールデンストーンズ》《園田家》《フリーダムソングス》《天気屋》そして先輩たちが所属するチーム《志余束学園ボーノレ部》……今大会はこの6チームで優勝を争う!!
大会プログラムに従いすべてのチームがグラウンドに集合する。
開会のあいさつが市長から有るそうだ。
壇上に市長がのぼりマイクを調節する。
「えー、皆様こんにちは。ご存じこの街の市長を務めさせてもらっています……」
「カツラのズラ太郎ゲド!!裏金よりも頭のハゲを隠す方が上手な市長の鑑ゲド!!ゲ~ドゲドゲド!!」
突如市長の挨拶を遮り、外道の言葉が会場に響く!!
突然の事に市長、参加者共に唖然とする!!
「さぁ~て!!解説者特権ゲド!!スポーツマンシップに則ってプレーする事を宣誓するゲド!!」
その言葉と共に参加者全員の目付が変わる!!
「マイクを奪え!!」
誰かがそう叫ぶ!!それを始めとした様に次々と声が上がる!!
「おおおお!!!奪えぇえええ!!」「俺が!!!俺が宣誓するんだ!!」「じゃまだぁ!!」
会場の選手が一斉に市長の居る高台めざし走り出す!!
「え、ちょ!?み、みなさん!?なにごと……うわ!!」
市長が押し倒されマイクを奪おうとする選手たち!!
競技はもうすでに始まっている!!
第一競技『選手宣誓』!!
それはその名の通り「スポーツマンシップに則り~」で始まる宣誓の言葉で、運動会などの行事ではもはやお馴染みだがボーノレにももちろんそれは存在する!!
唯一の違いと言えば誰が選手宣誓をするか決まっていない事と、宣誓をした人のチームには得点が入る事である!!
「庶民!!行きますわよ!!」
まどかが天峰を叱咤する!!
「解ってるって!!」
『選手宣誓』は明らかに体力と体格がモノを言う勝負。天峰達のチームは必然的に天峰と八家がメインの戦い方になる。
「そりゃぁあああ!!」
掛け声と共に市長の持つマイクに向かって走り出す!!
「ああっ!!」
参加者の一人に押し倒され市長のズラとマイクが宙を舞う!!
「獲ったぞ!!兄さん!!」
コック帽とエプロンをつけた男(天峰の記憶が正しければ金平 牛だったか?)が壇上にいる自分と同じ顔(兄の人だと思われる)にマイクを投げ渡す!!
しかしそこで人が集中した中で軽快な声が響く。
「おおーっと!!そうはいかないんだよねー!!硝ちゃん!!お願い!!」
「了解」
恐るべきことに一人の少女が飛び上がった!!どうやら自分のチームのメンバーを足場にしたようだ!!
「キャッチ!!イェイ!!邪魔邪魔!!どいてよね!!」
そして少女 八咲 鈴菜はそのまま人をかき分け壇上を目指す!!
「おっと!!そうはいかんな!!園田と園田よ!!アヤツを捕獲するのだ!!」
何を思ったのかマントを装備した男、全体的におかしい方の園田がおかしくない方の園田と、どっかおかしい方の園田に指示を出す。
*園田書きまくってゲシュタルトが……
「りょーかーい!!」
「いや、全員園田だから!!下の名前で呼べよ!!」
園田二人組が鈴菜を押さえようと走りこむ!!
「無駄無駄ぁ!!私は二人程度には……止められないよ!!」
そう言って、鈴菜は圧倒的な身体能力で二人を回避するが!!
「うひひひ!!偶然触っちゃっても問題ないよね!!レッツ!!πターッチ」
そこに向かうは!!変態!!野原 八家!!
「うわぁ!!キモ!!」
容赦ない蹴りが八家にヒットする!!
「ふっ!!甘い!!これ位俺の業界ではご褒美だぜ!!」
良い顔で凄まじく恥ずかしい事を言い放つ!!
「女!!マイクを渡してもらうぞ!!」
さらにそこに山重がマイクを奪おうと走る!!
「え?邪魔だから」
「ぐぶぅ!!」
八家と同じく蹴りが山重を襲い、一撃で倒れこむ!!
「うわ、返してよ!!」
しかし山重の犠牲は無駄ではなかった!!
油断した鈴菜がマイクを落とす。
「よし!取ったぜ!!」
誰かがそう言って壇上にマイクを投げる。
最早誰がやったか関係なくメンバー達が壇上に殺到した!!
「……うわ……レベル高けー……」
半場呆然となりながらも天峰も壇上に向かう。
そして遂に!!
「選手……宣誓……ボーノレ始め……」
壇上で開会の挨拶がされる!!
「この声……夕日ちゃんか!!」
疑問を感じながらも、自分のチームの勝利を喜ぶ天峰!!
しかしそうではなかった!!
「ゲドゲド!!遂に決まった様ゲドね~。今回の結果は刻々 刻率いるフリーダムソングズゲド!!」
外道が勝者の名前を上げる!!
「へ!?夕日ちゃんじゃ……」
「天峰……私は……ここにいた……」
唖然とする天峰の後ろから夕日が声をかけた。
「え?え?だって今……」
混乱する天峰。
「声マネですよ先輩?」
後ろから藍雨の声がして振り向くが、そこに居たのは小柄な少年。
「はじめまして、刻々 刻です。声マネが得意なんです、今回はアナタ達のチームの声をマネさせてもらいました」
そう言って踵を返す。
先ほどの混戦、もはやだれが喋っているのかわからない。
おそらくだが、あの刻という男は各チームの声をまねて遠まわしに競技をコントロールしたのだろう。
体格ではなく頭脳を使ったプレイヤーの様だ。
「やりますわね……体格が向いていないからと言って……今の競技は油断しましたが……次はそう行きませんわよ!!」
去っていく刻の背を見てまどかは静かに闘志を燃やした。
え?なにか忘れてるって?さあ?知らないな~
「……おのれ……ボーノレ……め……私のズラを……」
「うわ~!!広ーい!!」
各チーム毎に分けられた控室に入るなり木枯が声を上げる。
フリーアグレッシブには全部で15もの選手用控室が存在し、その中には机と椅子、さらに作戦会議用ホワイトボード、個人用シャーワー、貴重品入れ、グラウンドを見るためのTVなどが備え付けられており、非常に豪華な造りになっている。
問題点を上げるならやはり使用料の高さと、数の割には肝心のグラウンドの整備が行き届いてない点か。
「ちょっと!!病み上がりではしゃぐんじゃありませんわ!!」
「おー……なんかすごいな……」
「あ!!DVD見れるぞ!!コンビニで暇つぶしになんかDVD付の本買ってくれば良かったな……」
「わぁ!!すごい!!なんだか緊張しますね!!」
「……そんな事……ない……」
天峰達天気屋のメンバーが順に入ってくる。
「おほん!!皆さんまずは開会式お疲れ様ですわ。残念ながら先手は他のチームに……聴きなさい!!」
まどかが皆の注目を集めようとするが、それぞれが勝手に動くためうまくいかない!!
「まぁまぁ……まどかちゃん落ち着いて、まだ始まったばっかりじゃない?」
天峰が気負ったまどかを落ち着かせようとする、がまどかは天峰の事など気にしない。
「何を言ってますの!?他のチームの出鼻をくじかれましたのよ!?」
ヒステリー気味に叫ぶ!!
その声にワイワイ騒いでいたメンバー達がぴたりと、騒ぐのをやめる。
「良いですか!!コレは勝負なのですよ!!勝たなくては意味が有りませんの!!『楽しんだ者、勝ち』という言葉が有りますが所詮それは敗者の戯言ですわ!!勝たなければ意味がないんですの!!」
たたみかけるようにまどかがそう言い放つ!!
「ふー……勝負の世界、ね……それってホントにイイの?」
やれやれと言った感じで八家がゆっくり立ち上がる。
「ねぇ?……えっと……天峰のハーレム要因3ちゃん?」
「ま・ど・か・ですわ!!なんですのハーレム要因って!!私の事馬鹿にしてますの!」
まどかが怒り狂う!!無理もないのだが!!
「ああ、ごめんごめん。負けて終わりってさ、馬鹿らしくない?俺はさ、絶対折れちゃいけない剣よりも、何度折れても直せる剣の方がすごいと思うんだ、何度でもってのがすごいよね?俺はそうなりたいんだ、たくさんの負けを知って、たくさんの勝ちを知って……その先にしかない物が有ると思うんだ」
ゆっくりと八家が語りかける。
その時放送が鳴り響く!!
「おまたせしたゲド!!第一競技の参加チームが決まったゲド!!『H&S連合』VS『天気屋』!!両チームはグラウンドに集合ゲド!!」
「さて……この話はまた後かな?天峰、行こうか?」
そう言って八家が立ち上がった。
なんか八家が恰好良くなってきた!!
キャラクターが成長しているのか!?