リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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そろそろ扇風機は仕舞おうかな?
と考えてる作者です。
こたつ、扇風機、うちわ、湯たんぽどれも季節の変わり目は
移動が激しい道具たちです。
こたつ出したいけど……まだ早いかな?
朝の風に寒さを覚えた作者です。



青春を賭けているんだ!!

時は進み再び放課後……

天峰はいつもの様にボーノレ部の部室に集まる。

「アレ?先輩どうしたんですか?」

山重と森林が非常に殺気立っている。

「幻原か……昨日まどかから挑戦を受けてな……」

山重が話している最中に扉が開いた。

「失礼しますわ!」

まどかが木枯を連れて部室に入ってきた。

「よく顔を出せたな?」

「はん!ワタシがあなた如きに(・・・・・・)怯えると思いまして?」

室内の空気が一気に重くなる。

(どうしたんだよまどかちゃん……大好きだった山重先輩にあんなこと言うなんて……)

昨日までは考えられなかった、まどかの態度に天峰は困惑する。

「まどかぁ……ホントにするの?」

木枯も不安そうにまどかを見ている

「ええ、もちろんですわ!さて、よろしいですかお兄様?」

「ルールは昨日そっちが言った通りでいいんだな?」

「ええ、ワタシ、まどか・ディオール・トレーディアに二言は有りません!」

堂々とまだかが啖呵を切る。

「先輩?まどかちゃん?ちょっと状況が読み込めないんだけど?」

天峰が状況を知ろうとおずおずと手を上げる。

「俺が話そう。まどかは俺達ボーノレ部に挑戦したいらしい、まどかが勝ったら俺はボーノレ部をやめる、俺が勝ったら何も言わずイギリスに帰って二度と俺の前に顔を出さない事が条件でな。いよいよ今週の日曜日に迫った全校ボーノレ大会、日本中からエリートボーノレプレイヤーが集まる!そこで雌雄を決する事になった!」

山重が天峰に宣言する。

それを聞いて天峰の顔が青ざめる。

「そんな!!まどかちゃん良いの!?日本に来れないってことは木枯ちゃんと会えなくなるって事だよ!?」

天峰の言葉にまどかがビクリと体を震わせる。

「そんな事ありませんわ!!ワタシが日本に来れなくても、出涸らしがワタシの居るイギリスにこればいいだけですの!!」

「もっと良く考えて!!木枯ちゃんが一人で飛行機に乗れる訳ないでしょ!?」

さりげなく失礼な天峰。

木枯が厳しめの視線で天峰を見ているが天峰本人は気づかない。

 

「も、もしそうだとしてもワタシは一向に困りませんわ!!だいたいセレブで知的なワタシには出涸らしなんて本来不釣り合いですの!向こうが勝手に友達面しているだけで、ワタシは友達と思ってすらいませんもの。ただ懐いてきたから相手してあげているだけですわ!!」

まどかがはっきりと言い放つ。

「まどかちゃん!!ソレ本気で言ってるのかよ……」

天峰自身の右手を左手で押さえながらまどかを睨みつける。

天峰は基本的に自分の怒りをあらわにしない性格だ。

しかし今は違った、怒りにまかせて拳を振ってしまいそうに成るのを必死でこ堪えていた。

「あ、アナタには関係ないですわ!」

天峰の怒りの表情に驚きながらも、すぐに何時もの調子を取り戻す。

「木枯ちゃんの気持ち考えた事ないのかよ!!」

天峰が遂にまどかを怒鳴りつける。

その言葉に最も反応したのはまどかではなく木枯だった。

「や、やめて、道案内さん……私の事は良いから、まどかを責めないで……」

何時からなのだろう?木枯の目には涙がたまっていた。

「私がバカだから悪いの!……まどかはすごいんだよ?いつも正しいんだよ?だからまどかを責めないで!」

ぽろぽろととめどなく涙が木枯の目から流れおちる。

「あ……」

全く考えもしなかった木枯の言葉に天峰の頭が真っ白になる。

「とにかくワタシは帰りますわ!アナタ達を倒すための練習が必要なんですもの!!」

そう言ってまどかは部室から逃げ出した。

「あ!まどかちゃん!!」

天峰が後を追おうとするが……

「待て!幻原!大会が近いんだぞ?まどかに構ってる場合ではないだろう!」

「そう言う事、練習が先でしょ?」

山重、森林の二人が天峰を止める。

「……追わなくていいんですか?」

天峰が先輩二人に振り返る。

「当たり前だ、相手は初心者だがベテラン上級者を金で雇って来ないとは限らない。俺たちはそれでも勝たなくてはいけないんだ」

「油断大敵ってやつだよね~」

練習しか頭にない先輩二人。

「女の子が泣いてるんですよ!!」

再び怒鳴る天峰。

「だからどうした?幻原!お前もボーノレ部の一員だぞ?大会で優勝したくないのか!?」

「泣いてる子を見捨てておいて何がボーノレだ!!何が優勝だ!先輩たちは大事な物が見えていない!!」

「大会で優勝以外に大切なものなどない!!いいか!!俺と森林はボーノレにたった一度しかない青春を賭けているんだ!!あんないやがらせ目的なんかと一緒にするな!!」

山重と天峰の意見が激しくぶつかり合う!

「まあまあ、幻原君もしげっちもそんなに熱くならないでさ?一回クールダウンしない?」

森林が助け舟を出す。

「森林先輩も良いんですか?」

「何が?大会の事?」

「木枯ちゃんの事ですよ……」

此処で森林は訳がわからないと言った顔をした。

「木枯?そこにいるけど?」

「友達と喧嘩したんですよ?泣いてるんですよ?なんないう事は無いんですか?」

「ああ、大丈夫。木枯は馬鹿だから夕飯食べる頃には忘れているよ」

あははと楽しそうに笑う。

 

その様子を見て天峰は。

「木枯ちゃん、もう帰ろう」

そう言って木枯の手を取る天峰。

「幻原どこへ行く!!まだ練習が……」

山重が止めに入るが天峰は全く意に反さない。

「すみません先輩、どうしても外せない用事ができたので……」

「おいおい?幻原君?」

「勝手に優勝でもボーノレでもやっててください。悪いけど今日は俺何言われても練習には出ませんから」

そう言って木枯を連れ学校を後にした。

 

 

学校近くの自販機に硬貨を入れてボタンを押す。

「木枯ちゃんミルクとレモンどっちの紅茶飲む?」

自分が買った二本のペットボトルを見せる。

「ミルク……」

木枯がミルクティーを受け取る。

「ねえ、木枯ちゃん。まどかちゃんの事だけど……」

「まどかは悪くないよ?私がバカだからいけないの!」

天峰の言葉を聞き終わらないうちから否定する。

天峰は昨日のリムジンの中から感じていた小さな違和感がやっと理解できた。

「木枯ちゃんにとってま、どかちゃんはヒーローなんだね?」

天峰は優しく木枯に聞いた。

一瞬木枯がキョトンとする、そしてゆっくり自分の首を縦に振った。

「そうだよ、まどかは私の憧れなんだ……家もお金持ちだし……賢いし…かわいいし、きれいだし、優しいし!カッコイイし!!勉強もできるし!!怖い先生や男の子にもちゃんと自分の考え言えるし!!!……私の事……ちゃんと見てくれるもん!!」

それは天峰が今まで見た中で、二番目に大きな感情の爆発だった。

「まどかはすごいんだよ?私じゃ言い表せないくらいすごいんだ!」

まるで自分に言い聞かせるように「まどかはすごい」を連呼する木枯。

「ねえ、木枯ちゃん。まどかちゃんがすごいのは解ったよ、けど木枯ちゃんは何時までもまどかちゃんに守ってもらってばかりでいいの?」

あくまで天峰は優しく木枯に聴く。

天峰はずっと違和感を持っていた。

木枯がずっとまどかの事ばかり言っている事に。

仲の良い友人ならある程度それはわかる、しかし木枯の行動は度が過ぎていたのだ。

 

木枯はまどかを自分の中で英雄視しているのだ。過去に何が有ったのかは知らないが木枯は周りから相手にされなかったのではないかと思う。

実の兄妹である新芽があの様子だ、天峰の予想は外れていないだろう。

自分をしっかり見てくれるまどかの存在は、木枯にとって欠かせないものなのだろう。

「それじゃいけないんだよ」

あえて天峰は厳しく言い放つ。

「支えられてばかりじゃダメなんだ。

それは友達なんかじゃない、一緒に支えるのが友達なんだよ」

「けどまどかは私の事友達なんかじゃないって……」

不安そうに聴く木枯。

「友達なんだケンカ位するさ、けど困ってるなら勝手に助けに行くのも大事な事だよ?さあ、一緒にまどかちゃんの所に行こう。そんでもって二人をバカにした先輩たちの鼻をあかしてやろうぜ?」

天峰はいたずらを思いついた子供の様に笑った。

その笑顔がなんだかうれしくて。

「もちろん!木枯様は負けないのだ!」

木枯は元気に頷いた。

 




泣いてる子を慰めたい……
泣きながら抱き着かれたい……
よしよししてあげたい……
その子の希望になってあげたい……
そしてその子が本当に困った時に……
下種な笑い方で裏切りたい!
「その絶望がみたかった~」
と言って笑いたい。

嘘です、そんな外道じゃないです。
やめて!逝ッテイイヨーしないで!!
下種なキャラって大変だな~と書いてて今回思いました。
クズなキャラをもっと上手く書きたいな。

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