大丈夫かな?
非常に心配な作者です。
「おお……こいつは凄いな……」
まどかの屋敷に入ってから、もう何度も同じ言葉を繰り返している気がする。
天峰の目の前には非常に豪華な食事が並んでいた、豪華と言ってもステーキや伊勢海老などの庶民にとっての豪華ではない!
天峰が見た事も聞いた事もないような、ひたすらに豪華な食事!
流石の天峰も自分の場違い感を感じ取り、食事に手を付ける事を躊躇してしまう。
しかし……
「むぐむぐ……まどか~マヨネーズとって~」
いつもと同じく、非常におっとりした様子で木枯は食べ続ける。
(木枯ちゃんって肝が据わってるな……将来この子大物になるかも……一部もう大物だけど……)
ここに来ても煩悩を失わない!天峰もある意味木枯と同族!
「木枯様どうぞ、特製マヨネーズです」
運転手の佐々木(正確には仕事は兼用でこの館の責任者らしい)が現れマヨネーズを机の上に置く。
「お~!佐々木さんありがとー!」
木枯が料理にボドボドとマヨネーズをかける、かける!まだかける!
高級料理がマヨネーズの魔力によって一気にB級グルメチックな見た目に早変わり!
「ちょっと!?出涸らし!掛け過ぎじゃありませんの!?」
圧倒的なマヨネーズの存在感にまどかが怒声を飛ばす!
「だってぇ、おいしいんだもん」
最早黄色くなった料理を口に運ぶ!
「太っても知りませんわよ?」
まどかがチキンをナイフで切りながら口に運ぶ。
おそらく同じ料理だったのだろうが、全く違う料理に見える現実!
「ん~、太るのは嫌だな~けどもうちょっと胸にお肉は欲しいかも!わたしナイスバディになるんだ~」
コロコロと楽しそうに笑う木枯!そして逆に修羅の様な顔になるまどか!
コンプレックスクリティカル!
「あ、アナタはもう十分でしょ!?ワタシに少しくらい分けなさい!」
怒りの形相!
(んー、確かに平均より小さいか……イヤ、木枯ちゃんの方が大きすぎるんだ……)
二人の胸を見比べ、残酷な現実を直視してしまった天峰!優しい瞳でまどかの方を見る!主に胸を!
「まどかはまだまだこれからだよ~」
慰めるように木枯がまどかを励ます。
「ええ、そうですわ!ワタシが出涸らしなんかに負けるはずありませんもの、ワタシだって、ワタシだって成長期が来ればすぐにの位!」
魔法の言葉!成長期!この言葉を唱えれば身長などの悩みが一気に吹き飛ぶ!……気がする、たぶん、おそらく、きっと……
(うーん、まどかちゃんにとって胸は禁句か……夕日ちゃんの前例が有るからな……気をつけよ……)
すっかり置いてきぼりの天峰!最早妄想世界に半分トリップ!
そして食事は進み……デザートのクリームブリュレ(意識高い)を食べ終わった天峰達。
「ふわ~もう食えない……」
豪華な料理でいっぱいになった腹を抱える。
「そう、満足いただけたかしら?もう少ししたら佐々木に家まで送らせますわ、これをお持ちになって」
そう言って一枚のカードを天峰に渡す。
「これは?メアド?」
「そう、ワタシのメールアドレスですわ。忙しい時は電話に出られませんけどメールなら気が付いた時に読めるでしょ?」
「あ、ああ。ありがと、もらっておくよ」
そう言ってカードをズボンのポケットに入れる。
(お?これって遂にまどかちゃんがデレたか?なんにせよアドレスゲットだぜ!)
「なにニヤニヤ気持ち悪く笑ってますの?」
「いや~連絡先くれるなんて、うれしいなーって思ったからさ」
素直な自分の気持ちを言ったのだが……
「アナタ、まさかロリコンですの?正直引きますわ……」
天峰から身を守るように距離を取る。
(しまった!遂にボロが出たか!!何とか取り繕わないと!)
「……い、いやだなー。そんな事有る訳ないじゃないかー、なんだかお嬢様のまどかちゃんと知り合いになれて、うれしいだけだよ?」
明後日の方を向いて誤魔化す天峰!
「……なら良いんですけど……」
いまだにこちらを怪しんだ目で見るまどか!視線が痛い!
「ど~したの?」
トイレに行っていた木枯が再び部屋に帰ってきた。
「今、この庶民にロリコン疑惑が浮上した所ですわ」
まどかが気にした様子もなく天峰を指さす!
「ん?ろりこんってなぁに?」
聴いたことのない単語だったのか、首をかしげる木枯。
(そうか……この子はホントに無垢な子なんだな……無知シチュって萌える!)
無垢な子を脳内で剥く天峰!コイツは無垢な精神とは程遠い!まさにガチロリコン!
「ロリコンっていうのは、幼い子供が大好きな異常性欲者の事ですわ」
加減を知らぬ!まどかの言葉のナイフ!
天峰に大ダメージ!
(や……やめろよ……異常性欲者とか言われるとガチでへこむ……)
「小さな子が好きなの?」
「そうですわ、気を付けないとアナタも襲われてしまいますわよ?」
「ちょっと待って、{も}ってなに?{も}って、前科があるみたいに言わないでよ!?」
危うく犯罪者にされる天峰!YESロリータNOタッチの精神が無ければやられて居た!
「ん~?そうだ!道案内さんこっち見て!」
無邪気な声で天峰を木枯が呼ぶ。
「ん?なんだい?」
状況が芳しくない状況!自分の無罪を証明する紳士の心を一瞬にして精製!
そのまま仏の様な顔で木枯の方を見る!
「じゃ~ん!」
目の前にあるのはパンツ!
木枯がスカートをたくし上げて笑っている!
先ほどの様にパンツが降臨!
紳士の仮面が一瞬にして吹き飛ぶ!
「木枯ちゃん!?何してるの!?」
危険(社会的な)を感じ目をそらす!そらしたくないのが正直な気持ち!
(オイ、今何が有った?パンツだ、パンツが有ったぞ!ロリのパンチラだ!マジプライスレス!そうか!再び来たかこの瞬間!ラノベのお約束!不自然なパンツ!俺この主役やってて良かった!神様ありがとう!)
恍惚の天峰!幸せいっぱい!パンツいっぱい!
「何ニヤニヤしてますの?」
その夢を止めるのは冷酷なまどかの一言!
「に、ニヤニヤなんてしてないよ?」
再び必死に取り繕うが……
「出涸らし!気を着けなさい!コイツ本物のロリコンですわ!」
無常なジャッジ!
「え~?でも私のパンツから目をそらしたよ?ロリコンさんって子供好きならずっと見てるハズだよ?…………アレぇ?でも私から顔をそらしたってことは、私魅力無しってこと!?道案内さん!私の事嫌いじゃないならこっち見て!」
木枯が慌てて再び自身のスカートをめくる&走る!
「イヤ、ちょっと待って!?」
非常においしい状況なのだが!後ろのまどかが通報しそうなのでさすがに回避する必要がある!身体を捻った時まどかとぶつかる!
「キャ!」
「あぶな!」
天峰は転ばないように何とかまどかを抱きかかえる。
「ふーセーフ」
ホッと息を吐く天峰。
「さ、佐々木ー早く来なさい!庶民が!庶民が野獣の本能を覚醒させましたわ!た、助けなさい!」
耳をつんざくまどかの悲鳴。
「およびでしょうか?お嬢様?」
天峰のすぐ後ろで声がする。
「さ、佐々木さん?何時の間に?」
背中に何か固いものが当たる感触を感じる天峰。
「私は御当主様よりまどか様を守ることを言いつけられております、これ位出来なくてどうします?」
「は、はは。仕事熱心ですね……」
ゴリゴリと動く背中の固いモノを感じながら、天峰は乾いた笑いをもらす。
「さあ、夜もだいぶ更けました。そろそろお送りいたしましょうか」
佐々木が非常に穏やかな声で話す。
「あ、あの世にですか?」
非常にびくびくしながら聴く天峰。
「ホッホッホ!まどか様の友人は実に個性的でユーモラスが有りますね!」
佐々木が笑い出す。
「佐々木!この変態庶民と出涸らしを送っていきなさい!自転車も忘れないように!」
まどかが佐々木にそう命令する。
「解りました、お車を用意いたしますね」
そう言って佐々木は部屋の外に出て行った。
次回は少し時間が空くと思います。
読者の皆様ご了承くださいませ。