リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

36 / 102
デットヒート!バースト!
「さぁーて、どうなっても知らないぞぉ?」
今回は暴走気味です……



誰か俺を殺してくれ!

山重が負傷し、部活動は早めにお開きとなった。

「帰るか……」

トボトボと一人で歩いて帰る天峰。

(まどかちゃん大丈夫かな……山重先輩にすごく憧れが強かったからな……)

何処かつらそうな表情をしていたまどかを思い出し心配する。

「いやな天気だ……一雨来るかな?」

天峰の精神を現したような、曇天の空を眺めながら歩く。

「……み…!」

「雨といえば……藍雨ちゃん昨日誰と話したんだろ?」

昨日藍雨は校門で待っているとき、友達と話したと言っていたのを思い出す。

「ま……て!……峰!」

(まさか……男友達じゃないだろうな!?もうすぐ中学生になる男子はまさにケダモノ!何も知らない純真無垢な藍雨ちゃんにクラスメイトが集まって……R18な展開になるんじゃないか!?)

ずれ始めた天峰の思考!

「待……て!天峰……」

(イカン!このままでは藍雨ちゃんがケダモノ達の毒牙に!ゆ”る”さ”ん”!けど想像すると興奮しちゃう!ビクンビク……)

「天峰!」

「へ!?ぐぶぅ!?」

意識が現実世界に戻されると同時に鳩尾に衝撃が!

「や……やあ。夕日ちゃん……いま帰り?」

鳩尾を押さえながら天峰が目の前の夕日に話しかける。

「……私を無視しないで……」

夕日がしゃがんだ天峰を見下ろす。

と同時に蔑む視線!

「ごめんごめん。考え事しててね……」

無理やり笑顔を作る。

「天峰……何かあったの?」

夕日が心配そうに天峰の顔を覗き込む。

「いや、なんでもないよ、心配しないで」

夕日を心配させない為あえて笑顔を向ける。

「嘘……何か隠してる……」

「いや、隠してないって」

想像していたのはまどかのメンタルの心配と!

藍雨が襲われる妄想!

どちらも言える訳がない!

「ん……なら……実力行使……あー、あ~、あー」

突然発生練習を始める夕日!

天峰の頭の中に湧くはクエスチョンマーク!

「夕日ちゃん?いったい何して……」

不審に思う天峰!

その時夕日がほんの少し口角を上げる!

「お兄ちゃん、私の事どうする気なの?え!?うん、そうだよ……私実はお兄ちゃんの事が……す、好きなの……兄妹でこんなのって間違ってるけど、どうしても押さえられなくて……」

突然!

何時もの夕日からは聞く事が出来ないアニメキャラみたいな甘い声が響く!

しかも脈絡的には全く関係ない内容!

さらに混乱を極める天峰の精神!

「ちょ!?夕日ちゃんいったい何を……あ!ああああ!ちょ!?ちょっと夕日ちゃんやめて!そ、それ以上は!!」

天峰がとあることに気が付き夕日を必死に止める!

(なんで、なんで夕日ちゃんがそれを!)

天峰は先ほどの夕日の話したフレーズに覚えが有る!

(ま、間違いない!俺の部屋のエアコンの室外機の下に隠したエロラノベ!{ダンジョンで実の妹とナニをするのは間違っているだろうか}の一節だ!)

「ゆ、夕日ちゃん?いったいどこでそのフレーズを聞いたのかな?」

冷や汗だらだらで夕日に聴く。

この時点で先ほどの余裕のある笑顔はもうなかった!

そこにあるのはエロ本の隠し場所がばれた情けない男!

(神よ!どうか、どうか!バレてませんように!偶然本屋で読んだフレーズでありますように!)

神に祈る天峰!

神様もこんな願いには思わず苦笑い!

「天峰の……エアコンの室外機のした……」

死刑執行!

神は無慈悲にもロリコンを見殺した!

「おお……おおう、夕日ちゃんどうしてそれを知ってるの?」

探偵にトリックを見破られた犯人はこんな気分なのかもしれない……

崖に飛び降りるのは天峰だけだろうが!

「……ハイネと……お母さんが……『兄貴の性癖を知っておいた方がいいよな!ほらアイツが隠してる奴全般!』って……言って貸してくれた……」

衝撃の真実!

「うおおおおおお!誰か俺を殺してくれ!」

天峰は頭を抱え泣き出した!

「……本当にイチコロ……」

夕日が自身の力に驚く。

「夕日ちゃん……俺との約束だ……頼むからハイネと母さんのいう事は真に受けないでくれ……」

「……うん……解った」

暫く歩と少しずつ天峰の心の傷もふさがって行った。

「ねえ、夕日ちゃん」

「……なに?」

傷がふさがると新しい欲求が湧き出てくる!

(あの内容って、ある意味恥ずかし本を読ませるシチュエーションだよな!?ある意味男の夢の一つなんじゃやねーの?俺ある意味幸せなんじゃねーの?)

状況を理解し再構築!

不死鳥のように蘇る天峰!

汚すぎる不死鳥!

「天峰……顔が赤いし……呼吸が荒い……大丈夫?」

夕日が心配し顔を再び覗き込む。

「ああ、大丈夫さ夕日ちゃん、そんな事よりさっきの本の『おにいちゃん』の部分また行ってくれない?」

そう!天峰が気が付いたのはこの部分!

何時もは呼び捨ての夕日が天峰を『おにいちゃん』と呼んだのだ!

この言葉は!すべての妹萌え紳士の合言葉!

日夜こう呼ばれる事を夢見る紳士たちの夢!

それを捨てる事なんて出来ない!

「お兄ちゃん……天峰……妹萌え?」

キョトンとする夕日!

暴走する天峰!

「おぅふ!いいよ!そうだよ!夕日ちゃん!夕日ちゃんがかわいいから俺、妹萌えになっちゃったんだよ!はあはあ!」

もう止まらない天峰!

この作品の主人公にあるまじき醜態!

大丈夫か!?この作品!?

R18行待った無しか!?

「道の真ん中で何してるの!」

「おばぁ!」

天峰の後頭部に衝撃!

天峰が振り返る。

「……あ……卯月さん」

夕日が声をかけた。

「何すんだよ~」

天峰が相手に言う。

読者諸君はこの少女を覚えているだろうか?

彼女の名は卯月 茉莉(うづき まつり)!

天峰の幼馴染にしてクラスメイト!

男女両方から人気のでる顔に抜群のプロポーション!

性格もよく勉強も料理も得意!

まさに絵に描いたような完璧な美少女!

本来の作品ならメインヒロイン待った無しの卯月!

しかし!

この作品に限ってはそうでない!

この作品には年増は必要ないからだ!

「なんか今、すごい失礼な事言われた気がするわ……」

腕を組みそういった。

「な~んか知ってるシルエットの二人組が居るから来てみれば……天下の往来で良く堂々と変態行為できるわね?」

じろりと天峰を睨む。

「変態って……いくらなんでも言い過ぎだろ!?」

天峰が卯月に言葉に反抗する。

「正直私も……少し……引いた」

夕日が天峰を見ながらおずおずと手を上げる。

「夕日ちゃんまで!?(やばいな……ちよっとは自重しないとな……)」

「夕日ちゃん?天峰はあんなんだから何をするか解らないわ、だから嫌な事はイヤ出来ないことは出来ないってはっきりと言わなきゃだめよ?」

優しく卯月が夕日に語りかける。

(な!?卯月め!余計な事しやがって!夕日ちゃんに『おにいちゃん』って言ってもらえなくなったらどうするつもりだよ!?)

心の中で憤る天峰!

「うん……はっきり言う……お兄ちゃん私……〇〇〇までは良いけどさすがに☓☓☓☓は流石に辛い……けど◇◇◇◇して△△で☆☆☆なら大丈夫!」

夕日の口からとても表記出来ない言葉が飛び出した!

「ちょ、ちよっと天峰!?あんたまさか家出、幼気な夕日ちゃんにその☓☓……とかさせてるの!?」

すごい形相で天峰を睨みつける卯月!

(あれ?これ俺死んだんじゃね?)

天峰は死ぬならせめて夕日の『おにいちゃん』を胸に死にたいと思った。

 




夢っていうのはさ、呪いと一緒なんだ。
一度夢に破れた奴はずっと呪われたままなんだ……

夢ってさ、持つと時々すっごく辛くなるんだ。
けどさ、夢を持つと時々すっごく熱く成れるんだ。

お兄ちゃん萌えは男の夢だ!
お兄ちゃん萌えを俺が守ってやる!

何書いてるんだろ俺?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。