リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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今回はお知らせがあります!
先ずUA4000超えしました!
いつも通り短編書きますのでリクエストがある方は活動報告へGO!


変な動きしてるよ~なんかこわい!

「よし!今日は外でボーノレ部の活動だ!危険な競技だから注意しろよ!」

山重がグラウンドで準備を始める。

「天峰君、悪いけど一緒に運んでくれない?」

森林が運んできたのは平均台、どこにでもある普通の道具である。

「あ!はい!わかりました!」

森林が持っていない方の端を持ち、二人で平均台を運ぶ。

「よーし!準備できたみたいだな!今日はボーノレNO1822!ペインド舞ンを始める!」

山重が天峰のため説明を始める。

「ペインド舞ンは危険な競技だ!少しでもヤバくなったらすぐに言うんだぞ?」

 

 

「ねぇ~まどかぁ~お兄ちゃんたち何やってるのかなぁ?」

少し離れた場所で木枯がまどかに話しかける。

「うるさいですわ!出涸らし!今お兄様の雄姿を見ているんですのよ!?もっと静かになさい!!」

まどかはいつの間にか持ち込んでいた、テーブルとイスでくつろいでいる。

「でもさ~さっきからお話ししてばっかりだよ?」

木枯が三人の方を見るが準備体操すらしていない。

「これからきっと何かが起こるんですわ!だまってみていなさい!」

まどかが木枯にぴしゃりと言った。

しかし内心は不安感でいっぱいだ!

なぜなら!ボーノレ自体が非常に胡散臭い競技だからだ!

まどかも馬鹿ではない!事前に山重の好みのボーノレについて勉強していた!

だが!

調べてみてもイマイチ何がしたいのか全く分からない!

人によっては夢中になるらしいがまどかにとっては理解不能な世界!

その競技が!これだ!

 

「さて!まずは俺が手本を見せよう!」

山重が意気揚々と宣言した、そのまま平均台に近づく!

「範囲はこんな所か……」

真剣な表情で平均台の置いてある地面の一部に四角い枠を書きその中に入る。

そしてその枠の中で靴と靴下を脱ぎはだしになる。

「森林!宣言を頼む!」

手を挙げ森林に合図を送る山重!

森林は手にストップウォッチを持っている。

「スタート!」

森林の声を聴いた途端動き出す!

「ふんふんふ~ん!あぎぃ!」

歩くような体制を取った山重!しかし歩き出した瞬間!平均台に足の小指をぶつけた!

(うわぁ……痛そう!)

その様子を見てこちらまで痛くなる天峰!

山重がぶつけた足を上げる!両手を広げ全身でくねくねと踊りだした!

ボーノレNO1822!ペインド舞ンとは!

適当な場所に障害物を置き!

そこに事故に見せかけ自身の身体をぶつける!(足の小指がメジャー)

そしてその痛みを全身で表現する!

制限時間は一分!

ぶつける前から時間が測られ痛みが引き直立不動の体制になることでフィニッシュ!

わざとらしさを消し、よりリアルに!より周りの人間に痛みを感じさせることで高いポイントが得られる!

 

「ね、ねえまどか~変な動きしてるよ~なんかこわい!」

しかし!

他人から見ればどう見ても突然の奇行!

思わず木枯が怯える!

しかし!それも無理はない!自分の目の前で男が謎の怪しい動きをし!

それを他のメンバーがジッと観察している!

これだけでまともな集会でないことが容易に判断可能!

「ア、アナタ何言ってますの?アレはああいう踊りですわ!」

まどかが咄嗟に否定するがその頬は引きつっている!

(たぶん踊りじゃない……)

天峰は心の中でツッコんだ!

「ね、ねえ庶民?お兄様はなんて踊りをしていますの?」

ジッと見ていることがつらくなったまどかが天峰に話しかけた!

(え……いや、何かと言われましても……)

天峰も山重の奇行を何と言い表せば良いのかわからない!

さすがに答えにこまる天峰!

「アラ?ワタシを無視ですの?やってくれますわね?偉大なるワタシを無視するなんて庶民の癖に生意気ですわ!」

その態度がまどかのプライドに火を付けた!

 

 

「おい、あいつらまた変な部活やってるぜ?」

「え!?アレ部活なの?変人どもの集会じゃなくてか?」

「いや、部長が山重の事態で察しろよ?今年の入部人数1だってよ」

「なんだそれ?変人部決定だな!」

「「「「ワハハハハハハハハハ!!!」」」」

何人かの他の部活の人間がボーノレ部の活動を見て笑う。

わざと聞こえる音量の会話、その時点でこの部活に対する見方の低さがうかがえる。

山重と森林はジッと堪えている。

「キィィィイ!何よあの愚民ども!!一言言ってやらないと気がすみませんわ!」

まどかが山重と森林に反し激しく怒りをあらわにする!

椅子から立ち上がりボーノレをバカにした生徒たちに向かっていく。

「いい加減にしないか!」

その場に鋭い声が響いた!

 

その言葉にまどかが凍りつく。

「え、おに、お兄様?」

まどかの怒りは一瞬にして消失し怯える表情さえ見えた。

それに対し山重が一気に感情を露わにする!

「部活を見に来たというからそっとしておいたが!お前は雑談ばかり!しかも他者とトラブルを起こそうとは!何を考えてるんだ!部活に興味が無いのなら帰れ!」

今まで見た事のないような怒り!

山重を見たまどかはすっかり萎縮してしまった。

「そ、そんな……ワタシはちゃんとお兄様を見て……」

「それが間違いだと言っているんだ!俺個人ではない!部活自身をアイタァ!」

山重が自身の足を押さえ突然倒れる!

「あ……ああ、俺としたことが……」

山重はまどかをしかりつけるのに夢中で自身の足を平均台い激突させてしまったのだ!

競技ではなく完全に不意を突かれた平均台からの一撃でダウンしてしまったのだ!

(うわぁ痛そう……)

悶える山重を見下ろす天峰。

目の前には足を押さえて苦しむ男と、それを心配する幼女。

(なんだろう……すごく時間を無駄にしている気がする……そうだ、木枯ちゃんでも見よ)

菩薩の様な静かな心で天峰は木枯に視線を向けた。

「う~ん!ケーキおいしい!」

まどかの座っていた椅子に腰かけ、おそらくまどかが持って来たであろうチーズケーキを食べていた。

(うん。おいしそうにお菓子を食べる幼女は良いな~心が洗われる、なんか優しい気持ちになれる)

天峰は現実から逃げ出した!

 

ドン!

天峰に衝撃が走る!!

その場に居られなくなりまどかが走りだした様だ。

天峰にぶつかるも気にせず走り抜ける。

「あ!オイ待てよ!」

見過ごすことが出来ずに天峰はまどかの後を追った。

最初の反応が遅れたためなかなかまどかに追いつけない!

 

「待てって!」

リムジンに乗り込む瞬間についにまどかの腕を捕まえる天峰!

「離しなさい!訴えますわよ!!」

ヒステリックに言い放つまどか!

「はあ、はあ。まどかちょっと落ち着こうよ?」

まどかを追ってきたのかいつの間にか天峰の後ろにいた木枯が言う。

「ワタシは落ち着いてますわ!それより今日は用事がありますので先に帰らせていただきますわ!」

そう言って天峰の手を振りほどきリムジンに乗り込む。

「まどか~まってよ~私も……」

「用事があると言ったでしょ!?今日は一人で帰りますわ!佐々木!」

そう言ってリムジンは動き出した、その様子を木枯が呆然と見送る。

「あ……あーあ、まどか行っちゃった……私もかえろーっと……」

暫く呆然としていた木枯が、力なくそういって出口に向かって歩き出した。

 

 

「あ、幻原君?どうやら思った以上に重傷っぽいから先帰っていいよ?」

先輩たちのもとに帰って天峰は山重を介抱していた森林にそういわれた。

「解りました……」

天峰は部室で着替え、自転車が無いため徒歩で今日も帰る事にした。

バスでも帰れるのだが、考え事をしたくなったため今日は徒歩だ。

 




さて、ここからがこの第2部の転換点になります。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。

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