特別編はまだまだ募集中!皆さんのリクエストお待ちしています!
詳しくは活動報告にて!
「婚約者」一昔の恋愛作品で使い古された表現で実際耳にすることは現代では先ずない単語ある、しかしここで一人の幼女の口からその言葉が発せられた。
まどかの突然のセリフに雷獄軒の全員が凍りつく。
おそらく全員が持っているであろう疑問を天峰は山重に事の真相を聞いてみた。
「あのー山重先輩?まどかちゃんが言ってる事って……」
「もちろん!嘘だ!」
山重が良い笑顔できっぱりと言い切る。
それに対してまどかが露骨にショックを受けた顔をする。
「そんな……お兄様!ワタシに言ったことは嘘だったんですの!?ワタシは……お兄様のその言葉を心の支えにして生きてきたのに……!」
まどかが膝から崩れ落ちる。
「約束?そんなのした覚え無いな?」
山重が顎に手を当て首をひねる。
(うーん、どっちかが嘘をついてるのか?)
天峰は冷静に二人の言い分を分析する。
(しかし婚約者にお兄様呼びか……憧れるな!)
脱線する思考回路!さらに暴走!
(お嬢様的な子に{お兄様}って言われて抱き着かれたいな~、あえて舌足らずな感じで{おにいたま}も捨てがたい!これだとより幼い感じだな!そうだよな成長して{おにいたま}が{お兄様}になるんだよな!無邪気な子が成長して……{もう子供じゃないもん}とか言って抱き着かれたら!イカン!理性が崩壊寸前だ!うひひひひ!)
そこでハタと妄想世界に旅立った、天峰の精神が引き戻される。
「…………ハァ」
いつからか夕日がジッとこちらを見ていた、その瞳には「コイツまたかよ」という呆れが満ちていた。
「いや!夕日ちゃん!別になんか変な事考えていた訳じゃないよ?ホントだよ?」
天峰はあわてて夕日に取り繕う。
「……ふーん」
夕日はただ一言そういっただけだった。
「お兄様!ワタシ達一緒に言ったじゃありませんか!お兄様は山重重工を!私はトレーディア宝石商を世界一の会社にするって!一緒に誓ったじゃありませんの!」
まどかが山重に詰め寄る。
「ああ!あの時の約束か!思い出したぞ!ああ!小学生の頃の!ああ!あの約束か!」
山重が手を叩く。
「懐かしいな!そうだったよな!よし!久しぶりの再会だ!俺のおごりだ!たくさん食え!」
山重が笑いながら自分の注文していたチャーハンをまどかに差し出す。
差し出されたチャーハンを見て一瞬まどかの表情が曇る。
「いいえ、結構ですわ。ワタシ今お腹いっぱいですの」
「そうか、遠慮するなよ?今回はどれくらい日本に居るんだ?」
山重が豪快に笑いながら聴く。
「はい!ズーット日本に居るつもいですわ!」
まどかが今までにないくらいに笑顔を見せる。
「え!ホント!?ずっといられるの!?」
その言葉に木枯も喜んで飛び跳ねる!
(おお!笑うとかわいい!そして入れる禁断の果実!)
天峰は幼女の笑顔を見逃さない!ちなみに夕日も天峰の幼女に対する視線を見逃さない!
「……どこを見てるの……?」
いつの間にか後ろに来ていた夕日が天峰の袖をつかんでいた。
「ヒイィ!」
夕日のビームが出そうな眼力に天峰が慄く。
「い、いや別に?どこも見てないよ?」
天峰が夕日と目を合わせないように答える。
「おにーちゃん!そのチャーシュー頂戴!」
木枯が森林にチャーシューをタカっていた。
「欲しいの?あげないよ?」
何処までもにこやかに森林が木枯の希望を一蹴する。
「うえーん!お兄ちゃんのイジワル!」
木枯が大げさに泣きまねをする。
実はこの二人は兄妹!兄の新芽と妹の木枯!
諦めたのか木枯が天峰の方に寄ってくる。
「ねえねえ、道案内さん!なんか私に奢って~」
木枯が天峰の腕に抱き着く!
さーて!ここでクエスチョン!天峰の腕のには今何が乗っかってるでしょうか?
*答え
(ウホッ!ナニコレ!圧倒的存在感が腕に!腕に!後少し手を動かせば揉める!いやサイズ的に掴める!?)
「よ!よし!おじさんがおごってあげよう!」
天峰は速攻で頷いていた。
だって仕方無いじゃない?あらがえない力の一種だよね?
「やった~い!おじさん!高いの上から三つね!」
笑顔で悪魔のような注文方法!
その日遅くまで天峰達は食事を楽しんだが、まどかは結局水一滴飲まなかった。
「佐々木?そろそろ帰りますから迎えに来なさい?」
まだかが携帯電話で自分の運転手を呼ぶ。
「お兄様?私の自宅に遊びに来ませんこと?今なら明日の朝に学校までお連れしますわよ?」
まだかが山重を誘うが……
「いや!俺はいつものアパートに帰る!宿題と予習をしたいからな!」
上級生の鏡のような模範解答!で断った!
この男!意外と真面目!
まどかがとても残念そうに言った。
「そうですの……ではせめて携帯電話の番号とアドレスを教えてくれませんか?」
自分のポケットから携帯電話を取り出す。
「おう!それならいくらでもいいぞ!」
山重は自分の形態を取り出しまどかに渡した。
「ねえねえ、まどかの新しいウチ私も行きたい!連れてって!連れてって!」
それまでぼーっとしていた木枯が反応した。
「しょ、しょうがないですわね!今回だけ連れてってあげますわ!」
まどかがうれしそうに言った。
「うん!じゃ!おにーちゃんまどかん家泊まるから、おかーさんによろしく~」
木枯が心底うれしそうに言う。
(この笑顔のためなら俺は死ねる!)
天峰がニヤ付く。
「ではお兄様とその他の皆様ごきげんよう!」
まどかは店の前の迎えに来たリムジンに乗り込んだ。
「ごきげんよう~」
まどかに続いて木枯がリムジンに乗り込んだ。
静かなエンジン音を響かせ、リムジンは夜の闇に消えて行った。
「さて!俺達も帰るか!」
山重のその一言で本日の食事は終了となった。
「いやー嵐の様な子だったなー」
天峰は先ほどの二人の事を思い出す。
(偶には振りまわされるのも悪くないな……)
天峰はしみじみと思った。
「あれ?俺の自転車……あー!思い出した!リムジンに乗せっぱなしだ!」
天峰は膝から崩れ落ちた!
「山重先輩!さっきまどかちゃんのアドレス教えてもらってましたよね!?」
天峰は望みをかけ山重に言い寄る!
「お!確かにさっき教えてもらったな!ほら!忘れ物したんだろ?」
気前よく自分の携帯を天峰に貸し与えた。
天峰はナンバーをプッシュし、電話する。
「ハイ!もしもし!ワタシに御用かしら?」
すぐに相手は応答しうれしそうな、まどかの声が聞こえる。
「あー俺、幻原 天峰だけど」
天峰が話す。
「どなた?幻原なんて知りませんわよ?」
露骨にがっかりした声が聞こえる。
(俺の名前覚えてなかったのかよ……)
「さっきの道案内だ!」
天峰がわずかに語気を荒げる。
「んん?ああ!あの時の貧乏くさい庶民の!どうしましたの?ワタシのあまりの美貌に惚れまして?ワタシ残念ながら格下は相手にしませんの。ごめんなさい?」
あまりに酷い言葉に天峰は一瞬言葉を失う!
「いや、リムジンの中に自転車を……」
「自転車?あのゴミがどうかしまして?」
(この子周りに喧嘩売って回ってるのか?)
「忘れて行ったから、戻ってきてほしいなーって思って」
天峰は自分の怒りを抑えながら優しい声で話す。
「はあ?アナタが忘れて行ったんでしょ?アナタが取に来なさい!」
当たり前といった口調で言い放つ。
ブチッ!
「それは俺の自転車だ!」
遂に天峰が切れた!
「はー、怒鳴れば思い通りになると思ってる人って馬鹿ね」
その一言と共に電話は切られた。
(なんだまどかちゃん?まさかさっきまで先輩の前だから本性隠してたのか?全然隠れてない!人をイラつかせるプロだな!)
天峰が珍しい事に幼女に対して怒りを持つ。
「天峰先輩?どうしたんですか!?」
「……とりあえず……落ち着いて……深呼吸」
藍雨と夕日が天峰を心配する。
(自転車はまた明日だとにかく帰ろう)
「ああごめん取り乱しちゃったみたいだね、今日は家まで歩いて帰るよ」
天峰が歩道の方に歩いていく。
「あ!わかりました!さようなら!」
「おう!また明日な!」
先輩と藍雨が天峰を見送る。
(あーあ、あの時奢らなかったら……バスで夕日ちゃんと帰れたのに)
自分の少し前の行動を事を後悔しながら、暗くなった駅前を一人歩く天峰。
しかし……
「天峰!」
後ろから声を掛けられる。
「あれ?夕日ちゃん?」
そこにはバスで帰ったはずの夕日がいた。
走ってきたのか少し息が荒い。
「……一緒に……歩いて帰ろう?……」
夕日がそう持ちかけ、自分の左手を差しだした。
その一言に天峰は心が熱くなった!
「うん!一緒に帰ろうか!」
その言葉と共に天峰は夕日の手を握る、
「……さっきの事……イロイロ聞きたいし……」
その一言で天峰の心は一気に重くなる。
手は握られ逃げれない、よくよく見ると夕日の右ポケットが膨らんでいるような……
自分の少し前の行動を事を後悔しながら、暗くなった駅前を二人歩く天峰。
尋問が始まる!
この前初めて日射病になりました!
いやー死ぬかとおもいましたよ!
皆さんもこまめな水分補給で自分を大切に!