リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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1日に2話だと!?これがロリコンの本気か!!
今回は少し重めの話になります。
上げて~上げて~一気に!落とす!ってな感じです。
一部修正しました。



俺はガキの膨らんでねー胸にはキョーミはねーよ!

夕日が天峰の病室を後にする。

「夕日ちゃんまた明日ね!」

去りゆく夕日の背中に、天峰の明るい声が届く。

「うん、また明日…」

夕日は自分でドアを閉め病室を後にした。

天峰の声はもう聞こえない。

 

夕日は病室の廊下をゆっくりと歩く。

白くて無機質な廊下。

ゆっくりゆっくりと歩き自分の病室に戻る。

当たり前だがさっきまでの声は聞こえない…

この病室は夕日にあてがわれた病室だが、夕日はここが好きではない。

ここにいると自分は何もないヌケガラのように感じてしまうからだ。

少なくとも此処よりは旧館の病室の方が夕日は、好きだった。

夕日はそっと自分のベットに横になる。

この病室は窓が東にしかなく、暗い。

旧館も、もうじき夕焼けが沈み暗くなる。

 

暗くて静かな部屋に一人でいると寂しくて、そのまま暗闇に溶けてしまうのではないかと怖くなる、しかし同時に「それでもいいかな」と落ち着いている自分がいる。

明らかな矛盾、矛盾した気持ちを持つと昔の事を思い出す。

つらくて、楽しくて、矛盾した日々を…

 

「夕日、新しいお父さんよ!」

女性ががっしりした、たくましい男を夕日に紹介する。

「さ、坂宮夕日です…」

夕日は自分の名前を言った後、母親の後ろに隠れた。

(まただ、また新しいお父さんが来た…これで何人目だろう?私には何人もお父さんがいる…)

「あらあら、この子ったら…」

母親が優しい声で言う。

「ははは、恥ずかしいのかな?これ位の年頃の子はこんなもんさ」

男の人が笑う。

(ううん、恥ずかしくないよ…違うの…叩かれたくないから、お父さんによってはちゃんとごあいさつ出来ないと、叩かれちゃうから…ほとんどのお父さんはお母さんの後ろなら私をぶったりしないから…)

それからその男は、夕日の家に来ることが多くなった。

少なくとも夕日の母親と男はうまくいっていた、夕日の母親と男は…

「夕日?今日もお母さん、お父さんとごはん食べてくるから、おとなしくお留守番しててね?」

「はーい」

お母さんは男の人と、一緒に出掛けることが多くなった、次の日のお昼近くまで帰ってこないことも珍しくない、その間私は家でカップラーメンや缶詰を食べてる。

お母さんが返ってくるまでの家の家事は私の仕事だ、やれと言われた訳じゃない、疲れて帰ってくるお母さんに少しでも長く休んでほしいから…

夕日がカップめんをすする。

「最近、お母さんのごはん食べてないな…」

誰もいない部屋に夕日の言葉が消えていく。

その時ガチャン!と音がして玄関の扉が開く。

(お母さんが帰ってきた!)

夕日が玄関まで走る、しかし…

「オイ!優奈!いるか!」

そこにいたのは知らない男だった。

(誰だろう?きっと昔の私のお父さんかな?)

夕日を見つけ怒こった様子で男が近づく。

「オイ!お前の母親は何処だ!?」

男が恐ろしくて、言葉が出なかった、夕日は知らないことを伝えるために首を横に振った。

「チッ!どっか行ってんのか?クソ!入れ違いかよ!」

男がイライラしているのは一目でわかった。

「おい、お前ケータイは持ってるか?」

夕日が首を横に振る。

「じゃあ、母親のケータイ番号はわかるか?」

「それなら…わかる…」

(たしか、お母さんがメモを残してくれてた…)

「よし!電話しろ!お前の母親をここに呼べ!間違っても俺の事は言うなよ?」

肩をつかまれたまま、電話の前まで連れていかれる。

すぐ後ろで男が電話の内容に聞き耳を立てる。

震える指で夕日はダイヤルを回す。

数回のコールのうちに、母親の電話につながった。

「もしもし?」

(お母さんだ!)

夕日はこんな状況にもかかわらず、母親の声に安堵を覚えた。

「お母さん!早く帰ってきて!お腹すいたよ!」

空腹については後ろの男が夕日に指示したものだった。

「え?そんな事で電話したの?悪いけど今忙しいの、明日にしか帰れないから戸棚にラーメンあるから、作ってたべなさい。じゃあもう切るから」

「あ!おかあさ…」

ブチンと電話は切れた。

一瞬とはいえ安堵した夕日に、先ほどと変わって恐怖が襲い掛かる

(どうしよう…お母さん呼べなかった…)

夕日は怯えながら、後ろの男を見る。

「ごめん…な…さい…お母さん…来れないって…」

自分でも声が震えているのがわかった。

絞り出すように何とか言った。

「ああ、すぐ後ろで聞いていたからな、言わなくてもわかるさ、お前もかわいそうだな、カップめんばっかか」

男はそう言って、夕日のワンピースのスカート部分をつかみ、一気に胸の上まで捲くり上げた。

「!!?」

突然の事に驚いて、夕日は自分の体を手で隠す。

「ああ?」

男が不機嫌そうに夕日を睨むが夕日も睨み返した。

その顔には恥ずかしさと怒りが滲んでいた。

「ああ、そうか、ワリィ、つい癖でな…俺はこんなナリしちゃいるが一応医者でな、患者の診察するときの癖でめくっちまった、悪い」

夕日はなおも男を睨んだいる。

「悪かったって、それに俺はガキの膨らんでねー胸にはキョーミはねーよ!」

「ちゃんと膨らんでるもん!!」

夕日は反射的に怒鳴ってしまった。

「怒る所そこかよ!!まあ、いいか…オイ!出かけるぞ!」

男が夕日の腕をつかむ。

「どこに?」

「優奈…お前のカーちゃん明日でもどんねーんだろ?なんか食いに行くぞ、さっき見たときお前ガリガリじゃねーか、このままだとお前栄養偏って死ぬぞ?」

男の車に乗せられ半強制的に近くのファミレスに来た。

「おら、好きなモン頼め!野菜はぜってーくえよ?俺は少し寝るから俺のもテキトーに注文しといてくれ、夜勤明けでねみーんだ」

そう言って男はソファーで寝入った。

男のぶっきらぼうな優しさに触れた。

(悪い…人じゃ…ないのかな?)

その日、夕日は久しぶりに誰かと満腹になるまで食事した。

「ん?腹は膨れたか?」

男の質問に夕日は首を縦にふる。

「よし、いくか」

男に連れられ、夕日は自分のアパートに帰った。

「また、くるからな?」

そう言ってその男は帰っていった。

夕日は自分が少しだけ楽しみにしている事に気が付いた。

 

翌日

「オーイいるか?」

昨日の男がまたやってきた。

夕日は笑顔でドアを開ける。

「ほう、今日もお前がお出迎えか…まあいい、半分はお前に会いに来てんだしな」

夕日がそっと男に近づく。

「悪いが今日はファミレスはなしだ、俺の薄給では無理だな…自炊しろ!ほら、材料買ってきてやった、カレー作るぞ?」

男がビニール袋を掲げる。

「まず米を洗うぞ、出来るか?…なんで洗剤持ってんだ!バカか!」

「ジャガイモの芽取れたか?中身えぐってんぞ!」

「お!肉を炒めるのは出来るみたいだな…胡椒多すぎないか?」

怒られてばかりだが、楽しい時間が過ぎた。

「おら。出来たぞ!さっさと食え!」

2人でカレーを食べた。

「じゃあな、俺はこれから仕事だが、母親に俺の事は言うなよ?」

そう言って男が帰って行った。

部屋が夕焼けで紅く染まる頃だった。

「お母さん喜んでくれるかな?」

夕日は母親に自分の作ったカレーを、食べてもらいたくてウズウズしていた。

 

「夕日!あの人は誰!言いなさい!」

帰ってくるなり母親が夕日に詰め寄る。

(あの人の事は言わない約束)

夕日は首を横に振った。

「言いなさい!」

母親がなおもしつこく聞く。

「たぶんどっかの子供保護する職員じゃないか~」

母親と一緒に帰ってきた男がいう。

「そんな!!」

母親があわてる。

「お前、職員の顔見たか?」

「見てないわよ!後姿だけ!」

「なら、だ~い丈夫だ、ここを出りゃいいだけの話だ、住むところは俺が用意してやる」

男が煙草をふかしながら言う。

もう、すっかり夕焼けは沈み、辺りには夜闇が迫っていた。

その日のうちに夕日と夕日の母親はその男の家に行くことになった。

男と母親は初めは仲良くしていたが、だんだんとその関係にずれが出始めた…

 

「なんだこの飯は!!わざわざ食材を生ゴミにしてんじゃねーよ!誰の金だと思ってる!」

男が夕日の母親の作った夕飯をひっくり返し、湯呑みを投げつけた。

「痛い!」

母親の額に当たり血が流れ出る。

「見ろよ!お前の娘を!こんな生ゴミみたいな飯でも黙って食ってやがる!エコな娘だよなー!がはは!」

そう言って母親に味噌汁をかける。

男の目の前に夕日が立ちふさがる。

「ああ?なんだ?」

「…お母さんをいじめるな!」

震えながら夕日は言い放った。

「いじめてねーよ!優しく教えてやってんだよ!」

男が倒れた夕日の母親に蹴りを入れる。

「ダメェ!」

夕日が男の足に飛びつく。

「邪魔だ!」

しかし足ごとふり払われ、夕日は頭をぶつけた。

「…痛い…」

「どうやら、母親だけでなく娘も躾が成ってないらしいな、俺が躾てやる!」

「あう!」

男の拳が夕日の頭をなぐる、それだけで夕日が大きくブレ、夕日ははまともに立てなくなる。

「おら!おら!いいか!お前は!ガキだ!ガキは!大人の!言うことを!黙って!聞いてれば!いいんだよ!」

まともに立てない夕日に対して、男は何度も蹴りつけた。

(お母さんごめんなさい…)

夕日は母親を守れなかったことを心の中で謝りながら、男の暴力が止むのを待った。

「おい!お前は娘の躾を俺だけにやらせる積りかよ?お前らが暮らせるのも、俺のおかげだろ!娘の躾位手伝え!」

涙を流しながら夕日の母親は首を横の振る。

「いやじゃねーよ!躾は母親の仕事だろ!!」

男は母親の腕を掴み無理やり立たす。

「ほら!サッサとしろ!」

夕日の母親はふらふらと立ち上がり動けない夕日に近づいた。

「ごめんね、夕日…」

朦朧とする夕日の中、母親の声と体に同時に体に痛みが走った。

なぜかこの日一番苦しくて痛かった。

その部屋から、夕焼けはもう見えない。

 




うーん、夕日ちゃんの病む理由にしては弱いかな…
もっと悲惨な過去を作りたかったけど…
これが私の限界です。
これからも精進します。

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