「はぁい!天峰!寂しそうなあなたのために、私がクッキーを焼いてきてあげたわよ!」
卯月がウキウキとしながら天峰の病室に入る。
今の卯月の手にはクッキー!あらゆる男子のやる気を出させさらには胃袋をつかむ女子の最終兵器の一つが握られている!
「今回は、我ながら会心の出来なの!食べてみて…って藍雨ちゃん?」
しかし!その目論見はむなしく崩れ去った!
「あ!卯月先輩おはようございます!」
藍雨がニコリと笑う。
「天峰何食べてるの?」
「ん~?藍雨ちゃんのたくあん、卯月も食うか?」
ぼりぼりと食べながら一切れ差し出す。
「たくあん?」
あまりにも意外な藍雨のチョイスに、卯月は思わず声を上げる。
なんでよりによってたくあんなの?これじゃ天峰にクッキー渡せないじゃない!
卯月が心の中で思う。
そう、言うまでもなくたくあんとクッキーの相性はよくない!たくあんクッキーなど誰も食べないし、紅茶と日本茶どちらのお茶受けにも成れない!そうしてもたもたしているうちに、卯月の今朝早起きして焼いたクッキーは刻一刻と冷めている!
なぜか幸せになれない女!それが卯月茉莉である!
しかし!しかし!
「お!この匂いクッキーか?焼いてきてくれたのか?」
天峰が匂いに気付く。
「えええ、あさ早起きしたんだからね?」
「サンキュー!これ久しぶりだなー、ありがとな」
天峰がにっこりと笑う。
ああ天峰が喜んでくれたわ!アイツ昔からこのクッキー好きだったのよね。
「今日、午後から用事が入って来れなくなったのよ、その事いうのと病院食ばかりじゃ味気ないでしょ?だから持ってきたの、あ!勉強ちゃんとしなさいよ?宿題たまってるんでしょ?」
「あー、気が向いたらやる」
だるそうに天峰が答える。
天峰の脳内には「暇だから宿題をやる」という考えは存在しない!
「あ、先輩私も帰りますね、今日お母さんと買い物に行く約束してるんです」
卯月と藍雨が帰っていく。
「藍雨ちゃんまたたくあんよろしくね!」
「はい!」
うれしそうに藍雨が答え帰っていく。
うっひょーこのたくあん最高だな!
天峰が藍雨の持ってきたたくあんをかじる。
このたくあん手作りって言ってたよな!ということはつまりだ!藍雨ちゃんの直接触ったものってことだよな!あーロリコニウムが補充されていく!
*1 「ロリコニウム」とは主に7歳から15歳の少女から発せられる未知の物質であり、ロリコニウムは一部の人間にのみ発生する、「Gロリコン酸」と体内で融合することで非常に強力なエネルギー物質である「ペドニウム」に変化する!ペドニウムは人体に作用すると過度の興奮状態、身体能力の向上、体温の上昇、幼女に対する恋慕の感情、そしてロリコニウムに対する強い依存性が現れる!天峰が新たに発見した新物質である。
*2 そんなような気がするだけで実際はそんな物質ありません、読者の皆さんは間違っても幼女にだきつながら「ロリコニウム!ロリコニウムをよこせ!」とは言ってはいけません、最悪の場合「ロリコンに産むから!」と言っているように勘違いされ逮捕されます。
「あ!今なら日朝キッズタイムやってるな、久しぶりに見るかな…」
天峰がテレビ(有料)をつける。
ちょうどCM中だったようで…
少年と少女が手を握りながら
「いただきバルス!」
と謎の呪文を唱えると
「うおー!めが!めがぁ!メガバーガー!発売中!メガチキンも大人気~」
と言って、謎の大佐が落ちて行った。
タランチャラ~ラ~♪
「あーCMってみると久しぶりにバーガー食いたくなったな、抜け出して買おうかな?ん!そうだよ!いいこと思いついたぞ!」
テレビを見終わった後、天峰はこっそりと病院を抜け出した。
切り札を手に入れ、旧館の昨日の病室に向かう。
「ヤッホー!夕日ちゃんいるー?」
あえて明るく病室のドアを開ける。
「ちゃんはやめて、そんなことよりまた来たの?何の用?」
昨日と同じく不機嫌な態度を示し、読んでいた本から目を離す。
よしよし、いきなり花瓶バーンはこないな。
天峰は内心ホッとした。
「いやー同世代の人があんまりいなくてさーさびしいんだよ」
どこかふざけたように言う。
「同世代?私中1よ?あなた高校生でしょ?全然同世代じゃないじゃない」
やれやれといった様子で天峰が首を振る。
「いや、そんなことないって、後数年もすればすぐ高校だよ?だから同世代」
「むちゃくちゃな理由ね、馬鹿らしい」
夕日はくだらなそうに言った。
「まあ、とりあえず相手してよ。お駄賃あげるから」
そういって天峰は、右手に下げていた袋から切り札を取り出す。
ふっふっふ…中1の女の子にアイスクリームが効かないわけがない!しかもこれはコンビニではめったに買えない高級アイス!(ハーゲンボーデン)これで夕日ちゃんもいちころだ!
「お駄賃ってアイス?私の貴重な時間をアイス1つであなたに売れと?」
少し夕日が機嫌を悪くする。
売る?なんか変な方に話が進んでるぞ?大丈夫か?
「要するに私に援助交際しろと言ってるんでしょ?確かにここは人が来ない旧館、いくら呼んでも助けなんか、誰も来ないものね、いいわ好きにしなさい」
夕日は諦めたような顔をしてこてんとベットに横になった。
どうもみなさん!今回も何とかお届け出来ました。
なんだかこの作品、私の作品の中で一番人気があるようです。
これからもその期待に添えるように努力しますので何卒よろしくお願いします。
今回作品に出たGは、虫ではなくガチと呼んでください。