リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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Twilight Eclipse~病弱娘って儚さがいいよね!~
我が心と行動に一点の曇りなし!


事故っていうのは突然やってくる、気分の良い時ほどそんな気がする。

それは俺、幻原 天峰(げんのばら たかみね)とて例外じゃないらしい。

 

「うおぅ!」

オンボロアパートの二階と一階をつなぐ階段で、一人の少年が足を滑らせた。

重力に従い体が落下を始める。

「キャー!先輩大丈夫ですか!」

訳あって一緒にいた後輩の晴塚 藍雨(はれつか あめ)が悲鳴を上げる。

「うう、リアルに痛い…」

痛みを堪え自分の状態を確認する。

 オカシイナ?僕の腕が肘以外の場所で曲がってるぞ?ふしぎふしぎー

「いってー!なにこれ!なにこれ!まじめに痛い!ヘルプ!ヘェルプミー!」

「わわわわ!先輩落ち着いてください!」

駆けつけた藍雨が天峰を落ち着かせようとする。

「うう、藍雨ちゃん、俺の腕なんかおかしくない?スゲー痛いんだけど」

「うわぁ、ぽっきりいってますね…足の方もいたそうですけど…」

「え…足?」

天峰が恐る恐る確認すると、右足首が80度位捻じれてた。

「え?捻挫?足首がウケ狙ってんの?」

「あ、今救急車呼びましたから」

気の毒そうな顔で藍雨がいう。

暫く天峰の悲鳴が市街地に聞こえたという。

 

「はい、腕は全治3週間、足は早ければ2週間位かな」

初老の白髪交じりのドクターが笑いながら言う。

天峰はあの後病院に搬送された、ドクターによれば入院3週間らしい。

世間はゴールデンウィーク直前ウキウキとした雰囲気が漂っている。

連日テレビでは、ゴールデンウィークに行きたい店や、新幹線のチケットがやれ満席だなどと報じてる。

幻原家も例外ではなく、母親が「温泉に行きたい!すごく行きたい!よし行こう!」と豪華な旅行計画を立てていた、しかし天峰の入院を聞くと「かわいそうに…お土産きたいしてね!」「兄貴、不幸だな!メシウマっていうんだっけ?」などと天峰を除いて旅行に行ってしまった。

天峰に残されたのは、学校が「今じゃー!」とばかりに出した大量の宿題。

「チクショーなんだってんだよー!」

折れてない右腕で数学を解きながら、天峰が愚痴る。

「ハイハイ、手を動かす!レッツ因数分解!」

天峰の隣に少女が座っている、親しみやすい表情に豊かな胸、抜群のプロポーションを誇る。

彼女の名は卯月 茉莉(うづき まつり)天峰の幼馴染である。

茉莉は俗にいう、美少女の部類なのだが天峰は興味が無い、なぜなら…

「せんぱーい!お見舞いに来ましたよ!」

「あ!藍雨ちゃーん!来てくれたのか!うれしいな!」

露骨に態度が変わる。

そんな天峰の様子を見て、やはり茉莉は面白くなさそうな顔をする。

「なによ!デレデレしちゃって!バカじゃないの?藍雨ちゃんは小学生よ!変態!ロリコン!恥ずかしくないの!?」

「俺はロリコンじゃねー!風評被害だ!名誉棄損だ!」

「えっと?後からの方がよかったですか?お見舞いおいてきますね」

藍雨が危険を察知したのかお見舞いの品だけおいて去っていく。

「はあ、もう、付き合ってらんないわ、私も帰る」

「ああ、藍雨ちゃん…おれのオアシス…」

汚物を見るような目で天峰を見ながら、茉莉も病室をでる。

「よー天峰、予想以上に荒れてたな!」

入れ違いで少し身長の低い男が入ってくる、くりくりした目をした小動物系の男子だった。

「よーヤケか、まあな」

少年の名は野原 八家(のはら ひろや)天峰とはクラスメイトである。

「ほら、例のブツだ」

八家が紙袋を天峰に渡すその中身は…

「放課後ロリータ」「ロースクールラバー」「魔法幼女触手攻め」「ムッチン!オネーさん」etc…

大量のエロ本!

八家は、クラスに一人はいるエロい系男子!ありとあらゆるエロ本を日夜蒐集し、友人に無償で貸し与えている。

そのことからクラスの一部の男子からは「歩くエロ本図鑑」「エロリス」「十万三千のエロ本」といった名で呼ばれている。

「せんきゅーヤケ」

天峰も受け取らぬ訳にはいかぬ、天峰も年頃の男子!こういった物は必要なのだ!

「あ、これはいらねー」

天峰が一冊本を取り出す。

「むむ!その「ムッチン!オネーさん」は名作だぞ!食わず嫌いは良くないぞ!」

八家が食って掛かる。

「年増にキョーミなし!我が心と行動に一点の曇りなし!すべてが幼女だ!」

天峰が力強く宣誓する。

「おま、いつか捕まるぞ…」

「幼女を愛することが罪なら俺が背負う!俺の通った道に、幼女とロリコンの新しい道が出来ることを祈る!」

天峰がヒートアップする。

 

 

少し離れた病室で…

「…くまちゃん今日の気分はどう?」

ぼろぼろのクマのぬいぐるみを抱いた少女が笑う。

「…お返事しない…悪い子ね!」

ビリィ!とクマが裂ける。

「あーあ、また壊れちゃった…新しいのさーがそ…」

ケタケタと笑いながらクマからカッターを引き抜く。

「…新しいおもちゃはないかなー」

少女が病室を出る。

 




いつもは、まじめな作品を作っているのですか、たまに恋愛ものも書きたくなったので、投稿しました。
もう一つの作品がメインになりますので、ゆっくり待っていただければ幸いです。



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