リミットラバーズ   作:ホワイト・ラム

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100話を超えたこの作品。
今宵遂に解決です。
読者の皆様ありがとうございました。


信じてくれ!!!俺はロリコンじゃない!!

「あ……」

電車の窓の外から、太陽の昇る様子が見える。

昨日の夜の深夜、終電間際の電車に乗って始まった二人の旅行。

乗り継ぎを上手く繰り返して、目的の旅館までの寝台列車になんとか乗り込んだ。

 

 

「きれい……」

眠る天峰を横に、早く目覚めた夕日が太陽を見る。

日の出など毎日の事なのだが、なぜか少し感動的にさえ思ってしまう。

 

「……天峰」

横で眠る自身の大切な人を眺める夕日。

起こそうとお思ったがあえて起こさなかった。

そう、これからずっと一緒に居る関係に成れば、二人で日の出を見るチャンスはいくらでもある筈だからだ。

『その日』の為にとあえて天峰を起こすのをやめた。

 

 

 

とある終電駅にて……

「あ、もう来てるみたいだよ」

田舎のほとんど人の居ない駅の外、『幻原家御一行様』のボードを持った、若い青年が車の前で座っている。

 

「いらっしゃいませ。ええと、幻原 天峰様と夕日様ですね?」

 

「はい、そうです」

天峰が答え、夕日がその様子を見ている。

 

「ささ、お車へどうぞ。お二人の両親――特に母君の天唯様には大変お世話になりました」

すごく流ちょうな言葉を話すこの青年は、よくよく見ると青い瞳をしていた。

訝しがる視線に気が付いたのか、青い目の青年笑顔を作り笑った。

 

「あは、一応私は外国の出身なんで、日本人ではないんですよ。

けど、今は旅館の手伝いをさせてもらってます」

その説明で、天峰は自分の母の言っていた人物の名を思い出す。

 

「えっと……イカーナさん?」

 

「あ、名前だけは聞いてるんですね。

そうです、私がイカーナです。

髪は黒く染めて、カラコンを入れようと思ってもどうしても怖くて」

はははと笑うイカーナの髪の根元は確かに色が違っていた。

平和な会話を繰り返して、二人を乗せた車はどんどん山奥の方へと向かっていく。

 

「すっごい、田舎ですね……」

 

「ははは、そうですね。ここは人の住人よりもサルなどの獣の方が多い位ですよ」

笑ってそういうが、人は来ないと旅館など経営出来る訳などなく……

天峰は少し不安な気持ちを持ちながらも、おとなしく目的地まで待つことにした。

 

「夕日ちゃん大丈夫?乗り物酔い?」

心配そうな顔をして、静かな夕日を覗き込む天峰。

 

「……私は……大丈夫……」

消えそうな小さな声で話す。

その声を聴いて天峰は、興味をまた窓の外へと移す。

 

「………………」

一人はしゃぐ天峰を見る夕日。

この所天峰はそうだ。自分を『観て』いない。

確かに自分は天峰の視界に入っている、だがそれはしょせん認識されてるという事だけで、しっかり向き合ってくれてはいない。

その言葉には明らかに、めんどくささや投げやりな感情が込められている。

所詮最早夕日も、天峰にとっては興味を失った過去の『思い出』でしかないのだ。

夕日の脳裏に、卯月の悲しそうな顔が思い浮かぶ。

彼女も過去の『思い出』に成ったしまった人物の一人だ。

 

ずっと、アプローチをかけてたのは知っていた。

だが天峰はことごとくそれを無視し続けた。それだけ天峰の取って卯月はどうでもよくなったのだろう。

そしてそれは今度は自分の番。

 

(違う……私はそうは成らない!!絶対に、天峰の心を捕まえて見せる!!)

血が滲まんばかりに自身の手を握る。

反対の手では今日の為持ってきた『お守り』を握った。

 

 

 

 

 

「おお!!すごい部屋!!夕日ちゃん見てよ!!山々!!」

窓から指さす天峰の視界には、真緑に染まった山の木々が有った。

場所は少し高い山の中腹にある旅館。残念ながら交通の便はすこぶる悪いが、眼下に広がる山の景色には人を引き込む確かな魅力があった。

 

「ほんとだ……」

天峰の誘われて山の景色を見た。

視界の端、鹿が子鹿と仲良く地面を突いている。

その光景に夕日が頬を緩ますが――

 

パァン!

 

一発の銃声と共に、親鹿が倒れる。

 

「おっと、何処かにマタギでもいるのかな?」

天峰は気が付いていないようだが、さっきの男イカーナが現れ倒れた鹿を引きずっていく。

 

「そうだ、夕日ちゃん。イカーナさん、うまく言えば夜に鹿を出せるかもって言ってたよ。ちょっと楽しみじゃない?」

非常に明るく言う天峰。

 

「……そうだね……多分……食べれるよ」

なんだかいたたまれない気分になる夕日。

ヘラへラ笑う天峰に少しㇺかッとした。

 

「さ、お茶でも飲もうか?羽を伸ばしてゆっくりしようよ」

笑顔を向けて、備え付けのお茶を入れ始めてくれる

数分後には二人の前に、湯気を立てる湯呑が2個並んだ。

 

「お、露天が有るのか……」

湯呑を片手に、旅館のパンフレットを見る。

山奥だが、露天風呂が有るらしい。

自販機の場所や、近くの見どころを紹介している。

 

「じゃ、夕日ちゃん気を付けて行ってきなよ」

 

「え?」

パンフレットを渡し、その場で座布団を枕にしてゴロンと寝転がる。

携帯を取り出し、少し触った後「電波悪い」と言ってポケットに戻す。

 

「……天峰……見に行かないの?」

 

「疲れたんだよ、慣れない旅行でさ。

明日もいるんだから、その時でいいでしょ?

気になるなら、一人で行ってきなよ」

一切の悪意が無い、あっけらかんとした口調。

そんな天峰の様子は、それだけ夕日に興味が無い事を如実に告げていた。

 

「行ってくるね……」

寂しさを抑え、夕日が山の方へと出かけた。

 

 

 

足元の枝を踏み砕きながら、山道をあるく。

特に目的は無かったが、強いて言うならこの先にある山の頂の景色が良いらしいのでそこが目的地だ。

今はただ、現実逃避がしたかった。

 

何時からなんだろう?天峰の言葉に壁を感じる様になったのは?

何時からだろう、天峰が自分をしっかり見てくれなくなったのは――

整備されて登りやすくなった山道を歩いていく。

 

誰にもすれ違わない山道。

目を凝らせば、山鳥などが見えるらしい。

だが今の夕日にはそんな事関係なかった。

 

山歩きの末、ついに頂上へと昇り切る夕日。

富士山の様な雲より高いという訳ではないが、やはりきれいなみはらしだった。

 

「はぁー……すぅー……」

大きく深呼吸する。新鮮な空気が肺に入り頭がクリアになってくる。

 

「……もう、いいかな」

クリアになった頭が思う感情はソレだった。

何時までも、こちらに気の無い男を追うのはもういいだろう。

天峰は天峰で、楽しくやってる。

自分は新しい出会いを見つければいい。そうだ、初恋というのはかなわないモノだ。

彼という人間は所詮ここがリミットだったのだ。

 

「……帰ろう」

景色と心の中の天峰に別れを告げ、踵を返す。

その時――!!

 

ピりりりッ!

 

持ってきていた電話が着信音を告げる。

なぜ?確かに電波が悪かった気がするのだが――

疑問に思いながらも、電話に出る夕日。

 

『あ、夕日ちゃんー?私、私!』

電話口から聞こえる無駄にエネルギーを消耗しそうな声。

玖杜からだった。

 

「……どうしたの?」

 

『旅行行くって聞いてさー!うらやましくて、電話した!!

お土産よろ~』

受話器越しでも、見える玖杜のへらへらした顔。

コレが少し前まで、死ぬ直前まで悩んでいたと思うと不思議な物である。

そこで夕日はハッとする。

 

「そうか……そうだったんだね……」

 

『ん!?どうした?なんかあった?』

慌てる様に聞いてくる玖杜。

だが、気が付いた事を試さないと、どうにも済まなくなった夕日。

 

「……やることが出来た……お土産……期待してほしい……」

 

『あ、えっと……とにかく了解!!!』

話終わる瞬間勝手にプッと電話が切れる。

電波状況を見ると、アンテナ一本と0を繰り返している。

よくこんな状況で電話で来たなと、自分でも不思議に思う。

 

「……そう……退いちゃダメだったんだ……

もっと!!もっと前へ!!それが私!!」

新たな決意を胸にして、夕日は山道を下って行った。

 

 

 

 

 

「天峰……露天に行こう」

部屋に帰って来た夕日。開口一番にそう告げる。

 

「えー?夕飯終わってからでいい――」

けだるげな天峰のそばに夕日がツカツカト歩み寄る!!

 

「……何時まで……『そこ』に居るの?」

 

「え、いや、夕飯が終わる頃には――」

尚もだるそうに話す天峰。

ゴロンと寝転がって、瞳さえ合わせてくれない。

 

「違う!!何時まで私を見ない積り?」

再度掛かる夕日の声、その声はひどく真剣ですさまじい重みがあった。

声に驚いたのか、ついにこちらに視線を合わせる。

 

「なんの、こと、かな?」

誤魔化す様に天峰が声を濁す。

そして露骨に視線を外して見せた。

 

「逃げないで」

視線をそらした天峰に、ずいっと近づきすぐ傍で話す。

寝転がる天峰に夕日が覆いかぶさる形だ。

 

「ええっと――?」

 

「気が付いてるんでしょ?私の気持ちに?

逃げないで、怖がらないで」

まるで守る様に優しく、優しく夕日が話しかける。

至近距離で、天峰が息を飲むのを感じる。

逃れる様に、夕日を退かして天峰が立ち上がる。

今までのどんな時より、輝く目で天峰を見る夕日。

 

「あ、ああ……そっか、もうこんなに俺は――」

 

「そう。私の中で大きく成ってる」

どこかあきらめたような顔をした天峰の手を夕日がつかむ。

そしてそのまま自身の胸にあてがう。

 

「あ……」

早鐘の様に何度も脈動する夕日の胸に天峰が声を漏らす。

遂に捕まえた。もう逃がす気はない。

 

「天峰は……私の部屋()を壊した……

最初はいやだった……うるさい人は要らなかった……あの部屋(病室)は私のたった一人で休める場所だった……

天峰が……勝手に入って来た……」

夕日の言葉。

それが指すのは夕日と初めて会った時。

 

(そうだ、あの日俺はひとりで佇むこの子を見て――)

過去の夕日を思い出そうとする天峰。

最初に出てきたのは、仄暗い夕日の目だった。

しかしそんな回想などさせないと言わんばかりに夕日の言葉が続く。

 

「許さないから……私の平和を壊して……自分が興味無くなったら、さよならなんて許さないから」

じっと犯罪者を断罪するような目で天峰を射抜いた。

何処となく、はじめてあった目を思い出させる物、しかし明らかに違ったものが有る。

それは決意。

何もなくなり、絶望して何も写さない、孤独な心だけが透けて見えていた目ではない。

その目は確かに天峰を捉えていた。

 

「うぐ……」

夕日の威圧感に天峰が一歩後ろへ下がる。

 

「私を『観て』」

天峰が一歩下がれば夕日が一歩進む。

天峰が目を背ければ夕日がその視界に入り込む。

 

こつん

 

「あ……」

下がりに下がった天峰が旅館の壁にぶつかった。

 

「ずっと一人で居たんでしょ?

卯月さんから聞いた。

二人が別れた後、ずっと約束の公園に通てたんでしょ?

ずっと、ずっと待ってたんだよね?卯月さんが帰ってくるの……」

夕日の言葉に、天峰が遂に目を合わせた。

その目に写るのは弱い自分(天峰)自身。

 

「あ、ああ……」

 

「卯月さんが帰って来て公園に行くのをやめたんでしょ?

それは、自分の思い出の人は変わったってわかったから。

天峰は寂しくて、別れた日からずっとあの公園に心を残してきたんだね……」

夕日の言葉は的を得ていた。

 

「そうだ……そうだった……

俺は、成長した卯月が受け入れられなくて……

ずっと別れたまんまの姿しか覚えてなかったから……

だから、分からないフリしたんだ……

俺は、俺の中の思い出を守る事にしたんだ!!

思い出の中だけで――」

 

「けど……違ったでしょ?私を助けてくれたのは?ほかのみんなを助けてくれたのは?

思い出だけなら、なんでほかの子に自分から関わったの?」

夕日の言葉に天峰が固まる。

 

「それは――」

なぜかわからず言い淀む。

正直な話それはなぜだか、天峰本人にも分からない。

 

「自分でも気が付かなかったんだね?

天峰は小さい子が大好きだから」

当たり前だと言いたげな口調で夕日が天峰の鼻をつついた。

 

「俺は……卯月の影を――」

 

「それも有ったんだと思う……

玖杜と一緒だね、自分をだまして偽った……

だから、かな?玖杜の気持ちが分かった、天峰を見てたから」

玖杜はレンズの向こうに自分を隠すことで、自分を守った。

天峰は思い出の残滓を集めることで、過去の記憶を守った。

だが、それは停滞だ。先に進むことを恐れた臆病者の選ぶ道だ。

 

「……私の好きな天峰は……そうじゃないハズ……

私の気持ちなんて無視して……ズカズカ入ってくるタイプ。

けど……私は過去の残滓には成ってあげない……私は――天峰を連れて未来()へ行く」

 

「夕日ちゃん……」

夕日だったのだ。

過去の思い出に縋り、前へ進むことをやめていた天峰を前へ成長させるのは、天峰が救いだした彼女だったのだ。

 

「私は、私は天峰が――むぐ!?」

『好き』と言おうとして、天峰の指が夕日の唇をつまんだ。

 

「おっと、悪いけど――その先を言うのは()の役目だ」

大きく天峰が息を吸う。

深呼吸して、気を落ち着かせる。

 

(そうか……夕日ちゃんが、俺の事を引っ張てくれる人だったんだな……)

自然と笑みがこぼれる。

 

「夕日ちゃん、俺は夕日ちゃんの事が――」

相手を想う言葉を告げる。

それはシンプルな物かもしれないし、ひどく気取ったものかもしれない。

だが、確かなのは、天峰が目の前に居る子を大切に思い、そして一人と一人から二人へと変わろうとする物。

 

「わ、私も、私も同じくらい好き」

顔を喜びで歪ませ、夕日が天峰に抱き着く。

この距離は恋人だけに許された、夕日だけに許されたポジションだ。

 

「よし、よし……夕日ちゃんは可愛いね」

優しく夕日を撫でる天峰。

気分良さそうに、夕日は目を細める。

抱き合う男女、天峰が優しく夕日を撫でる。

これからは二人なのだ。

 

 

 

「良かった……コレ……使う必要はなかった……」

ごそごそと、ポケットから何かを取り出す夕日。

 

「いい!?」

夕日の取り出したものを見て天峰が固まった。

それは、坂宮家に置いてきたはずのカッターだった。

 

「あれぇ?それ、置いてきたんじゃ……」

 

「今日の為に取ってきた……」

最早夕日のチャームポイント?と化したカッターナイフ。

二人の新たな門出を祝福するかのように、キラリと輝いた気がした。

 

「……因みに、ソレ。どうやって使う気だったの?」

旅行に不似合い、それどころか場合によっては警察に連れていかれてもおかしくないアイテムに天峰が冷や汗を流す。

 

「……ん……普通に……夕食に薬混ぜて動けなくなった天峰を脅して……

そのまま……無理やり既成事実を作って――」

楽しそうに指折り数える夕日。

その瞳は狂気的な喜びが見え隠れしていた。

 

「ああ!!もういい!!もういいから!!ね?」

告白を済ませなかったら、危ういタイミングで別の形で付き合うことに成ってた事を理解して天峰が焦る。流石に義妹に手を出したというレッテルは厳しい。

というか万が一ご懐妊なんてことに成ったら……

考えるだけで恐ろしかった。

 

「ん」

夕日が右手を差し出してくる。

 

「握手?」

 

「違う……彼氏は彼女をエスコートするモノ……」

 

「えっと、そうだね」

夕日の手を握る天峰。

まぁ、コレも悪くないと自身に言い聞かせ――

 

「いけない……忘れる所だった……」

夕日が反対の手に刃を出したままのカッターを握る。

 

「……うわぁ」

右手は自身の手に、反対の手にカッターを握る夕日。

その顔はお目当ての物を手に入れて非常に満足気だった。

 

「ま、まぁ。これも個性だよね……」

無理やり自分を納得させる天峰。

そう、このちょっと病んだ子が自分の彼女なのだ。

過去の思い出に捕らわれた自分の手を引っ張ってくれた大切な人なのだ。

だから――

 

「天峰……今後私以外の子を見たら……」

すっと、首元にカッターの冷たい感覚が走る。

 

「わ、わかってるって!!俺は夕日ちゃん一筋だよ!!」

この二人なら、ずっとずっと限界なんて無い恋人同士に成れるだろう。

扉の向こうでは、鹿肉の調理法を聞きにきたイカーナが居心地悪そうに立っているのを二人は気づかない。

 

 

 

 

 

ちょっとその後の物語――――

 

「儀姉さんって呼ぼうか?」

 

「いや、いい」

夕日が何とも言えない顔をした、天音に対して話す。

あの後家族に、事の顛末を話した。

 

天峰の告白に、家族は混乱を極めると思ったがそんなことは無かった。

むしろ両親は「恋人ができたのか。よかったな」とさえ言ってくれて非常にあっさりしていた。

ひょっとしたらこうなる事を読んでいたのかもしれない。

だが、天音はそうではなかったようだ。

未だに二人を見るたび何とも言えない気分になるようだ。

たまにだが一人で居る時に「マジかよ……」とか「何時からだよ」とか「いろいろいいのかよ」とか言っている。

 

家は大した事は無かったが学校は大変な事に成っていた。

二人の顛末を聞いた卯月は一言「そう」と言ったきりすっかり元気が無くなってしまった。

だが天峰は心配してない。卯月の強さを知っている。

そして密かに彼女に思いを寄せる男たちは、そんな卯月をほおっておかないだろう。

 

問題は天峰の方だった。

まずクラスメイトからのニックネームがロリ峰に変わった。

ソレどころか中学生の生徒とすれ違うと、ひそひそとウワサまでされる始末。

 

「信じてくれ!!!俺はロリコンじゃない!!」

と言っても一向に、理解してもらえない。

そう、今の自分は夕日ちゃん一筋だ。

 

……たまに、藍雨ちゃんにご飯貰って喜ぶけど……

……たまに、まどかちゃんと休み時間に話したりするけど……

……たまに、木枯ちゃんの胸が最近大きく成って来て、測りたいとひそかに思ったりするけど……

……たまに、クノキちゃんとゲームで対戦したりするけど……

 

「……ねぇ……浮気?浮気なの?」

 

「だ、断じて違うよ!!」

針の(むしろ)って言うのはこういう状況なのだな。と考えて毎日を過ごしている。

余談だが、驚くことに八家にも彼女が出来たらしい。

数人の目撃情報があり、青い着物姿の美人と一緒にデートしているのを見たらしい。

 

 

 

「よぅし!夕日ちゃん明日デート行こうよ。デート!!」

夕日の部屋のドアを開けて天峰が夕日を誘う。

 

「……うん……行こう……」

ノートに何かを書いていた夕日が降り返った。

 

「あれ?勉強?」

 

「……違う……将来の……子供の名前を……考えてる……

『天樹』が……一番の有力候補……男の子なら『あまぎ』って読ませて女の子なら『てんじゅ』って読ませる」

やけに生き生きと語る夕日に、天峰が苦笑いを浮かべた。

 

「あ、あははは……ちょっと早くない?」

 

「大丈夫……13歳でも妊娠出来る……

それに天峰はロリコン……十分興奮出来る……」

 

「デートってそういう意味じゃないからね!?」

思った以上にガンガンくる夕日を天峰はあきれたような目で見ていた。

だが、確かな幸せがここにはあった。

 

 

 

リミットラバース……完。




遂に天峰の止まっていた時間が動き出しました。
この作品は、コレにてハッピーエンドです。

少し時間を置いて、また別のルートを書いていきます。

具体的には
藍雨ですかね。

上手くいけば、裏で動いていた夜宵ちゃんや。
天候シリーズでまだ名前の出てない、雪を担当する倉科 雪名(セツナ)などが出せるかも……

期待せずに気長に待ってくださいね。

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