記憶の片隅で   作:to110

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あなたは人生を変えるやもしれない二択、どちらかを取れますか?片方を得ればもう一方は失う。そんな当然のことが常に起きていることを、お気づきですか?今回はそんなお話。
読書する時間が取れない筆者がおくる長編シリーズ第7話、では、どうぞ。


第7章 進む道は常に整備されたものではない。

八幡「」

 

 

雪乃「八幡君?寝たの?」

 

 

この状態で寝られるやつはどこぞの青い狸に厄介事を持ち込む昼寝の天才くらいじゃないか?そいつでも寝れないと思うが。

 

 

雪乃「あなたを知ってる私はあなたにどんな感情を持っているのかしら。たぶん、今の私の感情と変わらないんじゃないかしら。私はあなたといられてとてもーーーーーーーー」

 

 

ゴロゴロ!

 

 

さっきと同じくらいの大きさだ。

 

 

雪乃「」ギュッ

 

 

雪乃「」ガクガク

 

 

仕方ない………

 

 

八幡「」ナデナデ

 

 

雪乃「え?」ピクッ

 

 

八幡「」ナデナデ

 

 

雪乃「」 プシュー

 

 

落ち着いたようだな。しかし、これは………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

八幡「落ち着いたな?」

 

 

雪乃「え…ええ………」

 

 

八幡「んで、なんで俺のことを名前で呼ぶんだ?」

 

 

雪乃「ダメ、だったかしら」

 

 

八幡「ダメではないが…」

 

 

雪乃「八幡君は本当に自分を信じないのね」

 

 

八幡「?どういうことだ?」

 

 

雪乃「姉さんが言ってたのよ。八幡君は自分に対して信じられない、信じ方を知らない、知れない人だって」

 

 

八幡「いや、俺は別に…」

 

 

雪乃「なら、証明してみてよ」

 

 

八幡「どうやって?」

 

 

雪乃「………………」

 

 

八幡「雪ノ下?」

 

 

急に黙り込んだと思ったらそのとたんに顔を真っ赤に染める。そんな動作するなよ………そんなことされたら俺はまた勘違いをしてしまう………

何十秒か経ったそのときに雪ノ下は動き出す。

 

 

雪乃「八幡君。あなたのことが…すす、す好きです…」ギュッ

 

 

え?なんだって?

………なんてどこぞの見た目ヤンキーのハーレム主人公でない俺には使いこなせない。あの技すごいよなー、やっばり男なら一度は使ってみたい言葉の一つだよなー。

現実逃避しか俺はできてない。

 

 

雪乃「八幡君?」///

 

 

八幡「何かの………勘違いだろ………」

 

 

雪乃「いいえ。私のこの気持ちはーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

八幡「気のせいだ。お前は俺に対する記憶はないんだ。だから勘違いをしているんだ」

 

 

雪乃「そう………」

 

 

「あなたは卑怯よ」ボソッと付け加え、雪ノ下は俺から離れる。雷も止んでいるからもう抱きつかれることもないだろう。

 

 

八幡「………おやすみ」

 

 

雪乃「………おやすみなさい」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「おはよう、八幡君」

 

 

八幡「………んぁ?………ああ、おはよう」

 

 

ドン!

 

 

小町「お兄ちゃん!おは、よ………

ゆ、雪乃さん。こ、これは失礼しましたー」

 

 

ドン!

 

 

雪乃「小町さん、どうしたのかしら?」

 

 

小町の行動は理解ができる。だってこいつ今下着しか着てないんだもん。朝から下半身が痛い。だが俺はそこから目を逸らすことはしなかった。ここで逸らしたら意識している感が雪ノ下に伝わってしまうからだ。……………ごめんなさい。雪ノ下のからだがきれいだから見惚れてただけです。はい。仕方ないじゃん。奇妙な性癖を持たないごくごく一般的な男子高校生が美少女の下着姿みないわけないじゃん。

 

 

雪乃「どうしたの?八幡君」

 

 

あ。雪ノ下のことをみていたことに気づかれた。すると雪ノ下はさっきからのクールな顔ではなくなった。

 

 

雪乃「」カァァァ///

 

 

腕で体、まぁ主に胸のあたりなのだが、隠す。でもなぁ、その慎ましやかな胸よりも下を隠してほしいんだよなー。いや、別に慎ましやかな胸を否定はしてないし、こいつ場合はそれも魅力として相対的にプラス、だろう。なんでこんなに俺は必死なんだよ。

 

 

八幡「んじゃ、俺学校だから。適当にお前も家に帰れよ」

 

 

雪乃「それが…その…ね」

 

 

八幡「なんなんだ?」

 

 

雪乃「…姉さんが鍵、持ってっちゃって…」

 

 

八幡「家に帰れないのか?」

 

 

雪乃「ええ。だから…まだしばらく泊めてくれるとありがたいのだけれど…」

 

 

八幡「………はぁ。わかった。んじゃ留守番頼む」

 

 

雪乃「ありがと」ニコッ

 

 

そうやって雪ノ下は笑う。いや、笑ったように見えた。俺は雪ノ下の顔をしっかり見たわけではないから本当のことはわからん。というか、こいつの顔を正面から見る資格なんてない。

 

 

………………………………

 

 

八幡「………おやすみ」

 

 

雪乃「………おやすみなさい」

 

 

八幡「……………………………」

 

 

雪乃「……………気のせい、なんかじゃないわよ。気のせいなんかじゃ…

これが気のせいだっていうならこの気持ちはなんなのよ。好きっていう感情はどんな気持ちなのよ………」ギュッ

 

 

八幡「…………………………」

 

 

雪乃「シクッ………ううぅ………んくっ………八幡君………あなたは………卑怯よ………」

 

 

………………………………

 

 

八幡「卑怯、か………」ボソッ

 

 

今まで卑怯で卑劣で、そんなことをしてきたが、こんなに心が痛むことはなかった。俺に対する接し方はまさしく好きだから、で説明はできる。だがそれを認めたら俺は俺を知っている彼女に顔を合わせられない。それに、俺は責任を取らなければいけないのだから。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

学校では特に変わらない、ごくごく普通に他人がいる。そうだ、普通だ。普通、か………

もしかしたら、俺はまた勝手に彼女に幻想を抱いているだけかもしれんな………


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