記憶の片隅で   作:to110

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人というのはわりかしあっさりと変わってしまうものです。全員が全員そうと言い切れるわけではありませんが、変わることなんて難しくはありません。髪の長さも変わるし知識量も変わる。外見も内見も変わりゆくものです。しかし、大きな変化はどうでしょう。今回はそんなお話。
調子に乗ってオリジナル作品を描き始めた筆者がおくる長編シリーズ第6話、では、どうぞ。


第6章 人の変化を気づくのは簡単ではない。

ピーンポーン

 

 

何か昨日もこんな展開だな。小町はいないと。

 

 

八幡「はーい」

 

 

俺はドアを開ける。ただ、明らかに昨日と違う部分があった。一つ、今の時間はどう考えても夕方である点。二つ、それは

 

 

雪乃「ひ…比企谷…君。その…忘れ物…届けに来た…よ」

 

 

雪ノ下はその白く細い両腕で俺の小さな財布を胸の前で持っている。あれ?雪ノ下って

 

 

「こんなに可愛かったっけ?」

 

 

な〜んかついさっきもおんなじことやった気がするな〜。さっきもこんな感じにどこからかの声が聞こえてたな〜。

雪ノ下の顔が真っ赤なのは夕陽のせいだよな〜。どうしよ〜。

 

 

雪乃「…ひ、ひひ…ひき…ひき…」ボンッ

 

 

フラ〜っと雪ノ下が前に、つまり俺に向かって倒れてくる。まぁ、当然だが俺は受け止める。

 

 

八幡「おーい雪ノ下ー?」

 

 

返事がない。ひとまず部屋にでも運ぶか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪ノ下「んっ、ぅん、んんっ」ビクッ

 

 

なんでこいつ寝ながらこんな色っぽい声出してんの?誘ってるの?立っちゃうよ?そのまま襲っちゃうよ?………なんなんだろう。さっきから罪悪感が薄れてきている。悪い傾向なんだろうが、俺としては雪ノ下が元気そうでなによりだし、しっかりと責任はとるつもりだ。

 

 

雪乃「………へっ?比企谷…君…?

………ここは?」

 

 

おお、くだらない回想が広がってたら雪ノ下が起きていた。

 

 

八幡「俺の部屋だ」

 

 

雪乃「どうして比企谷君の部屋に?」

 

 

八幡「財布をお前が届けてくれて突然お前が倒れたから、まぁ看病してた。といってもタオルを頭に乗せるくらいしかしてないけどな」

 

 

雪乃「え?あっ………ありがとう………」///

 

 

にしても雪ノ下、昨日とは違って俺に対して仲良くしすぎじゃないか?ただの勘違いならいいんだが。

 

 

雪乃「比企谷君…その…抱いて?」ニコッ

 

 

八幡「おう。

………へ?は?え?ん?〜」

 

 

コイツハナニヲイッテイルンダ。

 

 

雪乃「足が動かないのよ。その…お手洗いまで運んでくれると…ありがたいの…だけれど…」モジモジ

 

 

八幡「ああ、なるほど。そういうことか。変に遠回しなことは言うもんじゃないぞ」

 

 

フゥ〜危うかった〜。あと少しで襲っちゃうところだった。俺の八幡はビンビンです。てかこのくだり何回目だよ。雪ノ下に対する感情が不健全すぎるだろ。筆者もう少しやる気だせ。

 

 

雪乃「別に本当に抱いてくれても………」ボソッ

 

 

八幡「ん?どした?」

 

 

雪乃「なんでも…ないわ…」

 

 

そうだ。なんでもない。これが俺の知っている雪ノ下雪乃なら問題はない。だが、この雪ノ下雪乃は俺を知らない、それはつまり俺の知らない雪ノ下雪乃が目の前にいるということなのだろう。俺の知らない雪ノ下雪乃の一面。

 

 

雪乃「それで…その…運んでくれる…のかしら…」モジモジ

 

 

八幡「あぁ悪い。今から運ぶ。が、どうやって?」

 

 

雪乃「比企谷君が一番楽な方法でいいわよ」

 

 

八幡「んじゃ

よっこいしょっと」

 

 

軽い。かけ声とかいらないじゃん。この体重って別に事故のこと関係ないよね?大丈夫だよね?

 

 

雪乃「ひ…比企谷君………い…いくら楽な方法といっても…この…その…お姫様だっこは…その…」///

 

 

八幡「いやだったか?」

 

 

雪乃「い、いいえ。いやではないわ」モジモジ

 

 

あーやばいなー。今の俺は美少女を抱えているわけだろ?

………余計なことは考えないでおこう。雪ノ下にあれの存在を気づかれたくはない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

部屋に戻るときもこんな感じだったが、無心を貫き、そして記憶がない。だが、やけに右手に柔らかい感覚が残っている。無心だったはずなんだけどな。それから雪ノ下は少し怒り気味だ。

 

 

八幡「………なぁ、なんでそんなに怒ってんだ?」

 

 

雪乃「それは…その…八幡君が…私のお、おし…おし……を触ったから…」カオマッカ

 

 

右手の感覚はそのときのものか。俺も男だな。無心でも感覚神経はフル活動している。

ここらで本題に戻るか。

 

 

八幡「雪ノ下、病院抜けてきていいのか?」

 

 

雪乃「あっ、う、うん。昼過ぎに退院したから、大丈夫」

 

 

八幡「ここまでどうやって来たんだ?」

 

 

雪乃「車で送ってもらったわ」

 

 

八幡「帰りは大丈夫なのか?」

 

 

雪乃「大丈夫じゃないわ。足が動かないもの」

 

 

………今とてつもないことを聞いた気がする。

 

 

八幡「んじゃあ、どうするんだ?」

 

 

雪乃「泊めて、八幡君」ニコッ

 

 

八幡「いや、だがな…しかし…」

 

 

雪乃「ダメ?」ウルウル

 

 

八幡「い、いや…だが、俺も男なわけで…」

 

 

雪乃「私は…その…構わないわ」モジモジ

 

 

八幡「何が構わないんだよ………

………はぁ、負けだ。どうぞ泊まっていってください」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

という夢を見たかったんだ。夢じゃないんだよなー。んで、今から寝るわけだが、なぜか俺の隣には美少女が横になっている。

 

 

雪乃「八幡君、はやく寝た方がいいわよ」ギュッ

 

 

しかも俺は彼女の抱き枕。どうやって寝ればいいんだよ。どうして抱き枕になっているかというとーーーーーー

 

 

八幡「泊めるっていっても寝る場所は流石に変えるぞ。お前は動きたくなさそうだから、俺は下で寝る」

 

 

雪乃「そう………」シュン

 

 

八幡「まぁそういうわけだから、おやすみ」

 

 

と、ちょうどそのときにやつが、この元凶が鳴る。

 

 

ゴロゴロ!

 

 

雪乃「」ビクッ

 

 

八幡「でけぇ雷だな」

 

 

雪乃「」ガクガク

 

 

八幡「雪ノ下ー?」

 

 

雪乃「」ブルブル

 

 

八幡「お前、雷が怖ーーーーーーー」

 

 

雪乃「雷なんて怖くないわよ。少し…ほんの少しだけ…驚いた…だ、だけよ…ち、ちっと…も…怖くなんて…ない…わよ…」ウルウル

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

後はご想像にお任せしよう。そして現在に至る。

 

 

無論、美少女に抱きつかれてあっさり寝られるわけもなく、起きているわけだ。

俺はぼっちでも年頃の男だぞ。どうなっても知らんぞ。




お読みくださいましてありがとうございます。
ゆきのん描くのなかなか難しくて大変です。可愛く描きたいんですがね。
これから盛り上がりを見せるかわからない展開、どうぞお楽しみにください」

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