記憶の片隅で   作:to110

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第十一話 こうして彼らのクリスマスは過ぎていく。

雪乃「八幡君は受験どうするにょ?」

 

 

八幡「お前はまず酔いから覚めることに専念しろ」

 

 

雪乃「」プクー

 

 

頰膨らますなや。こんな雪乃滅多に見ないから貴重だな。

 

 

八幡「雪乃」

 

 

雪乃「雪乃………へへへ………」テレテレ

 

 

やりずれえ………

 

 

八幡「それで、酔いを覚ますことに専念してほしいんだけど、さ」

 

 

雪乃「にゃにかしら?」ゴクゴク

 

 

首を傾げるな!注意できなくなるだろうが!

 

 

八幡「なんでさっきから飲むの止めないの?」

 

 

雪乃「私が飲みたいからに決みゃってるじゃらいのよ」

 

 

八幡「だから飲むのを止めてくれ」

 

 

雪乃「彼女がしらいことにゃのよ?そのくりゃいいいじゃらいのよ」

 

 

八幡「なら雪乃からの質問は答えられないぞ」

 

 

雪乃「もう!八幡君の意地悪!」

 

 

………なにこれかわいい。

 

 

雪乃「わかったわよ。飲むの、いゃめるわよ」

 

 

八幡「それでいいそれでいい」

 

 

………でも、どうやって酔いって覚めるの?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

30分ほど経ったら酔いは覚めた。やっぱりアルコールが入ってないだけのことはある。酒臭くなることもないし、適度に炭酸飲ませようかな。

 

 

雪乃「いいえ、もう私は飲まないわ」

 

 

八幡「そんなこと言うなよ。おいしかっただろ?」

 

 

雪乃「それはそうだけれど………でも私は同じ失敗はしたくないもの」

 

 

八幡「かわいかったからまた飲ませるよ」

 

 

雪乃「もう………やめて………!///」

 

 

八幡「受験ももうちゃんと考えないといけない時期だよな」

 

 

雪乃「そうよね」

 

 

切り替え、早っ⁉︎顔の赤さもうないし。でも耳は赤いけどね。

 

 

八幡「雪乃はどこ行くんだ?」

 

 

雪乃「国公立よ」

 

 

八幡「なるほどねー」

 

 

さすがだよね。そんなきっぱり言えるなんて、さすがだよね。

 

 

雪乃「それで、八幡君は?」

 

 

八幡「私立になるな、理系がアウトだし」

 

 

雪乃「八幡君は文系だったわね」

 

 

八幡「ああそうか、雪乃って文理どっちとんの?」

 

 

雪乃「どうしようかしらね」

 

 

八幡「理系にいって陽乃さんの後ろを追うか?」

 

 

雪乃「それでもいいと、そう思っているわね。真似とかではなくて」

 

 

雪乃も成長したのだろう。陽乃さんの真似をしてきた彼女、否、しようとしてきた彼女。追うという意味が彼女の中ではもはや違う。今では純粋に陽乃さんを一人の尊敬できる人として、見ているのだろう。

 

 

八幡「それでもいいと思うぞ、俺は」

 

 

雪乃「八幡君と進路が異なってしまうのも、ちょっとね………」

 

 

ああそうか。明らかに進路が違ってくるのか。いや、そもそも国公立と私立の時点で違うよね。

 

 

雪乃「そうね、いいこと思いついたわ」

 

 

目が、雪乃の目が。なんだろう、銀色に輝いてる。シルバーブレッドのごとく。

 

 

雪乃「八幡君が国公立に行けば同じ大学に行けるわよね?」

 

 

とんでもねえ内容だった。

 

 

八幡「俺の理系の点数、知ってる?」

 

 

雪乃「今から私が教えれば間に合うわよ」

 

 

雪乃がそう言うとほんとに間に合いそうだ。というか、間に合ってしまう。理系やりたくなーい!

 

 

雪乃「では八幡君、そうと決まったのだからまず数学を押さえましょう」

 

 

八幡「いや、まだ決まってなーーーーー」

 

 

雪乃「まずはこれを解きましょう。中学の復習よ。高校受験対策」

 

 

八幡「よくこんなん残してあるな」

 

 

雪乃「中学の内容は高校数学の理解には必要なことよ」

 

 

八幡「………まじでやるの?」

 

 

雪乃「やるわよ。最初は一人でどこまで解けるかやってみて」

 

 

八幡「………わかった」

 

 

ペラリ

 

 

一枚めくって、俺は雪乃のすごさを知った。1ページ目標時間が30分。もう何枚かめくった。30分以上なのがころころあった。俺は思う。こんなん解けるわけがねーだろ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「だからここにこれが代入できて」

 

 

八幡「なるほどね」

 

 

雪乃教えるのうますぎでしょ。まったく理解してなかった中学数学を、3時間で理解させやがった。そんな時間が経過して現在の時刻は10時オーバー。

 

 

雪乃「あら?もうこんな時間。今日は泊まっていく?」

 

 

八幡「いや、着替えもってきてないし」

 

 

雪乃「小町さんがこの間もってきたのがあるわよ?」

 

 

なにやってんだ小町。

 

 

八幡「迷惑じゃないか?」

 

 

雪乃「なにをいまさら。八幡君が私にどれだけの迷惑をかけてきたと思っているの?」

 

 

八幡「確かにいまさら、だな」

 

 

雪乃「迷惑じゃないわよ。八幡君と一緒にいたいもの」

 

 

八幡「んで、いつ風呂入る?」

 

 

雪乃「一緒に?」

 

 

八幡「一緒がいいか?」

 

 

雪乃「そうね」

 

 

八幡「じゃあこの問題解いたら行こうぜ」

 

 

雪乃「ええそうね」

 

 

………なに?すごく自然に一緒に入ることになったけど、俺と雪乃ってこんなんだったっけ?

 

 

雪乃「///」カァァァ

 

 

照れるないまさら。俺まで赤くなるじゃねーか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

カポーン

 

 

広い、風呂場が、広い。なんだこの広さ。俺ん家の1.5倍?それ以上?

そのおかげで雪乃と接触部分は大してない。ちくしょう!

 

そう思っていた。

………ねえ雪乃さん?確かに引っ付きたいとは思ったけどわざわざ来る必要ないんだよ?

ちゃこんと俺に背中を見せて座る。あまりにも自然な動きだった。

 

あーなんか雪乃が近くにいて変な気になるんじゃー。

というわけで抱きついてみる。

 

 

雪乃「ひゃっ⁉︎」

 

 

まぁそうなるよね。驚くよね。

 

 

雪乃「いっ、いきなり、ななななにするの………よ………」

 

 

八幡「いや、雪乃が近づいてくるからじゃん」

 

 

雪乃「だって………八幡君が………」

 

 

八幡「よしよし」ナデナデ

 

 

雪乃「あぅ………」

 

 

………風呂で、この体勢で、よく俺はなにもしなかったな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「八幡君」

 

 

八幡「なんだ?」

 

 

雪乃「一緒に寝るわよ」

 

 

………はい?

 

 

八幡「はい?」

 

 

雪乃「二回も同じことを言わない」

 

 

すみませんでした。

っておい。二回言ってないぞ。一回しか言ってない。

 

 

雪乃「早く寝るわよ」

 

 

八幡「なぜ?」

 

 

雪乃「お客様用の布団は今実家にあるの」

 

 

八幡「なぜ?」

 

 

雪乃「その言葉しか発せないのかしら。………そろそろ洗った方がいいと思ったのよ」

 

 

なんで目逸らすの?

………まさかこいつ。

 

 

八幡「全部計算通りか?」

 

 

雪乃「にゃっ⁉︎なんの、ことかしら………」

 

 

これ絶対計算してるわ。雪乃は俺が泊まるの狙ってたわ。

 

 

雪乃「だ、だから………その………」ギュッ

 

 

八幡「………!」

 

 

雪乃「一緒に………寝るわよ………」

 

 

八幡「わかり………ました………」

 

 

不覚にもドキッとしてしまった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「」ギュウー

 

 

八幡「………」

 

 

雪乃「八幡君、寝た?」

 

 

八幡「この状態で寝れるわけがない」

 

 

雪乃「なら、今日は寝かさないわよ」

 

 

そのセリフだけならすごく素敵なのに、実際はほんとに寝かせないっていう。まぁ嬉しいは嬉しいんだけどさ。

 

 

雪乃「」ギュウー

 

 

仕方ない、今日はこの体勢で付き合ってやるか。

 

 

雪乃「ふふっ」♪


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