八幡「おい雪乃。少し、落ち着ーーーーー」
………俺は自分の体に違和を感じた。体の芯から熱を発して、とてつもなく暑い。
雪乃「はぁ………八幡………君………はぁ………」
二人ともがこうなっている。そしてすき焼きの味の違和感。小町のやろう、絶対にあれを入れやがった………
やばいやばい。雪乃が浴槽からこっちに体を乗り出し、甘い呼吸音を近づける。細くしなやかな、柔らかい腕とともに俺と雪乃の距離が近づく。
八幡「や、やめろ雪乃。雪乃がそうであるように俺だってやばいんだ。歯止めがきかなくなるぞ」
雪乃「私………はぁ………はっ………はぁ………かまわない………わ………よ」
なら仕方ないな。彼女が綺麗な裸で誘ってくるんだ。なら俺も
ーーーーーってやめろやめろ!邪念を振り払え。
という抗争(構想?)が俺の中で起きているうちに、いつの間にか雪乃が俺の上で、倒れてる。
八幡「お、おい雪乃!大丈夫か!」
雪乃「………ぅん………はぁ………大………丈夫………よ」
こいつ、のぼせてる。
まぁそりゃそうだろうけどね。風呂の温度はそれなりだし、体も暑くなって、雪乃の体力はないんだから。性欲って体力がなくなったら弱くなるんだな。
今回ばかりは雪乃の体力のなさのおかげで助かった。
八幡「ほら雪乃、もうあがるぞ」
背負って雪乃をひとまずリビングへ。
雪乃「………はぁ………ごめん………んんっ………なさい………はぁ………」
耳元でこれはまずい。雪乃を背負ったのは失敗だった。というか、俺の理性よくもったな。うんほんと、よくもった………
ーーーーーーーーーーーーーーー
小町「え⁉︎お姉ちゃんどうしたの⁉︎」
八幡「お前がすき焼きに変なもん入れるから雪乃がのぼせたんだよ」
小町「え〜、じゃあなんにもイベントなかったの〜?」
八幡「なかった」
小町「残〜念〜だな〜」
八幡「なんでこんなことしたんだよ………」
小町「これはお兄ちゃんたちのためなんだよ?」
八幡「なんでだよ」
小町「お兄ちゃん。いつまでもちんたらヘタレの彼氏してたら雪乃お姉ちゃん、離れていっちゃうよ?」
八幡「いや、それはなーーーーー」
小町「いい加減にしなさい。そうやっていつまでも雪乃お姉ちゃんを信じない。いい?お兄ちゃんより魅力的な男の人がこの世の中、何人いると思ってるの?」
八幡「………」
実にその通りだ。反論のしようがない。
八幡「………俺は雪乃を運んでくる」
小町「………そっ」
今は寝ている雪乃を再び俺の部屋に運ぼうと、リビングを出ようとする。
小町「雪乃お姉ちゃんは今のお兄ちゃんが好きなんだよ?昔の、お兄ちゃんは関係ないんだよ?ちゃんと雪乃お姉ちゃんを信じてあげなよ」
八幡「信じるのか信じないのかどっちなんだよ」
小町「お兄ちゃんはお兄ちゃんのことをまずは信じてあげなさい。雪乃お姉ちゃんはそれからでもいいんじゃないかな?」
八幡「生意気言うな」
小町「だーれの妹だと思ってるの?」ニヤニヤ
八幡「俺と、………雪乃の妹だろ」
小町「それでいいよっ。へへっ」
あとは陽乃さんの、もか。
小町のやろう。まったく、嬉しそうにしやがって………
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雪乃「んっ………ううん………あっ………八幡君」
八幡「ここは夢じゃなくて現実だぞ?」
雪乃「知っ………知ってる………わよ………
ばかっ………///」
八幡「そーかよ」ナデナデ
雪乃「ふわあぁぁぁ〜………」トロ〜
八幡「………」ナデナデ
雪乃「」♪
八幡「………」
雪乃「?」
八幡「」スッ
雪乃「どうしたの?」
八幡「あ?あーいや、なんもないぞ」
雪乃「八幡君の嘘なんて、簡単にわかるものよ?」
八幡「いや、本当になにもーーーーー」
雪乃は右手を俺の左頬に添えて、顔を近づける。決してキスをしようという距離ではない。が、それでも、近い。
雪乃「八幡君が私に嘘をつくときってどんな顔してるか知ってる?とても、悲しそうな顔をしているのよ?そんな顔を向けられる私の身にもなってよ」
八幡「それは、悪かっーーーーー」
雪乃「それから、隠し事をしようとするときも、そんな顔になるのよ?」
八幡「………」
雪乃「言いなさい」
八幡「へ?なにを?」
雪乃「嘘をついた理由と、隠し事について」
八幡「………」
………言って、言っていいのだろうか。俺は、雪乃を信じてもいいのだろうか。過去の自分なんて清算できない。違うな、できてないだけか。しようとしてこなかった。そんな俺でも、雪乃は見れるのだろうか。
雪乃「言うか言わないかは八幡君が決めることよ。それから、私は待つわよ。いつまで、でも」
八幡「聞いてたのか?小町との会話」
雪乃「ええ、全部かは知らないけれど」
八幡「俺はこんな性格だ。俺よりもいい人はいくらでもいる。俺じゃ雪乃を幸せにできないかもしれないし、俺よりも幸せにできる人はいるんだ。それでも、それでも!待っていてくれるのかよお前は!」
最後は完全に震え声。それに、言ってて情けない。一体なにを言っているんだろう。ほんと、俺を嫌って別れてくださいって言ってるみたいじゃねーかよ………
雪乃「八幡君は記憶力がないのね。私は待つと言ったはずなのだけれど?私は八幡君が、八幡君の全てが好きよ。その最悪の言葉のプロポーズだって、そんな性格だって、全て好きよ」
八幡「ならさ………待っていて………くれよ………」ポロポロ
雪乃「ええ、もちろんよ。でも、今度はもっとかっこいいプロポーズにしてね?」
あぁ、わかった。そう心の中で叫ぶ。雪乃を強く、強く抱きしめて。
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小町「うんうん、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだな〜」
八幡「悪かったな」
小町がさっきのやりとりを見ていた。以上説明終わり。
小町「いやいや〜、小町的にはそれで十分ですよ〜。お兄ちゃんが雪乃お姉ちゃんとちゃんと話をして、それだけで十分だよっ」
八幡「俺の性格が変わることはないってことだ」
小町「それにしても雪乃お姉ちゃん、相変わらずかっこいいね〜。お兄ちゃんのかっこ悪さのおかげでさらに際立ってるよね〜」
八幡「それはもうほんとだよな」
小町「かっこよくなろうとしないの?」
八幡「雪乃にああ言った手前、そんなことしなくてもいいだろ」
小町「はぁー、勝手に惚気ちゃってー。大志君のプロポーズはいつになるのかな〜」
八幡「したら死ぬと思うぞ」
死因は失血死。犯人は親父。いや、もっと酷いかもしれない。
小町「雪乃お姉ちゃんを悲しませたらだめだよ?」
八幡「そりゃそうだ」
小町「頑張ってよ〜、お兄ちゃん」
八幡「できる限りは幸せにする」
小町「できる限りって………」
八幡「いや待て。できる限りってことはできる全てをもってってことだ。限りだからな。余すことなく俺は雪乃に尽くす、ということだ」
小町「お兄ちゃん、微妙にかっこいいよー!」
八幡「いや、微妙をとれ」
小町「まっ、お兄ちゃん!頑張ってね!」
八幡「まぁ、な」
小町「こんなお兄ちゃんですがよろしくお願いします。雪乃お姉ちゃん」
雪乃「」ポワポワ
そう。雪乃はこの場にいるのだ、最初から。できる限りの説明をしたあたりにボンッという音が聞こえてた。
雪乃に好きと叫ばれ、待つと言われて、俺は、まぁ、あれだな。
ーーーーーあーいや、なんでもない。
小町「お兄ちゃん、顔真っ赤だよ〜」ルンルン
もうこれからは完全に単発を送ると思います。これで終わってもよかったのですが、解決してないこともありますし、さらに卒業式まで、ということも聞きましたし、卒業式までやろうかなーという感じです。
これからもよろしくお願いします。