記憶の片隅で   作:to110

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もうこの時期だと5時半ではもうすっかり明るいですね。
いや〜、ちょっとした仕事があってその時間に家を出てこれを書いているんですがね、電車がすっからかんなわけですよ。
原因はわかっていたってどうしようもない。そんな、お話。手すりを眺めて描く長篇シリーズ第3話、では、どうぞ。


第3章 彼は当たり前なことを除外して生きている。

俺は雪ノ下の発言で仮説が生まれる。簡単なことだ。雪ノ下と由比ヶ浜の関係は友達、ましてや雪ノ下の場合は彼女に助けられたりもしただろう。そんな彼女を覚えていても、不思議な気はするがおかしくはない。

 

 

陽乃「どういうことなの?」ボソボソ

 

 

この人も俺と同じ推測か、それ以上の推測か。どちらにせよ今の雪ノ下さんは信用に値する。

 

 

八幡「あなたと同じ推測を立てたと思います」

 

 

陽乃「でも……………雪乃ちゃんは比企谷君を……………」ボソボソ

 

 

八幡「そこです。少なくとも雪ノ下と俺は安いもので繋がっていたわけではありません。自意識過剰とかではなく。それで由比ヶ浜を覚えていて俺を覚えていない。頭使うのは俺の仕事ですが、雪ノ下の思っていることまではわかりませんし、どうしようもないです」ボソボソ

 

 

結衣「ねぇ、ヒッキーと陽乃さんさっきから何こそこそしてるの?」プクー

 

 

八幡「いや、なんでもない。気にするな」

 

 

結衣「そっ………」プイッ

 

 

八幡「それじゃ俺は出ていく、というか先生に少し聞いておきます」ボソボソ

 

 

陽乃「よろしくね」ボソボソ

 

 

ガチャ

 

 

俺にとっては大事で、重要なつながりだったのにあいつにとっては大したつながりじゃなかった。という方がさっきの推論よりも正解だろう。

先生のところに行こう……………

 

 

コンコン

 

 

「はい」

 

 

八幡「失礼します。雪ノ下の付き添いの人間ですが…」

 

 

先生「何かあったかな?」

 

 

八幡「眼が覚めたんですけどーーーーーーーーーーー」

 

 

俺は今までの一連の流れを話した。

 

 

八幡「ーーーーーーーーーーーということでこの推論がたちました」

 

 

先生「なるほど…」

 

 

続けざまに先生はこう言う。

 

 

先生「おそらくその推論は間違っている。いや、方向性はいいんだ。情報が足りてないだけなんだ。だから、断言はできないが。雪ノ下さんのちょっとした知り合い、つまり…その…言い方は悪いがものすごく深く付き合っていない人に来てもらうことはできるかな?」

 

 

八幡「わかりました」

 

 

先生「雪ノ下さんのことは随時報告してほしい。君に、頼めるかな?」

 

 

八幡「………わかりました。では、失礼します」

 

 

ガチャ

 

 

誰を呼ぶ?ここで俺が選んだ人間は確実に雪ノ下と仲良くないということになる。俺が選んでいいのか?といっても誰かに任せるのもできないし。

いるじゃないか。そうだ、いる。だが、呼んでくるのか?一先ず電話でもするか。無論、外へ出てだが。

 

 

プルル

 

 

八幡「お前に頼みがある。今すぐ病院に来い。わかったな」

 

 

プチッ

 

 

この一方的なやり方。俺、すごいやってみたかったんだよ。許せ。

 

 

「なんだ?我が相棒よ」

 

 

八幡「来たか材木座」

 

 

義輝「して、我に何を望む……」

 

 

八幡「ちょっと来い」ススス

 

 

義輝「えぇーもうちょっと我にかまってよ」スタスタ

 

 

ガチャ

 

 

八幡「材木座、とっとと入れ」ドンッ

 

 

義輝「あわわわわ………」

 

 

結衣「ええと……っ、中二がなんでこんなところに?ゆきのんのお見舞い?いいとこあるじゃん」

 

 

陽乃「ひゃっはろー」

 

 

そして、雪ノ下の反応はーーーーーーー

 

 

雪乃「あら、珍しいお客さんね」

 

 

⁉︎なんでだ。こいつは材木座を覚えている。どういうことだ。

そして、雪ノ下と眼が合う。彼女の顔は知り合いにするものではなく、本当に、知らない人に向けるような、そんな顔だった。

 

 

こんなことあるのか。材木座を覚えている。つまり俺よりも材木座の方が印象に残っていたということか。それはおかしいだろ、いくらなんでも。彼女とは入学式当日に遭っていて、それでもめて、文化祭の時に解決した。この一連のことが印象に残らないのか。おかしいだろ……………

 

 

「比企谷君!」

 

 

八幡「えっ?」

 

 

陽乃「いきなり走っていかないでよ。ここ、病院だよ?」

 

 

そういえば息が切れていて、体もだるい。そしてここは明らかに雪ノ下の病室じゃない。無意識で走ったのか。理由はあの顔から逃げるため、と考えるのが妥当だろう。

 

 

八幡「………すみません」

 

 

陽乃「まぁでも、仕方ないことだよね。雪乃ちゃんにあんな顔されたらさ。私がされたって比企谷君と同じことをするよ」

 

 

八幡「助かります」

 

 

陽乃「それで、これからどうするの?比企谷君のことだから戻る、という選択はしないと思うけど………」

 

 

八幡「優先すべきは先生への報告、というところですかね」

 

 

陽乃「それがいいと思う」

 

 

八幡「………それじゃあ」

 

 

陽乃「…………ねぇ比企谷君」

 

 

八幡「はい」

 

 

陽乃「君は今自分の状態がどうなのか、しっかりと見るべきだよ」

 

 

八幡「いや、俺は」

 

 

陽乃「君の口からあのことを言うの?言えるの?比企谷君はもっと自分の感情を大事にしてよ」

 

 

八幡「………はい」

 

 

陽乃「よーし、お義姉ちゃんが手伝ってあげよう」

 

 

八幡「あなたを姉に持ったことなんてないんですが」

 

 

陽乃「ほんとはもっと………」ボソッ

 

 

八幡「え、なんですか?」

 

 

陽乃「なんでもないよ」フリフリ

 

 

八幡「……………

じゃあ行きますか」

 

 

陽乃「わかった」

 

 

俺たちは先生の元へ行く。

 

 

…………………………………………

 

 

先生「ふむ、それは面白いね。あや、これは失礼。しかし………今度はこちらの番ですね。こちらでいろいろと考えてみます」

 

 

陽乃「お願いします」

 

 

八幡「……………」

 

 

ガチャ

 

 

八幡「雪ノ下さん」

 

 

陽乃「なぁに?」

 

 

八幡「俺はこれから何をすればいいんですか」

 

 

陽乃「私としてはなんであんな事故?事件?よくわかんないけど雪乃ちゃんがああなったか知りたいかな」

 

 

八幡「………話しますが、できれば…その…」

 

 

陽乃「前のカフェでいいかな?」

 

 

八幡「ありがとうございます」

 

 

陽乃「じゃっ、先行ってて。雪乃ちゃんたちに言ってくるから」

 

 

八幡「ええ、わかりました」

 

 

そうして、雪ノ下さんと別れた。

 

 

一人がこんなに苦痛と思う日がくるとは。独りならよかったのかもしれないが。誰かと一緒にいないと、俺が何をするかがわからない。それが俺は、苦しい。




なんか、後書きに書く内容すらネタがなくて、物語が進むのかが心配になってきた。
今回もこの作品をお読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに〜。

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