カポーン
やはりこの音は一人で風呂に入っているときには心の疲れも体の疲れも一気にお湯が流してくれる。ほんと、誰が作った音なんだろうか。ありがとうございます。ほんとね、
………一人ならば、な。
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小町「お兄ちゃんも雪乃お姉ちゃんも!小町がご飯作ってくるんで先にお風呂入っててください!」
八幡「そうだな。雪乃、先入っていいぞ。雪乃はお客さんなわけだし」
雪乃「そ、そう。なら、先に、いただく、わ」
まだダメージが回復してないのか?まぁ年下の女の子にあんな攻められたんだ。しばらくの回復は無理か。
小町「なーに言ってるんですかーお二人ともー。一緒に入ってきてくださいよー」
八幡「ばっ⁉︎小町!何言ってんだ!」
雪乃「い………一緒………一緒、に………///」
小町「とーっとと行ってきてくださいなっ」
八幡「おい雪乃、気にするなよ。雪乃一人で行けばいいからな?」
小町「お兄ちゃんなーに言ってんの?将来結婚するんでしょ?だーったら一緒にお風呂入るくらいしないと」
八幡「ばか小町!言ってはいけないことを少しは考えろ!」
雪乃「け………結婚………わ………私……と、八幡………君………が………結婚………」
雪乃「」ボンッ
雪乃「」プシュー
雪乃「」ポワポワ
八幡「小町のばかやろう………」
小町「はぁ………お兄ちゃんたちは初々しい中学生?今どき中学生でもこんなことにならないよ?」
八幡「正直、中学生より経験値ないと思うぞ。俺も、雪乃も」
小町「お兄ちゃんはともかく雪乃お姉ちゃんは一回や二回あるんじゃないの?こんなかわいいし、それこそモテモテだっただろうしさー」
そう、だよな。雪乃は、モテるん、だから………
なんなんだろう。別に雪乃が昔誰と付き合っていたって今には関係ないもんなのにな………
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八幡「ほら雪乃、起きろ」ペシペシ
雪乃「んっ………うん………」
八幡「起きたか」
雪乃「あなたの顔を見ると一発で目がさめるわね」
八幡「これまた懐かしいセリフを」
雪乃「ええ、大好きな彼氏の顔を見て、目がさめないわけないじゃないの」
八幡「えっ………⁉︎///」
どうしたんだ雪乃。一体、どうしたというのだ。何が雪乃にこんなことさせてるんだ。雪乃が目をさましたらいきなり始まった。
雪乃「」ツネッ
八幡「痛い痛い痛い!いきなり何すんだ雪乃!」
雪乃「えっ、ま、まさか…ここって夢じゃない…の…?」
八幡「なに言ってんだ………?」
雪乃「だったら私…は………!///」カァァァ
八幡「お、おい雪乃ーーーーー」
雪乃「今っ、話し…かけない…で…お願い………」ウルウル
八幡「お…おう………」
どうやら夢と現実の区別がつかなかったようだ。そんな雪乃は腕をプルプルさせて目を潤ませながらそんなことを注文。これはかわいすぎてやばい。
雪乃「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜///」モフッ
めっちゃ顔を赤らめて俺の枕に顔をダイブ。そうなんだよね、このベッド俺が普段寝てるやつなんだよね。これで雪乃の匂いがついて寂しくないな。言ってて気持ち悪いな。
小町「はぁー………まーた惚気ちゃってー………ほんと、どうしようもないお兄ちゃんとお姉ちゃんですなー………」
雪乃「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜///」クルクル
雪乃は恥ずかしさのあまり布団で転がる。そんなことをさせた小町はニヤニヤ顔。もうなんなの?めっちゃ楽しんでるじゃん小町。ん?あれ?俺と雪乃ってこんな性格の妹と姉を持つことになるの?それ大丈夫なの?主に俺と雪乃の精神が。
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小町「さぁー!小町特製の!すき焼きでーす!」ジャジャーン
八幡「相変わらずうまそうだな」
雪乃「ええ、おいしそうね」
小町「さぁさぁ!召し上がってください!」
八幡「いただきます」
雪乃「いただきます」
やっぱ小町の作るすき焼きはうまい。いろいろと調味料の分量を小町流に変えたもので、とてつもなくうまいのだ。うまいのだが、
八幡「なぁ小町」
小町「なにかなお兄ちゃん?」
八幡「いつものに何を加えた?」
小町「えっ⁉︎あーいやーなーにも?」
八幡「ぜってえなんか入れてるわ………」
小町が、あんな少量でも気づくのか。と小声で漏らしたように言ったのは、俺の幻聴だと信じたい。いやまじで。
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八幡「ごちそっさん」
雪乃「ごちそうさまでした」
小町「いえいえ〜。それではお二人さん」ニヤニヤ
う、うわぁー………嫌な予感しかしないわー………
小町「そろそろお風呂に入ってきてください!」
八幡「いやだからそれはーーーーー」
雪乃「八幡君、諦めも肝心よ」
こいつってこんなに諦め早かったっけ?なんか勝負ごとのときってとにかく諦めなかったと思うんだけど。あ、でも胸はもうーーーーー
雪乃「八幡、君?」ニッコリ
うん、だめ。今の雪乃に立ち向かえるわけがない。だって後ろから火炎、極寒の寒さを兼ねた火炎が見えるんだもん。どんな火炎だよ、とか思うだろうけど、実際に見ればわかる。これ以外に適切な言葉がないことに。
小町「さっすが雪乃お姉ちゃん〜。ほらほら、彼女さんが積極的なのに彼氏の方が消極的じゃー、ねー?」
八幡「はぁ、わかった。それと雪乃、自分の行動に対して後悔するな」
もう雪乃の顔、耳も、つまり頭が真っ赤。てか小町の性格ってほんと陽乃さんに似てる。なんでかね?
小町「ふっふっふー、それは小町が陽乃お姉ちゃんにその性格を与えたからなんですよー」
小町までも読心術を平然と使うなんて………ん、おい待て。聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。陽乃さんのあの性格は小町が与えたって?なんでそんなことになった。
雪乃「いいえ八幡君、姉さんのあのやり方は昔からよ」
あーなんだーよかったー。
それにしても読心術ってなんでこんなに使える人多いの?
小町「いえいえ、陽乃お姉ちゃんの性格って、元はあんなに濃くなかったですよね?」
雪乃「な⁉︎ま、まさか………」
小町「そういうことです。小町は陽乃お姉ちゃんの性格を変えることはせずに3倍にしたんですよあの性格を!」
な、なんだってー!本来の陽乃さんを赤くしたっていうのかー!
………なんちゅう茶番だ。
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ということがあって、一人で風呂に入っているわけじゃない。もう少し言えば、雪乃は湯に浸かってるが俺は体を洗うところだ。
雪乃「ねぇ………はぁ………八幡………はぁ………君………」
湯気で顔が見えないだなんて、一体誰がそんな嘘をついたんだろう。湯気で隠れるなんて、ほんとに誰がそんな嘘を広めたんだろう。
頰がほんのりピンクに染まり、息は途切れ途切れ。甘い呼吸音が四方から響き、心臓の鼓動を早くする。目は何かを求めるように見つめ、両の手は浴槽に捕まっている。そして、
雪乃「はぁ………もう………はぁ………だめ………」
………これあれだわ。完全に発情してるわ。