記憶の片隅で   作:to110

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第六話 彼女もようやく本領を発揮する。

現在修学旅行で俺たちは京都にいる。そして、鹿苑寺に行ってから、慈照寺に来ている。

 

 

雪乃「へぇ………なるほど、あれが………ということは………」

 

 

なにやら雪乃は楽しそうである。浸っている。いやまぁ俺もあそこまでではないが、かなり楽しんでいる。雪乃のあれは一種の病気だがな。あの集中力はやばい。ねこの鳴き声がしてもそっちを振り返って見るだけ(ほんの30秒くらい)だし。一方、アホの子の代名詞を持つ彼女はというと、

 

 

結衣「足疲れたよー………」

 

 

歴史には興味がない様子。歴史どころか勉強にまで興味がないのは秘密。

と、満足してきた雪乃が由比ヶ浜に近寄る。

 

 

雪乃「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。私の行きたいところについてきてもらって………」

 

 

ほんとに申し訳なさそうな表情をしている。いや、来る前からわかってただろ。由比ヶ浜がこういうのに興味を示さないことくらい………

 

 

結衣「もう〜ほんとだよー!だから〜次は私の行きたいところね〜」ダキッ

 

 

雪乃「わ、わかったから、その…は、離れて…ちょうだい………」

 

 

………ほんと、眼のやり場に困る。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

なんて修学旅行も一週間前に過ぎた。いや、特にイベントがなかった。ほんと、なんにもなかった。いやほんと、戸部が海老名さんに告白しようとしたら焦ったあまりこけて海老名さんそのままどっかに行っちゃったとか、そんなおもしろイベントもなかった。

 

 

雪乃「由比ヶ浜さん、テスト一週間前になるけれど」

 

 

結衣「え⁉︎もうそんな季節なの⁉︎」

 

 

おいおいおい、こいつ大丈夫かよ。てか季節ってなんだ季節って。そんな季節なんてねぇだろ。なに?春夏秋冬以外に季節なんてあったの?春テスト夏テスト秋テスト冬テストとかいう季節になったの?そんな季節嫌だ。

 

 

雪乃「はぁ………」

 

 

こめかみにその綺麗な人差し指を当てる。さまになってるし、かわいいし。

 

 

雪乃「」カァァァ

 

 

結衣「ゆきのんどうしたの?」

 

 

この離れた距離でも作動するのか。

 

 

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八幡「おい、もう帰ろうぜ」

 

 

結衣「そだね〜」

 

 

雪乃「ええ、そうね」

 

 

今日は由比ヶ浜の勉強を助けてという依頼を雪乃がこなしていた。ほんと、雪乃は由比ヶ浜に甘い。できればその甘さを俺にもーーーーーん?俺ってだいぶ雪乃に甘えられてるな、そういえば。ならいいや。言ってて恥ずかしいじゃねーかよ………///

 

 

雪乃「なら…言わなければ…いいのに………///」

 

 

八幡「うっ………///」

 

 

結衣「ん?ん?ん?ふぇ?ふぇ?ふぇぇ?あれれ?なんで2人で顔赤くしてるの?」フワフワ

 

 

由比ヶ浜は読心術を持たない女の子のようだ。これが普通なんだよな………

 

 

結衣「ま、いいやっ。じゃあねー!」

 

 

八幡「じゃあな」

 

 

雪乃「ええ、また明日」

 

 

八幡「あーそうだ雪乃」

 

 

雪乃「なにかしら?」

 

 

八幡「俺今日小町の勉強見るからさ。先帰るけどいいか?」

 

 

雪乃「小町さん受験生だものね。ええ、しっかり見てあげなさい」

 

 

八幡「そのうち雪乃も見てやってくれよ」

 

 

雪乃「そうね、私は構わないわ」

 

 

八幡「んじゃよろしく。じゃあな」

 

 

雪乃「ええ、さようなら」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

八幡「小町帰ったぞー」

 

 

小町「お兄ちゃんおかえりー」

 

 

八幡「んじゃ、とっととやるぞー」

 

 

小町「はーい!」

 

 

小町の成績はお世辞にもいいとはいえない。といってもさすがは我が妹、面接のネタになることをちめちめとやっていたらしく、有効的に使うらしい。不純すぎる………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして土曜日。小町の勉強を雪乃に見てもらっているのだが………

 

 

雪乃「ええそうよ。だからここにこれを当てはめて」

 

 

小町「あっなるほど〜だからこうなるんですね〜。さすがは雪乃お姉ちゃん、わっかりやす〜い」

 

 

雪乃「お、おね………///」

 

 

なんか前半部分で、俺の理解できない数学をやっていると、小町を自慢しようとしていたが、後半部分のせいでそれができない。

 

 

八幡「おい小町、あんま雪乃をからかうな」

 

 

小町「あっれれ〜、お兄ちゃん、顔真っ赤だぞ〜」

 

 

八幡「くっ………」

 

 

小町はほんと性格悪い。一体誰に似たんだろうか、俺に似てるんでした。

 

 

雪乃「八幡君、そ…その………」

 

 

小町「お?お?お?雪乃お姉ちゃんいつの間にそんな簡単にお兄ちゃんの名前を言えるようになったんですか?」

 

 

雪乃「な…なな…なに…を………///」

 

 

小町は俺に似てるんじゃないことがはっきりとわかってしまった。これあれだわ、完全に陽乃さんだわ。人の妹になにしてんだよ………

 

 

小町「お兄ちゃんもす〜らすら雪乃って言ってるし。小町の知らないところで進展してるんですね〜」

 

 

八幡「な⁉︎………くっ………///」

 

 

小町「はぁーあー、付き合ってもう何ヶ月経ったんですか?いい加減、慣れましょうよ」ヤレヤレ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

小町「雪乃お姉ちゃん!今日泊まっていってください!」

 

 

雪乃「えっ⁉︎け、けれど、その、お義母さんたちにご迷惑ではないかしら………?」

 

 

小町「お?お?お?もうお義母さん呼びですかー?いやー、気が早いですよー?」ニヤニヤ

 

 

雪乃「な⁉︎…あ…あの…そ…あぅ………///」カァァァ

 

 

小町、陽乃さんの影響受けすぎ、てか情報早すぎ。俺が陽乃さんにされたこと雪乃にやってんじゃねーよ。そもそもいつから陽乃さんと繋がってたんだよ。ん?そういえば陽乃さんがうちに来たときも小町は陽乃さんと親しかった。まさかあの頃からすでに!なんてことだ、小町の変化に気づかなかっただなんて………

 

 

小町「雪乃お姉ちゃん、泊まっていきますよね?」ニヤニヤ

 

 

雪乃「わ…わかった…わ………」ウルウル

 

 

小町の怒涛の攻めのあまり、雪乃は泣きそうだ。雪乃弱すぎ。由比ヶ浜に小町、押しの強い女の子に弱いとか、なんかさー。それから雪乃、こっち見るな。俺は今の状況で雪乃の加勢はできない。諦めろ。

………だって小町になにされるかわかったもんじゃないんだもん。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ということで雪乃は泊まることになった。

展開が早すぎるだろ。なんなんだよこれ………


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