記憶の片隅で   作:to110

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第二話 相変わらず変わることはない。

小町「嫉妬じゃないのー?」

 

 

八幡「そういうもんかね?」

 

 

小町「そうだと思うよ〜」

 

 

八幡「ふむ、まぁありがとう」

 

 

小町「いえいえ〜。でもお兄ちゃん、ちゃんと雪乃お姉ちゃんのことかまってあげなよ?」

 

 

八幡「いつからそんな呼び方にしたんだよ………」

 

 

小町「いーじゃんー。お姉ちゃんになるんだし。体調崩してるときに優しくしたらキュンキュンだよー!キャー!」

 

 

八幡「そういうもんかねー」

 

 

小町「それじゃ、頑張ってねー!ちゃんと雪乃お姉ちゃんにメールするんだよ?」

 

 

八幡「いや俺番号知らないし」

 

 

小町「相変わらずのゴミいちゃんぶりで小町は安心したよー。大丈夫っ、こないだ陽乃お姉ちゃんから聞いといたから」

 

 

八幡「さすがは小町である。我が妹ながらすごいな」

 

 

うんほんと。あの人と対等に話すとかすごい。

 

 

小町「というわけでメールしなよ?」

 

 

八幡「はいよ」

 

 

本日、雪乃のメールアドレスと電話番号を手に入れた。

 

 

という一連の流れが、帰ってからのことである。小町に相談したらあっさりとした答えが帰ってきて、正直驚いている。まぁ小町が言うんなら5割くらい正しいだろう。なにそれ安心できない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

メールはしておくか。

 

 

『本当に大丈夫か?』

 

 

送る。メール、小町以外に送ったのっていつ以来だろうか。なんて思ったが、由比ヶ浜に送ったことがあったな。

 

 

『だれですか?』

 

 

………名乗り忘れた。

 

 

『比企谷八幡という者です』

 

 

『物の間違いではないの?』

 

 

こいつ………

 

 

『それより体調は大丈夫なんだよな?』

 

 

『ええ、問題ないわ』

 

 

『明日は学校行けそうか?』

 

 

『わからないわね』

 

 

『わかった。おやすみ』

 

 

『おやすみなさい』

 

 

うん、やっぱりメールはこうでねーと。^_^とか(-_-)とか使うのはまちがっている。が、メールでも会話でも、言葉が変わらないのは少し寂しい気もするが。

ちなみに、これだけのメールのやりとりに、2時間ほどかかっている。まぁお互いにメールとかしないから携帯気がつかないよな。

 

 

それにしても

ーーーーー

ーーーーー

ーーーーー

なんで明日学校行けるかわからねぇの?体調、そんなふうには見えなかったんだけどなー………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして帰りである。昨日のとおり、今日も雪乃は来なかった。なんでかなー。由比ヶ浜は何か用事があるようだからかばック(かばんアタック)はこないからいいのだが。

 

 

「ひゃっはろー」

 

 

きた!きました!重要事項を告げにくる人が!

 

 

八幡「………うす」

 

 

陽乃「もっと元気出しなよー」グリグリ

 

 

八幡「それで?今日はどんな情報を?」

 

 

陽乃「聞きたい?」

 

 

八幡「聞きたくなかったら待ってませんよ」

 

 

陽乃「仕方ないな〜。

雪乃ちゃん、明後日に留学するよ」

 

 

真面目な表情で、いつもの笑ってる表情は微塵もなく、そう、言った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

世の中うまくいかないものである。うまくいった試しがない俺の言葉とは思えんが。なんだってそうだ、いつだってそうだ。なにかをいつやろうとも、それらが叶うときなんかなかった。また希望を持って生きていた。持つことを否定しきれていない。

なぜだろう。

どうしてだろう。

そんな問いに答えるものは誰もいない。解の出ない問いだ。そんなものは問いにすらなっていない。誤解であろうとなんであろうと、解があるから問いがあり、問いがあるから解があるのだ。そんな二つの関係だ。

 

そんな自問も自答も成り立たないことを考えていたら、寝れるだろう。なんて考えがあまかった。

寝れる気配がない。

小町の声も遠く、雑音にしか聞こえない。

雑音にすら、聞こえてないかもしれない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

朝を迎えた。

体調を崩した。

ということで小町には休みと言っておいた。

雪乃は実家だそうで、これから行こうと、陽乃さんを待つ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

陽乃「雪乃ちゃん、明後日に留学するよ」

 

 

………は?何言ってんだこの人。どういうことだ?

 

 

八幡「どのくらい、ですか?」

 

 

陽乃「ん〜、少なくとも、10年とかそのくらいかな?」

 

 

八幡「留学じゃないじゃないですか………?」

 

 

陽乃「まぁお母さんは雪乃ちゃんに海外に行って、そのまま仕事してもらいたいんだよね」

 

 

八幡「なんでそんな急に?」

 

 

陽乃「ん?そんなに急でもないんだけどな………でも」

 

 

八幡「でも?」

 

 

陽乃「八幡君と付き合ったのは急だったんだよね」

 

 

………

空気の重さが変わった………

 

 

八幡「そ、それがなにか関ーーーーー」

 

 

陽乃「そうやって逃げるものじゃないよ」

 

 

………っ

俺が、思っていたとおりのことが起きている………

 

 

陽乃「まっ、そういうこと」

 

 

八幡「雪乃は」

 

 

陽乃「ん?」

 

 

八幡「雪乃は留学自体をしたいとは思っているんですか?」

 

 

陽乃「したくないらしいよ。

ちなみに、留学しない条件は、八幡君と別れること。もしくは、隼人と結婚すること」

 

 

脱力しかない。ほんと、人間って力を使ってないと思っていても案外使ってるもんなんだな。

 

 

八幡「………なら、雪乃は葉山と結ーーーーー」

 

 

パシン

 

 

と、そういう衝撃とともに陽乃さんは視界の左側にいった。

 

 

陽乃「なに言ってるの!雪乃ちゃんは、雪乃ちゃんは!」

 

 

八幡「」

 

 

陽乃「君と離れたくないから、だから留学したくないんだ、よ………?」

 

 

八幡「………明日、迎えをください」

 

 

陽乃「やめた方がいいよ」

 

 

八幡「何を、ですか」

 

 

陽乃「お母さんには関わらない方がいい」

 

 

八幡「………残念でしたね。俺はその手には乗らないですよ」

 

 

陽乃「………ふふっ。

やっぱり八幡君は雪乃ちゃんが好きなんだ。あーそっか。なら、仕方ないね。

うんわかった。また明日ね。雪乃ちゃんも実家にいるよ」

 

 

八幡「ありがとうございます」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

それにしても、どうしようか。

 

 

交渉材料が少なすぎる………


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