記憶の片隅で   作:to110

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『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』があと2話で終わり、人生の楽しみを一つ失ってしまう筆者がおくる長編シリーズ第19話、では、どうぞ。


第19章 彼と彼女は周りが見えていない。

始発に乗って、案の定俺たちの乗っている車両には他に誰もいなかった。さすがにこれは想定外だ。多少はいると踏んでいたが。まぁ雪乃が

 

 

雪乃「」♪

 

 

って感じに喜んでるからいいんだが。

 

 

八幡「なぁ、なんでわざわざあんな人混みを選んだんだ?」

 

 

雪乃「そ、それは………」

 

 

八幡「言いたくないのか?」

 

 

雪乃「ち、小さいころから………恋人ができ………たら一緒に………行きたかった………のよ………」///

 

 

八幡「そうか………」ナデナデ

 

 

こいつもすごい乙女だったんだな。

 

 

雪乃「別にパンさんの限定のぬいぐるみが欲しいとかすごいレアなグッズがこの時期にのみあそこでしか売られてないから買いに行きたいとかそういうことではないわ。ただたんに小さいころからの夢を叶えたかっただけなのよ」

 

 

………雪乃は相変わらずだった。おそらく、俺とパンさんを天秤にかけた時、有無を言わせない速度で俺が天に向かって飛んでいくだろう。

 

 

雪乃「そんなことはないわ。八幡君もパンさんも同じくらい好きよ」ギュッ

 

 

八幡「そ、そうか………」

 

 

うん、あれだよ。昔から好きだったものと同じくらい好きっていうのは喜ぶところなんだよ、な?

 

 

雪乃「ふふっ」♪

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さぁ着いたぞ我らが目的地、デスティニーランド。現時刻7時であります。早えよ………

 

 

八幡「さぁ雪乃、これからどうする?」

 

 

雪乃「開園まで待ちましょう。私はこうしているだけで楽しいもの」ギュッ

 

 

さっきから抱きつかれている状態である。すごい嬉しいのだが、胸の感触が一切ないあたり、本当に雪乃は悩んでいるらしいことがうかがえる。

 

 

雪乃「」プクー

 

 

………読心術はやはりすごい。

 

 

雪乃「た、確かに私は………その………慎ましやかな方だけれども………」

 

 

八幡「方はとっていいだろ」フッ

 

 

雪乃「………なら今日帰りに私の家に寄って行きなさい。見せてあげるわ。私の胸の素晴らしさを」

 

 

八幡「雪乃はよくそんな恥ずかしいことをどうどうと言えるな」

 

 

雪乃「………は!あわ………わわわ………」///

 

 

八幡「安心しろ。周りに人はいない」

 

 

雪乃「そ、そう………」ホッ

 

 

録音はしておいてやったぜ。

 

 

雪乃「」ギュッ

 

 

どうやら読心術は常にオンではないようだ。助かった。さすがにフルで使われたらそれこそ考えごとができなくなってしまう。てか、読心術がないのが当たり前なのに、雪ノ下姉妹のせいで読心術があって当たり前になっている。俺の中の価値観が変わってしまっている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「あっ。開くわねっ」

 

 

八幡「そうだな」

 

 

雪乃「ほら、行くわよ」

 

 

八幡「ほいほい」

 

 

とりあえず俺たちは混みそうなやつから乗った。一番の特権である。走る輩がいなければ何かで一番最初に乗れるのだ。んにしてもデスティニーランドか………

 

 

雪乃「あら?デスティニーランドがどうかしたかしら?」

 

 

八幡「いやだってここにデートしに来たら別れるカップル多いじゃん?」

 

 

雪乃「普通そのセリフは恋人持ちの人は言わないものなのだけれど………」

 

 

八幡「まぁ別れないだろ、俺たちは」

 

 

雪乃「なぜかしら?話が続かなくなって別れるかもしれないわよ?」

 

 

八幡「だって混んでるとこに並びたくないもん。疲れるもん」

 

 

雪乃「あなたって人は………」ハァ

 

 

こめかみに指を当てる仕草も見慣れてきていたが、実際よく見ると様になっていてかわいい。

 

 

雪乃「」ボンッ

 

 

八幡「………やっちまった」

 

 

雪乃「 」プシュー

 

 

八幡「雪乃、いくな。戻ってこい!」

 

 

このセリフだけ見るとかっこいい感動的なシーンである。

 

 

雪乃「」フワフワ

 

 

………どうやら退屈はしなさそうだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雪乃「ん………ぅん!………あっ………」

 

 

やばい。やばい。やばい。やばい。理性がやばい。

 

 

雪乃「ん………八幡………君………?………は!八幡君、早急に消しなさい。その録音したものを早急に!」

 

 

八幡「安心しろ。録音はしてない」

 

 

雪乃「そ、そう………」ホッ

 

 

八幡「今回はビデオにした」フフン

 

 

雪乃「な⁉︎」カァァァ

 

 

八幡「さぁ、んじゃ行きますか」

 

 

雪乃「そ………そうね………」///

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

もう夕方を回ったあたり、俺たちはお土産を選んでいるのだが、案の定雪乃はパンさんグッズめがけて飛び込んだ。

 

 

雪乃「」モフモフ

 

 

雪乃「」プニプニ

 

 

雪乃「」ニギニギ

 

 

雪乃「」ギュッ

 

 

雪乃「」♪

 

 

雪乃「は!」

 

 

雪乃「」カァァァ

 

 

雪乃「」ソワソワ

 

 

雪乃「」///

 

 

やばいわこれ。見ててすげぇ楽しい。かわいいし。かわいいし。かわいい彼女を持てて幸せです。それにしてもパンさん好きすぎんだろ。いいとは思うが。

 

 

雪乃「八幡君、お待たせ」

 

 

八幡「いや、気にすんーーーーーーー」

 

 

言葉がつかえた。いや、あのね。誰でもそうなると思う。だって、両手にパンさんいっぱい抱えてんだもん。しかもめっちゃ重そう。歩くたびにパンさん入った袋に振り回されてるもん。

 

 

雪乃「さぁ、帰りましょう?」

 

 

八幡「その前に袋よこせ」

 

 

雪乃「え?いえ、これは私の荷物なのだから気にしなくていいわよ」

 

 

八幡「雪乃は体力ないんだからとっとと渡せ」

 

 

雪乃「………そう。じゃあお願いするわ」

 

 

うん、重い。というほど重くない。そういえば雪乃の体重っていくつなんだろ。見た目細いきれいな線でできてるから重たいということはないと思うが。

 

 

雪乃「女性に体重を聞くのは失礼よ」

 

 

八幡「まだ聞いてない」

 

 

ちなみに雪乃の顔は真っ赤である。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

八幡「よっこいしょっと」

 

 

雪乃の部屋に着き、荷物(パンさん豊富袋)を置き、一息つく。雪乃がお茶をついでくれるようだ。それ飲んだら帰ろう。

 

 

雪乃「お待たせ。はいっ、どうぞ」

 

 

八幡「おお、すまないね〜」

 

 

雪乃「お礼よ。今日付き合ってくれた」

 

 

八幡「いや、俺も楽しかったし気にするな」

 

 

雪乃のあんなかわいい姿見れたらそれだけで十分です。

 

 

雪乃「その記憶は忘れて構わないわ。すぐ忘れなさい」

 

 

八幡「無理。

さて、お茶も飲んだし帰るわ」

 

 

雪乃「あら?何しにうちに来たのかしら?」

 

 

八幡「え?だって荷物を置きーーーーーーー」

 

 

そこで朝のことが脳裏に現れる。

ーーーーーーー胸

 

 

八幡「まじでやるの?」

 

 

雪乃「ええ、ちゃんと、はっきりと、思いしらせてあげるわ」

 

 

そのセリフだけ見ると怖い。

 

 

八幡「……………」

 

 

帰りが遅くなるようだ。




ふぅ〜、結局デート回で一話を使った。雪乃書いてて楽しいです。
んじゃ、次回で本当に最終話にしようと思います。どうやって締めようかな。結構話が広がって落ちが難しいというのが今の現状です。まぁ、私のできる最高のものをお届けしますので、次回もよろしくお願いします。

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