記憶の片隅で   作:to110

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新長篇シリーズの始まりだ!
※前作品との関連性は中身においてありません
何を書こうかなーと迷っていたところ、笑える作品は無理ということを悟ったので(作文のセンス自体ないじゃんとか言わない)、前作品と同様にシリアス方面でやっていきたいと思います。シリアスだよね?
新たなる期待を胸に始まる長篇シリーズ、では、どうぞ。


第1章 彼ら彼女らの物語は突如狂い出す。

平塚「君たちには屋上の掃除をしてもらう」

 

 

比企谷「なぜならにゃならんのですか」

 

 

雪ノ下「そうです。私たち奉仕部の目的は 平塚「いや、強制はしてないよ。ただたんに私に仕事が回ってきたもんでな。この通りだ」

 

 

比企谷「先生が楽したいだけじゃん」

 

 

平塚「」ギクッ

 

 

由比ヶ浜「まぁまぁ、やってあげようよ〜。先生も婚活で忙しいわけだしさ〜」

 

 

平塚「」グフッ

 

 

由比ヶ浜、すげぇ。ただでは手伝わずに確実に相手に傷をつける。まぁ、本人は無自覚なんだろうが。なにそれ、無自覚とか超怖い。

 

 

由比ヶ浜「ゆきの〜ん」ギュッ

 

 

雪ノ下「………はぁ、仕方ないわね。先生、仕方ないので掃除はお任せください。先生は婚活頑張ってください」ニコッ

 

 

平塚「」ガフッ

 

 

うん、あれだ。こいつはわざとだ。絶対にわざとだ。こっちはこっちで怖い。

 

 

平塚「グスッ…グスッ…もう帰る」グスッ

 

 

ガラガラ

 

 

雪ノ下「というわけで屋上に行くわよ」

 

 

比企谷「えー俺了承してないんだけどー」

 

 

由比ヶ浜「ヒッキー行くよ‼︎」グイッ

 

 

比企谷「ちょ引っぱんな」

 

 

大きいそれが腕にグイングイン当たってるんだよ。立っちゃいけないところが立っちゃうんだよ

 

 

雪ノ下「さぁ、行くわよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

んで、

 

 

比企谷「あんた帰ったんじゃないのかよ………」

 

 

平塚「ふん、頼んだのは私だ。あくまで君たちは手伝い、だろ?」

 

 

雪ノ下「まぁそうですね。では、とっとと済ませましょう」

 

 

由比ヶ浜「ゆきのん‼︎私頑張るね‼︎」ギュッ

 

 

雪ノ下「なら引っ付かないでちょうだい」ヤレヤレ

 

 

比企谷「とか言って嬉しそうだけどな」ボソッ

 

 

雪ノ下「なにか?」ギロッ

 

 

比企谷「な、なんでもありません」

 

 

雪ノ下「そう。なら手を動かして」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

由比ヶ浜「うぅ〜終わっった〜〜‼︎」バンザーイ

 

 

雪ノ下「お疲れ様」

 

 

平塚「礼だ。受け取っておけ」

 

 

平塚先生から3本の缶が放たれる。おい、どうやったんだ。3人とも別々の場所にいるんだぞ。しかも誤差なく3人のもとへ。平塚先生の能力がすごい。そして、地味だった。

 

 

比企谷「どもっす」

 

 

由比ヶ浜「ゆきのん〜、こっち来て一緒に飲もうっ」グイグイ

 

 

雪ノ下「わかった、わかったから…」

 

 

百合百合しいな〜、毎度のことながら。そうして彼女らはフェンスへと向かった。そして、もたれかかった。

 

 

ミシミシ

 

 

ミシミシ

 

 

バゴッ

 

 

バゴッ?彼女らがもたれていたフェンスが落ちて、それに身を委ねていた彼女らも当然、落ちる。

 

 

俺は走る。この距離なら届く。だが、どっちの手を出すんだ。俺はーーーーーー

 

 

ひとまず両手を出して片方ずつに引っ張る。

足をフェンスに絡めて体を保つ。俺は瞬間的な判断に長けていることを改めて思う。

 

 

右手に由比ヶ浜、左手に雪ノ下。両手に花、なんて言葉があるが、これほど嬉しくないことはないだろう。失敗が許されないのだから。

 

 

由比ヶ浜「ヒッキー…」

雪ノ下「比企谷君…」

 

 

比企谷「待ってろよ。だが、腕力的に片方ずつしか引き上げられない。どうすればいい?」

 

 

由比ヶ浜「まずはゆきのんからお 雪ノ下「由比ヶ浜さんからお願いするわ」

 

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんは…その…あれだから…」

 

 

……………胸か。

 

 

比企谷「ああ、わかった。じゃあ雪ノ下、少し待ってろよ。由比ヶ浜、引き上げるから手が届くところになったら自分で頼む」

 

 

由比ヶ浜「わかった」

 

 

比企谷「えいしょっと」グイッ

 

 

右手を思いっきり引っ張り由比ヶ浜を引き上げる。救出完了。

 

 

平塚「おい比企谷!大丈夫か!」

 

 

あんた今までどこにいたんだよ。缶を放ったと思ったら一瞬で消えて。

 

 

比企谷「大丈夫です。あとは雪ノ下を引き上げるだけですからーーーーーーー」

 

 

左手に重さがなくなった。というか、痛さで離した。

 

 

雪ノ下「ありがと」ニコッ

 

 

比企谷「雪ノ下ー!」

 

 

身を乗り出して手を出す。が、そのときにもう一つ、違和感を感じた。足に絡めていたフェンスが外れていることに。

 

 

だが、雪ノ下が遠くなるが俺の位置は変わらない。

 

 

平塚「ふぅ、間に合ったか」

 

 

比企谷「雪ノ下ー!」

 

 

平塚「由比ヶ浜手伝え!」

 

 

由比ヶ浜「ゆ…ゆき…のん…」プルプル

 

 

下には雪ノ下が、仰向けで…………

 

 

「比企谷!」

 

 

比企谷「はっ⁉︎」

 

 

平塚「気がついたか」

 

 

比企谷「先生……………!

雪ノ下は!」

 

 

平塚「ひとまず落ち着け。ここがどこかの判断もできんのか」

 

 

あたりを見渡す。どう見ても病院だ。病室だ。俺は今ソファにいて、右隣で由比ヶ浜が小刻みに震えている。

 

 

由比ヶ浜「ゆき…のん…」プルプル

 

 

眼の前には雪ノ下が、寝ていた。

 

 

比企谷「雪ノ下の容態は?」

 

 

平塚「落ち着いたようだな。

ひとまずは安心してくれていい。命に別状はない。といっても脳に多少なりとも衝撃を受けたらしいから、記憶に影響があるかもしれないということだが…………」

 

 

比企谷「記憶……………」

 

 

平塚「だが、今は由比ヶ浜の精神が危ない、とのことーーーーーー」

 

 

平塚先生が話し終わる前に俺は右手で肩に寄せていた。

 

 

比企谷「由比ヶ浜、大丈夫だ。大丈夫だ……………」

 

 

由比ヶ浜「ヒッキー…………私の……………私のせいで……………ゆきのん……………が……………」ポロポロ

 

 

比企谷「お前は自分を責めるな。お前がそんなこと言ってたら、原因である……俺は……さ………」ポロポロ

 

 

由比ヶ浜「ヒッキーじゃないよ……………私があそこに行かなければ……………」

 

 

比企谷「由比ヶ浜……………」ギュッ

 

 

由比ヶ浜「うぅ………ぐすっ……………ヒッキー……………」ポロポロ

 

 

比企谷「平塚先生」

 

 

平塚「なんだね」

 

 

比企谷「由比ヶ浜を送ってやってください」

 

 

由比ヶ浜「ヒッキー、何言って…………」

 

 

比企谷「由比ヶ浜を今の精神状態で雪ノ下と会わせるのは危険です」

 

 

由比ヶ浜「ヒッキー、私は大丈夫だから。平塚先生、私は大丈夫です。ここにいさせてください」

 

 

平塚「……………はぁ。こういうときの比企谷の観察・思考・判断は正しいからな」

 

 

由比ヶ浜「先生、私はーーーーーーーーーー」

 

 

平塚「だが、今の君も正常じゃないことを忘れるなよ。いつも通りじゃない、ただそれだけのことで人は危ない。気をつけろよ。そのうち陽乃も来る」

 

 

比企谷「陽乃さん……………」

 

 

どういう顔て会えばいいんだ。まぁ、由比ヶ浜にこの思いはさせられないし。雪ノ下に対する責任は取らなければならない。

 

 

平塚「比企谷、後は頼むぞ。行くぞ由比ヶ浜」

 

 

由比ヶ浜「先生!私は!」

 

 

平塚「……………比企谷の気持ちを少しは考えろ」

 

 

由比ヶ浜「……………………」

 

 

平塚「わかったか?」

 

 

由比ヶ浜「……………はい」

 

 

平塚「じゃあな比企谷。馬鹿はするなよ……………」

 

 

比企谷「……………はい」

 

 

ガチャ

 

 

比企谷「はぁ……………」

 

 

俺は何をしてるんだ。雪ノ下に危ないことをさせて。俺の責任だ。俺の策は彼女には通用しないなんて、わかってたことじゃないか。フェンスが壊れることは計算内だ。由比ヶ浜を助けたあとに雪ノ下の下敷きになる算段だった。だが、彼女はそれに気づいた。

 

 

雪ノ下「ありがと」ニコッ

 

 

これはそういうことなのだろう。そんなときだ。ドアが開き、最高の笑顔で、恐怖でしかないその顔で、雪ノ下陽乃は現れた。




いかがでしたか?
なかなか私らしい作品になってる気がします。
今後の彼ら彼女らの行動に乞うご期待。
お読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。

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