東方幻想物語   作:空亡之尊

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第2章『願いを託した星』
新たな旅路


???side

 

 

むかしむかし、この地で大きな戦いがあった。

 

それは、独りの『人間』と一人の『妖怪』と穢れによる戦だった。

 

愛しい人を亡くした人間は、その悲しみを拭うために彼女のから生まれた穢れを殺し尽した。

 

一人ぼっちになった妖怪は、退屈しのぎにとお気に入りだった人間と一緒に穢れを喰い尽くした。

 

穢れは消え、人間と妖怪は姿を消した。

 

誰も知らない物語、知る者などいない御伽話、されども語り継がれる伝説の昔話。

 

そして今、再びあの男が帰ってくる。

 

 

 

 

 

神無 優夜side

 

 

人妖大戦から数十億年が経過した後、あの高原にて。

真っ青な草原が地平線の向こうまで広がり、気持ちの良い風が草を揺らしている。

 

そんな草原のど真ん中、地面の空間が円を描いて光り出した。

その空間から俺が仁王立ちでせり上がっていく。……そう、ガイナ立ちだ。

 

 

「待ちに待った時が来た。

 多くの英霊(主にニコ厨の禁断衝動)が無駄死で無かった事の証の為に、

 再び俺の理想(原作キャラに出会う)を掲げる為に、星の屑成就(主に邪神を殺す)の為に、

地上よ、私は帰ってきた!!!」

「うるさい」

「いたっ」

 

 

両腕を掲げて叫ぶと、傍らにいたルーミアに引っ叩かれた。

 

 

「何するんだルーミア」

「いきなり耳元で叫ばれたら叩きたくもなるわよ」

「解ってないな。こういう時はこういうネタを叫ばないといけないんだよ」

「なんで私が説教されてるのよ」

「それが俺だからだ‼」

「訳が分からないわ」

 

 

ルーミアはやれやれと溜息を吐きながら首を振った。

これが一般人とオタクの違いというものか。なんとも世知辛い世の中だ。

例えるなら、大和と聞いて戦艦と答えるか嫁と答えるかというものだ。ちなみに響が好きです。

 

 

「それより、ここがあの戦場なのね」

「ああ。時間が合っていればあれから数億年も経ってる筈だ」

 

 

俺は相変わらず照らし続ける太陽を睨みながらそう言った。

『逆版・精神と時の部屋』に入って一年程度、こっちの世界では数億年分の時間を潰し、その間に特訓して何とか体一つでも戦えるようになった。最悪、剣術だけでもルーミアと渡り合えるまでにはなった。

 

 

「さて、これからどこに行く?」

「北に行く。そこに行けばなんとかなりそうな気がするし」

「ふざけた奴だけど、貴方の勘を信じてみるわ」

「ありがとな」

 

 

恐らくここが京都の大学と同じ位置なら、諏訪の国がある長野県の場所はここから北になる。

諏訪の国ならケロちゃんがいるだろうし、あの人の性格ならなんとか話も出来るだろう。

 

 

「それじゃあ、行きましょうか」

「それより聞きたいんだけど、幼女化はいつでもなれるのか?」

「死ね」

 

 

ルーミアの影から刃が伸びて俺の身体へ斬りかかった。

俺は間一髪でそれを避けると、避けた先でルーミアが剣を俺に突き立てていた。

 

 

「今度ふざけたことを聞くと喰うわよ?」

「おお、こわいこわい。でも残念だな~」

「……そんなに好きなの?」

 

 

剣を消したルーミアは少し悲しそうな顔でそう尋ねた。

 

 

「その、今の私って可愛くないのかな………」

「ルーミア?」

「今の忘れて。ちょっとふざけただけよ」

「そうか」

「さて、貴方の言った通り北に向かいましょう」

 

 

ルーミアは笑みを浮かべると、俺の先へと歩き始めた。

さっきの彼女の言葉が気になった俺は、彼女に追いつくと後ろから頭を撫でた。

 

 

「ふぇ?」

「確かに俺は小さいルーミアが好きだけど、今のルーミアも好きだぜ」

「な、なによ」

「大人っぽくて綺麗だし、何だか頼れるし、何よりも胸が大き………冗談だから怒んないで」

「はあ………」

「まあ、そういうわけで、俺はどんなルーミアでも好きだから」

 

 

俺はルーミアの頭をわしゃわしゃと撫でると先へと歩き出した。

 

 

「月美の事が好きなんじゃなかったの?」

「確かに好きだ。今でもな」

「なら、そんな言葉軽々しく口にするんじゃないわよ」

 

 

ルーミアは優しく微笑むと俺の頭を叩いて歩き出した。

 

 

「軽々しく口にするな、か……」

 

 

俺は腕に巻いた紅いリボンを見つめながら小さく呟いた。

誰かを好きになるってことが今まで無かった所為で気付かなかったが、どうやら俺は月美に感じたことをルーミアにも感じているようだ。

ギャルゲーでもハーレムエンドを目指す方だが、現実にその立場となると、何だか複雑だ。

 

 

「あ~あ、月美に浮気者って言われるかもな」

 

 

俺は紅いリボンを握り締めながら前を向くと、ルーミアの後を追って走り出した。

目指すは神主さまの聖地、ケロちゃんのいる場所、諏訪の国へといざ行こうか。

 

 

 

 




空亡「始まりましたね、新章」
優夜「最初と比べて手抜きな感じがするけど?」
空亡「ネタが思い付かないんですよ。古代スタートが少ないですから」
優夜「パクリかよ」
空亡「リスペクトです。それを言うとニャル子さんとか銀魂なんてパクリの金字塔」
優夜「あの方々とこんな二次創作を一緒にするな。後で叩かれる」
空亡「まあ、自虐ネタはここまでにして」
優夜「おい」
空亡「新章は諏訪大戦、ユウヤの無双は見れるのか?」
優夜「書けるモノなら書いてみろ」
空亡「ヒドイ!?」


次回予告
森を彷徨う優夜とルーミア、そこで出会った人物とは?
東方幻想物語・大戦編、『特訓の成果』、どうぞお楽しみに。


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