コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will   作:ラムネ便

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さて・・・どうしようかな!色々と!


零久の視察

5式大口径実体弾。それは対テロリスト作戦に使われるはずだった試作品の一つ。日本とブリタニアの共同開発により完成した傑作品の一つでルミナス・ブレイズや輻射障壁を易々と貫通してしまう危険な代物だ。

更にそれを発射するための機構として同時期に完成した87式規格採用型KMF砲塔。この二つがあれば撃墜出来ないKMFはいない。

 

「空軍の機密倉庫で保管していたのにか・・・」

 

「定期点検の際にいつの間にか搬送されていたそうだよ」

 

『警備ザル過ぎんだろ・・・』

 

「キシ。すまんが切るぞ」

 

『ああ。零久の事を頼んだぞ』

 

「了解」

 

オーキスは屋上から降りると無線の通信回線をシンフォニーの秘匿支部回線に切り替え対策本部の設置命令を出した。

それと伝言を頼んだコーネリアの空軍回線に割り込み専用回線を使って呼び出し本部に配置する事にした。

 

「コーネリア!シンフォニーに来い!あ?空軍の対応で忙しい?あの件なら対策本部を設置した。直ぐに基地に直行しろ!シンフォニーが受け持つ。どうせ軍内じゃ解決出来ないだろう?後手に回る前に片付ける!」

 

そういって乱暴に回線を閉じた。次に学園都市にあるジオフロント司令部に繋がる回線を開かせ、とある人物に連絡をかける。

 

「よお藤堂。軍の編成以来か?」

 

『オーキス総司令か。どうした?』

 

「ちょっと問題が発生してな。学園都市にあるジオフロントの特殊装甲35層を全部出しておけ」

 

『何だと?総力戦でもする気か?』

 

「5式が強奪された」

 

『・・・了解した』

 

ジオフロントの司令部にいる藤堂の命令で学園都市に存在する特殊装甲を全て展開した形になり周囲からは兵装ビルが地下から出て来た。地上では警戒情報が流れアッシュフォードは閉鎖。数々のビルも閉鎖されていく。

それを映像で確認したオーキスは第180会議室に出来た対策本部で支部との連絡を開始。これまでに例のない大規模な会議となった。

翌日、零久による視察が本格化してきて整備員や隊員もソワソワしている。彼が最初に行ったのは情報管制室。昔の情報部門が更に機能アップして情報統制部門として活動中だ。

 

「ここのサーバーの管理はどのように?」

 

「ウチのサーバーは全部この下にあってな。緊急時には強制手動停止が認められている。イギリスの本家と同じ手法だ」

 

「やはり分離するよりも?」

 

「ああ。あとアクエステっつうAIも手伝ってくれてるんで脆弱性の穴潰しはハッカーとAIの共同作業でやってる」

 

「AIとの共同作業・・・やっぱMAGI作らせた方が早いか」

 

サーバールームに案内され強制停止の方法など説明を受けるとシンフォニーの中核ともいえる福祉部門に向かった。

福祉部門は25年間を経て巨大になり各支部が追加の敷地を購入してまで広げている。この日本支部も随分と広くなった方なのだ。

 

「こんちわー。査察員の零久です」

 

「ようこそ。私は福祉部門の最高責任者のユージーンだ」

 

「今日はよろしくお願いします。ここではどのような事を?」

 

「最近はアフターケアとかの介護。あとそれに関連する保険やコミュニティの作成だ」

 

「最近?」

 

「国際情勢で福祉は変わってくる。必要な物は頭を柔軟にして判断する。これはどこの会社でも同じ事だ」

 

メモを取り撮影許可がおりた場所だけカメラで撮影し録音をする零久。福祉部門の棟は相当大きく介護関連以外にも学資保険を担当する部署があれば準公務員である衛生指導員を育成する部署も存在しており全てフル活用している。物置場所がないわけではないが空き部屋はほとんど無い。

 

「しかしそうなると別の会社などの摩擦が大きいのでは?」

 

「その点は各会社をテナントとして勧誘して摩擦を少なくしていてな。実際シンフォニーの福祉部門に入るとシンフォニー側の福祉会社もあるが別の会社に入る事も出来るようなっている」

 

「テナント・・・ですか?」

 

「ああ。だが福祉の会社というのは少なくてな。NPO法人だけでは足りなくて行政も苦労しているんだ。そこでシンフォニーが行政の依頼を受けて介護士を育成するわけ」

 

「なかなか面白いシステムだな・・・」

 

「資格の大半はこの棟で受けられる。一般市民も自由に出入り出来るようになってるがタグ付けさせて貰ってる」

 

「タグ付け?」

 

「不審者の対策だ。まあ本棟に行くには声認証、顔認証、指紋認証、他十数箇所のセキュリティを突破する必要があるがな」

 

シンフォニーのセキュリティについての説明は流石に詳しくは教えてくれなかったが俺にとって勉強になる事ばかりだ。

リバティーはまだ新規のPMC。しかも弱小では兼業も必要となる。特に福祉は人材を補填しても足りないほど人材不足に悩まされてきた。それをもビジネスに活用してしまうシンフォニーの創立者は素晴らしい。

中には介護のような福祉をビジネスに転用してはならないという意見もあるが、正直言って国の支援で足りているかと言われればNOが答えだ。資本経済であるこの世界で税金を使い半民営化だけしては介護報酬は落ち込む。どこに行こうと急がれるのは福祉の新しいモデルということか。

 

「他の部門は昨日周ったし・・・あとは最後のお楽しみ、傭兵師団にでも行くか」

 

シンフォニー傭兵師団。再びブリタニアと戦った時に強力な支援があったからこそ自分のように一人ではなく仲間と戦えた。そんな事を親父は言ってた。特にE.Eと呼ばれたC.Cと同類の人は空間的ギアスを持っててギアスの儀式を数式化に成功した人らしい。元々数式化を考えたのは彼女の父親だと聞いている。

 

「さて・・・無駄なことを考えていたら傭兵師団の整備場に到着。親父に聞いた通りKMFじゃないもんまであるし」

 

「零久少尉」

 

「はい!何でしょう⁈」

 

「落ち着け。俺は傭兵師団の中佐。ニムバスだ。君が零久君だな?」

 

「はい」

 

「案内しよう。ついてきたまえ」

 

巨大な橋を渡っていると真下に見覚えのある機体がクレーンで固定された状態で流れていく。知らない機体もいくつか流れているが見ていると大部分が破損しているものが多い。

 

「ここは大破した機体の修理をしている。部品交換で済むものから解体するものまで流れているのだが大抵は解体だ。ここ最近テロのせいで大破する機体が多い」

 

「となると依頼金も相当な金額を?」

 

「いや。解体する機体の殆どを此方によこして貰ってる。金額を安くする代わりに資材を再利用しているわけだ」

 

「しかし政府だけの依頼だけでは利益がないのでは?」

 

「危険指定された国や私設部隊には武器を売っていない。武器を売る事が出来るのは国家の緊急時のみだ」

 

「やはり福祉で?」

 

「福祉は利益が比較的安定している。シンフォニーという武器商人は非正規部隊にも対応しなければならない。まあ・・・世界が必要とするのは戦いと救いということだ」

 

どこぞのミグラントと違い、見境なしに大量の武器を売りさばいているわけではなさそうだ。

どこかの本で読んだ事がある。

AKシリーズのアサルトライフルは耐久性が優れ、清掃も簡単。そのような武器が存在してしまった故に武器商人が戦争で儲けるには大規模な戦争が必要だと。

だがシンフォニーは簡単に武器を売る事が許されていない。なので派遣部隊と日本とブリタニアから依頼されるKMFの修理や各国からの修理依頼で稼いでいるのだ。

 

「だが最近サンズ・オブ・パトリオットが過激な活動を起こすようになって国防軍の兵力だけでは足りなくなっている。そこで我々が現在駆り出されている」

 

「迷惑な話ですね」

 

「ところで君の機体は旧世代の機体だな?」

 

「ウチでは最新式ですが?」

 

「最新式・・・⁉︎アレがか⁉︎」

 

零久が乗ってきたのはアチラでは最新式の第16世代のKMF。通称ローダースター。確かに幾つか進化した箇所もあるがエナジーウィングやヴァリスなどコチラから見れば旧世代式のものが多い。

 

「ふ・・・む。これは・・・」

 

「え?古いんですか?此方では?」

 

「まずエナジーフィラー式自体が古いんだ。官給品ならともかく傭兵師団は太陽炉を搭載した機体を使っている」

 

「太陽炉?GNドライヴの事ですか?」

 

「太陽炉の別名を知っているのか。だが一部の機体を除いて基本的には量産や応急修理が可能なように下位互換の太陽炉が使われている」

 

「下位互換の太陽炉か・・・」

 

ニムバスは零久の機体があるハンガーまで移動している途中、無線が入り会話を始めた。俺が自分の銀色に輝く機体を見つめていると隣に造りかけの機体があった。寝かされた状態で部品が散らばっている。ちょっとアンバランスな機体はクローアームなど特徴的なパーツが多い。

 

「ああ・・・分かった。は?再起動に失敗?分かった。ユウに二号機の試験中止を伝えておけ。一号機?OSの起動試験が上手くいかん。今日の起動実験はスケジュールを繰り下げる。全く・・・これでまた補佐からどやされるのか・・・」

 

「どうしたんですか?」

 

「試験機体の実験だ。今君の機体の横にあるものと同型機の」

 

「OSが起動しないと聞きましたが」

 

「聞いていたのか・・・その通り。新システムが上手く動作しない」

 

「どのようなOSなんですか?」

 

「同時火器管制ロックオンシステム、高度戦況予測システムを導入したものだ。Firearms rock and advance tactical situation system。通称FATS」

 

「FATS・・・」

 

「気軽にファットシステムとでも呼ぼうか。こいつは理論上980の敵を同時ロックオン出来る。だがシステムが何故か機体に搭載しても起動しない。様々な原因を考えたが・・・」

 

「起動しないと?」

 

「そうだ」

 

更に聞いた話によるとインテンション・オートマチックシステムを更に改良したOSだという。だがどんなに原因を突き止めて改良やシステムの書き換えをしても試作機が起動しない。

一号機と二号機の再起動実験すら失敗し総司令の息子であり補佐であるレックス大佐には延期を繰り返し申請していたのでこれ以上は計画自体が凍結してしまう可能性があるのだそう。

 

「あの・・・三号機はアレなんですよね?」

 

「ああ。そうだが?」

 

「起動実験に・・・俺を乗せてください!」

 

続く!

 

 




オマケ

試作機 クルセイド
一号機から四号機まで開発された新型機。制空権の確保を優先して設計されており新システムFATSを搭載されている。元のデータとしてはE.Eが独自の見解で提出したバイアラン・カスタムを流用。しかし一号機、二号機共にまだ起動実験が上手くいってない。

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