コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will   作:ラムネ便

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いきなり戦闘⁈そうです!戦闘回です!


25年後の彼ら

場所は太平洋のど真ん中。深度800の海中に沈んでいたのは改良に改良を加えられ無人化されたスカアハ。二人の男が司令席に座っていた。静かな海に響くソナー音。暫くするとスカアハが起動。海中からたった数分程度で海面に顔を出す。若い方の男がレーダーに映る多数の敵機を見て小さく呟いた。

 

「遂に来たか。アクエステ。対空戦闘用意。エネルギー回路を兵装にまわせ」

 

『了解。スカアハのエネルギー回路を全兵装に開放。対空戦闘モード』

 

「第二フロートエンジンを起動しろ。上空での空間戦闘に持ち込む。針路83」

 

『フロートエンジン起動。針路83』

 

スカアハが海面から離れると敵のKMFが大量のミサイルと共にハドロン砲の雨を降らせてきた。対してスカアハは前方に集中障壁を展開。同時に無人偵察機が障壁の周りに陣形をとって警戒情報の作成を始める。全ての攻撃を跳ね返しながら前進していく。背面からはGNドライヴの粒子が装甲で囲まれた排出口から出てきており本体を改良してなお使っているのがよく分かる。その真下では味方の潜水艦が行動を開始。スカアハのレーダーと警戒システムを連携させて敵の数を把握し始めた。

 

「出航ルートE。出力15」

 

「前方進度クリア。障害物無し」

 

「無人哨戒機より入電。敵影は未だ見えず」

 

「アクエステを起動。ASW!」

 

「ASW用意!」

 

「ジョセフ艦長。潜れます」

 

「よし。潜行する!出力そのまま!モードクイック!深度40でホールド!」

 

「全モーター出力そのまま!深度40!」

 

「全トリムタンク注水!ダイブ!」

 

潜水艦がゆっくりと海に沈んでいき各兵装に注水が始まった。沢山のレーダー音に囲まれた広いCICでジョセフはあるパイロットを招集。組み込まれたKMFの収納スペースまで案内する。

 

「水中戦及び水中から地上に出て強襲出来るよう改造された機体です。操縦法は従来の機器と連携させました。貴方なら使いこなせるはずです」

 

「耐水圧装甲にしたKMFか・・・はっ。40代の俺に無茶言うもんだぜ」

 

「承知の上でこの潜水艦アルテラに搭乗してもらったので無理ならば強制はしません」

 

「艦長命令とあっては仕方ねぇ。たまには暴れさせて貰おうじゃんか」

 

パイロットは収納スペースに整備されているKMFのコックピットに乗り込む。数秒後エナジフィラー充填コードが外されて内部耐圧カバーと外部の耐水装甲が閉じた。機体が起動を始めレーダーシステムや操縦システムの異常確認を自動で行っていく。全ての確認を終え全周囲モニターに表示されたオールグリーンの文字。ソナー情報から上空の情報まで表示されていくが彼は邪魔そうに指をタッチパネルを触り情報を全て端にやった。

 

「少尉!機体はいけますか?」

 

「ああ。コイツも久しぶりだ」

 

「ではよろしくお願いします」

 

機体の周りに海水が流れ込んで圧力が少しずつ低下していき1分もしない内に収納スペースは海水で満たされる。機体はエレベーター式で拘束具から外され水中に放たれモーターを全開にした。

 

「トリスタン。出るぜ!」

 

「グッドラック。ジノ」

 

ジノ。元ナイトオブラウンズのパイロットでありながら自機のトリスタンを没取されてからは何もする事がなかった騎士。しかしギルフォードやスザクらの誘いで25年間の間VR訓練を受けていた。その効果もあってか水中での動きでも何ら問題なく進行していくトリスタン・マリン。周囲にデコイをばらまきながら変形していく。

 

「追加ベント解放。フロートユニット起動。トリスタン浮上!」

 

海中から出てきたトリスタンはヴァリスで敵の戦艦を下から攻撃を始める。浮遊しているので勿論下への迎撃弾も飛んできたがそんなものはジノにとって問題ではない。三機の戦艦の内一艦が下からのヴァリスによりフロートユニットのエナジーフィラー収納部に直撃。浮力を失った戦艦は少しずつ海に近づいていく。

 

「第三、第二フロートユニット破損!エジェクター作動しません!」

 

「予備エンジンで体勢を立て直せ!敵はデカイが一艦のみだ!まだ発進していない部隊もいる!海水に不時着するぞ!」

 

戦艦が海水に不時着した瞬間真上からのハドロン砲が戦艦のCICを貫いた。あの戦いから25年間がたった訳だが技術が進歩しないわけがない。ハドロン砲の威力はより高くなり専用でないKMFも水中での活動が追加ユニットにより限定的だが出来るようになっている。そして現在使われているバリアには大体の場合でブレイズルミナスが採用されているが既に旧式化しており省電力化した輻射障壁が採用されることも多くなってきている。スカアハの障壁はGN粒子で形成されているがラクシャータの輻射波動制御システムを導入した新システムにより障壁の防御率がより向上している。

 

「一番艦が撃墜!艦長!」

 

「クッ・・・このまま突撃する!我々愛国者の力を見せつけてやるのだ!」

 

未だ残る艦隊は更にスカアハに接近してきた。周囲の護衛KMFも攻撃を更に激化させて仕留めにくる。その中スカアハから一機の機体が空に飛び出した。その機体は羽から虹色に輝くプラズマ粒子を流している。羽の青い部分が外れたかと思うと自動的に攻撃を始め敵を各個撃破していく。本体はクルクル回りながらビームサーベルを敵戦艦の真横で斬りつける。斬りつけられ融解した場所から誘爆しはじめた戦艦は爆発しながら空中分解。戦艦の艦長が最後に見たのは機体のコックピットに書かれた機体番号だった。

 

「SMDーX105・・・strike freedom ・・・だと?シンフォニー傭兵師団は解体されたんじゃないのか⁈情報が違うじゃ・・・ない・・か」

 

爆発する戦艦を後にするストライクフリーダム。その機体に乗っていたのはルルーシュの分身とも言えよう存在。ラファーエットだ。ビームサーベルを使い敵を倒していくその姿は敵護衛機に捉えられることなど出来ない。最後の戦艦も撃墜しあらかた片付けたスカアハは全ての機体を回収して再び海中に潜行していった。

 

「サンズ・オブ・パトリオットが犯行声明を出してから2ヶ月。太平洋の進出も激しいな。中々家に帰ってゆっくりともいかんものだ」

 

「親父。もうそろそろ帰ろうぜ?俺たちは12時を超えたら日本の戦艦と警備を交代するはずだ」

 

「はあああ。疲れたぁ。クレアに甘えてぇ」

 

『第58艦隊が到着しました』

 

「もう来たのか。基地に帰るぞアクエステ。ジョセフにも帰還するよう伝えておけ」

 

『了解』

 

潜行したまま日本へ帰るスカアハ。背後の潜水艦も最大戦速で追いかけるように進んで行った。今の日本は世界でブリタニアに次ぐ経済力を持ち復興支援も順調に進み2年後の2037年には全復興が終了する予定だ。荒れ果てていた港も活気を取り戻しておりKMFは作業用や警備部隊、藤堂率いる日本国防軍が持っている。騎士制度はブリタニアで続いているがナイトオブラウンズの殆どは辞めてしまい形骸化している。暇なジノはシンフォニーに就職してかつてのトリスタンを使い依頼された警備やテロの対策部隊に駆り出されている。オーキスはというとギアス饗団・・・現サンズ・オブ・パトリオットが二ヶ月前にテロ声明を発表して以来ゆっくりするわけにも行かずスカアハや様々な機体で戦闘をしている。だがこんな戦闘の裏では同時多発を引き起こす場合も多くシンフォニーの部隊も数十人は死んでいる。この事を想定していなかったオーキスは傭兵師団の余剰予算を確保せず福祉に回していたせいで今傭兵師団は火の車だったりしている。一応遠征部隊の為の予算は確保されていたのでそこから当分の間は予算を組むしかなかったがようやく予算委員会が開かれる予定で傭兵師団への予算を増やすことが出来るのだ。なのでオーキスが日本に帰る頃にはバーチャル会議による予算委員会が開かれる。彼にとっても肩の荷が軽くなる。

 

「やっと予算が組めるなー。少しはマシになりそうだ」

 

「火の車だった傭兵師団がアイツらに反撃するのも夢じゃないな」

 

『オーキス司令。日本支部より緊急入電。枢木亭が何者かにより攻撃を受けているとの事です。既に援護部隊がスタークジェガンで攻撃を開始しています』

 

「スザクの家だと⁈」

 

「アーサー・・・間にあえよ」

 

枢木亭は燃え盛る炎に包まれていた。周囲では未だ敵KMFがシンフォニーの部隊と交戦している。アーサーは地下にいた。彼の目の前にはスポットライトで照らされた白い悪魔。一角ヅノが象徴であるその機体は自らコックピットを開いて導くようにこちらを見てくる。昇降ワイヤーに乗りコックピットに乗り込む前面のガードが閉じて全てのシステムがスタンバイ完了。全周囲モニターも機能している。

 

「ユニコーン。お前が俺の覚悟を受け入れるならば・・・俺に力をくれ!」

 

ユニコーンのツインアイが光りだしOSがパイロット用に切り替わる。モニターに表示されたのは日本語。彼女が乗っていた頃のデータも蓄積されていりAIは今も従順な部下として搭載されている。更にAIにはアーサーがユフィの血縁者である事も書き込まれており彼をパイロットと見なすように設定されている。故にかける言葉は一つしかない。

 

『恐れるな。自らの可能性を信じろ。私はお前に無二の力を与え、道を開こう』

 

「ユニコーン・・・」

 

大量のミサイルが飛び込んでくる中突っ込んでいくアーサー。ブースターを最大にして煙の中から脱出した。すると第12世代主力KMFヴァスディウスがハドロン砲を撃ってきた。しかしそれを弾いていくユニコーン。

 

「俺に力をくれ!ユニコーン!」

 

ユニコーンの封印が解かれサイコフレームが露出状態になるとビームサーベルを出して敵を容赦無しに切っていく。

 

「あ、ありえねぇ!あんな・・・」

 

パイロットが怯えるほどユニコーンは速く、追いつくことすら出来ない。ハドロン砲を何度もあてようとするが全て弾かれるか回避されてしまう。彼らにとってあの得体の知れない機体はただの化け物に等しい。

 

「機械のする動きじゃない!警戒しろ!」

 

「パイロットは持つのか⁈そんな馬鹿な⁈」

 

「ああ・・・思い出した。かつてユーフェミア皇女殿下が搭乗していた機体・・・し、白い悪魔!ガンダムだ!」

 

ユニコーンは赤く光るサイコフレームを見せながらその高機動で更に敵を倒す。しかしアーサーはNT-Dに飲み込まれかけていた。とにかく敵を倒し排除するだけ。ニュータイプを排除する為に作られたシステムはアーサーというニュータイプをパイロットに迎え入れた今、もはや敵はいないかった。

 

「敵は倒す。敵は・・・あのエンブレムだけだ!」

 

咄嗟にシステムから意識を戻すアーサー。駆けつけにきたシンフォニーの援護部隊を破壊しないように特徴のあるエンブレムの機体だけを破壊する。飛んでくるハドロン砲を回避していくと一機の機体が背中合わせとなった。

 

『アーサー様!ここは我々とシンフォニーがカバーします!』

 

「ギルフォード先生!身体は大丈夫なのか⁈」

 

『この程度で寝込んではいられません!さあ!』

 

「すまない!」

 

アーサーはバンシィに乗るアルテミスを助けに行く為枢木亭裏に向かった。ギルフォードはチャンネルを変えてシンフォニーの機体だけに連絡をいれると敵を通り越し援護部隊と合流する。

 

「シンフォニー援護部隊に告ぐ!ここはこのギルフォードが指揮を執る!続け!」

 

『『サー!イエッサー!』』

 

ギルフォードと援護部隊のスタークジェガンが敵に向かって攻撃を始める。新しい機体になってもやはり衰えない操縦技術は敵パイロットを大きく上回りシンフォニーの熟練隊員をも追い越していた。アーサーがアルテミスを助けにいくその頃、アルテミスはユフィとスザクをバンシィに乗せて近づいてくる敵機に向けてビームバルカンを撃っていた。ゲージから何とか脱出したのはいいもののロクな装備がない状況で無限に沸いてくるような奴らを相手に少しはイラついてもくる。

 

「敵多すぎぃ!」

 

「アルテミス!六時の方向に高熱源体!アーサーかしら?」

 

「いやあれはアーサーじゃない。別の機体だ」

 

周りを囲っていた機体が突如出現した二基のファンネルにより破壊されバンシィの前に降り立つ。ビームサーベルを出して包囲していた敵を撃墜すると通信を入れた。

 

「こちらシンフォニー司令官補佐。エクス・シンフォニー。デルタカイで援護する」

 

『エクス?』

 

「アルテミスさんでしたか。ヴァルキリー姉さんは今いませんよ」

 

『あのバカ・・・こんな時に何処にいるのよ⁈』

 

と二人のレーダーに感知システムが作動した。シンフォニーの援護機体が殆どだったが一機だけ動きがおかしいのがいた。それはレーダー上でも分かるほど速くユニコーンやバンシィ並みの機動力で先頭を飛んでいる。数秒後にはユニコーンよりも速度を上げてきた。

 

「高熱源体接近!どういう事・・・敵の対空砲火をこんな避け方出来るはずないのに⁈」

 

『ああ・・・ようやく分かったわ。あの子は渡していたのよ。彼女に』

 

「彼女?渡していた?」

 

『ふふ・・・見ればわかるわ』

 

空から流星のように飛んでくる援護機は対空砲火を器用に回避しながらこちらにやってくる。そのうち一機の機体は夜空に対して白くツインアイ。更に背中の特徴的なブースターは高速移動を可能とする高出力タイプだ。バルカンとビームサーベルだけを持ったそれはユニコーンに似ているがよく見ると少し違う。破損した盾を投げ捨てると真下にいたKMFのコックピットをビームサーベルで貫いてしまった。

 

『敵機体は5!直上より急降下して来た!先頭の一機は・・・通常の三倍の速さで攻撃中!各機あの機体には注意しろ』

 

「ここまで集まられては仕方ないわね。ヴァルキリー。見せてもらうわよ。この機体の・・・シナンジュ・スタインの本当の強さを!」

 

続く!

 


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