コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will   作:ラムネ便

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めちゃくちゃ書いた気がする!だけど少ねぇ!


E.Evsシャルル

 

E.Eは大量の剣を回避しては弾くを繰り返しおこない何度もシャルルを仕留める機会をなくしていた。剣が割れて盾を使い重い剣を防御すると盾は粉々に砕け散る。

 

「E.E!君に逃げ道なんてもうありはしない。ここで死ぬか?僕に忠を尽くすか?」

 

「忠?逃げ道?どちらも私の辞書にないわね。あ、そうそう。忘れていたけど”黄昏の間”を創り出したのは私だから」

 

「それがどうしたの?今更意味はないよ。ラグナレクは完全に僕の手中にあるんだよ」

 

「そうじゃない。ここは私のコンバットフィールドという事よ」

 

E.Eは破れた袖をまくって腕に刻まれたギアスのマークを前に出した。すると赤い光ではなく綺麗な蒼い色を発し始め周りの景色が変わり始めていく中E.Eはゆっくりと詠唱を始めた。

 

『身体は武器で出来ている。血潮は銃弾。心は刀身。幾たびの時を経て不死。ただの一度の死もなく、ただの一度の共感もなし。担い手はここに独り。鉄屑の山で武器を創る。ならばこの生涯に意味は不要ず。我が魂は無限の武器で出来ていた!』

 

夕陽が映えた景色は歯車と青空に切り替わり地面には大量の種類の武器が刺さっていた。夕陽は消えて雲一つなくなるまでになりE.Eの服はシンフォニーの隊服から古代の鎧に切り替わっている。これがE.Eと神狐が考えだしたギアスの力を最大限に使い武器を無限に内包した世界を創り出す最強の詠唱魔術。日本語では無限の武器作製。通称”unlimited weapon works”である。

 

「さあ・・こっからが本当の勝負よ。行こうか。ブリタニア皇帝。武器の貯蔵は十分かな?」

 

「僕に勝てるとでもまだ思ってるのかい?E.E・・いや。裏切り者のライプニッツの一人娘!」

 

大量の武器がシャルルめがけて弾丸やビーム砲など御構い無しに放たれていくその景観はまさに巨大な花火といえるものであった。今まで彼女が創り出してきた武器は約8,000。砲撃の隙を見て剣をぶつけて破壊するシャルル。砲撃の位置とはまるで別の位置を走り抜けていくE.Eは片手にビームジャベリンを持ち思い切りシャルルに投げた。シャルルは剣を全て重ね合わせてジャベリンを弾くとその上からはビームマグナムが二丁。狙いをつけて撃つがしなやかな動きで軽々とかわしていく。シャルルを囲む土煙から日本刀を持ったE.Eが斬りかかった。

 

「こんのぉォォ!」

 

「こんな剣では僕に勝てやしない!」

 

日本刀を割り剣を振るうシャルル。しかしその剣もE.Eの剣により破壊された。上空に大量の剣を出したシャルルは彼女の頭上に落とす。また大量の土煙が出てE.Eを見失ったシャルルは全体的に剣を放った。全体が爆発に巻き込まれたが上空を見ると回避したE.Eがバリアーを展開して接近してくる。

 

「ブレイズ・ルミナス!」

 

「贋作ごときの分際で・・!」

 

剣を振るう二人の力はギアスの力を超え火花を散らしていく。両刃剣をぶつけあう戦闘に痺れを切らしたのはシャルル。今度は剣だけでなく大量の機関銃をぶちまけてきた。しかもシャルルが使っている弾丸は全て劣化ウラン弾。黄昏の間ではまるで意味がないと思いがちだが、その破壊力は未だ存在しているのだ。ブレイズ・ルミナスで防御していくが少しずつバリアに穴ができていく。辛くなってきたE.Eはブレイズ・ルミナスの真後ろにロー・アイアスを展開した。更に武器を展開したE.Eはミサイルを発射させたがシャルルには今ひとつ効いていない。そして彼が煙の中で掴んだのはミニチュア版のアーカーシャの剣。思い切り横に振るとロー・アイアスすらうち破りE.Eは吹き飛ばされた。未だ経験した事がない物理・精神的激痛を被った彼女は地面に叩きつけられ動けなくなった。

 

「ここで・・終わり・・なのかな」

 

E.Eが倒れこむ瞬間、見えてきたのは仲間の姿だった。全員別の世界の自分を倒すのに成功したみたいだが自分だけはシャルルに負けてしまった。それが場数の敗北か物量の敗北など分からない。心配するユフィの影と声が少しずつ掠れていきそのまま彼女は深層意識へと落ちていった。彼女が意識の中で目覚めたのは懐かしく、そして最も忌むべき光景。いつも数式にから回っていた自分がいた。亡き父親の研究を続け数式だけでギアスを完成させようとしている。自分自身を実験台にして埋め込んだ呪い。しかしそれを決心したには理由があった。思い出した時若い頃のE.Eは今のE.Eに質問をしてきた。

 

「そうだよね。私はいずれ辿る最悪の地獄を見たんだ」

 

「私は正しかったの?未来の私」

 

「全く・・・器用じゃなかった。私はただ失うのが怖くて意地を張りすぎたのよ。何もかも失ったあの日みたいに」

 

「父さんが起こしたギアスの実験・・全てを破滅させるギアス」

 

「うん。だから私は・・その最初の地獄を見た」

 

若い頃のE.Eが消え去り出てきたのは火事や黒い塊が残る荒れ果てた都市。それは暗く夕暮れの空に皮肉にも映えていた。瓦礫の中でただ一人父親に守られ難を逃れた少女が一人、そこにいた。

 

「ルナ・・お前には私の全てを教えた。後は頼んだぞ・・我が娘よ」

 

「お父さん?お父さん!ねえ!」

 

父親の死を感じた少女は泣きながら一人歩き始めた。父親の小さな紙包みを持って火事の中を歩いていく。よろよろとおぼつかない足取りで前進していくその後ろ姿は力強さを感じた。

 

「待ちなさい!・・その先は地獄よ」

 

しかしまるで聞こえていない。その先をぐんぐん歩いていく少女。若い頃のE.Eもその少女の後をついていくと髪の毛が緑色のあるシスターに出会った。少女の泣きついたシスターの身体は暖かった。泣き止んだ少女はシスターの手を繋ぎ光に包まれると一つのランプになった。小さなランプだがそれは強い光を発している。若い頃のE.Eはそれを今のE.Eに手渡した。

 

「これが私の忘れてしまったもの。世界を傍観していればいいっていう消極的な心になった原因。確かに私は憧れが最初だった。でも根底にあったのは願い。父さんはギアスの数式化するよう命じられて仕方なくやっていた。ギアスに対抗できるのはギアスだけ。来ると予感していた地獄を覆したいっていう願い。誰かの力になりたかったのに結局何も出来なかった男の・・叶えきれなかった願い。私が叶えなければならない最後の仕事」

 

「ゴットフリート・ライプニッツの娘である私が最後の始末をする。さて・・」

 

「行くの?」

 

「行かなきゃね。皆に迷惑をかける訳にはいかないしイギリスに帰って師匠の墓前にロールケーキを供えるまで死に切れないから!」

 

深層意識から表層意識へと戻され目覚めたE.E。起き上がり正面を見ると自分が倒れていてもシャルルに立ちはだかる勇姿があった。一人は干将莫耶を、一人は螺子を、一人はスタンドを、一人は銃を持ち全員ダメージを受けているが誰も諦めたような顔などしていない。逆に何人かは戦いを繰り返して血の気が盛っている状態だ。

 

「もう君達は理解しているはず。僕には勝てない。それでもまだ戦うのかい?」

 

「勝てないと知って、出来ないと分かっているからこそ殺り甲斐があるもんだろうがっ!大人舐めてんじゃねぇぞクソガキ!」

 

「遅くはない内に君の精神ごと螺子ふせてあげるから覚悟したら?」

 

「スタンドのパワーなんてセコイと考えていたからちょっとは手加減してやろうかと思っていたところを・・・そんなに負けない自信があるようだな!」

 

「私が教育し直してあげますよ。シャルル・ジ・ブリタニア!」

 

ユフィにつけられたアヴァロンにより全員の傷が修復されていくのを見たシャルルは不機嫌な顔になり剣を五人に向けて一斉掃射した。巨大な爆音とともに砂が舞い鼻で笑ったシャルルは背を向けて歩き始める。しかし瞬間後ろから何かが自分の頬を擦っていった。再び砂煙を見た彼の目に飛び込んできたのは更に不機嫌にさせるものだった。ブレイズ・ルミナスを展開しているE.Eと槍を持つオンシジュームがいたのだ。しかも彼女が持つ槍は一番シャルルが毛嫌いしている物語の武器。

 

「お前・・その槍は!いやその前に何故お前がここにいる⁈」

 

「私?私はね、こんな時の為に彼女をコピーして置いただけ。でも彼女の魂の力って本当に使えるものなのね。”閃光のマリアンヌ”」

 

「やはりお前などにマリアンヌの魂のバックアップを渡したのが間違いだったよ!」

 

「まあまあ。今はマリアンヌの魂じゃないわ。色々私が付け加えたからね。じゃ、後は全部頼んだわよ。スカアハ」

 

「あれ?スカアハ?オンシジュームちゃん!まさかそのスカアハって・・」

 

オンシジュームが目を閉じて数秒すると瞳の色は赤から青に変わり右手の赤い槍を背中の収納機にしまうと左手の赤色の槍を構えた。その構えはかつての戦士と同じものでありシャルルの見当が間違っていなければケルト神話で有名なクーフーリンの師匠。スカアハのものだ。

 

「全く・・世界から嘘をなくす?そんなものはなんら解決策になどなり得ない。お前が未だ幻想を持ち歩いていると言うのであればこのスカアハがその体ごと貫いてみせよう」

 

「ほ、本当に冥界の女神を⁈」

 

「この者はセタンタと同じ程の力を持つ。それとも私が現界したのがそれほど不思議か?」

 

「だ、だってスカアハは神話上の・・」

 

「ここは黄昏の間というそうではないか?魂の力を増大させ不可能を可能にする場。私がいてもおかしくはない」

 

「ごちゃごちゃと・・何人増えようが同じ事だ!」

 

先程よりもかなり多い量の剣と機関銃を背後に出すと一瞬の光で全ての弾丸と剣が六人を襲う。有り得ないほど大きい剣も出てきて何本も容赦なく突き刺しシャルルの攻撃がやむことはない。煙と焦げ臭さが舞い上がり地面はえぐれていく。しかしその煙の流れが一部だけ違う箇所があった。何十本、何千本と剣と弾をまともに喰らい回避する瞬間や隙すら見せないその攻撃は一人の人間により弾かれているのだ。

 

「私はっ!変わるっ!今っ!ここでっ!」

 

火花を散らし重力速度以上で飛んでくる剣を弾いていたのは干将莫耶を持つユフィだった。戦闘服の動きやすさもあるが動きは全て予想していたかのように剣をひとつたりとも見逃しはしない。割れそうになろうと新しく複製して何度と防ぎ続けるその顔は穏やかな世間知らずの顔ではない。

 

「兄さん達と過ごした日々は嘘なんかじゃない!」

 

シャルルが気づくとユフィに蹴り飛ばされ上空へと来たデンファレが螺子を打ち込んできた。盾で螺子を弾き返し破壊されたシャルルが盾から視線を離すと目の前にはキシがトンファーで鋭く重い一撃一撃をかましていく。なんとか回避するシャルルは苦し紛れの機関銃三丁を出し至近距離で発射したが全てスタンドにより弾き返されていく。更にそのトンファーを足場にして飛んできたのはナヴィス。お得意の徒手空拳でシャルルの苦手な近接戦闘に持ち込んだ。おぼつかない足で回避していくがよろけた瞬間に腹部へ蹴りを喰らい吹き飛んで行った。遺跡の崖から降りて下の足場に立つが蹴り飛ばされた痛みで少し意識が朦朧としていた。なんとか走り出して別の場所へと逃げ始める。しかしその足場へ降りてきたスカアハに追いかけられ槍の攻撃を凌ぐしかなくなった。槍の長さを逆手に取り弾かれた姿だが背中の槍を上に掲げるとそこに降りてきたのはE.E。手には長剣を持っている。

 

「この願いは間違いなんかじゃないんだ!」

 

「贋作者がァァァ!」

 

E.Eの長剣は盾で砕けたが即座に手からレールガンを創り出すと盾に向かって最大出力で引き金を引いた。盾を貫通した弾はシャルルの腹部に巨大な風穴を開けた。突き刺ささっていた剣や武器が消え去っていき下の足場へ全員が来る頃には光となり消えていく最中。そこをキシは全員をどかしてシャルルの胸ぐらを掴むと顔を近づけて質問した。

 

「消える前にひとつ聞きたい事がある。ジャック・ザ・リッパーとはなんだ?」

 

「くくっ・・言葉通りだよ。君の魂は切り裂きジャック。あの大量殺人事件を起こした大罪人。あれから変わったじゃないか・・・そうか。君にも大切な人が出来たんだな。僕とは違って・・間違いの先に見つけたんだね。自分の居場所を。後は君に託す事にしようかな・・為すべき事を・・成すんだ」

 

光の粒が消えて体が消滅したシャルル。キシは立ち上がり現れた扉の前に近づいてゆっくりと開いた。その先に見えたのは新しい場所。少しだけ向こうにルルーシュの姿が見えた。

 

「行こう。この世界は嘘なんかじゃない事を証明しに」

 

六人は扉に入っていき遺跡を後にした。全員が見落としていた岩には剣がささったまま放置されている。そこからシャルルが現れるとすぐそばに桜が生えて咲き始め満開となった。小さな赤い布が掛けられた木製の黒い長椅子に座り団子と茶をすする。

 

「これで良かったのかもしれないよ。もう帰ったらどう?」

 

「いや。俺はここで見届ける。ルナを見てからでも遅くはない」

 

「君は裏切り者じゃないよ。あの時はアドリブだから許してくれ。僕の頼みで最後までギアスを調べてコードを消す方法も研究してくれた。あそこで兄さんに邪魔さえされなければ・・」

 

「もういい。ルナにも帰る場所が出来た。それが確認出来れば嬉しい」

 

「じゃあ最後まで見ようか。許された時間まで一緒に団子でも食べながらさ」

 

「そうだな。じゃあ嘘と真実の混沌の世界に」

 

「「栄光あれ」」

 

ワインのグラスで乾杯した二人の魂は桜の下で彼女達の勇姿を見届ける。ゆっくりと。のんびりと。

 

続く!

 


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