コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will 作:ラムネ便
上空6000mに浮かぶスカアハではゼロの動きに対する会議が行われていた。会議ではキシが教えてくれた運命の道筋も前提に順調に進んでいる。
「キシの言う通りであればゼロ、、ルルーシュは日本人全員にゼロの服装を着せて国外追放したと」
「ああ。オーキス。これに対する動きは特に必要性はないから安心してくれ。だが問題はその次だ」
キシは会議室のスクリーンにある映像を映し出し再生した。その映像はキシの世界でゼロが行った天子強奪の真っ只中を激写したものだった。
「何やら面白そうだな」
「クーデターを起こした張本人はこの男。星刻。こいつは俺の攻撃を凌いだ武術の達人だ。生身で勝てる相手はそうそういないだろう、、」
会議の途中で本拠地から依頼の通信が届きスクリーンに投影するオーキス。今回の依頼は黒の騎士団でゼロが直々にビデオメッセージを添付していた。普通なら文で済ませてしまう所だ。
『シンフォニー傭兵師団に依頼がある。新機体の開発だ。ブリタニアに渡した機体より強力な物を依頼する。報酬は既に払ってある。では、頼んだ』
ビデオメッセージはそこで終了。他には何もなく設計図すらなかった。つまりシンフォニーのやるようにやる事が出来るという事でもある。
「この時期から依頼を渡すって事は、、星刻のクーデター計画を分かっていたのか」
キシが前払いされた報酬金額を見ながら呟く。オーキスは会議室のドアを開けて出て行こうとしていた。
「オーキス!まだ会議は、、」
「悪いがやっててくれ。俺は用事ができた」
ナヴィスにそう言って会議室を出て行くオーキス。途中歩きながら端末を起動してイギリスに連絡を始める。
「安達か?牢獄から奴を出せ。役には立つだろう。ユウ?そういや仲が悪いみたいだな。だが奴は地獄の第586連隊の中で生き延びた。あの死神旅団の中でな。機体はブルー三号機と二号機でいい。一号機?アレは使うな。システムとパイロットに機体が追いついていない。ああ。頼んだ」
オーキスが釈放したのはユウにライバル心を抱きイギリスならではの騎士精神を併せ持つ隊員。ユウとの戦闘以降牢獄に収監され今は少佐の階級を持つニムバス・シュターゼン。彼のKMF操縦技術は群を抜いておりオーキス程ではないが撃墜王に数えられるパイロットだ。パワードスーツ試験段階でKMFに搭載可能となったAIを使いこなす数少ない熟練パイロットでもあり明日にはブリタニアに偽装輸送船がニムバスと共に二機の機体とスカアハに着任する。二機ともAI搭載型で高性能機体だ。
「で、、お前はいつまでいるつもりだ?死神」
オーキスの肩には小さな女の子が乗っておりニコニコしていた。ゴスロリを着て背中には巨大な鎌をぶら下げている。しかし今まで誰も気づかない。オーキスしか認識出来ないのだ。器用に片足で立ってはいるがオーキス本人は重さを感じていない。
「言ったはずよ?私は戦争を司る死神。貴方を最後まで見てあげる」
「本当に、、お前は誰なんだ?」
「さあ?少なくとも私の御主人様は貴方の近くにいるよ。場合によっては貴方も私の御主人様になるわね」
「その黒髪、、どこかで見た気がするんだが思い出せないな。誰だっけか」
「貴方のパートナー。それが私のご主人様よ」
「ん?まさかそれって⁈」
死神は消えていた。死神に目をつけられた者は生きて帰れないというが別の死神もいるものだ。魂を狩るだけが仕事ではないのかもしれない。
「昔からいたが、、相変わらずよくわからんやつだな。死神ってのはよ」
肩に残るふわりとした感触。触ることができるかどうかは知らないが死神の顔立ちと髪色は似ていた。自分の妻であるクレアに。E.Eも気づいていない所を見るとクレアとオーキスにしか見えない深い何かがある。それが浮気対策なのか勝利へのお守りかは分からない。
「まあ、、勝利の女神がいると思えばいいか」
会議室では星刻に渡す機体の選定を進めていた。あらゆる種類のKMF、MS、MH等が挙げられたが結果的に天子を防衛するのを最優先とし、状況に合う機体を作成する事で決まった。その機体はクロスボーンX0。砲撃に耐えられるようにフルクロスに換装してドクロマークを排除。偽装用マントには対ビームコーティングを施しハドロン砲を弾き返せるようになる。設計を始める為にキシとE.E、タキセはキャスターへ向かう。それ以外の隊員は操縦室へと戻っていった。しかしクレアだけキャスターに移動する。
「あり?クレア先輩じゃないっすか」
E.Eがクレアに気づいて創成を中断する。タキセは途中のパーツを組み立ててクロスボーンを少しずつ完成させていた。
「E.Eさんなら、、出来ますよね?」
「ん?何が?」
「私だけの機体をオーダーメイドで作って下さい!」
「別にいいけどさぁ。機体によるからなぁ、、KMF操縦したことある?」
「以前バイトで少しだけ、、」
「となるとクレアは一から新しい操縦を覚えた方が良さそうだね。KMFかぁ。いやいっその事MHにした方が良いかね。ん、、サファイアの指輪、、宝石、、宝石の乙女、、ジュノーン!んで外装だけKOGにしてやれば完璧じゃないか!」
不気味な笑いを浮かべながらクレア機のパーツ創成を始めたE.E。しかしクレアが見たパーツは明らかに大きく組み立て後の並のKMFのような大きさではないことが分かる。しかもデンファレ以上の黄金ッぷりである。タキセがE.Eに文句を言ってくるが
「うるさい!クレアだけの騎士を製作中なんだから黙れ!」
この一言でクレームは一蹴されてしまいタキセはブツブツ言いながらパーツの組み立てをキシとともに再開した。
「ソープは”欠点のないMHなんてつまらない”なんて言ってたけど、、私は最恐のMHを創り出してみせてやるし!クレアというオーキスの大切な物を守る騎士を!」
数十分後全パーツ創成完了したE.Eは息を切らしながらでクロスボーンのパーツを創成し始める。栄養ドリンクを飲みながら頑張っている。暇になったキシはジュノーンのパーツを組み立てしていく。キシも驚くほど金ピカで如何にも強そうだ。両腰にビームサーベル更に両肩にはバスター砲が装備され火力も万全だ。
「その機体は只者じゃない装甲だからミサイルの百や二百は簡単に防御可能。心配する必要はないよ」
E.Eは心配そうに見ていたクレアに言った。しかしMH、、モーターヘッドはスパコン並の頭脳を持った擬似生命体ファティマを必要とする。本来ならクレアだけで動かせるはずなんてない。ましてや操縦すらできない素人には到底無理だ。
「でも私、、操縦方法も知らないし大きいからもう一人必要に見えるんだけど、、」
「その為のトレースデータだよ。クレアの動きを全てKOGに叩き込んである。イギリスでユフィに教えていたCQCから武術までね」
「あの機体は私自身だと言いたいの?」
「その通り!」
夜通しでKOGの操縦訓練を行う事になったクレア。翌日ブリタニアの海運輸送の要である港には巨大な輸送船がベースに到着。勿論中身にはイギリスからのLNG等の他にブルーとパイロットの土産付きである。
〈こちら輸送船エメラルド。艦橋より少佐に報告。”納品は自分の足で”だそうです〉
「了解した。座標を」
ブルー二号機の画面にスカアハの航行位置と予測位置が表示される。ニムバスはブルー三号機に操縦システムを連結させ発艦準備を開始。同時に偽装LNGタンクドームが開きブルーがブリタニアの日を浴びる。風に吹かれて機体固定ワイヤーが唸りを上げていた。
〈第二ドーム開放完了!ブルー二号機、三号機とのシステム連結を確認。ワイヤー発破!〉
ワイヤーの付け根から小爆発が起きて機体固定を解除。追加ブースターが三号機と二号機を上げる。
〈少佐!幸運を!〉
「イギリスの騎士を舐めてもらっては困るな」
空に上がるブルー。スカアハの航行位置を特定して猛スピードで青空を駆けて行った。その頃スカアハはブルー回収と作戦実行の為に中華連邦に向かっていた。
「付近に機影無し。レーダー反応なし。速度170を保ちつつ中華連邦へ残り30kmです、、んー、、」
ユフィが全ての安全確認を終え伸びをする。クレアはあれからE.Eの猛特訓について行きあと少しの所に来ていた。オーキスはエクストリームの整備に行きナヴィスは世界各国の情報収集。ユウ、ルーファス、ブレーン、ナオト、キシ、ナナリーはユフィと共にレーダーをずっと見ている。一時間ほど経った頃ブレーンのレーダー早期警戒警報が鳴った。
「四時の方向に熱源二機!」
〈全員第二種戦闘配備!機体発進用意!〉
オーキスが艦全体に戦闘配備を発令。キシとユウが武器を制御。ミサイル発射管を全て開放して主砲を開いた。二機の熱源をロックオンするとユウが毛嫌いするあの声が聞こえて来た。
〈こちらブルー二号機、ニムバス・シュターゼン。スカアハ着艦許可を願う〉
「ニムバス、、シュターゼン、、!」
続く!
オマケ
機体名 ナイト・オブ・ゴールド=ジャッジメント・ミラージュ
機体名が長いのでE.Eが命名したのはナイト・オブ・ミラージュ。クレアの生体データから動きまですべてトレースデータにより運用される機体。アカツキより金色がある。外見はナイト・オブ・ゴールドだが中身にはアマテラスの機体を破壊した唯一の機体ジャッジメント・ミラージュを使用しており高出力ビームサーベルを装備。ファティマの代わりにAIを使用する。また、ハドロン砲を超える威力を所持したバスター砲を二丁肩に装備しておりMSやKMFを超えた装甲をつけている。