コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will   作:ラムネ便

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お待たせしました!


これは危険な光だ!

ースカアハー

 

エクストリームがキャスターに収納された後オーキスは司令席に戻り再び基地に送られてくる依頼の内容を確認、指示を始めた。キシはE.E、タキセと共に搭乗口の橋から白いある機体をみていた。

 

「ブリタニアからの第二の依頼は、、ナイトオブラウンズの新機体の試作ねぇ。でもコイツ使うのは無理じゃないか?」

 

キシは機体を見上げて何も話さないE.Eに冗談交じりでそう言った。タキセはただただ二人の話しを聞いている。

 

「あながち間違いではないよ。バンシィ程の強力な武器、スペックを保有する機体に乗るパイロットは精神力が強くなければならない。黒金は適合者だった訳だよ」

 

「だがスザクにもアーニャにもジノにも精神力の高さはあまり無い。あのビスマルクですら皇帝がいなければ脆い」

 

「でも心を持つ人がコレを使えないなんて何時、誰が言った?」

 

E.Eは電子シガレットを点けて深呼吸する。キシは暫く黙ったあとイギリスの本拠地に来てからユフィが自分に対して欲しい物があるというクイズを出されて困惑した時の事を思い出した。あまりにも謎めいていたが機体を見た瞬間浮き上がってきたのだ。

 

「私のたった一つの望み、、それは可能性の獣。希望の象徴、、」

 

「キシ?」

 

「箱を守るのは白き天馬と黒き獅子。なら箱は何なんだ?あのタペスリーに描かれたのと同じ意味なら箱は国。貴婦人はユフィ。じゃああの従者は誰だと言うんだ、、?」

 

キシはブツブツと言い話しかけにも反応しなくなった。E.Eはキシにコーヒーを側に置いておきタキセとユニコーンのコックピットに乗り出す。

 

「E.Eさん。本当に良いんですね?」

 

「うん。ユニコーンにAIを積み込んで置いて。コレが機体のスペックを解析、パイロットを選出すると思うから整備員はバッジを付けて整備しないといけなくなるけど、、まあ無いよりはいいからさ」

 

タキセはユニコーンの回線とAIの回線を接続して初期設定を始めた。全天モニターにあらゆる数列が並びはじめタキセは高速でプログラミングしていく。E.Eが橋に降りるとそこにはユフィがいた。キシと何かを話している。

 

「ユフィ、、あの時の謎が分かったよ」

 

「流石はキシさんです。では答えをどうぞ?」

 

「私のたった一つの望み。これはフランスにある六面連作タペスリーの六面目の絵”私の唯一の望み”に掛けたもの。次に白き天馬と黒き獅子。これは日本とブリタニアを示す。中央にいる貴婦人がユフィで箱は軍。中身は領土。従者はナナリーを示す、、どうだ?」

 

ユフィは微笑んで答えた。

 

「惜しかったですね。あの絵を見た時、私はあの女性は従者ではないと思いました。五感を継ぐもの。娘あるいは後継人です。つまり、、」

 

「箱は”持たされている”のではなく”継承している”ということか、、」

 

 

キシがそう言いユフィに近づこうとしたその時、あるものがキシとユフィの間に壁を作り出した。鉄のような手で腕には四角いビームサーベルが装備されていた。ユニコーンだ。

 

「おいおい、、タキセ。止めてくれよ。ユフィに気があるのか?言っておくが彼女と付き合うには面倒だぞ?」

 

タキセはコックピットでモニターを見たまま動かない。口を半開きにして死んだように動いていなかったが息はしていた。タキセが見ているモニターには英語である文字が表示されている。

 

”Yes, Your Majesty”

 

「い、いきなりパイロットを選んだのか⁈」

 

そのタキセの一言にキシはユニコーンのコックピットに歩いていく。

 

「ユニコーン。俺を選んだのか?」

 

次の瞬間キシの頭上に手が落ちてくる。それをスタンドで支えつつキシはユニコーンを見つめる。機体のツインアイはマスクで見えないが明らかにキシではなく別の方向を見ていた。

 

「そうか、、お前は、、」

 

手をキシから放してユフィに掌を出した。

 

「お前はユフィを選ぶのか」

 

ユフィが掌に乗るとユニコーンがタキセのいるコックピットまで移動させてユフィを乗せようとした。タキセはすぐにAIを解除するが制御を受け付けない。今ユニコーンはユフィの言うことしか聞かないのだ。しかたなくコックピットから降りてユフィを中に入れ起動する。幻月X、エクストリーム、アカツキ、バンシィからは光が出ていた。

 

「ユフィが乗っただけでサイコフレームが共振を始めた、、それも暖かい光だ、、」

 

サイコフレームが露出していない状態でも共振が可能な五機の中でも恐らくオーキスのエクストリームとユニコーンは同等の力を保持しているだろう。

 

「ん?サイコフレーム、、そうか!オーキスはそれを恐れてエクストリームの全身にサイコフレームを使用しているのか!」

 

キシが気づいたのはファンネルだ。ユニコーンやバンシィは覚醒、、つまりNT-Dが発動するとファンネルなどのサイコミュ兵器を我が物にすり替える事が出来る。あのサイコジャックを恐れオーキスは全身にサイコフレーム素体の機体を使ったのだ。だが気になる事があった。その素体はなんなのか?あらゆる可能性の中でも一番あり得るのはただ一つ。

 

「ユニコーンガンダム三号機フェネクス、、いくらオーキスでもバンシィやユニコーンと全く同じ素体を使うのは嫌だとか言ってたしなぁ。ま、ネタ提供したのは俺だからあいつがベースにしててもおかしくないか!忘れきって驚いたのが馬鹿みてぇ、、」

 

そんな事を言って笑いながら橋から去るキシ。エクストリームの関節部分や羽の一部は緑ではなく青く発光していた。そのコックピットにはデンファレが乗っていた。しかし誰も気付いていない。

 

「やっぱり、、僕達はただの人間じゃない。オンシジュームも僕も兄さんもカルテに病児扱いされてる跡がある。兄さんが教えてくれないからこんな事をしてる訳だけど、、」

 

カルテの病名欄は白紙。備考欄に記載されていたそれは”高速適応進化”ということものだった。これは病気か何なのか未だに不明でわからない事が多い。しかし分かった事もある。昔自分達が病気を起こしても直ぐに治癒したのは治癒ではない。”身体がウイルス又は細菌などを取り込み進化した”のだ。

 

「この進化は自分の体外環境に体内環境を合わせるから自滅進化というのは起こらない。兄さんのレポートは信憑性が高い物ばかり、、誰かから貰ったのかな?それとオンシジューム。弟じゃないのになぁ。いつまで男って言い続けるつもりなんだろう」

 

操縦室ではオーキスが依頼の有無を確認してこなしていく。他のメンバーは全員休憩に入り何人かは個室で寝ていたりしているが大体遊んでいる事が多く寝るのは二人くらいだ。ブリタニアからの依頼を見ていると一件だけキシに任せていたものがある。

 

「キシ!ブリタニアの新機体の依頼はどうした?お前とE.Eに全て一任したはずだが」

 

「あー、、ユニコーンがユフィを選んじまったからな。適当な奴でいいだろ。設計図が送られて来れば楽なんだがなぁ」

 

「あるけどな」

 

「はい⁈」

 

しかしブリタニアから送られてきた設計図には無理難題を突きつけるものばかりでタキセですら非現実的過ぎると駄目出しするくらいコレを描いたエンジニアは酷すぎる。新人ですらこんなものは設計しないだろう。

 

「搭載型ハドロン砲二基に大型MVSを一基。ランドスピナーの最高時速を250以上。しかも遠隔操作武器を三基。フロートユニットを装備してマニューバ性能を上げる、、か」

 

「懐かしきフェデルマを思い出す」

 

ナヴィスはふっと笑いながら紅茶を飲む。紅茶は色と香りからして恐らくダージリンだろう。かっこよく飲んではいるが猫舌なのでかなり緩いはずだ。

 

「そーいやフェデルマはどうしたんだ?スカアハじゃ見ないんだが」

 

キシはナヴィスの紅茶をぶんどって全て飲み干してしまう。少しイラツキを表しながらも話を続ける。

 

「基地に置いてきた。主力機体を参式に変えたからな」

 

紅茶を再び淹れ直しに行くナヴィス。また熱々の紅茶に少し水を加えて冷まして司令席にまで戻って来た。オーキスが置いた設計図をよく見ると二枚目には研究費、建造費はこちら持ちと書いてあった。

 

「オーキス。費用はあちら持ちだと記載されているがどうする?」

 

「量産基じゃないなら、、料金ぼったくって資金集めでもするか。幸い二人もモノを作れるやつがいるしな」

 

オーキスは設計図をナヴィスから受け取りキャスターへと移動。途中デンファレをエクストリームから連れ戻してE.Eと共に新機体の開発を始めた。タキセはユニコーンとユフィの様子を見ながら姿勢制御プログラムを打ち込む。ルーファスとユウはレッドフレームのOSをカスタムして起動試験をしていた。その頃クレアはオーキスの為に夕食を作り始めていた。

 

「弟君の為にも頑張らなきゃね〜」

 

下ごしらえを終わらせた後ナナリーが手伝いに来て一緒に作業を進める。

 

「クレアさんは指輪貰ったんですか?」

 

「貰ったよ。サファイアの指輪よ」

 

ダイヤ以上の輝きを放つサファイア。ダイヤもいいがサファイアのように落ち着いた青も悪くないと言ってオーキスがクレアに渡したものだ。

 

「プロポーズはなんて?」

 

「”貴方を一生をかけて守り通します”って言われたのよ。あの時はね、、心臓が爆破しそうだった」

 

顔を赤くしながら作業を進めるクレア。指によくつけているサファイアの指輪をじっと見つめているナナリー。

 

「見てみる?」

 

「あ、はい!」

 

指輪のサファイアを見るナナリー。ガラスではなく本物だ。いくらしたかは分からないが綺麗で光をあてると六条の光が出てきた。価値が高いスターサファイアだった。

 

「スターサファイアですね。綺麗な光を反射してます。あの人はくれなかったのに、、」

 

ナナリーは指輪をクレアに返すと作業を黙々と進めていく。クレアも負けじと素早く作業を進めて行った。キシはその時謎の殺気を感じていた。

 

「⁈」

 

「どうした?風邪ひいたか?」

 

ナヴィスは一瞬震えたキシを労わりコーヒーを差し入れてくれた。コーヒーを一気飲みして深呼吸するとナヴィスに謎の質問をした。

 

「ナヴィス、、指輪って何がいい?」

 

「さあ?俺が女だったらルビーかエメラルドかな」

 

「そうか、、」

 

機体を完成させたオーキスはスカアハをブリタニア総督府エリア18に針路を変更。新機体は機体譲渡の為に専用の汎用キャスターに収納され固定された。

 

「機体はとっとと渡す。面倒事は嫌いだからな」

 

オーキスは全員にそう言って公海空域を離脱。一気にブリタニア空域へと進んだ。

 

ーブリタニア総督府 エリア18ー

 

「そうですか。了解致しました。え?到着は明日午前?早いですね。では各書類に明記してもらいたいので本国にて直接お願いします。はい。それでは」

 

「新機体の譲渡かね?」

 

シュナイゼルがスカアハと連絡をしていた従者に話しかける。

 

「はい。到着は明日午前だそうです」

 

シュナイゼルは笑みを浮かべる。そして設計図をシュレッダーに入れてその場を離れた。

 

翌日スカアハは総督府エリア18に到着。スカアハの全長は750メートルとその巨大さ故に発着地がないため空中での待機となった。イギリスならば発着基地があるがエリア18の発着地は小さい。キャスターをバンシィとエクストリームで搬送し基地への譲渡を開始した。

 

「こちらスカアハ総司令官オーキス・シンフォニー。総督府シュナイゼル・ヴィ・ブリタニアとの直接面会を要求する」

 

〈ふざけた事を仰らない方が身の為ですが?〉

 

グロスター系統のKMFがエクストリームとバンシィに槍と銃を向けた。しかしオーキスは感応ファンネル”アイオス”を展開して全てのKMFを緊急脱出させた。誰もアイオスの速さに追いつけないのだ。

 

〈いやはや見事だったよ。素晴らしい機体だな。これならシンフォニーを信用しても大丈夫そうだ〉

 

シュナイゼルはオープンチャンネルで総督府司令所から通信してきた。

 

「こちらも仕事だ。下手な事はしない」

 

オーキスは機体から降りて総督府司令所まで歩いていく。新機体の汎用キャスターは別のKMFにより整備場まで搬送された。黒金はバンシィから降りて総督府内の汎用キャスターを見ていた。そしと機体譲渡は滞りなく進んでいく。

 

「君は、、どことなく弟に似ているな」

 

「弟と言いますと?」

 

「ははは。私の愚弟だよ。今は何処で何をしているかは知らないがね」

 

「それは私に対しての皮肉と受け取ってよろしいのでしょうか?」

 

「私は君に愚弟と同じ扱いなどはしないよ。逆にこの上ない素晴らしい契約相手だと思っている」

 

書類に全てサインすると従者は書類を全て預かり別の場所へと保管した。そしてチェスを出した。

 

「これは?」

 

「見ての通りチェスだよ。君の力を見たくてね」

 

シュナイゼルは黒の駒がある方になっている。つまりシュナイゼル自身が後攻を選んだという事だ。淡々と進む戦局にオーキスはある事に気付いた。

 

負けに来ている、、⁈

 

自ら悪手をうつシュナイゼルに対してオーキスは不信感を覚えていた。しかしそれはすぐに払拭された。

 

「シュナイゼル殿下。貴方は、、何の為に」

 

その時整備場付近で爆発が起きた。窓を見ると暴れているのは金色にフレームが光るバンシィ。フレームが本来の緑色ではないところを見ると黒金が操縦している訳ではなさそうだ。銃がないだけマシだがこのまま放って置くわけにもいかない。

 

「シュナイゼル殿下。すみませんが一時中断です」

 

オーキスは外していた無線とジャケットを着てエクストリームへと戻る。黒金は別のグロスターでバンシィを食い止めていた。

 

「黒金!何が起きた⁈」

 

〈機体を奪取された!すまない!〉

 

「あやまるのは後だ!搭乗者は⁈」

 

〈服と髪色、あの雰囲気は、、コーネリア!〉

 

バンシィは黒金のグロスターを吹き飛ばしエクストリームに突っ込んできた。すかさず拳で殴り飛ばしたが直ぐに体制を立て直す。オーキスはバンシィを切断するつもりでビームサーベルを構える。

 

「仕方あるまい、、やるしか!」

 

〈レーダーに機影あり!あの識別番号は、、〉

 

グロスターのレーダーが捕捉したのは純白の機体。それは接近するにつれて変形して緑色の光が増してバンシィの前に立ちはだかった。

 

「私達の可能性を見せつけましょう。ユニコーン!」

 

ビームサーベルをバンシィに向けるユニコーン。

 

「ユフィの威厳は、、私が守る!」

 

「お姉さま⁈」

 

バンシィはユニコーンに突っ込みビームサーベルを降る。それを盾で腕ごと止めるユフィ。その場には巨大なサイコフィールドが発生した。

 

「やめて下さい!お姉さま!」

 

「光、、私と妹を救ってくれる光、、誰にも奪わせはしない!」

 

「違う、、違いますお姉さま!これは普通じゃない!これは光らせてはいけない憎しみの光です!」

 

バンシィの勢いに後退するユニコーン。上空ではある飛行機が空を舞っていた。

 

「ふふふっ。今から行くよ。お兄ちゃん」

 

戦闘機はバンシィとユニコーンの間を通り抜けエナジーフィラーの入ったタンクを別離。コックピットが変形して下半身と上半身のパーツがレーザーアンカーを出しながら合体を始めた。何故かスカアハから射出されたパーツもありそれをドッキング。機体が赤く染まり巨大な対艦刀を叩きつけるとコンクリートが割れた。

 

「識別番号20868!アーニャ、、じゃなかった。オンシジューム・シンフォニー!ソードシルエットインパルス!いきます!」

 

続く!

 

 

 


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