コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will 作:ラムネ便
ースカアハー
各局のテレビ放送を閲覧して動きを監視するオーキス。ルルーシュが動くとすれば今やっている中華連邦外での公開処刑だろう。しかしそれは明日。今から機体を用意したとしても間に合うはずがない。おまけに相手はギルフォード率いる精鋭だ。迂闊に動けばルルーシュが被害を被る事になる。
「ルルーシュなら切り捨てるか?それとも拾いにくるか、、捨てる神いれば拾う神あり、、」
ナヴィスも別のチャンネルを見ている。しかしどこも公開処刑の事しか報道していない。
「処刑人は騎士団の中でも幹部。どう動くと思う?」
オーキスの質問にナヴィスは紙コップに入っていたコーヒーを飲んでゆっくりと話した。
「ルルーシュは拾う。それに賭ける」
「ギャンブラーだな。だが、、それがありえるかどうかはわからない。もし助けない場合は」
「俺達が騎士団の代わりに奴らを貰う。それでいいのか?」
「死なれるよかいいさ」
オーキスは司令服を脱いで戦闘服になりタキセとE.E、デンファレを呼んでハッチへと向かった。ナヴィスはデータチップを見て呟いた。
「今は勝てたとしても、、次はどうなるか、、ジノ。俺はお前にまだ勝っちゃいない。必ず潰してみせる、、!」
ハッチについた四人はガラ空きのKMFキャスターの前に座りデンファレの機体の用意を始めた。
「えーと、ルーファスが見たあの機体は?」
E.Eがデンファレに見せたのはルーファスのアストレイと戦闘したあの金色の機体。どのKMFもそうだが速さが売りなので装甲は明らかに薄い。特にデンファレがロロであった時の機体は当たり前でる。
「あれはヴィンセント。最近開発された機体でサザーランドに次ぐ次期主力機体、、って埋め込まれたけどコスパ悪いから多分無理だよ。当分はサザーランドのまんま」
デンファレは苦笑いしながらヴィンセントを馬鹿にしてはいるが時を止めるギアスを持つデンファレに取っては扱いやすく戦略的にもいいのだろう。
「ただ向こうに置いて来てしまったしなぁ、、そうなると似たような機体をギアスで作成するしか、、」
「似たような機体ならあるよ」
E.Eが端末から出したのはヴィンセントに似ている機体。赤い部分がないだけで金色、形状はかなり酷似している。
「機体名は暁!ファンネルタイプのシラヌイより高速起動タイプのオオワシの方がオススメだよ!」
そう言ってデンファレの意見を聞かずに暁を生成していくE.E。簡単に仕上がってはいるが彼女の体力はもちろん相当量消費している。
「あーあ、、デンファレ。どうすんだ?E.Eは作りだしたら止まらないぞ」
「悪くなさそうだし、、装甲も硬そうだから使うよ。ciwsの弾くらいなら簡単に防御出来そうだ」
デンファレはやはり使っていたヴィンセントを手放したくはないようだ。しかし今のヴィンセントで戦えば恐らく不慮の事態に陥った時対処できない。
「ゲホッ、、出来たぁ〜」
汗だくになって寝転ぶE.E。持ってきていた水を二リットル一気に飲んでいく。
「お!アカツキじゃん」
ハッチに来たのはキシだった。アカツキを見た時の言い方から考えるとどうやらキシはこの機体を見たことがあるようだ。
「キシ。こいつを見たことがあるのか?」
「そりゃあなぁ。戦艦のビーム系主砲をヤタノカガミで完全防御の挙句に跳ね返すやつだし。シラヌイなんか使われたらドラグーンでやられちまうな。ま、幻月Xに比べれば大したことないけどな!」
キシは盛大に笑っているがさらりと重要な事をいった。このアカツキという機体はヤタノカガミなるもので戦艦級のビーム系主砲を跳ね返す、、つまりハドロン砲など跳ね返すのだ。E.Eはとんでもないものを生成してくれたものだ。
「そ、そうか。他には何があるんだ?このアカツキは」
「そうだな、、ビームライフルも特徴だがやっぱり素晴らしいのは背中にある二つのビーム砲だな!」
ヴィンセントで言うところの二本装備されたMVSである。しかしそこはあくまでもMVSをマウントする場所でありビーム砲などはない。
「名前は73F式改高エネルギービーム砲だ。多分威力は高い。うん。多分」
「信用ない説明だな」
「そうは言っても戦った事ないし、、」
キシは困った顔でアカツキを見る。知ってはいても戦闘はしたことが無い。ならば試すしかない。
「クレア!幻月Xを出せ。模擬戦を行うのでなるべく早くな」
〈りょーかい!〉
クレーンで幻月Xが搭乗キャスターまで移動されてキシの前に出された。整備はイギリスで完璧にしてあるので問題など一切ない。
「え?マジで?」
「頑張ってねぇー。オーブ軍vs連合軍」
幻月Xに搭乗してOSを起動するキシ。全ての装備を核融合炉に接続確認するとカタパルトにのった。
「キシ!行きまーす」
カタパルトから盛大にでるキシ。幻月Xの羽を広げてスラスターの推進力を高めていく。アカツキに乗ったデンファレも起動してカタパルトから発進した。
〈この機体はヴィンセントと操縦方法が同じなんだね。なら大丈夫だよ〉
アカツキはオオワシを広げて幻月Xの前に出た。ビームサーベルを薙刀にして幻月Xに向かっていく。
「この位なら!」
対艦刀でつばぜり合いになるアカツキと幻月X。しかしギアスを使わなくともこの戦いは圧倒的にキシが不利なのだ。
「ビームライフルが使えないんじゃあね、、よく考えつくねぇE.Eちゃんは!」
ビームライフルを連射して幻月Xの軌道を絞っていくアカツキ。しかし幻月Xはまだビーム以外の兵器を持っていた。
「ビームライフルはダメでもヴァリスなら無理だろ!」
スナイパーヴァリスでアカツキを狙う。もちろんコックピットは狙わず足などを狙って撃つ。しかし当たらない。
「待て待て、、デンファレ君がギアスを使っていないとしたら、、スナイパーヴァリスの弾を避けてる事になるんだぞ⁈」
単純にスナイパーライフルは単発拳銃の約三倍以上の速度を保持している。理由は至極単純。銃身が明らかに長くその中ではライフリングにより高速回転を起こしているからである。銃身長による威力と飛距離の差は大きい。ランスロットのヴァリスに比べ更に高威力、高速の弾丸を放つスナイパーヴァリス。これを避けるなどキシは想定出来なかった。
「だが、、負けてはいられないんでな!」
幻月Xの背中から謎の緑色の光が出てくる。これはGNドライヴではない。その光はゆらめいており暖かさを感じるものだ。
「サイコフレームが共振を始めた⁈さてはE.Eちゃん、、アカツキを生成する際にサイコフレームを埋め込んだな?」
数十分戦闘した末、引き分けとなりスカアハへと戻って来た二機は羽を収納して搭乗キャスターに戻って来た。
「どうだった?デンファレ」
「とても良かったよ。ヴィンセントより反応が良くて僕には合ってる」
「スナイパーヴァリスを避けられるなんて、、ニュータイプなのか⁈デンファレ君」
この後機体を全て整備して再び本来の任務に戻る。翌日の戦闘に備えて夜は自動運転に切り替え全員個室へ向かい就寝する。キシの部屋は相変わらず煩いが詮索しないほうがいいと判断したオーキス。布団にもぐり眠りについた。
ー翌日ー
朝から甲板で景色を眺めるオーキスはある事を考えていた。そう。デンファレの弟。オーキスの二つ下の弟であるオンシジュームだ。カルテをルルーシュのギアスで手に入れたのはいいが退院記録の後の行動が不明。デンファレはブリタニアの機密事項から抹消はされていたがロロとして生きていたのを発見したのは幸運だった。これも全てシンフォニーの諜報員のおかげだ。
「だが、、シンフォニーの諜報員を持ってしても見つからないオンシジュームは何処にいるんだ?データは復元すればなんとかそこから辿れると考えたが、、オンシジュームはカルテにあってもブリタニアの個人情報からは消えていた。デンファレと違い破片すらなかった、、」
ドックタグを握りしめて操縦室へと戻るオーキス。デンファレは既に起きていて早くも報道番組を見ている。食べていたのは機内食だった。
「兄さん。おはよう」
「ああ、、おはよう。ルルーシュは?」
「動いてない。本当に見捨てるつもりなのかな、、?」
司令席に座り機内食を食べるオーキスは公開処刑されるビルのデータをハッキングして入手。構造図を全て確認していく。
「デンファレ。心配する事はない。これを見てみろ」
デンファレにビルの構造図データをモニターに表示した。
「兄さん!これって、、」
「ああ、、ルルーシュはこいつを使うだろうな」
数時間後、報道番組では処刑までのカウントダウンをしていた。なんとも酷い事をするものだ。デンファレは学生服からシンフォニーの戦闘服に着替えてアカツキに搭乗。護衛として黒金のバンシィと共に処刑場付近まで降下していく。
ー公開処刑場ー
ゼロは一人ギルフォード卿率いる部隊の中に入っていく。相手は高性能指揮官用KMF。しかしゼロは日本製の無頼。しかも応急修理したばかりのだ。
「義兄さんの無頼!でもどうやって、、C.C確保なんてそんな事から解放されたから今は気にしないけど無頼は流石に、、、」
〈デンファレ。アカツキのライフルをギルフォードに向けておけ。ゼロが消えた場合シンフォニーがあの囚人を頂く〉
「了解です。えっと、、」
〈黒金翔。日本人だ〉
処刑場でタイマンの言葉を交わし自らの正義を貫く騎士と皇子。しかしそのような事は無駄でしかなかった。
「ギルフォード卿。一つ質問がある。正義で倒せない悪がいる時、君ならどうする?悪に手を染めてでも悪を倒すか?それとも己が正義を貫き悪に屈するをよしとするか?」
この通信を傍受していたデンファレは一つの結論しか出ない事に気づく。
「どうなろうと、、悪は消えない、、」
ギルフォード卿はKMFを加速させて巨大な槍をゼロに向ける。
「我が正義は姫様の為に!」
「なるほど。私ならば!悪を成しても恐怖を討つ!」
後少しのところでギルフォードの槍は届かずビルの一部が傾いていく。それはビルに設計されたあるシステムを利用した方法だった。
「あれって、、ブラックリベリオンの時の!」
デンファレはアカツキと中華連邦の領土に突撃する。バンシィもそれにつづいた。ビルが傾きブリタニアの精鋭一人が押しつぶされゼロはギルフォードが落ちないよう刺したハーケンを頼りに暴徒鎮圧用盾をボード代わりにして中華連邦領土に飛び込んだ。
「黒の騎士団よ!敵は我が領土に入った!敵を殲滅し同胞を救い出せ!」
数々のKMFが入り乱れる中華連邦。カレン率いる部隊は救出が最優先だ。しかしその間にもブリタニアは体制を整えていく。
「仕方ない、、デンファレ。援護するぞ」
「はい!」
バンシィとアカツキが体制を立て直したサザーランドを撃墜していく。上手く煙幕に隠れてバンシィはデストロイモードへと移行する。アカツキはギルフォード卿の精鋭部隊と戦っていた。
「キンメル卿⁈何をしている!」
「残念だけどこれヴィンセントじゃないんだよねっ!」
ロケット弾を盾で全て防いだアカツキはビームサーベルを出して突っ込んでいく。壁に叩きつけられた精鋭部隊員は槍でアカツキを頭上から刺そうとする。
「この!」
「ゼロ距離でのビーム砲をとくと味わってよ!」
オオワシのビーム砲をKMFにゼロ距離で放つ。コックピットが貫かれKMFは爆発した。
「ゼロ!逃がさんぞ!」
ギルフォードが放った槍がルルーシュの無頼に向かって飛んでいく。しかし槍は途中で融解してしまった。
「なんだと⁈」
上空ではスカアハにぶら下がりながらナオトがサバーニャに装備された大口径ビームスナイパーを使い援護していた。
「狙い撃つのは得意なんでね」
アカツキはバンシィと共にバレない低空を飛行してブリタニアの追跡をかわし上空へと上がっていく。二機とも光学迷彩を発動。スカアハへと帰還していった。サバーニャも二機を確認すると下降ハッチに戻された。
「はあー、、終わった終わった!」
「オワッタ!オワッタ!」
「今日もありがとうな!ハロ」
三人が操縦室に戻り戦果を報告。その後シャワーを浴びに行った。オーキスはモニターで報道番組を見ていたが彼らの姿は全く見えなかった。
「見えなかったからいいものの、、流石にサバーニャはばれたか?だが7600m上空からの狙撃だ。バレはしない」
オーキスはブリタニアのレーダーのログなどを解析するが問題はなさそうだ。だが、、外に出たいという問題が残っていた。
「そろそろ艦内も飽きてくるからさー!都市部に行きたい!お願い!旦那様!」
「んー、、今は危ないしやめといた方がいいんじゃないかな?クレアが怪我したら俺嫌だし」
「えー⁈」
クレアが文句を言ってくるが仕方がない。地上に降りるには色々準備が必要だ。今は考えなければならない事で沢山だが万一クレアが怪我をしたら正直正気でいられる自信がない。
「じゃあいい!デンファレ!」
シャワーから出てきたデンファレを捕まえたクレア。
「私達結婚してるんだけどね?何かオーキスの弱みはないかなー?」
「義姉さんに話せる弱みといえば、、アレがありますね。今も覚えているんですけど兄さんが昔中学生の時の必殺技名を勉強そっちのけで考えてる時期ありました。多分厨二病の一種かと」
クレアがオーキスを見ると一見涼しい顔をしているように見えるが冷や汗かきまくりの顔が青ざめていた。クレアは隙を見てオーキスをじっと見た。
「いいですよね?」
「あ、はい」
あっさり承諾してしまったオーキス。兄弟とは怖いものである。
「ありがと。旦那様」
オーキスにキスをして走って個室に向かうクレア。オーキスは再びナヴィスに指揮を任せる事にした。
続く!