コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will 作:ラムネ便
ー翌日 演奏会場ー
アイドルが来るというだけでやはり大量の隊員がいた。実際ドタキャンしたグループは相当の人気を誇っていたらしく代わりとはいえ自分達に出来るのか。しかし今更そんな心配は野暮だ。行くしかない。
「全員準備はいいな?行くか」
ステージに立つ五人。スポットライトが当てられ曲が始まった。
ー地下第二訓練施設ー
ここではKMFではなく身体に直接つける機械。つまりパワードスーツの研究が行われている。戦闘部門が研究、および実験をしている。そこにはナヴィスもいた。
「白兵戦に向けた対KMF兵器か」
「はい。万一KMFが破壊されてもパイロットを脱出、および白兵戦を行えるようになり生存率もかなり上がりました」
パワードスーツを装備しながら模擬戦闘する隊員達。しかし隣の壁が壊れ警報が響く。
「あの馬鹿どもが!」
”模擬戦闘は中止せよ!繰り返す!模擬戦闘を中止せよ!”
警報を聞き模擬戦闘をやめる隊員達。しかしオペレーターが中止を呼びかけるも戦闘を続ける二人の影。それは他とは違ったスーツを装備した戦闘隊員だ。
ー訓練施設 戦闘場ー
「傲慢さを償え!ニムバス!」
「償うだと?貴様と私、、どちらがEXAMに相応しいか決めようではないか!」
模擬戦闘とは言え試験段階のビームライフルやロケットランチャーを放つ。双方ともホバーとは思えない機動性を見せつける。
「喰らうがいい!」
「当てられてたまるかよ!」
全身青のスーツを装備した隊員は空中からの攻撃も全て回避して反撃する。空中にいてもアンカーで高速で移動する肩が赤いスーツを着た隊員も反撃弾を回避した。
「このままではまずいな。コレ借りるぞ」
「はい⁈ま、待ってください!」
ナヴィスは近くにあったパワードスーツを装備して起動する。フェイスマスクもしっかりと装備。カタパルトで降りると激しい戦闘の後がよく見える。
”ナヴィス司令!それは本当に戦闘訓練さえ積んでいないスーツなんですよ⁈”
「丁度いいじゃないか。戦闘データを集めろ」
”止めてください!それは”
ナヴィスはスーツのスラスター推力をあげて二人に突っ込んでいく。変形して流れ弾を避けた。
「変形出来るのか」
”体制が横になってしまいますが変形出来ます”
人型に戻り装甲の一部がパージされ有線ファンネルになりスラスターを全開にして二人のスーツについているホバーを破壊。ライフルを構えてロックオンした。しかし弾が出ない。
「弾が無いのか⁈」
”ハイパービームランチャーはまだ開発途中なんですよ!”
「ちっ、、有線兵器以外飛び道具がないのか」
隙を見た二人の攻撃は明らかにナヴィスに当たる距離にあった。ナヴィスも当たる覚悟だった。
ALICE START
ナヴィスのフェイスカメラに映ったのはALICEと表示された文字。避けられないはずのロケット弾を回避、そして脚部にあるパワードスーツの動力源を破壊した。
「何が起きた、、?」
ナヴィスは有線ファンネルを戻しフェイスマスクを外す。身体に装着された装甲を外してオペレーターの座る場所へと向かった。
「あの時の加速はなんだ?」
「ALICEです。パワードスーツでの戦闘において有効なAIをex−sは積んでいます」
「ex−s?」
「AIを搭載した新しい形のパワードスーツの一番型です。本パワードスーツの正式名称はExtraordinary-Superior」
「 Extraordinary-Superior 、、異常なスペリオル」
オペレーターは負傷している隊員のパワードスーツのデータとex−sのデータを端末に出す。
「元々はスペリオルと呼ばれた量産パワードスーツの欠陥を補う為に改良されました。しかし高コスト、そして追加された姿勢制御バーニアに耐えらない隊員が続出。今までは開発が凍結されていたものです。ですが司令が使うというのであれば話は別です」
「開発を指示する。一週間で開発、改良しろ」
その時オペレーター達の目に浮かんだのは絶望なんかではなかった。むしろ好機とばかりに輝いている。
「了解です!ナヴィス司令の為に全力で開発します!」
勢いよく敬礼するオペレーター。しかし使えるものならスカアハに積み込んでおきたいものだ。
「使えるパワードスーツはスカアハに積み込んでくれ。あとオーキスのはあるのか?」
「あります!オーキス司令には素晴らしいスーツが!」
ex−sのカプセルの横には見えなくなっていたカプセルが一つ。そのカプセルが開きコードが外される。
「F91。ex−sと同等の機動性を確保したバランス型です。但し武装の多さ故にパワードスーツ単体としてしか扱えません。これも積み込みますか?」
「頼んだ」
追加兵装やスラスターの点検を行なっていくオペレーター達。聞いた話によるとチェック項目は約900あるらしく時間がかかりそうだ。そんな時ブレーンと黒金が来た。
「お前ら、、居酒屋で見てから半日以上経っている筈だが。よくピンピンしているな」
二人とも目にクマなどなく元気があった。パワードスーツに目がいかない訳もなく話しが変わる。
「面白そうなもん作ってんな。ここ」
「うむ。商業地区とはまた違う感じだな」
近くにあるスーツを見て動かないブレーン。そのスーツには初代と英語で刻まれた盾を肩に装備している。
「紅いスーツ、、ジョニーのか」
「ジョニーを知っているんですか?」
オペレーターの一人が目を丸くして黒金に聞いてきた。
「ああ。ゲーセンで意気投合して知り合った爺さんだ。現役時代は”真紅の稲妻”とか呼ばれていた時があったらしいな」
「真紅の稲妻、、ジョニー・ライデン。それが彼の名前です」
ー演奏会場ー
「大嫌い!嫌い嫌いな僕が見えてますか?」
「「「ルンパッパァァァ!」」」
盛り上がる会場。テンションが下がらない隊員達。クーラーをガンガンにつけていてもまるで効果なんてない。逆に温度が上昇していく。ケミカルライトの光が会場に広がり人々の熱気を更に帯びていく。
「爪噛む悪いクセ、今更止めても」
「意味ないじゃん!」
ー地下第一訓練施設ー
イヤリングの力を駆使できるようになってきたユフィ。徐々にE.Eの訓練も激しさを増していく。
「剣技は元々貴族だから上手いのは当たり前、、か。だけど!」
ユフィの剣をギリギリで避けてカウンターを仕掛けるが隙がない。それほど彼女の剣は洗練され無駄がないのだ。
「流派!東方不敗は!」
E.Eが急に立ち止まり叫び始めた。
「王者の風よ!全新!系裂!天破侠乱!見よ!東方は、、」
E.Eにオーラが立ち込める。グローブをつけた右手にはキングオブハートのエンブレムが出てきた。
「赤く燃えている!」
ユフィの剣技をものともしない速さのラッシュ。剣一つ一つの動きを超えた動きは剣を破壊した。
「まだ、、まだです!」
霧からトンファーを生み出したユフィは更にトンファーを伸ばしてE.Eを誘い込んで行く。
「シュトゥルム・エント・ドランク!」
「なあっ⁈」
E.Eのラッシュが外れユフィの技が炸裂した。
「こ、、ここまでとは」
E.Eはその場に倒れこみ起きなくなった。K.Oである。
「あわわわわ!すいません!大丈夫ですか⁈」
この後E.Eは医務室にて応急処置を受け商業施設がある地区へと連絡モノレールを使いお茶を飲みにいった。
ー数時間後ー
ライブも終わりオーキス達は元の姿に戻ることが出来た。いつの間にかスカアハに色々積み込まれていたがナヴィスの判断らしいのでオーキスは気にしなかった。E.Eによるとユフィは事件に巻き込まれても大丈夫になったと言う。それから数ヶ月間各々修行や書類を整理してとうとうブリタニアへと向かう日となった。
ー地下艦隊整備場ー
「木葉、、本当に残るのか?」
「ああ。ここでの生活もいいし。済まないが戦いからは離脱させて貰う」
「お前の判断だ。間違いはないさ」
ナオトは木葉と固く握手して別れた。そして木葉の代わりとしてナヴィスが選んだ隊員がスカアハの近くで敬礼していた。
「本日付でスカアハ遊撃部隊に配属となりました。ユウ・カジマ着任しました」
「本日付でスカアハ遊撃部隊に配属となりました。ルーファス・ゴードンです」
「ようこそ。スカアハ遊撃部隊へ。これから向かう場所は全てが混在した戦場。決して呑み込まれるな」
ナヴィスが二人に激励する。全ての準備を終えスカアハに乗り込むオーキス。途中整備員に呼び止められた。
「司令!御報告があります」
「どうした」
「スカアハの一部の実弾兵装が古かったので最新式に換装しておきました。それと、、スカアハの主砲にちょっとした改造をしました。使って下さい」
詳細データをオーキスの端末に送り込み敬礼をする整備員。確かにスカアハの周りにある装甲の一部が変更されてよりスリムになっていた。収納式主砲の近くにも対空兵器が増設されて近接系の薄かった対空力が増した。
「それとスカアハの二番艦を現在建設しています。スカアハが基地に来たので今まで分からなかった所を全て解析。完成率は70%辺りです」
「了解した。では、行ってくる」
「お気をつけて!」
全員がスカアハに搭乗。開閉ハッチが完全密閉されスカアハの下部にあるエレベーターで基地地表まで上昇する。
「動力源全開放。GNドライヴ正常稼動」
「主翼を地上から空上に変更。対空兵器起動確認」
「安全装置解除を完全解除。スカアハ離陸準備完了」
司令席が二つに増えた操縦席でナヴィスとオーキスがレーダーを確認。そして威厳のある声でオーキスは命令を発した。
「スカアハ離陸開始!針路158!速力133!目標はブリタニア!」
スカアハは基地から離陸。青い空へと向かう。速度が更に上がりスカアハの姿は見えなくなった。向かうのは混沌とした戦場。そして世界の命運が決まる場所だ。それをまだ彼らは分かっていなかった。
R2に続く!