「それで何の用でしょうか?」
職員室に着くと、自席に座る白衣の教師が例のごとく俺を待ち構えていた。
「この私にそんなふてぶてしい態度をとるのは君ぐらいなもんだ。全く、退屈させてくれんな」
この私に・・・って、何この人痛い。気分は大魔王気分ですか? まあラスボス的な存在ではあるか、俺的に。
「まあLHRで寝ていたことは不問にしておいてやろう。どうせ君みたいにクラスになじめない奴は余りの班に入れてもらうしかなさそうだからな」
「ご理解感謝します」
なにこの人超いい先生じゃん。痛い人とか言って申し訳ございませんでした。言い方に棘があるのはこの際致し方ない。雪ノ下に比べればかわいいものだしな。
「だがまあ五限の国語の授業で寝るのはいかんな~」
「なっ!? 家庭科のはずじゃ!?」
「ふっ、残念だったな。トリックだよ」
時間割変更・・・だと・・・!?
ペラリと見せられた紙には家庭科と現文の入れ替えを記載されている。聞いてねえんだけど。
「昼休みに話したからな。確か君はそのとき寝ていたな」
普通前日までに伝えるだろうが。
「緊急の出張が決まってな。仕方なく私が引き受けたのだよ」
・・・表情に不満が出てたか? 心読まれたかと一瞬思っちゃったよ。・・・本当に心読まれたわけじゃないよね? この人相手だと本当に不安になっちゃうから怖い。
「まあそう身構えるな。少しばかしの奉仕活動をしてもらうだけだ。私は授業を無視されて酷く傷ついたんだ」
傷ついてるように見えないんだけど。逆に喜んでるようにしか見えないまである。
「着いて来たまえ」
ツカツカと歩いていく平塚先生に俺はため息を吐きながら着いていくしかないのだった。
~~
「どうだ、奉仕部は」
「どうって・・・まだわかんないですよ。依頼もこの間の由比ヶ浜で一つ目ですし、第一僕が入って十日足らずですし」
「まあそうだろうな」
はははと笑い、平塚先生は紙類の入ったダンボールを持ち上げる。俺もそれに倣い、ダンボールを持ち上げる。
「君は相変わらず目つきは厳しく、人との関わり合いを絶っている。でもな、比企谷。高校では否が応でも人付き合いはしなければいかんぞ。いや、社会に出てからもそうだ」
「・・・必要にかられれば最低限の会話くらいはしますよ」
「君は相変わらずだな・・・」
若干呆れ顔の平塚先生は、資材置き場のドアを足で雑に開ける。仮にも女性の方がそんなことやっていいんすかね?
「まあいい。高校生活は長い。ゆっくりと答えを出せ」
もう解ならとっくに出ている。他人と関わる必要があるなら、その必要が無いほどの能力を身に着ければいい。簡単な話だ。
誰かはみんなで仲良くやりましょうなんて言うが、その実別の誰かが煮え湯を飲まされるのは目に見えている。平等なんてのたまうものは、臭いものには蓋をし、見えていない振りをしなければそんなことは言えない。
この世は嘘に満ちている。欺瞞が、虚偽が溢れている。いや、それしかないのではないか。そう思ったとき、俺の中で何かが音を立てて崩れ去った。
上辺だけの関係、慣れ合い、そんなものにどれだけの価値があるのだろうか。昨日の敵は今日の友なんて言葉もあるが、昨日の友は今日の敵になり得ることの方が日常茶飯的に起きているのではないだろうか。
結局俺は他人を信じられない。どうせ利用され、裏切られ、捨てられるという未来を拭い去ることができない。ならば初めから・・・
「どうもご苦労。それでは今日も部活、頑張ってこい」
「・・・うす」
今日読む本の内容はどんなのだったっけ。・・・まず部活頑張ってと言われて本の内容を思い出そうとすることがまずおかしいな。まあいい、奉仕部なんてそんなもんだろ。
一月ほど何も書いていなかったら書き溜めがとうとうつきてしまった・・・。
バイト、テスト週間、ポケモン、・・・。
ないと思いますが、もし投稿が滞ったら、夏休みで借金返済します。