今まで修正してくれた方、ありがとうございました。そしてこれからもお願いします()
暑い暑い暑い!
本当に干からびる。比喩じゃなくてマジで。雪ノ下の言うことはいつだって正しかったじゃないか。だから俺は太陽に焼かれて死ぬ運命なのだろう。犯人は・・・ヤ、ス・・・かゆ うま。
冗談はさておき、俺の出番はまだ先だ。俺は日陰者らしく、太陽を避けながらぼーっとしているとしよう。クーラーのついている教室を開放してくれるのが最善だが、それは望めないだろう。だからお天道様、この際日を遮ってくれるだけでも・・・。
「ししょおおおおおおお!」
オーイェイェイェイェふざけんなこんなのありかよ。ただでさえ暑いってのに、お天道様ときたらこんな暑苦しい野郎よこしやがった。ピザのトッピングにカナディアンベーコン頼んだらジャーマンソーセージ乗っけてきたようなもんさ。詐欺だよ詐欺!
「もう嫌だ! 我はこんな祭事は早急に廃止すべきだと思いまする!」
「落ち着け。そして俺に近づくな」
こんな呼び方をするのは材木座しかいない。相変わらずテニスでは一緒だが、こんなところでも一緒に行動するのは御免被りたい。
「お前のクラスのやつらはあそこに居るぞ。ほら、仲良くなるチャンスだ。あいつらもこっちを見ている」
「ま、真か!?」
実際は俺と材木座の絡みが物珍しくて眺めているだけだろうが。一対一だと間違いなく俺を見ることはないが、集団だと怖いもんなしだからな、人間って。
「では行ってくる。朗報を待たれよ」
「ああ、健闘を祈る」
さて、泣きつかれないうちにこの場を離れるとしよう。人気の無い場所はどこだろうか。
渡り歩くこと数分、やっとこさ誰もおらず、日陰のできている場所についた。自転車置き場だ。リア充どもはクラスの仲間()の応援だろうし、間違ってもこんなところには来ないだろう。
しかし離れてみると静かなもんだなあ。ここならゆっくりできそうだ。歩くだけであせびっしょりだし、タオルタオル・・・。
「ヒッキー」
「・・・お前、さっきから後つけてきてたけど、暇なの? 実は友達いないんじゃねえのか?」
「ち、違うし! たまたまだし!」
「何でもいいが、一人にしてくれ。お前もクラスの応援してこいよ」
「うん、すぐ戻るよ。あたし、ヒッキーの目を見に来ただけだし」
「・・・は?」
目を見に来た? こいつは何言ってんだ。
「ヒッキーさ、最初会った時は睨んできて、すっごい怖かったけど、やっぱり優しいよね」
「それはお前の考え方次第だろ」
「そうかな? 私はヒッキーに助けられてるし、他にもそういう子は居ると思うけど」
人の気なんかわからない俺にそんなことそうそうできるわけ・・・。
「やっぱり、そっちの方がいいよ」
「何がだ。主語を言え主語を」
「目。暗いし、どろっとしてるし、腐ってるかもしれないけど、睨んでるよりずっといいよ」
酷い言われようだ。小町と同じ事を言ってきやがる。でもそれはおかしくないか?
「鋭い目つきはくら~いヒッキーには似合わないよって言いたかっただけ。じゃあ、あたしはクラスの応援に行ってくるから! またね!」
嵐のように大きな爪痕を残しながら由比ヶ浜は去って行った。それは俺の根底を覆すような・・・。
「酷い面だな。さっきの女にでも振られたのか?」
告白もせずに振られた経験は大いにあるが、それだったらどんなによかったか。
「まあいい。ちょっと用があるから付き合えよ」
くいっとあごを敷地外テニスコートを指し示した彼は、ニヤリと口角を上げた。
「神庭・・・」
ちょうどいい。今は何も考えたくない。テニスだろうが何だろうが付き合ってやろう。