不良八幡の学校生活   作:雨雪 東吾

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夏の球技大会 5

 ・・・やっぱあれしかねえか。

 

 昼休み、いつものごとく・・・ではなく久しぶりにベストプレイスでパンを貪る。ここ最近雨続きで外では食べられなかったため、非常に肩身が狭かった。便所飯は流石に抵抗あるしな。

 

 食べながら考えていたが、佐伯をバレーで活躍させれば周りから賞賛させつつ自信を回復させられるはずだ。しかし、俺は佐伯のクラスと当たる訳ではない。その代わり、一年生期待の星のいるクラスと当たった。名前は何だったか・・・。

 

「久しぶりだね、比企谷君!」

 

「あ、おう、戸塚」

 

 そういや、クラス内でも最近喋らなかったな。喋らないのが基本な俺からすれば当然のこと過ぎて気にも留めてなかったな。

 

「お前のおかげでうまく事が運びそうだ。助かった」

 

「あ、いいよいいよ! 僕も大したことしてないし」

 

 佐伯の情報を手に入れるために戸塚を頼った。結果的に佐伯と同じ中学の人間は総武高校いなかったが、戸塚の中学の人脈からたどり着いた。これがなければ佐伯の本音を聞き出すことはできなかっただろう。しかし・・・。

 

「いや、迷惑かけた。本来は俺がやらなきゃいけないんだが、俺の能力では・・・」

 

「僕はそう思わないけど」

 

「・・・は?」

 

「僕は比企谷君だからこそ手伝いたかった。つまりは君の能力も同然ってことだよ!」

 

 なんだその超理論は・・・。戸塚らしいな。

 

「そうだ! ちょっと待ってて!」

 

「?」

 

 いきなり戸塚はテニス部部室を目指し、駆けていく。そして戻ってきたその手にあるのはテニスラケットなどではなく、バレーボールだった。

 

「もうすぐ球技大会でしょ? バレーやらない?」

 

 そうだな、丁度俺もバレーをやりたかったところなんだ。佐伯の依頼を完遂するには俺が怪物相手に最低善戦しなきゃいけねえからな。

 

「やるか」

 

「さいちゃーん! ヒッキー!」

 

 俺が立ちあがろうとしたその時、気の抜けるような明るい声。由比ヶ浜結衣のご登場だった。

 

「何であたし誘わないし」

 

「偶発的に起こったことだからだ」

 

 そもそも俺の中に誰かを誘うという選択肢はない。

 

「ぐうはつ・・・てき?」

 

「たまたま起こったって意味だよ」

 

 戸塚は優しいな・・・。耳慣れない言葉だし仕方ないだろう。漢字を見れば意味の当たりくらいはつくだろうが・・・さすがにつくよな?

 

「じゃあこれからゆきのんも呼んでお昼休みにバレーしようよ! 特訓特訓!」

 

「面白そうだね、由比ヶ浜さん! それでゆきのんさんって・・・?」

 

「あ、そっか。さいちゃんはゆきのんのこと知らないもんね」

 

 まーた、俺は蚊帳の外かな? 何なら蚊帳どころか世界の外まである。

 

 雪ノ下が来ると途端にほんわかした雰囲気から一転真剣な練習になりそうだが、そこは望むところ。彼女に指導してもらえるならこれほど心強いことはなかろう。・・・承諾がもらえるかどうかが問題ではあるが。




遅れて申し訳ございませんでした!

色々忙しく、投稿が滞ってしまったのですが、これから学校始まるのに大丈夫なのかと、思われるでしょうが、たぶん定期投稿は無理ですね・・・。

今回のごとく遅れた分を取り戻すということも難しくなるでしょう。故に週一投稿のタグは外させていただきます。

千字ギリギリな上に頻度も下がったら読み応えが無くなるとお思いの方は一月に一度開いたり、一年に一度読んだりするなどの対策をすればよろしいかと思います。


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