不良八幡の学校生活   作:雨雪 東吾

37 / 52
期末テスト

 気が付けば期末テスト。五日間に分けて行い、今回は副教科もあるので、前回より勉強量が要る。俺には人付き合いやどこかに遊びに行ったり、食事に行くこともないので、時間には事欠かなかったが、それでもやはり雪ノ下には敵わなかった。

 

 前回は度重なる偶然と、運よく解ける問題ばかりが出題されたため勝てたに過ぎない。つまりは当然の結果である。俺とは違い、彼女は天才なのだから。

 

「うっす」

 

 普段通りに部室に行くと、普段通り読書をする雪ノ下の姿が。しかし、こちらに向いたその表情はどことなく嬉しそうだ。

 

「こんにちは、比企谷君」

 

 言葉にも嬉しさが滲み出ている。そんなに勝てて嬉しいですかね? 負けず嫌いだからというよりも、人より優位に立って、見下したいと思ってるんじゃないかという説はある。なんて性格の悪いやつだろうか。

 

「・・・比企谷君、いきなり薄ら笑いを浮かべて気色悪いわよ」

 

「お前が俺のことを気色悪いと思わなかった日はあるのか?」

 

「そうね・・・ないわね」

 

 断定しちゃうのかよ。だからこいつは友達いないんだろうな・・・。

 

「それより比企谷君。テストの結果はどうだったのかしら?」

 

 さらりと髪をかき上げる。口角が少々上がってますね。どれだけだよ。

 

「ほらよ」

 

 特に惜しげもなく俺は自分の結果を渡す。今更隠す必要もないだろう。

 

「・・・あとは現文だけね」

 

 おいやめろよ。現文まで負けたくはないぞ。しかし・・・あれだな。雪ノ下は何しても絵になるな。こうやって何かを一心に見ているだけでも・・・。

 

「やっはろー!」

 

 うおおっ! びっくりした。何かいけないことをしていたつもりはないが、あまり褒められたことでもないしな。俺の場合それが命取りだろうけど。

 

「こんにちは由比ヶ浜さん」

「うっす」

 

「何見てるのー?」

 

「比企谷君のテスト結果よ」

 

「うわ見たい! ・・・何か本当にできるんだねヒッキー」

 

 できて悪いかよ。見た目とのギャップはあるかもしれんが・・・。それを認めたくないのも経験からわかっているが、こいつも露骨に顔に出すよな・・・。

 

「あ、そうだゆきのん。球技大会はどっちの種目で出る?」

 

 そういや今日決めてたな。俺は確かバレーだったな。寝てたら勝手に決まってたが、どっちでもよかったし、まあいいか。

 

「私はバレーね」

 

「私も! ヒッキーは?」

 

「あ? 俺もバレーだよ」

 

「奉仕部全員お揃いじゃん!」

 

 こういう時大抵俺ははぶかれるもんだが、珍しいな。

 

「皆で特訓しようよ!」

 

「? 私は別に特訓しなくても勝てるのだけれど」

 

「大体三人でどうやってやるんだよ」

 

「えっと、あ、む~」

 

 由比ヶ浜が案を出しつつもそれを俺か雪ノ下が否定し、俺に暴言が投げかけられ部活が終了する。いつになればこの部のしっかりとした活動ができるのだろうか。しなくても俺は一向に構わないけどな。何ならしない方がいいまである。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。