不良八幡の学校生活   作:雨雪 東吾

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無論わかってるとは思いますが、神庭と庭木戸はオリキャラです。タグも一応つけときました。


神庭       

          庭木戸

ネットーーーーーーーーーーー

材木座

          比企谷



試合開始はこんな感じ。サーブレシーブ書いてるからわかると思うけど、念のため。


テニス 5

 サーブを打つのは神庭。こちらは背が低く、前衛側の人間だ。ただ足が速く、コースに決めても球速がなければ追いつかれる。コースを丁寧についてくる代わりに、球は遅い。逆に庭木戸の身長は高く、コース関係なく鋭いストロークからの剛速球で押してくるタイプだ。

 

 ここで狙うのは勿論神庭。幸い怒っているからか彼からのサーブからだし、速い球に目を慣らしている時間はない。

 

 神庭がボールを高く上げ、体を大きく使い、滑らかな動作でボールを強打する。遅いが回転数は多い。つまり素直にこちらに向かってこないということだ。しかし考えればどちらに跳ねるかは容易に想像できる。素早くそちらに移動し、理想のフォームで打ち返す。

 

 ボールは神庭目掛けて一直線。理想は俺に返ってくることだが、恐らくそうなるだろう。理由は彼にバックハンドで打たせるようにしたからだ。

 

 神庭はテニス経験者と言えど所詮は中学生と変わらん。体格もよくないし、バックで引っ張る力もない。つまり俺のところに球がくる。ほら来た。

 

 もう一度同じところを狙って球を返す。俺だってテニスはやったことあるし、自主練だって壁相手に何度もやってきた。コースも球速も甘くはならんぜ。

 

 ここで気を付けるのは前衛の庭木戸に打たれることだ。彼らは両方右打ちだから神庭にバックで打たせようとすると必然庭木戸が手をだしやすくなる。それは困る。やられれば失点は確実だ。

 

 神庭もバカじゃない。ラリーの最中にじりじりと内に寄ってきている。そろそろ庭木戸の守備範囲に入る。フォアでも思いっきり打ったら追いつけないとは思うが、全力で打って完璧な制球ができるとは思えない。だったら・・・。

 

 神庭が打った瞬間庭木戸が一歩踏み出す。釣れたな。

 

 庭木戸方向の外側目掛けてラケットを振り抜く。逆方向に行っていた庭木戸も気を抜いていた神庭も動けない。つまり、こちらのポイントだ。

 

 さて、ここからが問題だ。これで奴らは俺を危険視するはずだ。この見た目の俺が相手でも態度を変えなかった奴らだ。肝は相当座ってるだろうし、これからは全力で打ってくるだろう。臆することを期待するのは間違いだ。

 

「師匠さすがですね!」

 

「ああ」

 

 材木座も相手もあっけらかんとしていたが、相手はすぐに臨戦態勢に入った。これで材木座が返すのはさらに難しくなった。前みたいに俺が一撃必殺を続ければ負けることはないが、相手が手練れじゃ厳しい。ラリー中に材木座を経由する可能性を考えると、レシーブで点とるのが理想ではあるが・・・。

 

「材木座。今のサーバーは回転かけてくるやつだ。対処の仕方は教えたな?」

 

「き、聞いてはいるが・・・」

 

「・・・回転を操ることもできんのか剣豪将軍よ。それでは我を超えることは不可能であろう」

 

「なっ・・・バカなことを。師とは弟子に超えられてこそ! そこで見ておくがいい!」

 

 ホント、扱いやすくて助かるわ。でもまあ・・・。

 

 高速回転するボールが材木座に向けて放たれる。やる気に満ちた材木座の表情は真剣そのもの。しっかりとした構えのままボールを待つ。

 

「見切った!」

 

 メガネがキラリと光り、一点目掛けて強いストローク。やり切った感のある材木座は空を仰いでいた。

 

「それで返せるかどうかは別問題なんだよな・・・」

 

 材木座の放ったボールはフレームに当たり、明後日の方向へ。低速高回転ボールは跳ねる方向を予測し、ボールをしっかり見て、それ以上の回転をかける技術が必要になる。たかだか数時間の学校の授業で何とかなるものではない。

 

 ただまあこの世にはサーブミスというものがある。どんな一流選手だってミスはするんだ。練習も真面目にやってないやつならミスって当然。よし、ネットにかかった。一回フォルトすれば置きにくる。

 

 しっかりと点とってこれで30-15。材木座の方でもフォルトしてくれればこのゲームとれる。

 

 と願いつつも試合はデュースになるまで平行線だった。厳しいコースを狙わないと点を取られると判断しているであろう俺にはギリギリを狙ってくるが、材木座に対しては回転さえしっかりかけておけば多少甘くなっても問題ない。つまり向こうに余裕がある。そうなるとミスの確率は極端に減る。でもアド取って、次はさすがに四回目だし、頼むぜ材木座。

 

 神庭も疲れてきたのか、サーブ時のボールの高さが低くなってきている。こういうときは得てして甘いボールがくるってものだ。

 

「はああああああっ!」

 

 材木座は叫ぶと強かにボールを打つ。トップスピンもしっかりとかかっており、相手の

コートにボールが跳ねる。

 

 このチャンス、ものにする! 材木座は真っ直ぐに返した。庭木戸のリーチでも届かないだろう。ならサーブ直後で後方にいる神庭が返してくる。そして狙うなら材木座だろ。神庭は既に疲れが出始めており、回転数も落ちてた。元々の力や球速もない。だったら前出て決められる。

 

 前に出てバックスピンでコートギリギリに落とす。ボールは奥に行かず、手前で2、3回跳ねて転がる。これで1ゲーム先取。

 

「ナイスレシーブ」

 

「! と、当然! 今まではゲームを面白くしようと手を抜いていただけの事!」

 

 いやホントよく返した。正直無理ゲーだと思ってた。でも受験明けじゃなかったら体力もあって筋力もまだましだろう。こんなことにはならなかったはずだ。練習はやっぱするもんだよ。この試合もらったかな?




テニス経験は学校の授業だけなので、ミスあるかもしれません。ご了承を。

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