不良八幡の学校生活   作:雨雪 東吾

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トゥルーライズが死ぬほど見たかったんだ。もう半年もまともに映画見てねえやってられっか! って状況で映画見てたら普通に遅れました。すいません。


テニス 3

「そろそろ基礎練習もつまらなくなってきただろう? 今回からダブルスの試合を行う!」

 

 ペアとのラリーやバックハンドなどの練習を一通り終え、とうとう試合をすることとなった。まあ一部は勝手に試合やっていたところもあるが。

 

「それじゃあ俺が指示するところにペアと入れ」

 

 ペアの方は今まで通りということらしい。そっちの方が楽ではあるが、面倒でもあるかも知れん。何せ材木座は面倒くさい。存在そのものがうっとおしい。俺もこんな感じに言われたことあるけど、これよりましだと思いたい。・・・ましだよな?

 

「師匠! とうとう我が軍の力を見せる時がきましたな!」

 

 軍っていっても二人だけどな。もっと言えば一人と一人まである。それ軍なのか?

 

「取りあえず全勝するぞ」

 

「ふえっ?」

 

 ・・・何でだろう。アニメとかの女の子が言うとすごくかわいいのに。字面だけでもかわいいのに。こいつの無駄にいい声とこの容姿で言われると背筋凍るな。いつぞやの雪ノ下のアブソリュート・ゼロ程度には。いや、そもそも性質が違うな。雪ノ下のは鋭く刺す感じで、材木座のは何か・・・ヌルッとしてる? 何それ生暖かそう。

 

「俺の言ったことちゃんとやったらあんなやつらに後れを取ることはないはず。しっかり走れよ」

 

「え、で、でも」

 

 おいなんだこいつの喋り方。ヒロインになれそう。でもどうせなら戸塚に・・・いや、なんでもない。仕方ないな・・・。

 

「・・・剣豪将軍ともあろうものが雑兵に怖気づくか?」

 

「! ゴラムゴラム! そんなはずあるまい! 我が刃に切れぬ敵はおらぬ!」

 

 刃って・・・ラケットじゃあ何も切れないだろ。ケーキくらいなら切れそうか? いや、潰すと言った方が正しいか。どっちにせよ材木座の妄想するようなことはできないだろう。現実にできなくてもいいのだろうけど。

 

 ここ数日材木座に関わられてきてわかったことはこいつは扱い方さえわかれば楽にあしらえる。自分の思うように動かすことも可能だ。ただ、残念なことは、そうすることで発生するメリットが毛ほどもないことだ。うっとおしさが若干減るくらい。

 

 対戦相手はカースト上位の人間と思われる。女子からの声援を受けているさまは、材木座の怒りをかったようだ。ふしゅるるると息巻いている。

 

 材木座は気持ち悪いが、この際やる気があるなら特に構わない。いやでも俺が前衛の時に後ろからあんな音が迫ってきたら裸足で逃げ出しちゃうな・・・。気をつけておかねば。

 

 先生の声で一斉に試合が始まる。さて、どう料理するか。

 

 じゃんけんによりこちらのサーブ権。打つのは俺。前の時間までの様子を見るに、大したことはなさそうだ。コースを定めて・・・真上から振り下ろす!

 

 相手に反撃を許さず一セットとり、材木座に称賛されるが、それは軽く流し、自陣で構える。

 

 初心者のサーブは下からなら入るが、上からとなると話は別だ。自分の前かつ低めで打つからネットにかかりやすい。フォルトを一回してしまえば、置きに行くか下から打つしかない。そこを狙えば・・・楽に点が取れる。

 

 次は材木座のレシーブだ。まだ若干どころかかなり不安は残るが俺が一撃必殺し続ければ負けることはない。体育故の二ゲーム先取だし。

 

 材木座は相手のサーブをレシーブし、相手も打ち返してくる。相手もトップカーストに近い存在だ。勿論運動能力は比較的高めなため、コースとスピードがよければ普通に返してくる。

 

 対して材木座は底辺も底辺に属している。女子との会話どころか、男子ともまともに会話できない。そもそも慣れているはずの俺とすらまともに会話できている気はしない。

 

 それでも奴は奴なりに体育を頑張ってきた。俺が頑張らせてきた。少しは見返してやれ。努力は、ある程度まで裏切らないからな。

 

 右手を大きく振り上げ、体を回転させる。その際左手を縮めていくことで回転を強化。インパクトの瞬間は下から上へ、ボールを撫でるように。

 

 パン、と材木座のラケットから力強く放たれたボールはトップスピンにより相手のコートに収まり、バウンドして後ろのフェンスに激突する。

 

「モハハハハ! どうだ!」

 

 唖然とする相手に材木座は高らかに笑う。女子の方へチラチラと視線を向けているが、きっと応援はしてくれないだろう。まあでも夢を見たり妄想するのは人の自由だからな。無慈悲な現実はまだ奴には早かろう。

 

 一戦目は圧勝するも、負けた相手が女子に慰められる様に材木座は涙していた。所謂、試合に勝って勝負に負けたという奴だろう。

 

 俺は誇らしいがな。俺らは恐らく社会一般からすれば負け組なのだろう。友達も碌におらず、恋人もいない。しかし、そんなやつらでも日の光を浴び続けている奴らに勝つことはできるのだ。日陰で努力するものは、日光に当たることに胡坐をかくナマケモノに一矢報いることもできるのだ。

 

 しかし、日陰者は所詮日陰者だ。つまり、僕は脇役(影)だ。主役(光)の影として主役を日本一にするしかない。黒子君最後の方自分輝いてたけど。むしろ自分に意識向かせることまでしてたけど。

 

 まあ当然テニスで日本一なんて無理なわけで。そもそも影二人じゃモブキャラもいいとこだろ。天衣無縫の極みとか絶対習得できないし、波動球辺りでふっとばされて棄権するのが落ちだ。

 

 まあ何が言いたいかというと、リア充爆発しろ。




急いで仕上げたので後半というか、落ちが適当になったので書き直すかもしれません。

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