僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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恐怖の昼休みに守護神現る

昼休み

 

場所 屋上

 

そこでは………

 

「明久! しっかりしてください! 明久!」

 

「謙信様! AED持ってきました!」

 

顔面蒼白になって倒れてる明久

 

「あなたは、なにをしたかわかってますか?」

 

「え、えっと………」

 

姫路を正座させて、説教中の幸村

 

「ムッツリーニ! しっかりしろ! 傷は浅いぞ!」

 

明久よりかはマシだが、ガタガタと震えてるムッツリーニ

 

何故、こんな状況になっているのか。

 

時間は少し、遡り

 

昼休み直後

 

場所 Fクラス

 

「あー、腹減った。さてと、弁当を食うか」

 

と雄二は、かばんからタッパーの弁当を三つ取り出した。

 

「兄上、私達も」

 

「おう」

 

「信繁様、信玄様。こちらに」

 

信繁、信玄、幸村の三人は重箱を取り出した。

 

その時

 

「あ、あの!」

 

姫路が大声を出した。

 

「なんじゃ?」

 

「……どうした?」

 

秀吉とムッツリーニが質問すると

 

「少し、お弁当を作り過ぎたので、食べてもらえませんか?」

 

と姫路が、幸村が出したのより二倍くらい高い重箱を出した。

 

「ほぅ」

 

「助かるのじゃ」

 

「……食費が浮く」

 

上から、雄二、秀吉、ムッツリーニの順である。

 

「これは、随分と作りましたね」

 

「は、はい……少し、気合いが入り過ぎまして……」

 

幸村の指摘に姫路は頬を染めながら、モジモジとしている。

 

「そんじゃあ、この天気だし、屋上で食わねーか?」

 

雄二がそう言うと、全員賛成したので、屋上へと向かった。

 

時を少し戻して、場所は変わってAクラス

 

「明久、昼食にしましょう」

 

「そうだね。颯馬は?」

 

「僕も大丈夫です」

 

明久達はカバンから弁当箱を出した。

 

すると、

 

「あたし達も、いいかしら」

 

気付けば、近くに優子達が居た。

 

「うん、いいよ。それと、どうせだから屋上で食べない? いい天気なんだし」

 

明久は返事しながら、右手の親指で窓を指差した。

 

窓の外は快晴で、蒼天が眩しいほどだった。

 

「いい提案ね」

 

「賛成だヨ」

 

「……賛成」

 

優子、愛子、翔子の三人は明久の提案に頷いて賛成した。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

そして、明久を先頭に歩き出した

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって、屋上

 

「ふむ、いい天気じゃのう」

 

「本当だな」

 

「いい天気です」

 

「……晴天」

 

「太陽が眩しいくらいね」

 

旧校舎側から、Fクラスの面子が続々と出てきた。

 

その時、新校舎側のトビラも開き、

 

「うん。やっぱり、屋上にして正解だったね」

 

「本当ですね」

 

「いい天気」

 

「最高のロケーションだね」

 

「……絶好のロケーション」

 

Aクラスのメンバーも現れた。

 

その声にFクラスの数人が顔を向けて、

 

「あ! 吉井!」

 

と島田が、剣呑な表情で指差した。

 

「え? あ、島田さん」

 

明久も声で気付いたようで、視線を向けた。

 

すると、

 

「吉井! あんた、またそんな女ばっかり!」

 

と、島田は詰め寄ろうとした。

 

が、その瞬間。

 

島田の首元に鉄扇、横合いから月型十文字槍、正面から刀が向けられた。

 

向けたのは、もちろん、

 

「明久に攻撃をしようとは」

 

「いい度胸をしてるな」

 

「容赦しませんよ?」

 

信玄、幸村、謙信の三人である。

 

三人は島田の気配に反応して、一瞬にして武器を構えたのだ。

 

約一名、どこから出したのか深く問いたいが。

 

すると、

 

「島田、揉め事は止せ」

 

島田の肩を雄二が掴んだ。

 

「でも!」

 

「厳罰を科すと言ったのを忘れたか?」

 

「くっ! わかったわよ………」

 

島田は不承不承といった感じで、明久を睨みながら下がった。

 

信玄、幸村、謙信の三人はそれを確認すると、武器を収めた。

 

「しかし、お前らも明久の知り合いなのか?」

 

雄二が問いかけると、三人は頷いた。

 

「はい」

 

「私達は幼馴染でして」

 

「ガキの頃から遊んでたんだ」

 

上から、幸村、信玄、信繁の順である。

 

「ついでに、僕もそうなんですよ」

 

「あ? あんたは?」

 

明久の背後から現れた颯馬を見て、雄二は首をかしげた。

 

「あ、僕の名前は天城颯馬と申します。謙信様と明久様に仕える者です」

 

と、颯馬は礼儀正しく一礼した。

 

「仕えるって……お前らの家って凄いのか?」

 

「二度目だけど、歴史が長いだけだって」

 

そう言うと、明久は弁当を膝の上に置いた。

 

「あの、吉井くん。ひとつ聞きたいんですが」

 

「ん? なに?」

 

「そのお弁当、誰が作ったんですか?」

 

そう問いかけている姫路の表情は、はっきり言って怖い。

 

「え? 僕と謙信の合作だけど?」

 

その明久の発言に、姫路と島田の背後に黒いオーラが噴出した。

 

「吉井く~ん、その内容をじっくりと……」

 

「吉井! あんたは、オシオキを!」

 

と、二人が発言した瞬間。

 

一瞬、凄まじい剣気が発せられた。

 

その剣気で、二人はすっかり萎縮してしまった。

 

そして、それを発したのは……

 

「今のは……」

 

「……吉井?」

 

「あ、よくわかったね」

 

明久だった。

 

明久は二人の気配に反応して、一瞬だけ、剣気を放出したのだ。

 

条件反射的に出したのだが、ほとんど全盛期の剣気だった。

 

「流石は剣聖」

 

「刀を握らなくなった、って聞いたが」

 

「その剣気は一切衰えてませんね」

 

信玄、信繁、幸村の順である。

 

三人は昔から明久の剣気に触れてきたので、全盛期と変わらないことに気付いていた。

 

「うん、自分でもビックリ」

 

明久は苦笑いしながら、弁当を開いた。

 

すると

 

「あ、私も広げないと」

 

と、姫路も重箱を開けた。

 

「おお!」」

 

その重箱の中身を見て全員、感嘆の声を上げていた。

 

重箱の中には

 

狐色に上げられたエビフライ

 

綺麗に並べられたおにぎり

 

瑞々しい光沢を放っているサラダ

 

等々が所狭しと入れられていた。

 

「ほう……」

 

「これはすばらしいですね」

 

「上手に作ったね、姫路さん」

 

等々の賞賛が姫路に送られた。

 

「あ、ありがとうございます………」

 

姫路は褒められて嬉しいのか、頬を染めている。

 

そして

 

「いただきまーす!」

 

と、全員食べ始めた。

 

「ふむ。では、ワシはこれを貰おうかのう」

 

と、秀吉がエビフライを食べようとした時。

 

ヒョイ

 

と、横からムッツリーニが手で摘み上げた。

 

「む! ムッツリーニよ、意地汚いぞい!」

 

と、秀吉が抗議した瞬間。

 

ドゴン!

 

と気付けば、ムッツリーニがブリッジになっていた。

 

「っ!?」

 

「つ、土屋くん!? 大丈夫ですか!?」

 

全員が驚き、姫路がムッツリーニに駆け寄ると

 

ムッツリーニが立ち上がり

 

「………っ!」

 

と、親指を立てた。

 

どうやら、美味しいと言いたいらしい。

 

「そうですか! それでは、ドンドン食べてください!」

 

と、姫路は笑顔で勧めた。

 

その瞬間

 

明久は雄二とアイコンタクトを取っていた。

 

(雄二、どう思う?)

 

(あの足は演技には見えねぇ。アイツはなにを入れたんだ?)

 

そう、ムッツリーニの足がまるで気絶寸前のボクサーのように見えたのだ。

 

(ねえ、雄二。あれ全部いける?)

 

(すまねぇ、翔子の作った弁当があるから、無理だ)

 

(だよね………)

 

そこで明久は少しの間、黙考して

 

(雄二、僕が行くよ)

 

(な!? 正気か、明久!?)

 

明久は頷くと

 

(言ったでしょ雄二。僕は、護るためなら、刀を振るうって)

 

(明久………すまねぇ!)

 

雄二がそう言うと

 

「青の剣聖、吉井明久………未来を切り開く!!」

 

と、重箱の中身をかきこんだ。

 

そこから数分間、明久の激闘(誤字に非ず)は続き

 

明久は全て食べ終わり

 

「あ、明久?」

 

と、雄二が問いかけると

 

明久は笑い

 

「………アバヨ、ダチ公」

 

そう言って、倒れた。

 

「明久ーーーー!!」

 

謙信たちは明久に駆け寄った。

 

そして、冒頭に戻るのである。

 

なお、この時のことを雄二はこう語っている。

 

「あの時の明久は……マジで守護神に見えた……」

 

 

補足だが、姫路は幸村によって料理禁止令が出されたとか

 

 


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