僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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始動

明久が到着して、少しした後

 

「皆様、よくお出でくださいました」

 

と、松永久秀が壇上に上がった。

その姿は、和服を着た美少女にしか見えない。

実質、性格以外は美少女だろう。

だが、その腹の内では何を考えてるのか分からない。

 

「此度は、私の誕生日パーティーに来ていただき、感謝いたします……今日は、程よく楽しんでくださいませ」

 

久秀がそう言うと、拍手が起きた。

その中で、明久達だけが真剣な表情を浮かべていた。

その後、明久達は追加された料理を食べ始めた。

それから数十分は、何事もなく静かに過ごせた。

しかし明久達は、気が気ではなかった。

いつ、松永が動くか分からなかったからだ。

だが既に、松永の策は発動していた。

 

「ん……」

 

「明久?」

 

「ごめん、なんか、少し眠い……」

 

謙信が明久に声を掛けると、明久はそう答えた。

すると、信繁が

 

「このパーティーに来てから、ずっと気を張り積めてたからな……疲れてきたのかもな」

 

と言った。

それを聞いて、謙信が

 

「すいません。彼が、疲れてきたみたいですので、お部屋をお借りしてもよろしいでしょうか?」

 

と近くに居た給仕係に声を掛けた。

すると、その給仕係は松永に耳打ちした。

松永は微笑みを浮かべながら、その給仕係に返答。

すると、その給仕係が帰ってきて

 

「客室でよければ、ご案内します」

 

と言ってきた。

それを聞いて、謙信は

 

「はい、そこでいいです」

 

と頷いた。

そして明久は、謙信の付き添いと共に客室に案内された。

そして、明久は上着を謙信に預けてベッドに横たわった。

明久が寝たのを確認した後、謙信も眠くなり眠ったのだった。

そして、明久達が眠り始めてから約小一時間後、明久達が居る部屋のドアがゆっくりと開いた。

そこから数人の人影が静かに入り込み、ベッドと椅子に静かに近寄った。

そして、その数人は銀色に輝く物を抜いて構えた。

その直後、布団が勢いよく上がった。

それに侵入者達が驚いて固まった瞬間、素早く明久が動いた。

ベッドから出た明久は、上着の背に隠されていた刀を抜刀。

侵入者達を全員、峰打ちにした。

そして起きたのは、明久だけではなかった。

謙信もだった。

謙信は起きると同時に、袖の中から小太刀を素早く抜刀。

明久と同じように、峰打ちで次々と撃破した。

そして、相手が全員動かなくなったのを確認すると

 

「明久、大丈夫ですか?」

 

と謙信は明久に問い掛けた。

すると、明久は刀を収めながら

 

「大丈夫だよ、謙信」

 

と答えた。

そして明久は、上着の内ポケットからある紙を取り出した。

それは、帯刀許可証だった。

 

「まさか、また持てるようになるなんてね……」

 

明久がそう呟くと、謙信が

 

「明久……この者達は、全員松永の手の者のようです」

 

と言った。

それを聞いて、明久は

 

「分かった……僕達は、信繁達と合流を目指そう」

 

と言って、客室から出た。

松永に反撃するために。


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